閣僚のスキャンダルがないと国会論戦すらできない野党
今年度の予算案が成立したことを巡って、時事通信には「終始与党ベースで進んだ」とする分析記事が掲載されていたのですが、その内容に驚きます。「閣僚のスキャンダルが浮上せず、野党も攻めあぐねた」からだ、などと記載されていたからです。あれでしょうか?野党は閣僚のスキャンダルが浮上しないと国会論戦ひとつマトモにできないということなのでしょうか?
目次
利権の3法則
当ウェブサイトではしばしば、「利権」という表現を利用します。
この「利権」とは、いわば不当な利得を固定化する仕組みのようなもので、得てして理不尽なものであり、外から壊すのが難しいという特徴があるものの、いずれ利権を持っている者の強欲や怠惰によりあっけなく自壊するものである、という「法則」があります。
【※参考】利権の3法則
- 第1法則:利権とは、得てして理不尽なものである。
- 第2法則:利権はいったん確立すると、外から壊すのが難しい。
- 第3法則:利権は保有者の怠惰や強欲で自壊する。
(【出所】著者作成)
考えてみれば、利権というものは理不尽な仕組みであるため、そもそも外部からの反感を買いやすいものです。
しかも、利権を持っている側からすれば、その利権に依存していれば「楽に儲かる」わけですから、次第に感覚がマヒし、自分自身の利権を「不正常なもの」とは認識できなくなってくるだけでなく、それを何が何でも死守し、拡大しようと努力するようになります。
終焉に向かう利権
利権の典型例はNHK
その典型例が、NHKでしょう。
『日本人の半数はNHKを週5分も視聴していない=教授』などでも議論したとおり、NHKの場合、たとえ1秒たりとも視聴していなかったとしても、テレビを設置したすべての世帯は、事実上、NHKに対して受信料を支払う義務があります。
厳密にいえば、テレビを設置した者は放送法第64条第1項の規定に基づき、「NHKと受信契約を結ぶ義務」が生じる、という仕組みですが、いずれにせよ結果として、もしもテレビを自宅に設置すれば、半強制的にNHKに受信料を支払わなければならなくなります。
(※もちろん、「テレビを買ったけれどもわざとNHKと契約を結ばない」、「NHKと契約を結んでも受信料を支払わない」という行動を取ることもできなくはありませんが、そうした行動については、ここでは考慮しません。)
ただ、総務省が公表するNHKの契約数のデータによれば、最近だと受信料契約自体が横ばいから微減傾向にあります(図表)。
図表 NHKの放送受信契約数の推移
(【出所】情報通信統計データベース『NHKの放送受信契約数の推移』をもとに著者作成。なお、「地上契約」は2006年までは「カラー契約」と「普通契約」の合算値を示している)
NHK利権はいずれ瓦解に向かう
これによると受信契約数がピークを付けたのは2019年で4523万件(うち地上契約が2233万件、衛星契約が2289万件)でしたが、20年は減少に転じて4477万件、さらに21年には4461万件と、それぞれ前年割れが続いています。
契約数が減少している理由自体はさだかではありません。
コロナ禍でテレビを捨てる家庭が続出したためなのか、日本の人口が減少に転じているからなのか、それともNHKに反発を覚え、NHKとの契約を拒否する人が増えているからなのかは、この統計データだけでは明らかにはならないのです。
ただ、NHKはこの4月以降、「2倍割増金」という制度を導入し、テレビを設置しているにも関わらず受信契約を結ぼうとしないなどの事情がある場合には、割増金を請求することにしたのだそうです。
当たり前ですが、こんなことをして国民が反発せず唯々諾々とNHKに喜んで受信料を払うようになるわけがありません。良識的な国民からは白眼視されるだけでなく、「NHKごとテレビを捨てる」という人が増え、テレビ離れをますます加速させるのが関の山でしょう。
特定野党議員の利権=「スキャンダル政治」
ただ、こうした「利権構造」は、NHKの専売特許ではありません。
当ウェブサイトでは昨年の『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などを含め、以前から指摘してきたとおり、日本社会の利権のなかでもとくに問題が大きいものは、官僚組織とオールドメディアに加え、特定野党議員だと考えています。
その仕組みは、こうです。
