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「党首公選制」提唱した党員を日本共産党が除名決定か

「多様性を騙りながら異論を認めない」。「民主主義を騙りながら民主的な制度を認めない」。これが日本共産党の本質だったようです。現役の日本共産党の党員で党首公選制を求めたジャーナリストの松竹伸幸氏によると、同氏は6日にも日本共産党からの除名が正式決定されるのだそうですが、共産主義政党がいかに自由・民主主義社会において異質な存在であるかがよくわかるでしょう。

「アベの独裁を許すな」?安倍総理は独裁者じゃありませんが…

アベの独裁を許すな!」――。

ひと昔前、東京の繁華街を歩いていたら、こんなプラカードを掲げた老人の集団に出会うことがよくありました。

酷いものになると、安倍晋三総理大臣をヒトラーに見立てた写真を掲げたり、安倍総理の顔写真を張ったタイコを叩いたりするパフォーマンスを繰り広げ、ラップ調で「アベは~辞めろ~」などと叫んでいる、というケースもありました。

(※どうでも良い余談ですが、彼らがいう「独裁者」はたいていの場合ヒトラーであり、スターリンや毛沢東が出てくることはほとんどありません。しかし、「人類史上最悪レベルの独裁者」という意味では、両者とも似たようなものだとおもうのですが、いかがでしょうか?)

ただ、冷静に考えると、これもおかしな話です。

安倍総理が2012年12月26日以降で連続2822日、第1次安倍政権時代を含めた通算で3188日在任したことは事実ですが、安倍総理(やその後継者である菅義偉総理ら)が一般的な意味でいう「独裁者」であったという事実はないからです。

客観的な事実関係で申し上げておくならば、2012年12月の衆院選を含めた8回の大型国政選挙で、少なくとも最大野党である民主党(とその後継政党である民進党、立憲民主党)が過半数を制したことは1回もありません。

これに対し、自民党は4回の衆院選で毎回半数を大きく上回る議席を手に入れていますし、4回の参院選では改選過半数にこそ届いていないものの、連立相手である公明党と合わせれば過半数を制し続けているのです。

結果として、国民の意思に基づき自民党総裁である安倍、菅両総理、あるいは岸田文雄・現首相が内閣総理大臣として選ばれ続けているのです。

自然に考えて、これは民意以外の何物でもありません。

独裁者はむしろ志位和夫氏の方では?

一方で、もし「独裁者」という単語を使って政治家を表現するならば、それに非常に近いのは、日本共産党の志位和夫委員長ではないでしょうか?

なにせ、志位委員長自身は2000年11月24日以降、かれこれ22年間以上、党委員長としての座に居座っています。1954年生まれの志位委員長はもうすぐ70歳ですが、さすがにここまで長期間、民主的な選挙手続もなしにトップに居座るというのは、異質です。

また、自民党総裁は任期が3年であり、基本的には自民党所属の国会議員と党員らによる選挙で選出されていますが、日本共産党の委員長が党員により民主的に選挙で選ばれたという話題については、耳にしたことがありません。

そんな日本共産党が自民党政権のことを「独裁」などと称したり、自民党政権下で成立した法律を「民主主義の危機だ」などと批判したりするのは、非常に不思議です。

現役党員の党首公選制呼びかけを無視する志位委員長

こうしたなか、昨年の『共産党現役党員が「党首公選制」呼び掛ける書籍出版へ』でも取り上げたとおり、日本共産党の現役党員でもあるジャーナリストの松竹伸幸氏が日本共産党の「党首公選制」の導入を呼び掛けました。

著者自身、「アベは独裁者だ」、などと舌鋒鋭く叫んでいる人たちの少なくない割合が、日本共産党関係者ではないかと疑っています。ただ、その日本共産党では「民主集中制」と呼ばれる事実上の独裁体制が敷かれており、党委員長すら公選されていないというのは、意外と知られていない事実ではないでしょうか。こうしたなか、産経ニュースの昨日の報道に基づけば、その日本共産党の党首公選制実現を呼び掛ける書籍が来年早々に刊行されるのだそうです。安倍総理という憲政史上に残る宰相安倍晋三総理大臣は2012年12月26日に再登板して以...
共産党現役党員が「党首公選制」呼び掛ける書籍出版へ - 新宿会計士の政治経済評論

これに対し、現時点で民主的な手続きなしに党委員長に居座っている志位氏がどういう反応を示すかが気になるところでした。

しかし、非常に残念なことに、志位委員長自身は記者会見の場で、この党首公選制の提言を巡り、「『しんぶん赤旗』に掲載された藤田編集局次長の論説で述べられているとおりだ」の一点張りで逃げたのです(『志位委員長、党首公選制巡り「赤旗の通り」の一点張り』等参照)。

