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韓国紙「両国の大胆な政治決断が必要だ」…今更何を?

「もう残されているのは政治的決断だけだ。特に両国首脳の大胆な決心が必要だ」。そんなことを言われても、困ってしまいます。いくら「大胆な決心」とやらがなされたとしても、韓国が約束を破るから意味がないからです。また、「両国の国内政治が国境を越えて外交的摩擦を引き起こしている」などの記述もあるのですが、これも正直、事実誤認の度が過ぎます。

「日韓歴史問題」など存在しない

当ウェブサイトでは普段から、「日韓歴史問題」なるものは存在しない、と申し上げています。

その理由は簡単で、韓国が主張する「歴史問題」とやらを巡っては、多くの場合、韓国側のウソ、捏造、歪曲などに基づくものであり、かつ、法的に権利がないこと(とくに謝罪や賠償など)を要求している、という共通点を持っているからです。

この点、まだインターネットがなかったころだと、こうした「日韓歴史問題は解決しなければならない」などとする認識は、日本社会では一般的に見られていたものでもあります。「植民地支配の歴史は、被害者としては忘れられないものだ」、などといわれると、「たしかにそうだよね」、などと感じる日本人はそれなりに多かったのです。

だからこそ、よく出てくる用語のひとつが、「日韓関係の特殊性」、というものでした。そして、この考え方は、たとえば次のような文脈で出てくるものだったのです。

日韓関係は特殊なものなのだから、日本も国際法の原理・原則にこだわるのではなく、多少は譲れるところを譲り、そのことで日韓関係を円滑に進めるべきだ」。

しかし、これについては日本を代表する優れた韓国観察者の鈴置高史氏が今年6月に刊行した、『韓国民主政治の自壊』(新潮新書)のなかで指摘した、こんな内容がすべてではないかと思います。

韓国を相手にしなくなったのは日本だけではない。米国も北朝鮮も、そして中国からもまともに扱われなくなった。自らの力を過信した傲慢な外交で、孤立の一途をたどったのだ。日韓関係が悪化したのも『日韓関係の特殊性』からではない。『韓国の特殊性』が原因なのだ」(同P165)。

社会のインターネット化が進むに従い、「おかしいのは『日韓両国』ではなく『韓国』だ」、とする認識が、ようやく日本社会にも広まり始めたのです。

「外交摩擦を起こす国内政治」は「両国」ではなく「韓国」の問題

ただ、こうした認識に、肝心の韓国人の側が追い付いているかどうかは別問題でしょう。

たとえば、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝掲載された、こんな記事などはその典型例ではないでしょうか。

【時視各角】日本の記者、中国の記者との対話=韓国

―――2022.12.16 07:59付 中央日報日本語版より

執筆したのは中央日報の「経済エディター」の人物ですが、これがまたなかなかに印象的な記事です。のっけから、こんな記載があるからです。

両国の国内政治が国境を越えて外交的摩擦を引き起こしていて、外交的和解が容易ではない<中略>。韓国は歴史を忘れず、日本は歴史から逃げたいと思っている。そのため両国は平行線を走る」。

そもそも国内政治が外交摩擦を引き起こしているのは「両国の」ではなく、「韓国の」、です。また、「真実の歴史」から逃げているのは日本ではなく韓国の側でしょう。そのことを痛感するのが、こんな記述です。

しかも太平洋戦争以降に生まれた日本の戦後世代は植民地時期の韓国人の苦痛を知らない。日本が歴史を隠して美化する教育で一貫しながらだ」。

なかなかに強烈な一文です。

「戦後世代が植民地時期の韓国人の苦痛(とやら)を知らない」というのは、韓国もまったく同じだからです。

むしろ韓国の反日教育は戦後にこそ激しくなったものですし、戦後80年を迎えようとするなかで、むしろ韓国の反日感情が高まっているという点を踏まえるならば、韓国こそ歴史歪曲教育を施している側ではないでしょうか。

お話にならないレベルの記述が続く

この点、記事ではこんな記述があります。

現時点ではむしろ韓国が必要以上に葛藤を助長しているという認識が日本に広がっている」。

「韓国が必要以上に葛藤を助長している」というのは「認識」ではなく「事実」です。

自称元徴用工問題、慰安婦合意破り、火器管制(FC)レーダー照射、主権免除違反判決など、日韓諸懸案を積極的に作り出してきたのは韓国の側だからです。いずれも韓国による、国際条約や国際合意、国際法を破る行為です。

これについて記事はこう暴走します。

日本は韓国に対する賠償が65年に法的に終わったと主張している。しかし韓国では慰安婦問題が91年に表面化し、強制労役問題も90年代以降に訴訟が本格化した。両国政府はどうすることもできない立場に置かれている。かえって文在寅・安倍政権では互いに国内政治に有利なほうに歴史問題を利用した」。

これも主語がおかしい記述の典型例でしょう。

「どうすることもできない」のは日本政府の側であって、決断しなければならないのは韓国の側だからです。また、「歴史問題」を利用したのも韓国の側であって、日本の側ではありません。

ほかにも正直、お話にならないレベルの記述が延々続きます。

もちろん右翼政治家の妄言が繰り返されて戦犯の位牌を安置した靖国に供物を捧げるのは真の謝罪を疑わせる」。

くどいようですが、靖国神社に「戦犯の位牌」は安置されていませんし、日本人が英霊をどう祀ろうが韓国人には関係のない話です。

政治決断?いまさら何を?

