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「ゼロ対100」が大手メディアに掲載される時代に!

自称元慰安婦問題は、日韓歴史問題のなかでも、韓国にとっては「最も成功した謝罪利権」であることは間違いありません。なにせ、もともと存在しなかった問題を捏造し、それにより日本をひれ伏させ、延々謝罪させることに成功したのですから、気持ち良くてたまらなかったのではないでしょうか。こうしたなか、「ゼロ対100」という、どこかの怪しげな自称会計士が唱えている用語が、新聞に掲載されたようです。単なる偶然でしょうか?それとも…。

ゼロ対100理論

おもに無法国家が好む「ゼロ対100」理論

当ウェブサイトではこれまでしばしば、「ゼロ対100」理論というものを提唱してきました。

この「ゼロ対100」理論とは、「自分たちに側に100%の過失があるにも関わらず、ウソ、捏造、屁理屈などを駆使し、とにかく責任の一端を相手の側にも押し付ける詭弁」のことです。

ゼロ対100理論とは?

自分たちの側に100%の過失がある場合でも、ウソ、捏造、屁理屈などを駆使し、過失割合を「50対50」、あるいは「ゼロ対100」だと言い募るなど、まるで相手側にも落ち度があるかのように持っていく態度のこと。

(【出所】著者作成)

こうした「ゼロ対100」理論を好むのは、おもに無法国家です。

たとえば先月の『「早期停戦」で最も恩恵を受けるのはロシアだ=CNN』でも取り上げましたが、国連安保理常任理事国でありながら違法な侵略戦争を開始したロシアの場合、最近、とみにこの「ゼロ対100」理論を好んでいるようです。

ウクライナ戦争を巡り、最近、早期停戦論のようなものが出始めています。ただ、停戦に持ち込んだとしても、ロシアに対し再軍備する時間的余裕を与えるだけであり、しかもプーチンは約束を守らない人間だ、とする指摘が、米メディア『CNN』に掲載されました。まったくその通りでしょう。そのうえで、ことの本質は国際法秩序に挑戦する無法国家を許すかどうか、というものであり、その意味では、「自由で開かれたインド太平洋」を掲げる私たちの国・日本にとっても、無関係ではないのです。英国防衛省ツイートは戦線膠着を示唆ウクラ...
「早期停戦」で最も恩恵を受けるのはロシアだ=CNN - 新宿会計士の政治経済評論

というのも、戦争の原因は「ウクライナが作った」だの、「停戦に向けお互いに努力しなければならない」だのといった屁理屈を駆使し、あたかも今回の戦争の原因や過失がロシア、ウクライナ双方にあるかのような言い草を繰り返しているからです。

たとえばロシアもこの屁理屈を好んで使う

当たり前ですが、そもそもウクライナ戦争自体の責任は、国際法に反し、いわれのない戦争を仕掛けたロシアの側に100%の責任があることは明白であり、ウクライナの過失割合はゼロですし、戦争を終わらせるためには「ロシアが」侵略を止めなければなりません。

そして、国際法が蹂躙されることを許していては、国際法秩序そのものが崩壊してしまいかねません。

日本を含めた西側諸国が強調してロシアに対して経済・金融制裁を加えていることや、最近、機会あるごとにロシアの無法行為を批判していることは、究極的には、ロシアの「後に続く」国が出現することを全力で防ぐためにあるのです。

繰り返しになりますが、ウクライナ戦争自体、日本にとっては他人事ではありません。中国も今回のウクライナ戦争を、台湾有事のシミュレーションのようなものだと位置付けていることは間違いないからです。ここで西側諸国がロシアに妥協でもしようものなら、中国人民解放軍を勢いづかせることになります。

また、北朝鮮は核・ミサイル開発に余念がありませんし、世界の視線がロシアに注がれている間に、これ幸いとばかり不法行為を加速させている感もあります。もしも台湾有事や朝鮮半島有事が発生すれば、日本の安全保障や経済にも、相当に深刻な影響が生じることは間違いないでしょう。

なにより、ロシアのウクライナ侵攻が成功に終われば(あるいはロシアが勝利しないまでも何らかの「利益」を得ることに成功すれば)、そのことが悪しき事例となり、ロシア以外の無法国家にとっても軍事的野心を強めるきっかけとなりかねません。

だからこそ、「国際法が蹂躙される」という事例を、西側諸国、とりわけ私たち日本は絶対に許してはならないのであり、本気でロシアを敗北させるために、西側諸国を含めた「自由、民主主義、法の支配、人権」を愛する国々は一致団結しなければならないのです。

日韓関係とゼロ対100理論

日本は現在進行形で不当な損害を被り続けている!

