ついに「夜逃げ詐欺男」の斎藤が警察に逮捕されたそうです。何の話かといえば、不動産投資『楽待』というサイトが開設するYouTubeチャンネルにアップロードされた動画の話題です。騙された「YUKIさん」というお人よしの大家さんがこの斎藤に面会に行ったところ、大変に衝撃的な結末がありました。なんと「YUKIさん」が1万円札を斎藤に渡してしまったのです。詐欺犯罪は騙される者がいるということを前提に成り立つということがよくわかる一件ではないでしょうか。
目次
不動産投資『楽待』の公式動画が面白い
不動産投資の『楽待(らくまち)』というサイトがあります。
べつに著者自身が不動産投資に興味を持っているというわけではないのですが、少し前からこの『楽待』の公式YouTubeチャンネルの動画に注目しています。というのも、単純な不動産投資だけでなく、このチャンネルにアップロードされている動画が、じつにおもしろいからです。
(※なお、最初にお断りしておきますが、本稿はべつに『楽待』からスポンサー料をもらって執筆しているわけではありません。純粋に著者自身が同サイトに注目しているだけの話です。)
このあたり、「不動産投資」と聞けば、「節税対策で新築の投資用マンションを買いましょう」という営業電話を受けた記憶があるという方も多いと思います(※どうでも良いですが、個人的には新築のマンションを投資用で購入するという行動自体、投資行動としてはいかがなものかと思いますが…)。
しかし、この『楽待』公式チャンネルがアップロードしている動画を見ると、人生観そのものが変わるようなものがあるのです。
「話し合い自体が成立しない」
たとえば、『【加速つけてぶん殴ってやりたい…】「家賃滞納男」vs.「お人よし大家さん」』と題したこんな動画は、大変に強烈です。
埼玉県のとある物件で、オーナーがゴミだらけで汚損された部屋に立ち入るシーンから始まるのが衝撃的ですが、20分少々の動画を視聴すると、どうしてこんな状態になったのか、また、この大家さんがこの滞納男と具体的にどんなトラブルになったのか、その状況がよくわかります。
この大家さん、最終的には滞納男を民事調停で追い出すとともに、保証人である滞納男の祖母から未払の家賃や修繕費の一部を分割で支払わせるということで決着がついた、というのです。また、同じ大家さんに2年後にインタビューした動画もアップロードされています。
ちなみにオーナーの方によると、滞納男のメチャクチャな生活によって損傷していた物件については、オーナーの方が掛けていた保険から下りた保険金に加え、その滞納男の祖母から支払われた金銭を充当することで、何とかきれいにすることができたということだそうです(良かったですね)。
ただ、これ自体、不動産投資という範疇を越えて、人間ドラマそのもののようなものでもあります。というのも、このなかでオーナーの方は2年前の経験について、次のように述べているからです。
- 「こちらはコミュニケーションを取ろうとしてもなかなか取れなかったので、それはちょっと大変だった」。
- 「(滞納男が)会話にならないくらいキレちゃったりとか、すごい大声出しちゃったりとかして…」。
- 「話し合って譲歩するところが見つかればいいんですけどね、話し合い自体ができなかったので…」。
…。
世の中には本当に色々な人間がいるものです。
そして、話し合いが成立しないのならば、当事者間での解決にはさっさと見切りをつけ、第三者(この場合は裁判所など)を使うのが最も賢明だということもまた事実なのでしょう。
ゴミ屋敷、孤独死、限界ニュータウン…ほかにも話題は豊富
また、いわゆる「ゴミ屋敷」や「孤独死」に関するこんな動画も、いろいろと考えさせられます。
これらの動画は、ゴミ屋敷清掃業者や「孤独死」を専門とする「特殊清掃員」などについて取り上げたものですが、これらは不動産投資という観点だけでなく、社会問題という観点からも、本当に参考になると言わざるを得ません。
さらには、「限界ニュータウン」という社会問題に関しても、大変に深刻です。
この「限界ニュータウン」に関する動画は、『限界ニュータウン探訪記』というブログを執筆している吉川祐介氏が案内人となり、土地バブルの「負の遺産」である「限界ニュータウン」を巡るというものです(ちなみに吉川氏もYouTubeチャンネルを持っています)。
吉川氏によると、この「限界ニュータウン」とは、高度経済成長期に開発されたニュータウン、団地などのうち、入居者が少なすぎて管理費が集まらないなどの理由で、生活に必要なインフラが朽ち果て始めてきている、といった地域のことです。
ちなみに吉川氏は早くからこの限界ニュータウン問題に警鐘を鳴らしてきた人物のひとりですが、こうした一連の動画を視聴していると、日本の土地所有権の問題に行き当らざるを得ません。
すなわち開発されてからもう半世紀が経過するなか、地権者や開発事業者ともう連絡がつかず、道路も浸食され、側溝も破損し、自然に還り始めているようなニュータウンについては、地方自治体としても悩ましい問題であることは間違いないでしょう。
逮捕された夜逃げ詐欺男の斎藤に面会した被害者
ただ、こうしたなかで、本稿でとくに取り上げておきたいのが、こんな動画です。
【衝撃の結末】夜逃げ詐欺男・斎藤ついに逮捕、被害者らとの面会でまさかの展開に!?