舌鋒鋭く政権を追及するわりに、自分たちが追及される側になるとしどろもどろ。なにより民主的な公選の手続きもなしに20年以上、党のトップに君臨している人物が、自分自身の言葉でしっかり説明するということすらせず、「赤旗の論説で指摘したとおりだ」の一点張りで逃げる――。これが日本共産党の姿です。日本で最も将来がない政党のひとつとされる日本共産党の姿は、志位和夫委員長の一問一答を見れば、非常によくわかるのかもしれません。日本は民主主義国「民主主義」とはなにか――。そんな当たり前のことを聞かれても、普通の人は...
志位委員長、党首公選制巡り「赤旗の通り」の一点張り - 新宿会計士の政治経済評論

自身にとって都合が悪い質問が飛んで来たら「赤旗に掲載したとおりだ」で逃げ、肝心なことには何も答えない――。

これが、22年間日本共産党の独裁者として君臨した人物の対応なのだとしたら、本当に情けない話です。

日本共産党の関係者は国会等の場で自民党政権を追求するときにはやたらと舌鋒鋭いのですが、自分たちが追及される側になったらたちまち弱くなるのです。まるで都合が悪いことが発生したときに逃げるどこかの国(『ゼロ対100の総本山・中国が気球撃墜で米国に逆ギレ』等参照)と態度がそっくりですね。

100%自国の側に責任があるような事態が発生しても頑なにその責任を認めず、相手国の側に責任をなすりつける姿勢を、当ウェブサイトでは「ゼロ対100理論」と称しています。このような理論を好む国はロシア、北朝鮮、韓国などがその典型例ですが、やはり「総本山」はレベルが違います。世界中の誰がどう見ても自国が悪いといえるような状況で、相手国に責任を押し付けようとしているからです。ゼロ対100理論当ウェブサイトで以前から提示している仮説に、「ゼロ対100理論」というものがあります。これは、完全に自分たちの側に100%の過...
ゼロ対100の総本山・中国が気球撃墜で米国に逆ギレ - 新宿会計士の政治経済評論

多様性と民主主義を否定する日本共産党

さて、こううしたなかで、「党首公選制」を巡って、こんな「続報」が出ていました。

「除名処分決まった」党首公選要求の共産党員が発表

―――2023/2/5 22:17付 産経ニュースより

産経によると松竹氏は5日夜、党から除名されるとの見通しを自身のブログで明らかにしたそうです。

具体的には、自身が所属する京都南地区委員会から一連の言動に関し「規約に反しているので調査する」との指摘があり、5日の地区常任委員会で「除名」処分が決定され、6日の京都府委員会の会議で除名が正式に承認される見込み、などとしています。

現時点においてこの続報はありませんが、松竹氏の主張通りなら、そろそろ松竹氏の除名が正式決定されるのでしょう。

いずれにせよ、「党内で民主主義を求めたら除名される」というのも、興味深い話です。「多様性」を騙りながら異論を一切認めず、「民主主義」を騙りながら民主主義の手続を否定するのが日本共産党の本質のようなものなのでしょう。

そして、この民主主義国である日本社会において、共産主義政党は異質な存在であることだけは間違いないと考えて良いでしょう。

新宿会計士:

View Comments (27)

  • >この民主主義国である日本社会において、共産主義政党は異質な存在であることだけは間違いないと考えて良いでしょう。

    そのように見られるかもしれない、そうなったらまずい、不利だ、という意識は働かないのでしょうか?昔から不思議だったのです。
    安倍さんを「国賊」などとののしった手合い・・もとへ、自民党議員だって大した処分は受けなかったのに(それはそれで問題なのですが)

  • 近所に民主病院がありとてもやっかいになってます。
    ありがたや。
    それに生協の宅配も便利ですよ。
    共産党の押しつけが玉にキズですが

    ご老体にむち打ちのぼりを揚げたシュプレヒコールは悲壮感が漂い完全に宗教ですね。
    つまり完全に自己陶酔集団だと思うのです。
    周りから何を言っても効かないでしょう。
    彼等の唯一の希望は最初に戻ること。
    それは日本共産党を立ち上げてくれた中国共産党、戦後資金を出してくれた朝鮮総連
    大諸締めであるロシア(ソ連)との共栄でしょう。
    行動だけを見ると相性はピッタシ

  • 昔「志位和も不破哲のアバターだから…」って"可哀想な人"扱いしてた中の人を思い出した…気ガシマス

  • 「民主集中制」の共産党ですから、意外性も何もありません。
    そんな共産党に対しての是非は投票行動で示しましょう。

    (wikipediaより民主集中制)
    民主集中制(みんしゅしゅうちゅうせい、英語: democratic centralism)とは、「民主主義的中央集権主義」の略で、全共産党員が上級機関および指導者の決定に無条件に従う行動規範のこと。
    反対政党の存在、個人による組織批判も許さないプロレタリアート独裁(共産党一党独裁)のためにある制度[1][2][3]。
    党員同士の横の繋がりを禁止し、党幹部の方針に反する場合は処罰対象となるため、党内の異論や少数意見が表に出にくく、党内民主主義の無い上意下達の組織となる組織原理[4][5][3]。

  • 除名される人達が有志を募って「真・共産党」を立ち上げたら、ついて来る人もいるんじゃないですかね?

    • さば さん

      行き先はれいわ新撰組じゃないですかね?(´・ω・`)?