こうしたなか、この「国際法が蹂躙される」という事態は、なにもロシアだけの専売特許ではありません。

私たち日本人が片時も絶対に忘れてはならないのは、ウソをつき、国際法に反した判決を下すなどして、日本の国家や企業、国民に対して現在進行形で不当な損害を与え続けている国が、日本のすぐ隣に存在するという事実です。

【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任』を含め、これまでに何十回、何百回となく議論してきたとおり、韓国が主張する「韓日歴史問題」の本質は、「①ウソ、捏造などに基づく、②謝罪、賠償などの無法な要求」にあります。

当たり前の話ですが、韓国が主張する「歴史問題」を巡っては、日本人が好きな「足して2で割る」式の解決策に、絶対に応じてはなりません。少しでも相手に譲歩すると、これ幸いとばかりに、わが国の利益と尊厳を、どんどんと侵略してくるからです。

ただ、その韓国のやり方は、じつはこの「ゼロ対100」理論そのものでもあります。

もともと存在しなかった問題を作り上げ、相手がその責任を1ミリでも認めてしまったら、そこからどんどんとその責任を拡大していくという手法は、ある意味では無法国家にとっては共通している方法なのかもしれません。

自称元慰安婦問題という「成功体験」

そして、韓国の「ゼロ対100」理論にまんましてやられた事例が、自称元慰安婦問題でしょう。

自称元慰安婦問題とは、「①1941年12月9日から1945年8月15日までの期間、②日本軍が組織的な意思決定に基づき、③朝鮮半島で少女だけ20万人を誘拐し、④戦場に連行して性的奴隷にした」、とされる与太話のことです。

そもそも自称元慰安婦の「証言」自体も矛盾だらけで、彼女らの年齢に照らすならば、明らかに戦争が始まる前に(当時は米国の支配下にあった)フィリピンに渡航していたり、明らかに第二次世界大戦が終了して以降に日本軍に連行されたことになっていたり、と、客観的事実に合致しないものも多いようです。

ただ、それ以上に謎なのは、「日本軍が組織的に関与していた」はずなのに、「少女を徴発せよ」などとする日本軍の命令書がただの1枚も出て来ていないことであり、また、朝鮮半島で少女が誘拐されることに対し、組織的な抵抗が行われていたという証拠がまったく存在しないことです。

20万人といえば、当時の朝鮮半島の人口の約1%に相当する人数であり、人口ピラミッドに照らし、仮に10代後半から20代前半の女性が200万人存在していたとすれば、その10人に1人という途方もない割合が「性的奴隷」にされた計算です。

それだけの少女・女性が連行されているなかで、当時の男たち、つまり父や兄、弟、恋人たちは、いったい何をしていたのでしょうか?

さらには、慰安婦に関連し、「日韓混血児」なるものは、ほとんど報告されていません。

これは、いわゆる「ライダイハン問題」、すなわちベトナム戦争当時、韓国軍の兵士が現地女性を暴行し、たくさんの混血児が生まれたとされる問題(『「ライダイハン」めぐり、ダンマリ決め込む韓国政府』等参照)とは、あまりにも対照的です。

少し前に米メディアで『ライダイハン問題』が取り上げられました。これは、ベトナム戦争当時、韓国軍の兵士が現地女性を暴行し、たくさんの混血児が生まれたとされる問題のことですが、6月には「ライダイハンのための正義」(JLHD)と称する団体が、ロンドンのバッキンガム宮殿にほど近い「セント・ジェームズ広場」にとある彫刻を設置したのだそうです。あわせてライダイハンだと主張する人たちが、韓国政府に対して真相究明を求める書簡も送付しているという話もありますが、それから数ヵ月経過するのに、韓国政府はダンマリを...
「ライダイハン」めぐり、ダンマリ決め込む韓国政府 - 新宿会計士の政治経済評論

