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玉川氏は結局降板せず:テレビ朝日は「逃げ切り」図る

結局、玉川氏は降板しないのだそうです。19日に放送されたテレビ朝日の問題の番組に出演した玉川氏は菅義偉総理に対する謝罪を(いまさらながらに)口にしたものの、今後ともコメンテーターの立場として、現場に出ることもあれば、スタジオで発言することもあるのだそうです。まさかとは思うのですが、テレビ朝日はこれで完全に幕引きにし、逃げ切ろうとしているのでしょうか?

結論:玉川氏は降板せず

「玉川問題」、つまりテレビ朝日の玉川徹氏が番組内で事実に基づかない発言を行った問題で、玉川氏本人が19日、10日間の謹慎が明けて、問題の『羽鳥慎一モーニングショー』に出演したそうです。

これについては「玉川氏が番組を降板するのではないか」といった観測報道もあったのですが(『ついに玉川氏降板か?それでもTV業界の追及は必要だ』等参照)、結論的には玉川氏自身は降板しないのだそうです。ここでは読売新聞の次の記事を紹介しましょう。

テレ朝・玉川徹氏「羽鳥慎一モーニングショー」復帰…国葬巡り誤った発言「私の慢心」と謝罪

―――2022/10/19 08:33付 読売新聞オンラインより

読売によると玉川氏は19日の同番組で次のように発言したそうです。

今回の私の事実誤認のコメントにより、ご迷惑をおかけした電通、菅前総理大臣に対し、改めておわび申し上げます。このような事実に基づかない発言をテレビでしてしまったのは、私の慢心とおごりがあったからだと反省いたしました。申し訳ございませんでした」。

菅義偉総理に対する謝罪がなされたことは評価に値するのではないか、などと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、問題発言の翌日の9月29日の時点で菅総理に対する謝罪はありませんでしたので、個人的には「なにをいまさら」、という感想を持ってしまいます。

ただ、ここで重要なのは、次のような趣旨の発言でしょう。

事実確認こそが報道の根幹であり、その原点に立ち返るべきと考え、これからは現場に足を運び、取材をし、事実確認をして報告する。その結果はこの『羽鳥慎一モーニングショー』でお伝えする。そういう考えに今回至りました」。

要するに、降板するつもりはない、という意味でしょう。

放送法第4条第1項違反

読売によると、テレビ朝日広報部は「玉川氏はコメンテーターを辞めるわけではない」としたうえで、「コメンテーターの立場で、現場に出ることもスタジオで発言することもある」、などと説明したのだそうですが、これが事実なら、テレビ朝日という会社自身、まったく反省していないと言わざるを得ません。

そもそも論ですが、放送事業者というものは、公共の財産である電波を独占的に利用している立場にあります。

それも、放送局の数がたくさんあってお互いに競合しているのであればまだ話はわかりますが、現在の日本社会には放送局の数が非常に少なく、これらの少数の放送局が結託し、ウソの情報を流せば、私たち国民の立場としては、騙されてしまうかもしれません(その典型例が2009年8月の衆議院議員総選挙でしょう)。

だからこそ、本来ならば放送局は放送法第4条第1項に定める4つのルールを最低限守らなければならないのですが、残念ながら、今回の「玉川事件」でも明らかになったとおり、日本の放送局はこれらのルールを無視しているのが実情です。

放送法第4条第1項

放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

二 政治的に公平であること。

三 報道は事実をまげないですること。

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

「報道の自由」は「ウソをつく自由」ではない!

しかも、なかには「放送事業者が何を放送しようが、それは言論の自由・報道の自由の範囲内ではないか」、などと言い出す人もいるのですが、これも明らかな詭弁です。放送局には、公共の電波を使ってウソを垂れ流す自由などないからです。

もちろん、「報道」と呼ばれている情報には、「客観的事実」と「主観的意見」という2種類の情報が含まれるのは当然のことですし、このうちの「主観的意見」の部分については「まったく放送してはならない」というのも難しいのが実情でしょう。

(※余談ですが、だからこそ、放送法は「客観的事実」に関しては「事実は曲げるな」、「主観的な意見」に及ぶ分野に関しては「政治的に公平」で、かつ「できるだけ多くの角度から論点を明らかにせよ」、と求めているのでしょう。)