こうした点を踏まえ、こんな記述を読むと、さらに違和感は強調されます。

もう残されているのは政治的決断だけだ。特に両国首脳の大胆な決心が必要だ。北東アジア安定のためにも韓日は手を握らなければならない」。

政治決断?

いまさら何を決断するというのでしょう。

それに、いくら「政治決断」とやらをしても、結局は韓国が約束を反故にするのですから、これ以上何を「大胆に決心」すべきというのか、理解困難です。小渕恵三元首相と金大中(きん・だいちゅう)元大統領との1998年の「日韓共同宣言」も、韓国国会が2001年に全会一致で撤回を求めたほどですが、記事の執筆者の方はその事実を忘れてしまったのでしょうか?

それに、そもそも東アジアの安定のために日韓が協力する、という発想自体、現実のものではありません。「いくら約束をしても破る」、「ありもしないウソをつく」などは、正直、友好国として信頼に値する態度ではないからです。

いずれにせよ、中央日報のこの記事を読むと、日韓関係の「改善」が遥かに遠いことは間違いないことだけは改めて認識できるのではないかと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (25)

  • 韓国の場合、国民全員、最後の一人まで全員がビデオの前で、署名して、親戚縁者が副署して、ついでに血判押してオデコに血が馴染むまで土下座して懇請したとしても、数年で後からゴールポストを動かして偽史でもなんでも捏造して「賛成なんてして居ない」とシレッと言う事でしょう。そして「賛成して居ない」が国内的に事実となって通ってしまう。10年も経てば教科書に記載され、20年もすれば最高裁で確定判決が出てしまう。もはや政府も裁判所も憲法も条約も何の意味もない。
    これが鈴置さんが喝破した「日韓の問題で無く韓国の問題」の恐ろしい本質です。

    • 元日本共産党員名無し様

      なんかめずらしく激しい投稿ですね。 あっ、少し前、無勉強で大変失礼な投稿をしてしまいました福岡在住者です。 本当に失礼いたしました。

      脱退しのだから、同様の論調で志位さんや小池さんを、ありのままに論調して欲しいです 。 下部組織の人だったから分からない? でも、脱退したのだから・・・。 
      不破(芸名)さんについて投稿して欲しいです。

      • >なんか珍しく
        ほう。私の書き込みでは例外的で、常にはこんな書き方して居ないと? 何処かで韓国人擁護発言でもしておりましたか?

  • デモナー
    内閣総理大臣が宏池会の首魁「岸田文雄」君(ドーデモイイけどコレも"さん"付けに変わるの?)ナンダナー
    罪務省の次は害務省がミミウチしとんやナイカナー

  • 原理原則を蔑ろにした外交などありえません。日本側の譲歩はあり得ない。
    そうすると日本側の「大胆な政治決断」とは国交断絶のことでしょうか。
    まだ少し早いとは思いますが。

  • 韓国の特殊性 >

    私はこれを「韓国の[思考回路]の特殊性」だと考えています。

    それはこの中央日報の「経済エディター」なる人物の主張のなかにも随所に見受けられます。

    韓国は歴史を忘れず、日本は歴史から逃げたいと思っている >

    これは「韓国は歴史を捏造し、日本はその韓国の捏造した歴史と距離を取りたいと思っている」というのが日本人の本音でしょう。韓国が自分勝手に捏造した歴史に適当に付き合ってきたがために、韓国が増長しこれまで以上の無理難題を日本に押しつけている、多くの日本人は漸くそのことに気づき始めています。

    日本の戦後世代は植民地時期の韓国人の苦痛を知らない >

    逆もまた真也。これはそのまま「韓国の戦後世代は植民地時代の日本人の苦痛を知らない」と言いられることができるでしょう。日韓併合時代、朝鮮半島の経営には日本国内の莫大な資本が投下されました。言い換えれば朝鮮半島の経営は、1910年から35年間ずっと赤字だったのです。そして終戦後これら日本の資本によって構築された社会インフラは、すべて韓国並びに北朝鮮によって接収されてしまいました。何という無駄な投資だったことでしょう。同様なことは台湾にも当てはまりますが、少なくとも台湾は今現在も日本に感謝の意を示してくれています。韓国や北朝鮮にそのような期待を抱く人がいれば、よほどおつむの緩い輩であると見られかねないでしょう。残念ながらそういった人々が一定数いることは否定しません(その代表格が日韓議員連のメンバーですかね)。