この動画、「衝撃の結末」とあるとおり、これまで『楽待』チャンネルに複数回掲載されていた「夜逃げ詐欺男・斎藤」に関する動画シリーズです。
これまでの動画シリーズは、過去に「YUKIさん」という大家さんが「斎藤」に200万円を持ち逃げされるという被害に遭ったというシリーズで、「YUKIさん」は大阪で斎藤を確保し、斎藤に200万円を分割で返済させることを約束したものの、斎藤が3日後に夜逃げしてしまった、というところで終わっていました。
今回の動画では、斎藤がついに逮捕され、「YUKIさん」が警察署に拘留されている斎藤と特別に面会しに行くというものなのですが、これが大変に衝撃的です。
結論からいえば、この「YUKIさん」という人物には、個人的にはまったく同情できません。「騙される人には騙されるなりの理由がある」ということがわかるからです。結論からいえば、動画の18:07以降を視聴していただければ良いと思います。
斎藤が「YUKIさん」に対し、こう述べた、というのです。
出所したらYUKIさんのところにも謝りに行きます。(妻が)ペット付きで賃貸に住んでいて給料も少なくて大変だから、(妻をYUKIさんのところに)住ませてもらうことはできますか?
これに対しこの「YUKIさん」は驚くことに、「いいですよ」、と答えたのだそうです。
この時点で呆れます。自分自身を騙した詐欺師の妻を再び自分の物件に居住させるというのですから、なんとも「お人よし」です。
詐欺は騙される側がいてこそ成り立つ犯罪
ただ、この「YUKIさん」のもっと衝撃的かつ軽率で罪深い行動があります。なんと拘留所で「YUKIさん」が1万円をこの斎藤に渡したというのです。
斎藤は「YUKIさん」に対し、「手紙を書かせてください」と言ってきて、これに「YUKIさん」が「じゃあわかったよ」、「後で住所を教えるから」と応じたところ、斎藤は「YUKI」さんに対し、「手紙を出すおカネもない」と述べたのだとか。
そこで「YUKIさん」は警察に、「(斎藤に)おカネを渡すことはできるんですか?」と尋ねたところ、「可能です」と言われたので、「なけなしの1万円札」を出し、「これを斎藤に渡してください」と警察に申し出たのだそうです。
呆れて物が言えません。正直、この行動自体、「斎藤」という犯罪者を助長するようなものだからです。まさに盗人に追い銭、ですね。あるいは「騙される者は何度でも騙される」という、人間社会の真理でしょう。
詐欺師は何度でも、「今度こそ心を入れ替える」と述べるのですが、それを信頼してはなりません。ウソツキは死ぬまで治らないからです。あるいは、「詐欺は騙される側がいるからこそ成り立つ犯罪だ」、ということでもあります。
動画を視聴している人は、途中までは斎藤に怒りを抱いていたに違いないのですが、この「YUKIさん」の衝撃的な行動を見ると、その怒りがそのまま「YUKIさん」に対する呆れの感情に転化してしまう、というわけです。
あるいは、この「YUKIさん」の軽率な行動が、斎藤が出所したあとで新たな被害者を生む可能性があるということに、この「YUKIさん」は気づかなかったのでしょうか?
その意味では、下手なドラマを見ているよりも、はるかに衝撃を受けることは間違いありません。
余談ですが、この「YUKIさん」と斎藤のやり取りを見ていて思うのは、詐欺師に延々騙され続けているどこかの国の外務省という組織の問題点です。
外務省という組織はれっきとした政府機関であり、その政府機関たる外務省が、詐欺師に対し、軽率かつ無能な行動を取ってしまうことは、国民に対する背任であるばかりでなく、外務省がその詐欺師と結託し、国民に対して詐欺行為を働いているのと同じでもあります。
その意味では、個別の人間の行動も、政府レベルの行動も、「愚鈍なお人よしの行動が周囲に迷惑をかける」という意味では、あまり変わらないのかもしれません(社会に対する悪影響という意味では後者の方がはるかに深刻ですが…)。
View Comments (6)
「楽待サイトに出てくるYUKIさんは、日本の外務省、日本の政府に似ている。」ということですね?
その通り
お人好しの人間ほど、周りの人間や仲間を裏切ったり、傷つける存在はいない
ネット配信限定動画
『伏魔殿のスクール(群れという方の意味)たち』
という CM の幻覚を Youtube 挿入で見たような気がしました。今日は疲れているのかも知れません。
大変お気の毒ですが、詐欺の被害者の特徴として、下記があげられます。
①無知=勉強しないから頭が悪いので、真偽判断できない。
②怠惰=怠け者で情報収集と無縁なので、上記①と同じ結果に陥る。
③強欲=欲深で常に棚ぼたを望むので、怪しい話にも飛び付く。
>「話し合って譲歩するところが見つかればいいんですけどね、話し合い自体ができなかったので…」。
例えば、荷物を残されたまま音信不通になられちゃうと、どうにもならなくなってしまうんですよね。
大家だけでなく、家賃等の負担義務だけで残存物撤去の権利を持たない連帯保証人も救えません。
連帯保証人の要請で大家サイドから動こうにも「三か月の家賃滞納を確定させる」「催告書兼契約解除通知書を送付し、契約解除を確定させる」「裁判所経由で、調停・訴訟・公示送達・撤去命令」と、時間と手間のかかる面倒なハードルが山積です。
みなさん、管理会社の仲介と保険の弁護士特約は必須です。
韓国と日本の関係がそのまま当てはまりますね。
岸田さんと外務省は、少しは学習していると思いたいのですが。
ただ、アメリカの中国や北朝鮮への過去の対応も褒められたものではないと思います。
バイデン大統領は信頼できると思いたいですが。