X
    Categories: 外交

韓国が観艦式への招待状に返答せず:追い込まれる韓国

大変興味深い話題が入ってきました。中国と韓国の2ヵ国が、今年11月に相模湾で開かれる国際観艦式に参加するかどうかの返事をしていないのだそうです。これで追い込まれるのは韓国です。日本はこの観艦式について、西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)参加国のうち、ロシア以外のすべての国に招待状を送ったのですが、もしロシア、中国、韓国の3ヵ国が参加しなかった場合には、韓国の西側諸国における立場は、悪くなることはあっても良くなることはないでしょう。

国際観艦式とフリートウィークのお知らせ

海上自衛隊は今年、創設から70周年を迎えます。こうした節目に合わせ、今年の11月6日(日)には相模湾で国際観艦式の開催が予定されています。

令和4年度国際観艦式に関するお知らせ

―――海上自衛隊HPより

海自によれば、残念ながら今回の観艦式は無観客での実施とのことではありますが、それでも映像配信も予定されているとのことです。

さらには観艦式を盛り上げるため、10月29日(土)から11月13日(日)を「フリートウィーク」と称し、艦艇一般公開を含めたさまざまなイベントが予定されています(これについての詳細は防衛省のウェブサイトをご覧ください)。

フリートウィークのお知らせ

―――防衛省HPより

首都圏にお住まいの方であれば、休日にぶらりとイベントに出かけてみても良いかもしれません。

「なぜ韓国を観艦式に招待したのか!?」

さて、こうしたなかで、この国際観艦式に関し、日本政府が韓国政府に対して招待状を送ったという話題がありました。これについては一部では強い反発も見られます。

そもそも2018年10月に韓国・済州島(さいしゅうとう)の韓国海軍基地沖合で行われた観艦式では、韓国政府は日本政府に対して招待状を送ってきましたが、観艦式の直前になって日本を含めた各国に対し、「艦旗を掲揚しないでほしい」とする非常識な要求を突きつけました。

このとき、日本政府側は「艦旗を降ろすことはありえない」と反発し、結果的に自衛艦を韓国に派遣するのを見送ったという経緯があります(『旭日旗騒動と観艦式の振り返り「全世界に恥をさらした韓国」』等参照)。

今朝方『旭日旗騒動 7ヵ国が韓国の要請無視、ボイコットは5ヵ国?』で旭日旗の話題を取り上げたばかりであり、何度も同じような話題を提供するのも気が引けるのですが、それでもこの騒動は、後世から振り返ってみたら「日韓関係の転機となった」という重要な事件になりかねないものでもあります。そこで、もう1つ、私が気になった記事を紹介しておきたいと思います。朝日新聞・牧野氏の論考朝日新聞・牧野愛博氏「影響は避けられない」昨日、韓国の済州島(さいしゅうとう)にある海軍基地で行われた国際観艦式には、結局、日本の...
旭日旗騒動と観艦式の振り返り「全世界に恥をさらした韓国」 - 新宿会計士の政治経済評論

また、同年12月には、石川県能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国海軍駆逐艦「広開土大王」が日本の海自P1哨戒機に対し、火器管制(FC)レーダーを照射した、という事件も発生しています。

そもそも韓国海軍や海上警察がこの海域で何をしていたのかという点についても大変に気になるところですし、場合によっては文在寅(ぶん・ざいいん)政権を巡るスキャンダルに発展する可能性もあると個人的には睨んでいるのですが、それだけではありません。

FCレーダーの照射は戦闘行為とみなされることもありますし、対応を誤れば交戦状態に陥ることもあり得るなど、大変に危険で非常識な行為です。

しかも、韓国軍側はこの行為について、いまだに事実を認めておらず、しかも日本に対する謝罪、再発防止策の確約などの措置を講じていません。それどころか、「日本の海自機が低空威嚇飛行を仕掛けてきた」、「むしろ悪いのは日本の方だ」などと逆ギレしている始末です。

おもに保守論客を中心に、「こんな相手国との防衛協力が成り立つものか」、といった反発が生じるのも当然のことでしょうし、そんな相手国に、よりにもよって観艦式への招待状を発送するとは、岸田文雄政権はいったい何を考えているのか、と憤る気持ちも理解できる点です。