官僚機構が記者クラブなどの仕組みを維持することで、新聞、テレビといったオールドメディア業界に便宜を図り、彼らの情報独占を助けてやる見返りに、自分たちにとって都合がよい内容をオールドメディアに報道させるという「癒着関係」が生じます。
また、官僚機構にとっては「強すぎる与党」は都合が悪いため、オールドメディア業界が与党(とくに自民党)に対してネガティブな情報をさかんに流すことは、むしろ歓迎すべき話でもあります。そして、オールドメディア業界は「角度をつけた報道」によって政権与党に対して不利な情報を積極的に流してきました。
その恩恵を受けているのが、過去の社会党や民主党、あるいは現在の立憲民主党を筆頭とする特定野党です。
特定野党の議員は、国会質疑の場で週刊誌片手に格好よく与党を批判していれば、それをオールドメディアが好意的に報じてくれ、次回選挙でも当選確率が高まるため、いつしかオールドメディアと特定野党の癒着関係も成立したのです。
これが「スキャンダル政治」です。
2009年の民主党政権禍
これが事実であるかどうかについて知るためには、街中で立憲民主党や日本共産党の街頭演説を聴いていただくのが早いでしょう。彼らが訴える政策には「具体的な実現可能性」がありませんし、それどころか彼らの演説の多くは、自民党に対する批判に向けられているからです。
とくに自民党議員や閣僚に不祥事が発生しようものなら、特定野党はオールドメディアと結託し、それこそ鬼の首を取ったかのごとく大騒ぎをしますし、ときとして「もりかけ・さくら・統一教会」(MKST)のようなスキャンダルを捏造してでも与党を攻撃するのです。
こうしたオールドメディアと特定野党の癒着関係の究極形が、2009年8月の衆院選でしょう。オールドメディアの激しい偏向報道の結果、麻生太郎総理大臣が率いる自民党が大敗を喫して下野し、民主党政権が発足したのです。
これもやはり「オールドメディア利権」と「特定野党利権」が結託し、大勝利を収めた事例でもあるのです。
ただし、ここでもやはり「利権の第3法則」はキッチリと仕事をしてくれました。
民主党政権があまりにも酷かったからです。
民主党政権の良かった点といえば、「選挙によって自民党が下野したことがある」という実例を作ったという意味で、「日本はまぎれもない民主国家である」という事実を積み上げたことと、「首相なんて、誰がやったって一緒だよ」といった無責任な発言をする者が日本から駆逐されたことくらいなものでしょう。
ただ、日本国民の意識は、この民主党政権禍により、明らかに変わりました。民主党政権が2012年12月の衆院選で崩壊して以降、民主党やその後継政党(民進党、立憲民主党など)が選挙で大勝することはなくなったからです。
たとえば安倍晋三総理大臣の再登板を確定させた2012年12月の総選挙を含め、自民党は都合8回の大型国政選挙で連続して勝利をおさめ続けています(※それが良いことかどうかはとりあえず脇に置きます)。「民主党政権禍という記憶が国民に共有されているからだ」、だけでは説明がつきません。
やはり、オールドメディア関係者や特定野党関係者の意識がまったく変わっていないことがその原因ではないかと思います。
社会のネット化の急激な進展
ただ、社会の変化は、それだけではありません。
ちょうど2010年ごろからスマートフォンの爆発的な普及が始まり、新聞の部数が急減を始め、テレビの視聴時間が減り始めていることも、大いに関係しているのではないでしょうか。
一般国民にとっての情報源が、新聞、テレビといったオールドメディアだけではなくなり、また、オールドメディアが「報道しない自由」を乱用してこれまで報じて来なかった特定野党議員の行動の実態が、ネット経由で少しずつ知られるようになり始めたことも影響しているのではないかと思うのです。
報道しない自由の例としては、例の「脱糞疑惑」(『立憲民主党「脱糞疑惑」続報が参院選後に出てきた理由』等参照)などを見ていただくだけでも十分かもしれません。
時事「閣僚スキャンダルが浮上せず、野党も攻めあぐねた」
こうしたなかで、時事通信にはなにやら不可解な記事が掲載されていました。
岸田首相、強気の「ゼロ回答」 低姿勢一転、野党は攻め手欠く―予算案衆院審議
―――2023年03月01日07時09分付 時事通信より
記事の最初の段落が、なかなかに強烈です。
「2023年度予算案の衆院審議は、終始与党ペースで進んだ。閣僚のスキャンダルが浮上せず、野党も攻めあぐねたことが大きい」
…。
あれでしょうか。
「閣僚のスキャンダル」が浮上しないと、野党は国会質疑すらできないとでもいうのでしょうか?
