朝日新聞の外交専門記者の牧野愛博氏が執筆した記事によれば、日韓両政府の間で、「徴用工、輸出管理措置、GSOMIA」の「3つの課題すべて」が「早ければ来春にも解決する可能性が出てきた」というのです。この記載が事実なら、由々しき話です。日本国民のために働くべき外務省が、日本のためではなく、韓国のために働いているのと同じだからです。
「早ければ来春にも3つのすべて解決する可能性」
まさに、「カネボウと中央青山の関係」そのものでしょうか。
『現代ビジネス』が配信した次の記事によると、日韓諸懸案のうち、「徴用工、輸出管理措置、GSOMIA」の3点が「早ければ来春にも解決する可能性が出てきた」のだそうです。
麻生太郎のおかげ⁉ 日韓関係の懸案「徴用工、輸出管理措置、GSOMIA」が来春には解決の可能性
―――2022/12/01 5:03付 Yahoo!ニュースより【現代ビジネス配信】
私たち一般国民の目から見て、自称元徴用工問題などを巡る進展が何もないなかで、唐突に「来春にも日韓諸懸案が解決する」と藪から棒にいわれても、ちょっと困惑します。
また、日韓諸懸案はその3点ではありません。韓国による竹島不法占拠問題を筆頭に、自称元慰安婦問題(韓国による慰安婦合意破り、主権免除違反判決問題)、火器管制(FC)レーダー照射事件、旭日旗侮辱、天皇陛下侮辱など、未解決の問題は山積しています。
したがって、リンク先記事が述べる「3点の問題」が「解決」すれば、日韓関係が改善される、といった考え方は、あまりにも浅はかです。
日本の外務省は韓国政府と共犯関係なのか?
ただ、リンク先の記事を執筆しているのが、朝日新聞の外交専門記者で、確たる取材に基づいて記事を執筆することでも定評のある牧野愛博氏であるという点を踏まえるならば、「どうせ飛ばし報道でしょ?」と終わらせるのは、少し早合点のし過ぎでしょう。
今回の記事のポイントは、こんな記述だと思います。
「韓国が解決する問題という構図は変わらないが、日本が『勝手にやれば』と冷淡な姿勢を取るのと、『応援しているから頑張れ』という前向きの態度を取るのとでは、展開がまったく変わってくる」。
おそらく牧野氏のことですから、外務省や自民党の政治家などからきちんと裏を取ったうえでこれを執筆しているのでしょう。したがって、「3点の問題が解決されれば日韓関係が改善される」、というのは、牧野氏の考え方というよりも、取材先の外務省や一部自民党議員あたりの考え方ではないかと邪推しています。
これについて、少し過激な表現を使えば、現在は日本政府が韓国政府と「共犯者」となり、日本国民を欺こうとしている、ということです。
このエピソードで思い出すのは、『カネボウ粉飾決算事件に見る「外務省と相手国の癒着」』でも触れた、著名な粉飾決算犯罪に関するエピソードです。
かつて、カネボウ粉飾決算事件というものがありました。この事件の異例さは、なんといっても、会計監査を担当していた公認会計士自身が粉飾決算に加担していたとされる点にあります。本来、会計処理を考える責任は被監査会社の側にあるはずなのに、そして監査を担当する公認会計士は独立していなければならないはずなのに、こうした原理が突き崩された事例が、まさにこのカネボウ事件だったのです。そして、このカネボウ事件の教訓を真っ先に当てはめなければならない組織は、外務省です。監査論と会計士公認会計士は税理士ではない自... カネボウ粉飾決算事件に見る「外務省と相手国の癒着」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
本来、監査をする側とされる側は、「お互いに独立」という立場を厳格に維持していなければなりませんが、カネボウ粉飾決算事件では中央青山監査法人の側がこの原則を逸脱し、監査される会社であるはずのカネボウと結託して共犯者として粉飾決算に手を染めていたからです。
当たり前の話ですが、粉飾決算は犯罪であり、投資家と市場を欺く行為です。そして、会計の番人であるはずの監査法人が犯罪の片棒を担いでいたという事件は、中央青山監査法人だけでなく、公認会計士業界全体の信頼を失墜させたのです。