観艦式参加打診は「韓国に選択させる」という妙手

ただ、当ウェブサイトとしては、この問題については少し異なった考え方をしています。

以前の『観艦式への参加打診は「韓国に選択させる」という妙手』でも詳しく説明したとおり、じつは今回の観艦式、韓国にとっては非常に困った「踏み絵」でもあるからです。

ロシア軍用機の防空識別圏侵入事案に対し、FCレーダーを照射しなかったこと。「韓日関係改善」と言いながら、竹島近海での調査を止めようとしないこと。これらの行動はすべて、根っこではつながっています。本当に脅威を与える国には抵抗せず、絶対に脅威を与えない国を苛立たせようとするものだからです。「旭日旗はためく国際観艦式への招待」も、じつはこうした韓国の習性を逆手に取り、韓国自身に「選ばせる」ことを通じて相手に踏み絵を突き付けるという戦術なのかもしれません。2022/08/24 11:22追記本文中に誤植がありました...
観艦式への参加打診は「韓国に選択させる」という妙手 - 新宿会計士の政治経済評論

その最たるものは、「旭日旗問題」にあります。

そもそも韓国が主催した2018年の国際観艦式での騒動は、「観艦式に参加するなら旭日旗を降ろせ」という韓国側の要求に端を発していたものです。そして、その背景には、韓国国民に根強く広がる「旭日旗ヘイト」にあります。

絶対譲るな!旭日旗騒動は韓国のウソ崩壊の第一歩』などでも取り上げたとおり、そもそも旭日旗を「ナチスのカギ十字にも相当する戦犯旗」などと言い出したのは韓国人です。

ここ数日、インターネット上で大きな話題になっているのが、韓国による「旭日旗ヘイト」です。韓国政府が日本の旭日旗を「ナチスのカギ十字にも相当する戦犯旗だ」と全世界に向けて公式発信し始めたことで、「韓国が旭日旗を抹殺しようとしている」という意図が、それなりに全世界に向けて伝わり始めたのです。ただ、韓国にとっての最大の誤算は、この「問題」を巡り、日本が一歩も譲歩しようとしないことだったようです。旭日旗騒動の本質は韓国による「日本ヘイト」「旭日旗騒動」、というものがあります。これは、韓国がわが国の自...
絶対譲るな!旭日旗騒動は韓国のウソ崩壊の第一歩 - 新宿会計士の政治経済評論

もともとは2011年1月25日のAFCアジアカップの日韓戦において、韓国の奇誠庸(き・せいよう)選手による、日本を侮辱する猿真似パフォーマンスが問題視された際に、奇誠庸選手が苦し紛れの言い訳として「スタジアムの旭日旗を見てカッとなった」と述べたことで、突如として浮上したのです。

もちろん、旭日旗が「戦犯の旗である」などとする韓国側の認識は、明らかな事実誤認です。これについては菅義偉総理のもとで官房長官を務めていた加藤勝信氏が2021年5月18日の会見で述べた、次の見解がすべてでしょう。

旭日旗の意匠は日章旗同様、太陽をかたどっており、大漁旗や出産・節句の祝い旗等、日本国内で現在までも広く使用されているものであり、特定の政治的・差別的主張である等の指摘は当たらない。政府として、韓国を含め国際社会に向けて、旭日旗の掲示が政治的宣伝にならないという考えを累次の機会に説明しており、今後ともそうした説明を継続していきたいと考えている」(外務省ウェブサイト『旭日旗』より)。

この旭日旗問題を巡っては、韓国側も振り上げた拳の落としどころがわからなくなっているフシがありますが、それでもこの旭日旗問題、韓国人自身が後先考えずに作り出した問題である以上、韓国人自身が解決をつけなければならない問題です。私たち日本人には関係ありません。

しかも、今回の観艦式は、さすがに日本で開催されるため、もし韓国側が参加する条件として「旭日旗を掲揚しないでほしい」などと言い出したとしても、日本がそれに応じることは不可能です。したがって、参加するなら参加するで、韓国海軍艦艇が「旭日旗がはためくなか」を航行しなければならない、というわけです。

参加しなければ「赤クアッド」という疑念を持たれかねない

ただ、もし韓国側が参加しないとなれば、ロシアによる違法なウクライナ侵略戦争というタイミングで、韓国は「西側諸国につくのか、それとも中露朝3ヵ国とともに『赤クアッド』を構成するのか」、などと、西側諸国からは強い疑念を向けられることになるでしょう。