ただ、百歩譲って「主観的意見」の部分については「言論の自由」の観点から偏向した内容を認めるにしても、「客観的事実」の部分について、「事実を捻じ曲げる自由」などはありません。

「故・安倍晋三総理の国葬儀における菅総理の弔辞は、電通が関与し、政治的意図が匂わないように演出したもの」などとする趣旨の玉川氏の発言は、事実に基づいていないだけでなく、それによって聞く人に対し、非常に大きな誤解を与えかねない、というものなのです。

したがって、今回の事件についてはテレビ朝日によるれっきとした放送法違反行為であり、発言者本人のたった10日間の謹慎処分と、せいぜい関係者2人に対する譴責処分で終わらせてよいほどに軽い事案ではありません。まず、テレビ朝日の社長自身がきちんと説明すべき事案です。

そもそもの電波行政の問題

また、総務省は今回の事案について、放送法違反の事例として、電波法に基づく停波処分を下すかどうかを検討しなければなりませんし、場合によっては「BPO(放送倫理・番組向上機構)」という組織自体の在り方を見直し、まったく独立した第三者による強力な監査機構を発足させることも検討すべきでしょう。

いずれにせよ、今回の玉川事件、テレビ朝日側としてはこれで完全な幕引きを図り、逃げ切るつもりなのかもしれませんが、これを許すかどうかは結局のところ、私たち日本国民の総意も大切でしょう。

そもそも公正な報道が期待できない組織に、私たちの大切な共有財産である電波の独占利用権を与え続けている電波行政の在り方の妥当性、さらにはそのような状況を放置している総務省という組織そのものの問題を、より一層深刻に考える契機となるかもしれません。

その意味では、今回の玉川事件はテレビ業界や電波行政を考えるうえで、大変良いきっかけとなるのではないでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (37)

  • 不良品が多いメーカーの品を避ける人が増えるように
    事実に基づかない、テレビ局側の都合による演出や出演者のお気持ちを放送するテレビ局からも
    人が離れるだけではないでしょうか。

    「テレビ朝日の放送は事実に基づかない」
    と声を大にして主張できるようになったわけですから、ただそれだけを周知し浸透させるべきでしょう。

    仮にテレビ朝日側が抗議してきたら「では事実に基づいているという証拠を出してください」で
    お終いですよね。

  • 事実誤認というのはこれまた嘘。
    これでは事実確認をしたがそこで間違ったことになります。
    そうではないでしょう。
    事実確認を怠った。もしくは自分の憶測だけで発言した。
    自分の行動を糊塗しようとする卑しい根性が垣間見えます。
    反省していないようですね、謹慎期間に何をしていたのでしょうか。

  • 放送法違反の論点ではないですけど、
    >菅前総理大臣に対し、改めておわび申し上げます

    新たに菅氏への謝罪が入ったのは、ネット世論の影響はあるんでしょうね。謹慎中ネットサーフィンやってたんだろうか。
    「改めて」って、今まで菅氏には一度も謝罪してなかったと思いますんで、言葉遣いが不適切ですよね。
    で、謝罪ってのは相手にあって意を伝えることで成立するので、視聴者向けに言ったって謝罪したことにはなりません。菅氏があんなくだらない番組を見てると思ってるんでしょうか。

    当然、菅氏の議員会館なり自宅なりを訪問して、キチンと謝罪するんでしょうね。
    楽しみだなぁ。

    • 「本当にすまないという気持ちで胸がいっぱいならどこであれ土下座ができる
       たとえそれが肉焦がし骨焼く鉄板の上でも・・・」

      いや、まじめにね、焼き土下座したら認めますよ、ええ。

    • 表では威勢のいいことを言って、陰では菅総理に土下座していたから「改めて」になったという可能性もゼロではないかも。

      広告代理店へのおわびは、逆の事例かつ海外のお話ですが、売れたアイドルタレントがファンにお礼をいうより先に「事務所の社長」に感謝の意を述べた、というのを思い出しました。

      • いやーしかし、今回菅氏への謝罪を求めたのは言ってみれば世間様であって、菅氏本人じゃないんですよね。
        単に、世間様に謝れと言われたので、世間様の前で謝って見せただけだと思いますけどねぇ。彼、演出のプロらしいですし。w