ちなみに自称元慰安婦問題のように、問題を正確に定義してあげることで、その問題の矛盾がかなり浮かび上がってくるというのも興味深いところです。

それでも全世界で信じ込まれる自称元慰安婦問題

結局のところ、この自称元慰安婦問題自体も「本当にそのような問題が過去に発生していた」のではなく、何者かが断片的な情報をつなぎ合わせ、捏造・歪曲を織り交ぜたうえで、日本人の名誉と尊厳を傷つけ、不当に損害賠償を負担させるという、「れっきとした犯罪行為」の可能性が濃厚なのです。

ただ、現在になってみれば単なる「与太話」だったはずのこの自称元慰安婦問題も、まるで事実であるかのごとく、日本を除くほぼ全世界で信じ込まれているという事実は見過ごせません。

たとえば、ジョー・バイデン米大統領が今年5月に日韓両国を訪問するに先立って、ウェブ評論サイト『東洋経済オンライン』に掲載された、米国人が執筆した次の記事を読むと、そのことを痛感していただけるのではないでしょうか。

アメリカが「日韓関係改善」を強く迫れない背景/バイデン大統領のアジア訪問で進展はあるか

―――2022/05/20 5:30付 東洋経済ONLINEより

この文章には問題のある記述が多々出てきます。たとえば、こんな具合です。

日本政府は、韓国が植民地時代及び戦時期に強制労働をさせられた韓国人に補償するため、日本企業の資産を接収する旨の裁判所の判決の執行をたとえ中止させないとしても、遅らせるよう要求している」。

日本の政府高官は韓国政府に対し、2015年の両国間合意を復活させることも望んでいる。その合意とは、日本側の資金により基金を創設し、第二次世界大戦中、旧日本軍によって性的奴隷状態に置かれた韓国女性の生存者に補償金を支払うというものだ」。

前者は自称元徴用工問題の、後者は自称元慰安婦問題の記述ですが、どちらも文章も、「強制労働」だの、「性的奴隷状態」だのといったウソをナチュラルに盛り込んでおり、極めて悪質です。

当ウェブサイトにおいて、韓国の二重の不法行為問題については、日本が謝罪や法的賠償に絶対に応じてはならないことはもちろん、「韓国のウソ」を絶対に容認しないことが必要だと常々申し上げている理由は、こうやって韓国人以外の第三国の者が、日本の名誉と尊厳を傷つけることに、ナチュラルに加担するからです。

宏池会政権の無能さとユーゴスラビア紛争の印象

ただ、自称元慰安婦問題の場合は、日本にとってさまざまな不幸が重なった結果だったという言い方もできるかもしれません。

当時の首相の宮澤喜一(偶然でしょうか、宏池会出身です)らが、この問題に対し、安易な政治決着を目指してしまったことが発端ですが、その後は「非自民連立内閣」が誕生し、「国民福祉税構想」で政権が事実上瓦解するなどし、国内政治においても混乱が続いたことが、事態を悪化させたのかもしれません。

これに加え、著者自身の私見ではありますが、当時は欧州でユーゴスラビア紛争が悪化しており、「戦場の性」の問題は、とくに欧州人には刺さりやすかったという事情もあったのだと思います。

その結果、客観的事実を置き去りにして、「旧日本軍が朝鮮半島に攻め込み、多数の朝鮮人女性を性的奴隷にした」、といったストーリーが、欧州を含めて全世界において信じ込まれたのかもしれません(※ちなみに当時、朝鮮半島は日本の統治下にあり、朝鮮半島と日本は交戦状態にはなかったにも関わらず、です)。

もっとも、この自称元慰安婦問題は、韓国に誤った成功体験を植え付けたのかもしれません。

なにせ、水戸黄門の印籠よろしく、「慰安婦問題」さえ持ち出せば、あの世界中で尊敬を集めている大国・日本をひれ伏させることもできるわけですし、もし日本の「右翼政治家」が「慰安婦問題は虚偽だ」と主張すれば、それを「妄言だ」と叩けば、世界中が「被害者」である韓国に同情し、日本を叩いてくれるからです。