韓国側の本音
じっさい、そのような視点で読むと、この記事は非常に参考になります。韓国政府側の本音をふんだんに盛り込んでいるからです。
「韓国が心配しているのは、『徴用工を解決したら、日本は輸出管理措置を撤廃してくれるのか?』という点だ。日本は建前上、『徴用工問題と輸出管理措置は別問題』という公式見解を持っているが、複数の日本政府当局者は19年7月当時、『事実上の対抗措置』と語っていた」。
「日韓は当局者協議を続け、韓国側が法改正や体制強化を実施したことで、輸出管理措置を続ける根拠はほぼなくなっている」。
このあたりの事実認識が正しいかどうかはとりあえず脇に置くとして、この自称元徴用工問題と対韓輸出管理適正化措置を絡めた議論は、韓国メディアからは頻繁に出てくるものであることも事実です(たとえば『経済的苦境脱却のために日韓関係改善を必要とする韓国』など)。
韓国が日本を必要としているほど日本は韓国を必要としていない私たち日本から見た隣国・韓国は現在、金利の急騰、輸出の急ブレーキなどの苦境に直面しています。こうしたなか、「韓日関係の改善と輸出規制の撤廃」が必要だ、といった主張が韓国メディアなどからときどき聞こえてくるのは事実ですが、これを韓国経済の苦境と絡めた論考がありました。正直、大変に違和感を覚える議論です。そもそも日本が韓国に輸出「規制」を課した事実もなければ、対韓輸出管理適正化措置以降、日本の対韓輸出に急ブレーキがかかったという事実も確認... 経済的苦境脱却のために日韓関係改善を必要とする韓国 - 新宿会計士の政治経済評論 |
おそらく、「(旧)ホワイト国への復帰」かそれに近い措置を日本が講じることを、韓国政府が心の底から願っている(らしい)という点は間違いなく、これについて牧野氏も、次のように述べています。
「輸出管理措置がなくなれば、日韓の財界は歓迎し、尹錫悦政権の政治的な成果になる。そうなれば、尹政権は期分良く、米国にも歓迎される『日韓GSOMIAの正常化』を宣言するだろう」。
おもわず「なるほど」、と膝を打ちそうになります。いかにも韓国政府(あるいは日本の外務省)あたりが描いてそうな筋書きだと痛感するからです。とくに彼らは、岸田首相についてはいつ内閣総辞職に追い込まれてもおかしくない、などと考えているのかもしれません。
もし牧野氏の記述が正しければ、現在の外務省がやろうとしていることは、まさに「韓国政府と結託して日本国民を騙そうとしている」ということであり、そして、万が一それをやってしまえば、日本国民の自民党政権に対する信認が失墜するおそれもあります。
そして、自民党の力が弱くなれば、官僚機構(たとえば財務省)にとっても歓迎すべき話です。今以上に「やりたい放題」できるようになるからです。
だからこそ、本来、韓国が約束を守らない方式での日韓関係「改善」策を巡っては、自民党が全力で止めなければならないはずでしょう。
一般ユーザーの反応は極めて否定的
ただし、この記事に対する一般ユーザーの反応は、非常に冷めています。
高い評価を得ている読者コメントを眺めると、「なぜ外務省は関係『改善』に前のめりなのか」、「諸懸案がなにひとつ解決していないなかで、『関係改善』とは茶番劇そのものではないか」、といった具合に、「日本が譲歩する」式の「関係改善」に対する否定的反応が圧倒的多数を占めているからです。
なかには「なぜ日本の譲歩が前提となっているのか」、「そもそも『関係改善』が必要なのか」、「日韓諸懸案については発生した原因も異なるのだから、一括解決ではなく、個別に考えるべき」、といった、至極ごもっともな意見も出てきています。
おそらくは、これが日本国民の世論なのでしょう。
そして、政権が代わってもクビになるリスクがない外務省の役人と異なり、自民党議員には、有権者の支持がなければ「ただの人」になってしまうリスクがあります。自民党議員は、もうすこし危機感を持った方が良いのではないでしょうか?