      • うーん、確かに同類っぽい匂いはしますが、あちらも民主制じゃないですよね。
        ルーチン制などという香ばしい制度は取り入れてますが。

  • 個人的には日本共産党と言う組織の異常性を改めて知らしめた、と言う意味では日本全体のためには良い判断だったのかもしれないと思います。
    共産主義が目指す一党独裁の世界をわかりやすく垣間見る事が出来るという点において、100の言葉で日本共産党の政策を語るよりも的確に、自分たちの理想とする社会を国民に見せつける事ができたのではないでしょうか。
    新宿会計士様の食堂理論をお借りするなら、店先のショーケースに自分の店で料理に混ぜている毒を展示した様なもので、隠そうとしないと言う点ではある意味誠実な姿勢なのかもしれません。

  •  自民党あたりは「力のある政党に所属することによって自分の政策を実現したい」「利権にいちょ噛みしたい」、立民あたりは「仕事はせずに議員でいたい」(政権交代時は明らかに勝ち馬に乗りたいだけの愚物ばかり)、他は「それらと主張が異なる独自色でいきたい」「それらに属せないがおこぼれに預かりたい」といった印象ですが。共産党は異色で、他の政党より「思想によって集まった」人らの党だと認識しています。
     元々個々の政策など重視せず集まっていると見える(問題解決のための論理的解決法などではなく、共産主義ではこうする、というような政策ばかり出す)のに、これほど党内を締め付けなければならない理由がわかりません。ほっといても従いそうだし、誰が党首をやっても優劣はあれど共産主義一本なのは変わらないと思うのですが。
     Cさんからは20年もの期間でただの一度もロクな現実的政策を聞いたことがありませんし議席数も全く奮いませんが、案外「内ゲバをおこさせない」とかの調整能力は高かったりするんでしょうかね。
     マルクスもレーニンも不破哲三も「多様性」なんて言葉知らなかっただろうに、この時代にどう指導してくださるやら。個人を崇拝し過去の指導者より一歩も先に行けない、抑制と粛清に腐心する"進歩的な"彼らが進歩することはあるのかしら……

    • >共産党は異色で、他の政党より「思想によって集まった」人らの党だと認識しています。

      私の学生時代の初期にソ連が崩壊しましたので、共産主義に興味をもつ機会もありませんでしたが、それでも一生懸命そっちの活動を続けた同級生がいました。
      彼のモチベーションが全く理解できない日々が続く中、ある時、「組織の中で成り上がって頭になりたいんだ」とゲロったことがあり随分納得しました。
      学科の中でリーダーシップを取ろうしたり(てまくいかなかった)、国家一種受験したり。なんちゅうか・・・あとから見れば納得です。
      それ以来、左の政党にはその手合も結構多く集まってるんじゃないかとも思うようになりました。そんな人ばかりだったとは思いませんが。

      という細い補助線で見ると、党組織の統制は自然な発想かと思う次第です。
      単なる1例ですが。

    • 農民 さん

      マルクスもレーニンも毛沢東も不破も志位も、「オレが多様性だ」でおしまいじゃないですかね?

  • 日本共産党指導部の無謬性や絶対性に傷を付けるような真似をすれば「党内的に殺す」のが強い共産党だって事でしょうね。

    で、政権与党となれば「日本共産党に逆らう者、従わぬ者は社会的に殺す」となるし、場合によっては「肉体的に殺す」もするでしょうし、其れを屁理屈で正当化するでしょうし。

    って事で、志位和夫はテロリスト予備軍であり、ジェノサイダー予備軍である、と。

    小池とか池内とかも志位と一緒。

  • 基本的には中共と同じ構図ですね。 シイが「ある場面」で黒!と言ったら、地方隅々まで「黒!」というこのカルト集団は危険性です。 地方の共産党員の皆様は、献身的にボランティア活動とか積極にやっていて(彼らは知りませんが、目的はこの分野でのマトモな日本人排除でしょうね)
    どうするのかな?と観察していましたが、予想道理と違い「ど真ん中、は中央突破はウレシイ!」

    人は殺さないけれど、中国やそんな国と同様ですよね。

    「元」の人! この辺はどうなんですか? 私は、この組織にいたこと自体が嫌悪感ですが・・・。

    • 日本共産党も旧統一教会も同じです。
      ロシア、中国、ナチスやも含めて皆同じカルト集団です。
      何れも中央集権的独裁政治のくにであり、民主主義とは相容れない集団です。
      日本とアメリカは、このようなカルト集団に対抗すべく主導権を発揮しなければいけない立場にあります。
      EUは加盟国の調整に足を取られますので、対強権国家に対峙するには心もとない体制です。
      ただ日本の場合も、安倍元総理無き今、世界政治でイニシアティブを発揮できる人は見当たりません。
      予見不可能な混沌の時代が始まろうとしています。

    • 福岡在住者 さん

      元・旧統一教会信者なら旧統一教会の被害者な訳で、元日本共産党員でも被害者だって事で良いんじゃないですかね?

      現・日本共産党員だったら、指導部なら赤い貴族候補だし、末端なら赤の奴隷候補なだけで。

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