おそらくこれは、「娯楽」としては最高に気持ちが良いことだったのではないでしょうか。

だからこそ、いつしかこの「ゼロ対100」理論も、日韓両国の「過失割合」は「99対1」でもなく、「50対50」でもなく、「ゼロ対100」でなければならなくなってしまったのだ、というのが、著者自身の最近の仮説なのです。

自称元徴用工と「ゼロ対100」

大手メディアに掲載された「ゼロ対100」

こうしたなかで、興味深い記事を2つほど発見しました。

ひとつは韓国の「左派メディア」とされる『ハンギョレ新聞』(日本語版)に27日付で掲載された記事、もうひとつは朝日新聞デジタルに26日付で掲載された記事です。

韓国外交部、強制動員被害者に「韓国企業の寄付で賠償金肩代わりする案が有力」と通知

―――2022-12-27 07:08付 ハンギョレ新聞日本語版より

日本企業の謝罪なければ「0対100の敗北」徴用工訴訟、原告ら会見

―――2022年12月26日 22時35分付 朝日新聞デジタル日本語版より

朝日新聞の方はタイトルでも示されているとおり、この2本の記事は自称元徴用工(ハンギョレ新聞の記事では「日帝強制動員被害者」と誤記されています)を含めた、自称元徴用工訴訟の原告らが会見し、「ゼロ対100」と述べた、というものです。

昨日は当ウェブサイトのコメント欄にも書き込みをいただいたほか、さる著名な方からもメールでもいただいたとおり、この「ゼロ対100」は、まさに山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士が設けているウェブ評論サイトで多用されている用語そのものです(偶然でしょうか?それとも…)。

ちなみにこの会見、韓国外交部(※外務省に相当)が自称元徴用工らに対し、韓国企業の寄付だけで賠償を肩代わりする案(いわゆる併存的債務引受でしょうか?)を自称元徴用工問題解決の「有力な案」として通知したことに対し、自称元徴用工側が反発して開いたものだそうです。

どうして自称元徴用工らは満足できないのか

ここではハンギョレ新聞の記載に沿って、自称元徴用工らが会見で述べた内容を紹介しておきましょう(※朝日新聞の方にも同じ趣旨の記述があります)。

韓国政府の有力案は、日本政府が2018年の最高裁判決から一貫して主張してきた『韓国側が解決策を示すべき』という要求がそのまま貫かれた、0対100の外交的敗北であり惨事だ。三菱重工業や日本製鉄のような日本の被告企業の謝罪や拠出がないだけでなく、日本の他の企業の拠出さえない、文字通り日本を免責させる案だ」。

そもそも論ですが、『徴用工「韓国が全額負担」でも問題解決にならない理由』でも述べたとおり、韓国政府がいう「併存的債務引受」案の場合も、この「ゼロ対100理論」でいえば、かなりの程度、日本が損害を被るものです。

慰安婦財団という立派な前例があってだな…本稿は、ちょっとした思考実験です。自称元徴用工問題を韓国企業「だけ」が資金拠出する財団で解決させることは可能なのか――。結論からいえばそれは不可能です。なぜなら自称元徴用工への「補償問題」が片付いたとしても、韓国がありもしない問題を捏造して日本の名誉と尊厳を貶めている問題については、まったく解決しないからです。徴用工財団の顛末「韓国が全額負担する財団なら問題ないのでは?」昨日の『日韓が徴用工「肩代わり案」軸に年内決着目指す=共同』では、自称元徴用工問題を巡...
徴用工「韓国が全額負担」でも問題解決にならない理由 - 新宿会計士の政治経済評論

自称元徴用工問題という与太話を正面から否定せず、それどころか債務引受を行った財団には、日本企業に対する求償権が残る可能性が高い、といった代物だからです。

したがって、もしかりに、日本政府がこの「併存的債務引受」を問題解決法として韓国政府と合意したとすれば、これ自体、韓国の大幅な勝利であり、日本の大幅な敗北であるはず。

逆に言えば、自称元徴用工らがこの韓国政府の案で満足することができるのならば、韓国側がまたしても日本に対し、ウソ・捏造の歴史問題でなにがしかの勝利を得ることになるわけで、自称元徴用工の立場としては、これで妥結するのが経済合理性に照らして利益を最大化することにつながります。

ではなぜ、彼らはこんな会見を開いて、「ゼロ対100」などという、どこかの怪しい自称会計士みたいなことを言い出したのでしょうか?