        仮に陰で謝罪要求があって土下座していたとしたら、それは隠そうとするんじゃないでしょうか。
        彼らが楯突いてきたいわゆる"権力者"に土下座する姿、是非見てみたいもんです。(笑)

  • 玉川とテレ朝はブーメランの使い手ですね(笑)。ますます疑惑は深まったのブーメランが帰ってきてるぞ(笑)。まさかこんなんで幕引きなんて許さないので、どんどん攻めていきたいと思います。

  • 社長の公開処刑までは炎上は収まりそうにないですね。でもそんなときのための社長職なんですけどね。

  • 結局降板させない、ここまで来ると玉川さんの問題ではなく、テレビ朝日自体の問題ですよね。

  • まず大前提として 民法のお昼のニュース番組も 夜の討論番組も 朝の情報番組も
    放送局が売ってる「商品」なのです
    だから 
    痛い発言 → 番組が炎上 → 痛いコメンテーターを叩くため視聴者が増える → 番組が売れる
    昔から新聞もテレビも、こんなロジックで商売していて
    結局 炎上Youtuberと同じ存在なのです
    ウソはダメですが
    その程度の存在に 国民の信頼とか正義とか いい加減期待しすぎではないでしょうか?

    • その通りだと思います。
      番組内容を真面目な報道だと思って見るから腹が立つのであって、『羽鳥慎一モーニングショー』と銘打っている通り「ショー」なのです。つまりは如何に視聴者に面白おかしくトークするかに重点を置いていて、事実は二の次であることを最初から宣言しています。
      このような時事漫談では、ありきたりのことばかり言っていては商品としての番組価値を決める視聴率が稼げないので、多少アブナイ尖ったことを言うコメンテーターを混ぜることが必須です。局側も玉川氏の替わりが見つかるまで続投させざるを得ない事情があるのかと邪推しております。
      従って眉唾ものの「ショー」を楽しむためには、視聴する側もある程度以上の見識を求められます。何も考えず「ショー」を鵜呑みにするのはBPO(BakaでPaーなOtomodachi)です。

  • 「これからは現場に足を運び、取材をし、事実確認をして報告する。」
    って、
    「いままでやってなかったんかえ(@_@)」
    と突っ込んだのは私だけ?

    • アサヒ歴20年にもなると、「いままで自席で、都合の良い妄想をもっともらしいストーリーに仕立ててしゃべってました」と脳内変換され、かつ 驚かなくなります。
      ※朝日新聞から真実を探るという、なんのメリットもない能力を開発してしまったと愕然として朝日を解約したのは秘密です。だって 知りたい事は絶対紙面に載らないのですから。。

  • 当該の番組は見ておりませんが、時間差で上念司氏のyou tubeにて事の顛末を知りました。

    そこで一番驚いたのは、当人があの番組を「報道」番組だと考えてらしいと知ったことです。私はアレをてっきり出悪い悪いバラエティぐらいにしか思っていなかったからです。

    まぁたとえバラエティ番組でも言っていいことと悪いことはあるワケですから、彼のあの最初のふざけたコメントには憤りは覚えましたし、彼自身がTV朝日の社員であることから会社自体の責任は免れようもないとも、ここに投稿したりしました。

    少なくとも本人がアレを「報道番組」だと認識していたら、今まで「現場に足を運び、取材をし、事実確認をして報告」してこなかったことをどう考えているのか、そこをもっと突っ込んでみたくもなります。

    その程度の認識の下で制作されていたバラエティショーもどきの番組に乗せられて、TV画面の前で政府や与党関係者の言動に一喜一憂、或いは大いに悲憤慷慨させられていた、情報弱者のじじばば及び朝からど暇モード満点の主婦の皆様が、これでようやく目を覚ましてくれたら、等という儚い夢を抱くほど性善説に立つ私ではありせんが、どうかそのような人がたとえ一人でも二人でも、増えてくれる事を願わずにはいられません。

  • テレ朝的には、プロの域に達してなかった玉川氏が、すこしのお休みを経てプロの域に到達したって判断したってことなのかな?

    報道のプロって、とっても軽いんだなって思ったのです♪

    • まー上手い下手カンケー無くカネ取ってやってりゃプロっスから
      プロフェッショナルは必ずしもスペシャリストじゃあないっつーコトで

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