とくに一般ユーザーからは、「騙されるな」という反応も多く出ていますが、これも一般ユーザーが物事をよく見ている証拠でしょう。
なにせ、日本が何らかの譲歩を伴い、日韓間で問題解決が図られたとしても、政権が代わった途端、あっという間にひっくり返されるという姿を、私たち日本国民は嫌というほど見てきたからです。自称元慰安婦問題を巡る2015年12月の日韓慰安婦合意など、その典型例でしょう。
いずれにせよ、水面下で日本政府(とくに官僚機構)が何をやっているのかは、いまひとつ見えてこないところではありますが、報じられる「解決策」とやらが事実であるならば、「一般国民のことを、あまり舐め腐らない方が良い」とだけ警告しておきたいと思う次第です。
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記事の内容より、コメント欄の意見のほうが正論で遥かに説得力がある例ですね。
私、パブリックコメントやらにはオープンでない上に改竄されても分からないのでほぼ意見をしませんが、ヤフコメのほうが日本国民の意見をより反映してるのではないかと思わせるよい一例でした。
今回画策した連中はこのヤフコメ程度には戦える気概や理屈はお持ちなのでしょうか。なければお話しになりませんね。
うーん、このような事実はない、朝毎東やサンモニのような”日本が不利になると、良いことをした気になる”進歩派勢力の願望に基づく観測記事ではないでしょうか。
私の見立ては、先日の日韓首脳会談でユンソンニョル政権発足以来の日韓和解モードは一段落、今後は”徴用工”を歴史問題として棚上げし、そのほかの経済を主体とする関係を発展させたい韓国と、いやいやこれは国家間の信用問題として、韓国が日本が検討可能な対案を提示しない限り、先へは進めない(現在巷間伝えられている案では日本は呑めない)とする日本との間で、膠着状態が続くと予想しております。
この記事を見ても、麻生氏が訪韓した際に雑談を行い「歴史認識なんか一致する訳がない」という至極真っ当な持論を展開したが、ユンソンニョルはパククネとは異なり「ぼーっとしていただけ」だったということしか、事実はありませんよね。そもそも日韓首脳会談にすら反対する保守派を黙らせるためだけの麻生訪韓だったと、私は考えています。
そのうえで、日本政府および外務省に、苦言を呈したい。民主国家では、国民への”適切な説明”というのが何より大事です。外交交渉では、都度詳細な説明を行うことは、交渉の円滑な進展にマイナスになることがあります。しかしながら相手が韓国の場合は、希望的観測という名の嘘を垂れ流す上に、本件のような日本の迎合勢力も「表現の自由」の名のもと出てきますので、時にはきっぱり否定して頂きたい。「韓国政府が検討中の案につき、日本政府が現段階でコメントすることは本来ないが、①日本及び日本企業が謝罪する理由はない②韓国が設立する財団に特定の企業が出資するか否かはその会社の自由意思に基づく(日本政府としては関与しない)」くらいは言って貰いたいものです。
野党も、折角予算委員会をやっているのですから、外相に、日韓関係の今後の基本方針を、きちんと質問して貰いたい、と考えます。
害務省は相変わらず売国奴だな
韓国の国内問題なのだから日本ができることはない
というかできることは韓国が約束と法を守るよう
圧力をかけることだ
輸出管理措置は実務上の問題(定期的な会合を韓国がぶっちした事による信用棄損)があるので外交的に「雰囲気だけが」良くなっただけで解除はできないでしょう。
アメリカにしてみれば戦略物資などが韓国からノーチェックで流出していくのは歓迎できないのではと思うのです。
三つの懸案のうち、少なくともGSOMIAは何の問題もなく運営されているのでは?
なんで「来春」なのでしょう。春はすべからく皆さん頭がボーっとして来るからなんでしょうか。
4月1日のみのことを指しているんじゃないですかね。
そうか! なるほどですね。
牧野愛博氏だから、ある程度裏は取っているのでしょうが、出所がどういう人かなと想像してしまいます。「日韓の問題がスグに片付く」とは、牧野氏のまとめ意見だけでは納得しにくい部分もあります。
「韓国が心配しているのは、『徴用工を解決したら、日本は輸出管理措置を撤廃してくれるのか?』という点だ。」いや、それは何百回も嘘に騙されて来た今、徴用工程度でイーブンに持ち込もうというのも無理だし、それで妥結したら岸田内閣は持たないでしょう。更に一度は解決したフリをしても、また数年後、蒸し返して来るからね。韓国メディアや朝毎東TBSテレ朝らの願望ですね。韓国とは「ムリに関係改善をする必要が無い隣国」なんです。
しかし親韓派議員や外務省、財務省の役人、ジャーナリストらはどうやっても日本と韓国をくっつけようとする。嫌だイヤダ!という日本人の声が聞こえないのだろうか?
岸田は何かやろうなんて考えずに
さっさと辞表出してもらいたい
ただ居るだけでどんどん悪くなる
まあボンクラだからイチジクは喜んでるかも
もしやるんなら統一教ちょこっといじるんじゃなく
煎餅屋に解散命令出す位思い切ったことしてもらいたい
逆ムービングゴールポストですな
詐欺被害者の名簿が、闇市場で高額で取引されている理由は「一度騙された人間は、何度でも騙される」という事を物語っています。
今迄何度も騙されてきた、外務省と自民党は、これからも何度でも騙される可能性が高いと思いますので「まさか、、」という事が起きることもあると思います。
特に外務省は、政治家と違って世代交代がありませんので、媚韓であった人が変わることは無いと断言できると思います(すでに高齢の域に達した人間は、特に今迄してきたことの反対の事をするのは不可能です)。
彼らが定年退職となって居なくならない限り、隙あらば日本に譲歩させるように動き回るはずですので、油断はできません。
腐った池の水をきれいにするのは、一度全部抜いて入れ替えるのが最短ですが、それは不可能ですので、かけ流し(定年で入れ替わる)で、きれいにな水になるのを待つしか無いとおもいます。