ここから先は下種の勘繰りですが、自称元慰安婦問題の「成功体験」があまりにも鮮烈過ぎ、自称被害者らとしては、少々の勝利ではとうてい満足しきれなくなってしまっているためだと思われます。これが「謝罪利権」という考え方です。

利権の特徴と謝罪利権

当ウェブサイトで以前から報告してきたとおり、一般に「利権」というものには、「得てして理不尽なものである」、「いったん確立すると外から壊すのが難しい」などの特徴がありますが、それと同時に、利権を持った者たちの怠惰や強欲により、あっけなく自壊することもあるのです。

利権の3つの特徴
  • ①利権とは、得てして理不尽なものである。
  • ②利権はいったん確立すると、外から壊すのが難しい。
  • ③利権は怠惰や強欲で自壊することもある。

(【出所】著者作成)

謝罪利権もこれと同じであり、2015年の慰安婦合意でこの謝罪利権が世界的に封じられたことを受け、自称元徴用工問題は「慰安婦」に代わる新たな謝罪利権を生み出すための韓国側の仕掛け、と考えるのが正解です。

自称元慰安婦問題では、もともと存在しない問題を見事に捏造することに成功し、宮澤喜一という「宏池会政権」や日本の外務省の無能さという「敵失」にも助けられるかたちとなり、今や大々的に、この問題で日本を延々ひれ伏させることに成功しています。まさに「謝罪利権」そのものでしょう。

こうしたなか、以前からの指摘を繰り返しておきますが、自称元徴用工問題で韓国が述べる式の「妥結」が行われる可能性は、極めて低いというのが著者自身の現時点の見解です。それには理由が大きく3つあります。

ひとつめは、日本の世論が許さないこと。

ふたつめは、日韓ともに政権が耐えられないこと。

みっつめは、自称元徴用工側の「強欲」です。

このうち「日本の世論が許さない」というのは、『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などでも指摘したとおり、「社会のインターネット化」の影響により、とくに官僚、オールドメディア、特定野党の社会的影響力が急速に弱まっていることとも関係しています。

社会のネット化が進展して、一番困る人たちは新聞・テレビを中心とするオールドメディア産業関係者であることは間違いありませんが、それだけではありません。官僚・役人や野党議員なども、かなりの割を食うことが予想されます。いったいどういうロジックでしょうか。ここで考えておきたいのが「腐敗トライアングル」という重要な論点です。腐敗トライアングル昨日の『騙せなくなる日本:「自称徴用工」年内妥結は困難に?』では、自称元徴用工問題に見せかけて、当ウェブサイトなりのちょっとした「問題意識」を展開しました。それが...
【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」 - 新宿会計士の政治経済評論

また、「日韓の政権が耐えられない」のうち、日本側の事情でいえば、宮澤喜一以来の「宏池会政権」である現在の岸田文雄政権が、韓国に変な妥協をしようとしたところで、自民党を納得させられるだけの政治力を持っていないことを意味しています。

韓国の強欲は日本から妥協の余地を削り取る

ただ、やはり「ゼロ対100」という用語を見ると、このうちの「みっつめ」、すなわち自称元徴用工らの強欲やそれを後押しする韓国の世論、という要因を考慮に入れる必要があります。とくに、故・安倍晋三総理大臣が仕掛けた2015年12月の日韓慰安婦合意は、韓国からこの「謝罪利権」を奪い去るものだったからです。

もちろん、国家観を欠いているという意味では宮沢政権と共通している現在の宏池会政権が、韓国に対し、おかしなメッセージを送っていることは間違いなく、その意味で油断は禁物ではあります。これについては所信表明演説を見ていただくのが早いでしょう。