当たり前の話ですが、国会議員の本業は国民の代表者として法律を作ることであり、政策論争こそが国会議員の本分です。それなのに、特定野党の議員はとくに、「週刊誌片手にスキャンダルを追及する」のが国会議員の仕事だと勘違いしているフシがあるのです。
そんなことをしている暇があれば、本当に国民が困っていることを追及したらどうでしょうか。
たとえば2020年7月に実施された「レジ袋有料化」ひとつとってみても、野党の側からそれを撤回させようとする動きが大々的に出ているという事実はありません。
レジ袋有料化自体、法律ではなく政令の変更によって実現したものであり、なかば官僚機構が独走したものといえ、違法性が極めて強いものですが(※著者私見)、この部分を野党の皆さんが舌鋒鋭く突っ込めば、国民からの支持率も上がるような気がします。
あるいは、違法性の疑いが極めて強いものといえば、たとえば東京都が実施している「若年被害女性等支援事業」において、委託先において、公金の不正使用や違法行為の疑いが浮上している問題なども挙げられますが、これらについて特定野党が追及しようとしている気配はありません。
(というよりも、「Colabo問題」「WBPC問題」自体、本気で追及したら炎上するのは自民党ではなく官僚機構や特定野党の方なのかもしれませんが…。)
いずれにせよ、日本の野党のクオリティが低いことは、日本にとっても大きな不幸です。自民党が弛緩し切ってしまうからであり、いずれ自民党も腐敗するかもしれません。そうなる前に、政治の質を大きく変えていく必要があるのです。
野党議員は変われるのか
もっとも、非常に幸いなことに、日本国民の政治意識は10年前の民主党政権禍以降、大きく変わっています。それに気付いていないのは官僚、野党、オールドメディアという「既得権者」たちだけなのです。
著者自身の見立てだと、あと10年もしないうちに紙媒体の新聞はこの世からほぼ姿を消すでしょうし、地上波テレビもそれより少し遅れて廃れていくはずです。そうなれば、「官僚→メディア→特定野党」という利権トライアングルも崩壊します。それを支えていた「メディア」という一辺がポッキリと折れてしまうからです。
そうなる前に、特定野党の議員たちが「このままじゃだめなんだ」と気付くことができるでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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毎度、ばかばかしいお話しを。
野党:「ワイドショーが閣僚スキャンダルで騒いでくれないので、我々も政府を追及できないのだ」
(誰がやっても同じ、誰でも出来るというのは、総理でなく(今の)野党議員ではないでしょうか)
誰か笑い話だと言ってくれ。
蛇足ですが、同じ野党の仲間への被害覚悟で、Colabo問題を追及する手も、あるのではないでしょうか。
>Colabo問題を追及する
ガーシ―議員の陳謝演説に期待しています。
ガーシー議員はColabo問題に対する質問主意書も出していますし
各局が注目する謝罪演説でこの問題を入れてくる可能性は相応に高いと思います。
そのガーシー議員、また屁理屈付けて帰国を渋ってますね。
所詮彼にとってColabo問題は免罪符程度にしか考えてませんね。
過剰な期待を抱くのは緊密と思います。
× 緊密
〇 禁物
夜盗は週刊誌党なので、週刊誌がネタを作って
くれないと、何も考える事はできないのです。
問題を提起するには、問題とその周辺知識が
必要ですが、夜盗の大半(殆ど全部)の
議員は義務教育中退程度の思考力・読解力しか
ない(一応学歴はどっかの大卒)ので
理解できないから、ムリです。
国会でやっている防衛問題なんて、中学校程度の
議論しかできていないじゃないですか?
一つ・二つ・いっぱいの人達です。
未だ二つ以上の数値を発見しておりませんし、
夜盗議員が変われるハズもなく、
変われるのは、週刊誌だけです。
野党はいつも何度でも
「自民党は腐ってる」
と叫び続けますが、その腐ってる自民党に10年間も惨敗を続けてるのですから、
「野党は腐った自民党より下」
だと、自分から証明し続けてる感じです。
アホなのかな。
こういうのをサブカル用語では
「G-BACK戦略」
と呼ばれているらしいです。by岡部倫太郎
CRUSH 様
そうですよね。
少子化で昨年の出生数が80万人を切った事で、ハッピー米山がTwitterで少子化問題に消極的で防衛費を倍増した現政権に対して「亡国政権」だとイ・チャモンを付けていました。
彼の信者も同調をしていますが、悪夢の民主党政権の3年間を総括しないまま、只管「ジミンガーッ!」をやっているあたりセンスの欠片もありません。
更に「移民」という信者が提案をしている辺り、それこそ「亡国」になると思うのですが。
折角、ハッピー米山は嫁の室井佑月が仁藤夢乃と闘っているのですから、Colabo不正会計疑惑について、そして利権と化した男女共同参画にメスを入れるべきではないかと思うのですがね。
国会議員による政府側への質問通告について、「土日祝日を除く質疑2日前の正午まで」とする与野党の申し合わせが守られたのは全体の19%、だそうです。
通告期限が守られなかった質問は、禁止するようにしないとダメ。
長期的なプランとして、故意に国家公務員の人気をなくして、中韓の息のかかった人間で省庁を支配しようと考えている可能性もあると思う。
国会で「ソーリソーリ」とシツコク絡んでいた立憲民主党の落選経験者や、大っきいテレビ映りの良いフリップを作らせて喚いていた、えだのんさんとか、ネタ切れですか?(笑)ホントに存在感無いですね〜。コレで国会終わったらどうすんのよ?