    韓国では慰安婦問題が91年に表面化し、強制労役問題も90年代以降に訴訟が本格化した >

    これもまた韓国の捏造した歴史の一部ですし、そもそも慰安婦狩りだの軍艦島での奴隷労働だの、韓国人の主張する、ファンタジーが過ぎて頭がクラクラしそうな妄想に、どうして日本人がお付き合いしなくてはならない義理があるのでしょうか。当時の新聞に慰安婦募集の広告が数多く掲載されていたことや、初期の証言の中に赤い服やら革靴に誘われて応募したとか、義父に売られて中国に渡ったとかの証言なども、いつの間にやらなかったものとしてかたづけられています。

    そしてそもそも戦時徴用そのものは当時の日本国内法で定められた政策に過ぎません。そして当時の朝鮮人はまごうことなく「日本人」でした。それに当時の朝鮮人にはそれも当初免除されていました。つまりは彼らは日本人に比べて「優遇」されていたわけです。さらに云うならば奴隷労働させられていたという彼らに、「朝鮮人専用の遊郭」まで与えられていたという事実をどう考えたらいいのでしょうか。強制奴隷労働を強いられながらも専用の遊郭を利用できた?なんという非対称的で異様な光景でしょうか?

    普通の思考回路があれば、これら矛盾に満ちた「歴史的事実」とやらにどれだけの「真実」があるのか、高校生、否中学生程度の思考回路があれば疑念が生じるのは当然のことと思われるのです。どうやら彼らは幼少時から物事を論理的に考えてはならない、というような厳しい躾をされてきたのではないかと思ってしまうときがままあります。これは決してアイロニーとか反語として云ってるわけでもなく、割と本気でそう感じています。

    なんというか、腹の底から湧き上がってくる黒い嗤いを堪えることができません。

  • もうお隣下半島は忘れましょう!
    そして日本に寄生している下半島住民を
    追い出す事を考えたいです。

  • その大胆な政治決断の内容は、近い未来に韓国が滅びた後に、日本政府がお悔やみを申し上げるかどうかということですね、分かります。
     なかなかに高いハードルなので困難な決断になりますが、しっかり議論してお悔やみするかどうか決断していただきたいものです。

  • 何故か朝鮮側から「戦争」という言葉が出てくるのだけど
    朝鮮半島が日本の一部だったことと東亜太平洋戦争は無関係である。

    当時日本領だったサイパン・沖縄・千島列島などは戦場となったが
    朝鮮半島は満州国という障壁に守られて無傷だった。

  • >日本は歴史から逃げたいと思っている。

    こういう表現に、「韓国が正しくて、日本が間違っている」って考えが透けてみえるのです♪
    意識の違いをどう擦り合わせるのかって視点はなくて、ひたすら韓国に合わせろって言ってるだけに思えるのです♪

    やっぱり会話は成り立たないんだって思っちゃうのです♪

    • 映画「12人の優しい日本人」における相島氏扮するサラリーマンの台詞、
      「皆さん、話し合いましょう」
      を思い出してしまいました(相島さんごめんなさい)

      "K-ロジック"て声高に"多様性"を謳う"多様性から最も遠そうな"連中と根っこ同じくくない?
      などと感想を…あれ?誰かきた?

  •  個人的には、日本人は歴史から逃げたいどころか、全てバカ正直に保存したがる民族だと思っているのですが。歴史が長い故でしょうか。

     その常に行われ続ける保存作業の中で、突然しゃしゃってきた韓国人がとんでもない酷いエピソードをぶちあげた。そうかそれは大変すまないことだった……と日本人はバカ正直に応じた。バカ正直なので真摯に調べ上げた。……おい嘘だらけじゃねーか。ーこれが今の日本人が嫌韓に全く抵抗や後ろめたさを感じなくなった原因でしょう。
     韓国人こそが歴史から逃げているというか、歴史という概念を誤解しているというか。せめて建国神話の設定くらいそろそろ一つに決めてほしいものですが。
     事実を基に恨んでくる相手ならば対応できるしすべきですが、恨むことを目的に妄想を言い募る相手はどうしようもありません。

     というのをさておいても、なんでいちいち相手の感情を損ねる論理ばかりなのでしょうね彼らは。スワップも漁業権も半導体サプライチェーン(New!!)も、ほんと要らないんだね?

  • 「日韓関係は特殊なものなのだから、日本も国際法の原理・原則にこだわるのではなく、多少は譲れるところを譲り、そのことで日韓関係を円滑に進めるべきだ」。

     未だに一定数こういう認識の方々が実際に
    いらっしゃるのが困りものです。
     そんなことをしたら、せっかくの国際法が
    利用できなくなってしまいます。

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