たとえば岸田首相の前任者である菅義偉総理は、2020年10月26日の第203回国会の所信表明演説で、日韓関係についてこう述べました。

韓国は、極めて重要な隣国です。健全な日韓関係に戻すべく、我が国の一貫した立場に基づいて、適切な対応を強く求めていきます」。

この菅総理の発言、「二重の不法行為」の構造を理解していれば、当然に出て来るものです。日韓諸懸案を解決するにしても、「約束を守る」のも、「ウソをつかない」のも、「不法行為について日本に謝罪し、賠償する」のも、すべては韓国の決断にかかっているのであって、日韓が「協議」すべき問題ではないからです。

それなのに、岸田首相は今年10月3日の第210回国会の所信表明演説で、こんなことを述べたのです。

韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国です。国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な関係に戻し、更に発展させていく必要があり、韓国政府と緊密に意思疎通していきます」。

菅総理の発言にあった「(韓国に)適切な対応を強く求めていく」という文言がスッポリと抜け落ち、代わって「韓国政府と緊密に意思疎通」という表現がシレッと付け加わっています。外務省の役人あたりが原稿を書いたのでしょうか?

もっとも、岸田首相がここまで「(無駄な)譲歩」をしているにも関わらず、この自称元徴用工問題自体、年内に「解決」する見通しはなくなりました。その要因のひとつは、こうした韓国の強欲により、日本が韓国に対し多少の妥協をするだけの余地を削り取っていることによるものなのかもしれません。

その意味では、皮肉な話ですが、自称元徴用工の存在自体、日韓関係の「正常化(?)」を阻み、日韓関係を「あるべき場所」に持ってくることに最大限貢献しているのだ、という言い方もできそうです。

新宿会計士:

View Comments (30)

  • この「ゼロ対100理論」はNHKの受信料という利権の擁護にも用いられているようで、同じ傾向の思考回路を持っている方々の行動様式美ですな。

  • お疲れさまです。
    客観的事実がないのに、「最高裁判所」で日本が負ける。
    それによって、国と国との距離が離れる。
    自然な流れで、悪い方向ではないとおもいます。
    朝鮮有事、朝鮮統一、どちらにしても国際社会の一員ぐらいの距離が、ベストからベターではないかとおもいます。

    判決前の文政権の頃、統一なら日本は金を出すのが当然という論調が、韓国の新聞にございました。
    その前ふりとして、この判決が出た感じを受けました。
    しかし因果応報的な結果に今はなり、日本人としては今はいい方向に進んだとおもいます。

  • 是非自称徴用工被害者は欲の皮を突っ張り
    通していただきたい
    というか現金化するのが筋でしょ

    • もはや出稼ぎ労働者だけの問題では無い。
      韓国国民は、日本からの賠償がないので、納得しないでしょう。
      ぜひ、現金化後の日本の対策を見てみたい。

  • もし日本政府がこの案に合意すれば日本の負けです。

    これは韓国政府も同様の認識を持ってます。
    だからこそ、新聞を使い この案は韓国の負けだと騒がせてるのでしょう。
    そして、この案が合意されたとき日本に「我々はこれだけ負けたのだから、日本も誠意を見せる番だ」となるのでしょう。
    ただ、日本が合意しなければ 日本は「知らんがな。」で済む話です。
    なので、韓国は大きな声で「負けた負けたー。チラ」と日本を騙しに来てるのです。

    日本は彼等がこの案を実行に移したら、「で、判決はまだ残ってるのですか?それが永遠に無くならない限り先へは進まないですよ」で終わります。

    • 「日本も誠意を」そこですよ。

      チョーヨーコーで負けたという道徳的優位を確立しにかかると想定すべきです。
      勝てば正義、負ければ道徳的優位。
      勝とうが負けようが、それは重要ではなく、とにかくしがみつく。まとわりつく。

