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福島党首、岸田首相を「武力行使の現場に立つ」と批判

岸田文雄首相のキーウ訪問に関連し、久しぶりに驚く話題があったとすれば、社民党の福島みずほ党首の21日付のツイートでしょう。福島氏は「日本の首相が武力行使の現場に立つ事は初めてではないか」としつつ、「統一自治体選挙後、殺傷能力のある武器を供与することを運用指針を変えて認めるのではないか」との「大きな懸念」がある、などと述べました。「武力行使」云々はこの場合、ロシアに対して主張すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

岸田首相の訪宇自体は結果的には大成功

岸田文雄首相がウクライナの首都・キーウを訪問し、様々な支援を約束してきたという点については、昨日の『岸田首相が「必勝しゃもじ」をゼレンスキー氏に贈答か』でも取り上げたとおりです。

中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているウラジミル・プーチンとモスクワで会談をしている最中に、岸田文雄首相はウクライナに入り、ロシアによる戦争犯罪を象徴するブチャなどを訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領に「必勝」と書かれた「しゃもじ」をプレゼントしたとの報道がありました。ちなみにしゃもじには「敵を召し(飯)取る」という「験担ぎ」に使われるそうです。日本政府のお粗末な情報管理岸田文雄首相のウクライナ訪問を巡っては、『岸田首相ウクライナ訪問、...
岸田首相が「必勝しゃもじ」をゼレンスキー氏に贈答か - 新宿会計士の政治経済評論

これについて、岸田首相の訪宇に先立って、日テレなどのメディアがその様子を報じてしまったことなどを踏まえると、日本政府の情報管理にはかなりの問題があると断じざるを得ませんが、それでも結果論としては、このタイミングでの訪宇は大成功だったと考えて良いでしょう。

なにせ、ロシアでは独裁者でもあるウラジミル・プーチン容疑者が同じく独裁者である中国共産党・習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席を迎え、きらびやかな宮殿で握手を交わしたばかりだったからです。

産経の報道によれば、岸田首相は「必勝」と書かれたしゃもじをウォロディミル・ゼレンスキー大統領にプレゼントしたそうですが、120年前の日露戦争でロシアを打ち破った日本から縁起物は、ゼレンスキー氏にとってはロシアという戦争犯罪国家との戦いを進めるうえでの絶好の「お守り」のようなものかもしれません。

(※もっとも、日本の「縁起物」という概念がウクライナにも通用するのかどうかはよくわからないのに加え、ネット上では「しゃもじも千羽鶴のような迷惑物だ」といった批判があることについては、公正さのため、言及しておく必要はあるでしょう。)

福島党首の面黒いツイート

ところで、この岸田首相の訪宇を巡って、なかなかに面黒いツイートがありました。

社民党党首でもある福島みずほ参議院議員は21日、「日本の首相が武力行使の現場に立つ事は初めてではないでしょうか」としたうえで、「統一自治体選挙後、殺傷能力のある武器を供与することを運用指針を変えて認めるのではないかと大きな懸念を持っている」などとツイートしたのです。

いろいろとツッコミどころは多々ありますが、そもそも「武力行使の現場」といわれても大変に困ります。

ウクライナはロシアからの違法な軍事侵略を受けている被害国だからです。

それともあれでしょうか?福島氏も大好きな憲法第9条の精神では、国土を守ることができないという現実に直面し、現実が見えていないのでしょうか?

「ロシアに言え」

ここで気付く点があるとすれば、福島氏の「武力行使の現場」というツイートからは、「主語」が見えてこないことです。果たして、「武力行使」を行っているのは、いったい誰なのか――。

この場合、「武力を行使して違法な侵略を行った国」はロシアであり、ウクライナの側ではありません。もちろん、ウクライナはロシアの侵略に抵抗するために「武力行使」を行っているわけですが、これは自衛権の発動そのものでしょう。

「違法な侵略・国際犯罪の被害国」という意味では、日本にとっても他人事ではありません。

戦後、島根県竹島を軍事侵略されたこと、無辜の日本人多数が拉致されたこと、現在進行形で沖縄県石垣市尖閣諸島周辺海域に外国公船が侵入していることを思い出しておくならば、ウクライナの事態は決して「遠い外国」の話ではないのです。

だいいち、ロシアの前身の旧ソ連といえば、日本が1945年にポツダム宣言を受諾した後も、南樺太、千島列島、択捉、国後、色丹、歯舞などへの軍事侵略を続け、日本人を多数拉致してシベリアに送り込み、強制労働に従事させたという犯罪国家です。

実際に武力行使を行っている国を批判せず、その武力行使を行っている国から侵略を受けている被害国を訪れた岸田首相を批判するというのは、どう考えてもフェアではありません。

また、社民党や日本共産党といった政党は、普段、「外交により戦争を防げ」などと主張していたはずですが、実際に岸田首相が訪宇という「外交」を行ったら批判するというのも支離滅裂でしょう。

いずれにせよ、結局のところはこの手の組織が依然として国政政党として残っているという状況は、どこかのタイミングで清算した方が良いのかもしれません。日本国民がより賢くならなければならないゆえんでもあるのです。