その意味で、もし韓国が米韓同盟を維持し、西側諸国にとどまりたいと思っているのならば、韓国が観艦式に参加しないのは非常に大きな悪手です。

これがまさに韓国側のジレンマでしょう。

こうしたなか、いくつかのメディアに昨日、この続報がありました。

国際観艦式、韓国から招待回答なし 海自トップ「ぎりぎりまで待つ」

―――2022年10月25日17時05分付 時事通信より

国際観艦式の参加、中国と韓国から回答なし 海自が発表

―――2022年10月25日 18:00付 日本経済新聞電子版より

時事通信によると、海自トップの酒井良海上幕僚長は25日の会見で、国際観艦式への韓国側からの回答がまだないと明らかにしたのだそうです。しかも、驚くべきことに、参加するかどうかの回答期限は今月12日だったのだとか。

これについて酒井氏は「不参加の連絡があったわけではない」としつつ、「ぎりぎりまで待つ」と明らかにしたのだそうですが、これは韓国に対するメッセージというよりは、米国などに向けたポーズなのかもしれません。

日韓問題ではなく韓国問題に!

というよりも、今回の「国際観艦式」自体、すでに日韓問題の枠を超えてしまっています。なぜなら、日本は西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)参加国のうち、ロシアを除くすべての国を招待しているからです。

このWPNSには、日本、ロシア、韓国以外では、米国、フランス、カナダ、シンガポール、タイ、中国、豪州、ニュージーランドなど合計21ヵ国が参加しており、観艦式に参加できる国は、これに参加することで、「ロシアに対してのみ招待状を発送しない」という日本の行動を支持することにもつながるのです。

こうなってくると、今回、つまり、「日本としてはぎりぎりまで待ったけれども、結局は韓国側が参加しなかった」というかたちを作れば、国際的に見れば日韓関係にとどまらず、韓国自身の国際的な立場をますます悪化させることにつながります。

参加できるにも関わらず参加しなかった国は、間接的に「ロシアによる侵略戦争という違法行為」を認めているようなものになるからです。

それに、日経によると、同様に参加・不参加の回答がない国が中国なのだそうです。

もし中韓が揃って国際観艦式に不参加を決めれば、「赤クアッド」の実現に向けて一歩進むという事態にもつながりかねませんし、そうなった場合、韓国の西側諸国における立場は悪くなることはあっても良くなることはないのです。

その意味では、今回の観艦式問題も、追い込まれているのは韓国の側であり、同国の参加問題も「日韓問題」ではなく「韓国問題」だ、というわけです。

韓国といえば、つい先日、日米韓3ヵ国の日本海での合同訓練に応じたばかりではありますが、さっそく、観艦式で韓国は踏み絵を突き付けられることになりそうです。そして、今年の国際観艦式での見どころは、「どの国が参加するか」だけでなく、「どの国がなぜ参加しかったのか」、という点にありそうです。

新宿会計士:

View Comments (37)

  • 五輪のように、国としての参加はないが個人の資格での参加を認める、という手もあり・・・ませんねww

    • もしそれが行われたら、軍艦が国の意向を無視して行動するという楽しい(笑うしかない)事態ですね。
      韓国ならありえないと言い切れないあたりが怖すぎます。

  • 中国は土壇場で参加を決めて、韓国は準備が間に合わずに不参加という結末になると思います。

    中国はそうして韓国の国際的な立場をさげるだけ下げて、ブルーチームに絶対に戻れないようにした上で、レッドチームのしもべとしてこき使うんじゃないでしょうか。

  •  韓国の参加しないメリットは燃料代が浮くくらいしか思いつきませんが。外交に関する国内事情上はメリットがあるという事でしょうか。アメリカにも怒られ西側諸国にも白い目で見られる=本来の外交が毀損されるのですが、それでもと。……それはもう政治ではないし、友好国でもない気がしますが。
     2014年中国開催時に、「中国が外交に関する国内事情(尖閣問題)で」自衛隊を観艦式に招待せずに「米国が抗議した」のとは対照的です。思えばこの頃には既に、日米の結束を強め中国包囲にあたるという構想は進んでいたということか。
     単純に「今回返事をしてこない」というだけでも信頼を揺るがす悪手なのに、比較しやすい事例がつい最近にあると余計に悪目立ちするのですが、指導者が実務者もまるっとすげかえてしまう易姓革命の弊害でしょうか。引き継ぎくらいせんのか。