      「あんたら散々騒いでるけど、いい加減日本に縋り付くのは見苦しい」などと、
      麻生さんとかがズバリ喝破してくれたら楽しいのですが。

      • もうね、韓国に嫌われてもいいじゃないかと吹っ切れる事が大切です。

        慰安婦や徴用工でも日本側の資料を出して 金を貰ってた 自ら働きに来てた ただの労働者に何故謝罪しないといけないのか?とたんたんと正論で説明。
        植民地支配?いえ、併合で貨幣経済のなかった李氏朝鮮に莫大な投資をして人口を倍にしましたけど?確かに朝鮮人を倍に増やしたのを悪だと世界が言うのはわかるが、当の本人が悪だと言う理由がわかりません。等 資料を見せて説得すれば韓国人も納得するはず、、、はないか。

        • かつて日本によって国際社会から独立国と認定され、
          日本に併合されたことで爆発的な近代化発展を遂げた。
          この事実。その屈辱。

          恩人をその恩ゆえに恨むという心根。

          それでいてプライドだけは無限に高いので、理屈で説くより、
          「カッコ悪る〜」、「ダサダサじゃね」とか言ってあげるのが効くのかもしれません。

  • 素朴な疑問ですけど、日本の大手メディアは、「善役悪役を決めて、「こちらが100%正しく、相手側が100%悪い」という形にしなければ、読者には理解できない」と考えていることは、ないでしょうか。

    • すみません。追加です。
      もし上の仮説が正しいとすると、善役の不正と、悪役の正義は報道できないことになります。

    • 水戸黄門の放送が長く続いたのは、彼らの視聴者を見る目の形成に影響を与えたのではないかと思うときがあります。

      • 元ジェネラリスト さま
        >水戸黄門の放送が長く続いたのは、彼らの視聴者を見る目の形成に影響を与えたのではないか
         ということは、彼らは古き良き時代に戻るために、前を同じ曜日、時間、チャンネルで水戸黄門の再放送をするかもしれません。
        蛇足ですが、彼らの意識では「安倍元総理は水戸黄門に退治された」ということになっているのではないでしょうか。ついでに、国防も水戸黄門に任せるつもりかもしれません。なにしろ、決まった時刻から時間内で悪者を退治してくれるのですから。

    • メディアというか、報道機関というものは事実を客観的に伝えるものではなく、
      自分たちの思想に基づいた世論誘導することを目的にしていると思います。
      読者の理解度とか読解力は関係なく、いかに同じ考えの人を増やすか。
      思想や価値観の宣伝媒体であると。

      たとえば世界日報や聖教新聞も「新聞」です。
      大手であるかどうかは措くとして、報道メディアって、
      そういう動機で成り立つものだと思っています。

  • 「ゼロ対100」理論、つまり韓国メディアがそれを言い出すとは、自分らは慰安婦の件で大成功を納めたが、上手い語句は作れず、JR超巨大駅名を名乗る日本人のサイトでの説明をパクったわけですね(^.^)V。ホンマに頭ん中空っぽです。

    韓国企業だけで、自称無理矢理徴用工にされて奴隷労働をさせられたという、強欲なヤツらに賠償金を払うなら、勝手にやんなさい。日本は企業も、それよりもまず、日本政府が一致団結、止めに入るでしょう。日本企業の在韓資産に手を付けないか、まだかまだかと待ってます。

    • 訂正
      「日本は企業も」→「日本は企業からの賠償金参加も」でした。

    • おそらく Twitter で目にしたかと記憶しますが、各国インターネット間の情報流を可視化した図があります。それによれば(中身が正しいとして)日本のサイトを読んでいる外国はどこどこかがはっきり示されています。半島と台湾島、大陸からの参照が多いらしいです。
      これが何を意味しているかというと、著名日本語サイトを工作すれば逆伝搬して半島や台湾、大陸を効率よく工作できるであろう。されば新聞社や NHK は乗っ取ってやればいいとの帰結になるのですねw

  • 何でも盗んで自分のものだという癖は抜けきらず、「『ゼロ対100』理論は怪しげな自称会計士などではなく、実は韓国が先に言い出したものだ」とかなってしまうかもしれませんね。ご用心。