新宿会計士:

View Comments (15)

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    福島瑞穂党首:「岸田総理のウクライナ訪問を批判したことで、次の統一地方選では社民党支持者が社民党に票を入れてくれる。(無党派層が社民党に投票してくれるかどうかより、社民党岩盤支持層を固める方が重要だ)」
    これって、笑い話ですよね。

    • 「社民党は、福島瑞穂の、福島瑞穂による、福島瑞穂のための政党」ということでしょうか。

    • 団塊の世代というか、反日左翼が目覚める可能性は低いと思います。まともな国民、特に若者の投票率を上げて、相対的に彼らの存在感を減らすしか無いと思います。

  •  武力行使とまでいけなくとも、戦争アレルギーで軍事オンチでカネしか出さない「あの」日本が、間接的にロシアへの対決姿勢を示したことにこそ価値があるのであって、福島氏の批判は的外れどころか的の逆までいっちゃってるというか。わざとか。

     例のしゃもじが広島由来で岸田総理の地元縁故かよという面に目が行きますが、世界でHiroshimaといえば、まず原爆でしょうか。日本はむしろこの原爆によって核アレルギーとなり軍事にエネルギーに経済にと様々に足を引っ張られていますが、広島出身の首相という面を押し出して「核兵器の使用を許さない」という空気を各国に演出できれば、初めて被爆地であることを有効利用できたことになり、良かったかもなと思いました。

    (あきらかに不謹慎な物言いなのは承知ですが、現実的な議論として敢えて。不謹慎として封殺されてしまう物事が多すぎます。)

  • 福島さん
    お願いですから
    岸田氏の応援になるようなこと
    やめてください

    • 偏見かもだけど、福島氏って呟くだけで、自らの信条を政治的に具体化する努力はなんにもしないんだろうなって思うのです♪

      殺傷能力のある武器を供与することは何がなんでもダメだと思うなら、運用指針の変更なんかで対応されないように、法律で縛っちゃえば良いのになって思うのです♪
      で、福島氏は国会議員なんだから、そのための法案作って国会での成立に向けて賛同者を集めたら良いのにって思うのです♪

      それにしても、なんで殺傷能力のある武器の供与ってダメなんだろう?
      回りまわって、それが日本に向けて使われちゃうとかを心配してるのかな?

  • 「武力行使の現場に立つ」

    広島に来て慰霊碑に献花していったオバマも、武力行使の現場に立った政治家なので、もちろん福島瑞穂はそのときに非難したのでしょうな。(笑)

    (あれは済んだ現場やん!)

    それじゃあ、板門店に来て会談していったトランプも、武力行使の現場に立った政治家なので、もちろん福島瑞穂はそのときに以下同文。(笑)

    つか、そもそもなんで行ったらあかんのかな??
    (笑)

  •  こっちも名文句。
    『「やるべきは和平。不適切」ゼレンスキー氏へ必勝しゃもじに野党反発』
    https://www.asahi.com/articles/ASR3S420JR3SUTFK008.html
    >立憲民主党の石垣のりこ氏は「選挙やスポーツではない。日本がやるべきことはいかに和平をおこなうかだ」と指摘。ウクライナでは多くの犠牲者が出ているとし、「その戦場に行って『必勝』というのはあまりにも不適切だ」と批判した。

     もう寸でいいよ>石垣

    •  と思ったら、 アッパラパーは、のりこだけではなかった。
      『首相ウクライナに“必勝しゃもじ”立民泉代表「違和感拭えず」』
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230324/k10014018491000.html
      >これについて、立憲民主党の泉代表は記者会見で「戦争中の緊迫した国家の元首に受験やスポーツの応援で使われている『必勝しゃもじ』を贈るのは違和感が拭えない。験を担いで今のウクライナに『もっと戦え』『必ず勝て』というメッセージを送るのか」と指摘しました。

       送って悪いか? 田の中ヨシキンみたいに、「戦争は、主観的善と主観的善のぶつかり合い」なんて、ニヒルに構えていればいいのか?

      •  ウクライナ自身が戦うことを選んでいるのに、外野がこんなロシアを利する発言をする方が失礼もいいところですし、日本国の立場を悪くするだけの何の利もない発言ですね。スポーツなどではなく戦争だからこそ、文字通り死ぬ気で勝たねば未来が無いのに。批判しておいて違和感とかいう論理から逃げた言葉を使うのも卑怯で大嫌いです。
         こいつらに外交は任せられないと改めて確信しました。

         また、当の朝日新聞が別記事にて「しゃもじと"折鶴型のランプ"を送った。しゃもじは激励の意味でランプは平和を祈念して」との松野官房長官の会見内容を報じています。和平をとかほざく石垣は鶴の平和祈念の方を意図的に無視したことになります。

         あー卑怯卑怯。

  • 「武力行使の現場=紛争地域」という意味なんでしょうけど、「ウクライナを訪れ一体何を約束してきた?防衛装備移転三原則の運用指針を見直して殺傷能力のある装備を送るつもりじゃないだろうな」と言いたいんでしょうね。
    もっと他に言い回しがありそうなものですが、「私はこう邪推してます」と言ってるようにしかw