    • 農民様

      >それはもう政治ではないし、

      いいえ。韓国ではこれが政治。
      外交を、内政の延長線上でしかとらえることができないのが、カノ国流。

      >友好国でもない気がしますが。

      これも日本人だからそう思うというはなしでしょうね。
      こんだけ反日行為を繰り返していても、彼らのアタマの中では(都合良く助けてくれるという意味で)日本は相も変わらぬ友好国。
      たかが観艦式の欠席くらいのことで、不義理をしたなんて、思うわけないですよ(笑)。

      •  いまだに韓国を語る際に、常識や合理性といったものが邪魔をします。彼らは超越した先に居るのだ……
         まぁ付き合う義理もありませんね(ぶん投げ

  • 中華国に参加するな、と言われているのではなく、「中華国が参加回答していないのならうちも返答できない」とROK政府は考えているのでしょうか。

    面白過ぎます、この恐中華国意識。

  • 本来「戦犯旗」などという用語は無く
    誰かさんの造語なのだけどそれはともかく

    日本と韓国は戦争をしたことはないから
    この二国間には「勝敗」も「戦争被害」も「戦争犯罪」も存在しないぞと

    • 韓国史では、太平洋戦争中に独立軍が日本軍と戦い、大いに苦しめたことになっていて、学校でもそのように教育されています。

      現在は、日本は米英を中心とする連合軍に敗れたが独立軍の働きも大きかった、という扱いですが、あと50年もすれば、独立軍が主で米英は従と書き変わる気がします。

  • 今回の観艦式への招待のように、日本側も国際法に則った攻勢を強めるべきではないでしょうか?

    例えば、韓国人に盗まれた仏像について、日本で損害賠償請求を求める裁判を起こすことは、できるはずです。また、日韓W杯にあたって、韓国に貸したカネが返還されていないのであれば、返還請求をかけるとか。韓国からの新たな「発明」に対する防戦一方ではなく、国際法に基づく日本からの攻勢を仕掛けても良い時期では?それは、金融界に対する「日本は韓国を支援しない」というメッセージになり、金融面で韓国を締め上げる制裁にもなるはずです。

    ちなみに、旧ソ連は世界の共産主義勢力を支援して、各国でゲリラ戦やテロを仕掛けましたが、アフガンで旧ソ連自身がゲリラ戦をやられたら案外脆かったようです(ベトナム戦争で、アメリカが北ベトナムにゲリラを送り込もうとしたら、軍とCIAのトップが止めたようですが)。韓国も、防戦に追い込んでやれば、ますます国論が分裂して、余計な手出しができなくなるのではと思います。

    • 【YTN】2022.10.20
      『海軍総長、日観艦式期間訪日…「関艦式に参加する計画はない」』
      我が海軍の参謀総長が日本観艦式に現地に出張に行くが、観艦式に参加する計画は無いことが確認された。
      https://v.daum.net/v/20221020061314585

    • [現実が軽視される韓国外交]
      https://oogchib.hateblo.jp/entry/2022/10/20/013733

      韓国には対等の概念が無く 
      何事も「自分たちは日本より道徳的に上」でなければ「屈辱」だと思うようです
      もうひとつ
      韓国は 「事実や因果関係より、その場限りの感情を最優先」して決定します
      つまるところ
      韓国の場合は国際状況より道徳が優先されるので 
      ま たぶん 来ないでしょうねぇ・・・

  • 酒井海幕長は「不参加の連絡があったわけではない、ぎりぎりまで待つ」と話した >

    なかなかに意味深なコメントですね。(笑)

    最後の最後まで、韓国側を追い込み苦しめるつもり満々のようです。

  • いま韓国では呪術師を集めて 観艦式が災害で中止になるよう祈祷していることと思います。日本の神の力で天候の安定を願う次第です。

  • 最終的には来るんじゃないですかね。
    中国様が保留にしているのに、先に参加表明できないんでしょw

1 2 3