    • 攻撃型原潜#$%&〇X さま

      「韓国が先に言い出したものだ、と韓国が言い出しますね」と書こうと思ったら先に書かれてました。悔しいです。

  • >0対100の外交的敗北であり惨事だ

    え?あなた方は外交やってたんですか? と心の中で(棒)でツッコんでました。
    なぜ外交かと言うと強欲だから、ということでしょうかね。
    難癖つけて少しでも利益が得られればいい的姿勢とか、いろいろ本音の表れた発言だと思いました。

    日本政府が絡む金って、美味しいんでしょうねえ。なぜだか、どこぞのcola○bo案件を思い出しました。

    • 他人の金で食べるご飯は自分で支払って食べるご飯より旨く感じる変な価値観なのかも知れませんね。

      もしくはもっと義務的に大切なシノギの一つを失ってはいけねえという権利意識の危機感か。

      他には労力に対するリターンを期待しない同好会的なライフワークということも考えられます。

      趣味でお金も貰えて日本政府に偉い顔が出来き、町でも尊敬して貰える。一石二鳥という奴でしょうか

  • ゼロ対100理論。某山手線の駅名を冠するネット上のサイトにしばしば登場するこの言葉。

    サイト主がどういう含意を以て、批判する相手にこの語を使用しているか、多分理解が全く届いてないんでしょうね。なんと、揶揄されているとも気付かず、当てこすられてる側が安易にこれをパクって、自らの立場の表明に使ってしまうとは(笑)。

    「ゼロ」と聞けば、続いて頭に浮かぶ言葉は「ゼロサム」。要するに、パイの大きさは決まっているから、問題はそれをどう切り分けるか。得するヤツがいれば、必ずその分損をするヤツが出る。そういう考え方。

    となれば、はしっこく動いて、あるいはずる賢く立ち回って、総取りを狙うヤツが出てくるのは、ある意味必然。そういう手合いは、大抵、世の中から「強欲」と毛嫌いされるんですが、広く世界を見渡せば、それこそが成功者、目指すべき生き方と憧れる精神土壌が根強い国が、確かにあるんですね。

    大坂船場の商人(元は近江商人の出なんだそうですが)が家訓とした「三方よし」どころか、大岡裁き?の「三方一両の損」という考え方すらも理解できない。「エエ、エエ。どうせわたしは。強突く張りでございますよ」と自白しているようなものなんですが、そう言われても分かんねえだろうな、多分。

  • 0−100理論は「パチンコ屋の倒産を応援するブログ」さんが私の知るかぎり最初ですね。新宿さんは自画自賛が多いのが気になります。私が言った通りになったとか。それさえなければいい記事なのに勿体ないです。

    • ゆうこさん

      >0−100理論は「パチンコ屋の倒産を応援するブログ」さんが私の知るかぎり最初ですね

      気になって
      【"ゼロ対100" site:pachitou.com】
      【"ゼロ対100" site:ttensan.exblog.jp】
      で調べてみましたが、結論的にはこちらのブログにリンクされているようであり、「ゼロ対100理論」の用語そのものはパチ倒さんでは使われていないようです(それに類する概念が出ているのかもしれませんが)

      「パチンコ屋の倒産を応援するブログ」さんが初出というのはリンクで示せますか?てか、おそらくパチ倒さんも新宿さんもお互いのブログを相互に読んでいると思われるので似たような概念が出てくるのは仕方がないものと思われます

      • こちらの管理人様がいつ、
        これは私が最初とか自画自賛なんかしましたかね?

        あなた、ちゃんと読まずに
        書き捨てして逃げる類いの方ですか?、
        たまにこのサイトにも出ては消えますけど、

        難癖つけるなら、
        こちらのサイトをそれこそ最初から
        じっくり読んでから
        その自画自賛の箇所をピックアップして
        いただきたいものです、

        最近、
        似たような事だと
        某温泉観光地が
        活性化のため
        プロのイラストレーターに以来した
        可愛い女の子のイラストを
        性的昨秋だ、
        不潔だと
        騒ぎ、
        その作品が
        純粋な
        イラストか漫画か区別がつかなくて
        漫画作品だと勘違いして
        観光地やファン達から叩かれている、
        自称某フェミ団体みたいですね。

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