民主党政権下→民主党政権禍 うまい!!!
>「2023年度予算案の衆院審議は、終始与党ペースで進んだ。閣僚のスキャンダルが浮上せず、野党も攻めあぐねたことが大きい」
こんな文言を活字にして世に出すとは・・時事通信にはジャーナリズムとしての矜持はないのでしょうか?誰が何を考えてこのような文言にOKを出したのでしょうか?
議員の社会分析能力は、新聞・週刊誌など旧時代の情報装置に頼り切っているため、まるで進化できないのでしょう。ガラパゴス職業集団は新聞記者やTV放送のそばにいるわけです。彼らが脱皮できるのか、道連れになるのかは、かなり微妙です。
政策そっちのけで、個人を口撃するのが彼らの仕事。
個人を追及するのではなく、政策を追求して欲しい。
インボイス制度なんて突っ込みドコロいろいろありそうだったのにナー
“益税”なんて”無い”つー答弁まで引き出してソレマデとは…
所詮野党も財務省のポチなんかいのー
インボイス制度は実態を見てるとまあ必要かとも思うんですよ。
人件費比重の多い企業なんかが従業員を個人事業者にして外注化、本来消費税非課税の給与であるべきところを課税支出にして控除金額を増やす手口が横行してたりします。
もともとスケジュールに沿った施行なんでしょうがコロナ禍もあけないこの時期にやるこっちゃないとは思うんですけどねえ。
小狡い奴らがやり過ぎたために真っ当な人たちが割を食わされたわけです。
出来レースでしょ。
某秘書官を追及しないで何がスキャンダルが無いだ。
「大きな政府」や
伝統的な家族はブッ壊してLGBTや「伴走型支援」に公金注入
なんて政策は官僚や野党が好きそうなこった。
政権と官僚と与党と野党と時事通信の出来レース。
時事通信にとって、日本の野党はそういう存在なのでしょうね。
日本の野盗、ムム、変換を間違えたか、
しかし
これでも意味は通じるので良し‼️(笑)。
新聞配達は新聞をなくして広告だけ配達して生き残ることは可能なんだろうか?郵便で十分?
いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。
スキャンダル無くても野党には論議するネタは有るでしょうに。
出生率の低下。
マクロ的に見れば与党の政策が不適切だからです。
当方が野党議員ならばこのネタで1会期全部論議に使える自信がありますね。
何故女性集団が4半世紀を使うプロジェクトにゴーサインしないのかを5回位突き詰めないと適切な対策は出せませんからね(笑)。
>とくに自民党議員や閣僚に不祥事が発生しようものなら、特定野党はオールドメディアと結託し、それこそ鬼の首を取ったかのごとく大騒ぎをしますし、ときとして「もりかけ・さくら・統一教会」(MKST)のようなスキャンダルを捏造してでも与党を攻撃するのです。
統一協会に関しては捏造とは言えない問題だと考えますが、オールドメディアをほぼ観ないので、オールドメディアがどんな切り取り方で問題視してるのか知らないんですよね。
何はともあれ、
①社会の秩序維持には哲学・宗教・法律が用いられるが、哲学や宗教は其れを共有する者の間でしか通用しないのに対し、法律は其れ等を共有しない者にも通用する。
②宗教とは“弱者の救済”の為に活動するが、旧統一教会は“弱者の搾取”の為に活動しており、宗教では無い。
③自民党が選挙時のボランティアとして旧統一教会の信者を受け入れて選挙運動を行い、旧統一教会は有権者名簿の取得や政界とのコネ作りなどの利益を受けてきた。
といった点から、旧統一教会と自民党との関係を“まったく問題ない”と結論付けるのは不可能だと考えます。