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「報道機関はファクトチェック対象外」は妥当なのか?

メディア出身者が主体となって設立されるらしいファクトチェックのための主体を巡って、報道機関(メディア)をファクトチェックの対象から外すらしい、という記事がありました。もしこの情報が事実なら、これは非常におかしな話です。これについてはそもそもネット空間でSNSが発達した要因のひとつが「メディアが発信した情報のファクトチェック」だったという側面があるからです。

メディアの闇

日本では法的な権力者は選挙で選ばれる

日本は自由・民主主義国です。そして、この「自由・民主主義国」の意味は、日本という国家における権力者は、基本的には民主主義の手続で選ばれなければならないという意味であり、また、企業も基本的に法律で売上が決められるのではなく、自由経済競争を勝ち残らなければならない、という意味です。

このあたり、官僚・公務員は(さして難しくもない)公務員採用試験を受かっただけの存在であり、基本的には選挙の洗礼を受けていません。したがって、日本を官僚や公務員らが実質的な権力を握るような社会にしてはなりません(当ウェブサイトで財務省などを「選挙によらない権力者」と批判する理由もここにあります)。

ついでにいえば、企業が大儲けするという状況も、その企業が提供する製品・サービスが市場で高く評価された結果でなければならず、法律の規定に基づいて巨額の利益を上げているような企業は、自由・民主主義の原理に反する存在です(法律で視聴者から受信料を半強制的に集めているNHKがその典型例でしょう)。

ただ、「官僚機構」、「NHK」などのように、自由・民主主義の原理に反する組織が存在していることは問題ではありますが、大きな枠組みで見れば、日本は自由・民主主義国であることは間違いありません。その典型例が、「日本では法的な権力者は選挙で選ばれる」という事実です。

たとえば国会議員の場合、衆議院議員は4年に1回以上、参議院議員は6年に1回、それぞれ有権者の審判を受けますし、内閣総理大臣も国会議員ですので、自身が有権者から選出されるだけでなく、国会議員の互選で勝たなければなりません。

自身が率いている政党(あるいは連立与党)が過半数割れを起こすなどした場合には、たとえ自身が国会議員のままであったとしても、基本的に政権を維持することは難しく、多くの場合は衆院を解散するか、それとも内閣総理大臣を辞任するかを選ばなければなりません。

また、最高裁の判事も、(かなり形骸化しているとはいえ)いちおうは国民審査を受ける必要がありますし、地方公共団体(都道府県、市町村、東京都特別区)の首長、地方議会の議員らついても同様に、選挙という手続で選ばれる必要があります。

つまり、政治的組織で大きな権力を手にする者(内閣総理大臣、国会議員、最高裁判事、都道府県知事、市区町村長、地方議会議員ら)は、基本的に公職者として選挙を通じ、有権者から直接的に選ばれたり、間接的に信認されたりしているのです。

「第四の権力」のお寒い実情

こうしたなか、普段から当ウェブサイトで取り上げている話題のひとつが、新聞、テレビを含めたオールドメディア業界の古くて閉鎖的な体質であり、とりわけ「自分に甘くて他人に厳しい」という「ダブル・スタンダード」ぶりにあります。その一例が、「第四の権力」という表現です。

このあたり、もしも「権力者」ならば、本来、有権者のチェックを受けるのは当然のことです。

ところが、新聞社、テレビ局などのオールドメディアの場合は、こうした有権者のチェック(たとえば国民投票など)を受けることはありませんし、また、自由経済競争の原理からも守られています。

たとえば新聞社の場合だと、新聞社が自社の製品である新聞に対し、本来ならば独禁法で禁じられているはずの「再販売価格指定」が可能ですし、新聞の戸別宅配網を通じて、新聞社の新規参入が事実上、阻まれてしまっています。

これに加えて一定の条件を満たした場合には、消費税等の軽減税率(本来は7.8%+地方消費税2.2%のところ、軽減税率として6.24%+地方消費税1.76%)の適用が可能であり、その分、税制の優遇を受けている格好だともいえます。

テレビ局の場合はさらに悪質で、国民の共通の財産である電波利用権については既存のテレビ局がほぼ独占的に格安の使用料で使わせてもらっており、諸外国で一般的に実施されている電波オークションの制度などは、日本では実施されていません。

そして最も悪質な組織がNHKです。NHKは自らを「公共放送」と名乗りながらも、放送法の規定で事実上、半強制的に視聴者から受信料を巻き上げ、本体だけで1万人を超える職員に対し、1人あたり少なく見積もって1600万円近い異常に高額の人件費を計上しているからです。

NHKが連結集団内に溜め込んでいる資産は、都心部の優良不動産物件に加え、過去にNHK自身が制作した番組の二次利用権、1兆円を遥かに超える金融資産(※年金資産を含む)など、時価評価すればかなりの高額に達することは確実でしょう。

つまり、新聞社は独禁法や消費税法などで、テレビ局は放送法や電波法などで、NHKは受信料制度などで、それぞれ自由・民主主義の原理に反し、非常に大きな社会的影響力を持ち、また、ビジネスを国家がやりやすくしてくれているという特権を与えられているのです。

これが「第四の権力」を騙るメディア業界のお寒い実情です。

コンテンツを誰がどう検証しているのか→誰も検証していない!

当然、こうしたオールドメディアは、経営学的に見ても非常に大きな問題ですが、それだけではありません。

新聞社、民放テレビ局、NHKなどが垂れ流しているコンテンツにも、やはり非常に大きな問題があります。

「記者クラブ」という特権的な組織に守られ、官庁などから独占的・優先的に情報を教えてもらえるという立場にあるという点もさることながら、誤報、捏造報道、偏向報道などが、あまりにも多すぎるのです。

このあたり、新聞社に関しては、慰安婦捏造報道や福島第一原発の吉田調書に関する捏造報道など、悪質なフェイクニューズが本当にたくさんありましたが、ただ、新聞社の場合だと現在の日本には報道内容を取り締まる法律がありません。

ウソを垂れ流した新聞社が、現在でものうのうと新聞の刊行を続けているというのも、じつに理不尽な話でしょう。

ただ、テレビ局に関していえば、放送法第4条第1項各号において、①公安及び善良な風俗を害しないだけでなく、②政治的に中立でること、③事実を曲げないこと、④意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること――が求められています。

そして、放送法の規定に違反した場合は、総務大臣は電波法に基づいてそのテレビ局に対し、本来ならば停波処分を命じることができるはずですが、もし総務大臣がそれを発動しようとしたら、オールドメディア業界は、それこそ一致団結してこれに抵抗しようとするでしょう。

現在の日本では、オールドメディア業界がお得意の「メディアスクラム」や「報道しない自由」を駆使し、放送法の規定をまともに守ろうともしないテレビ業界を全力で守っている格好です。

そして、これらのオールドメディアが垂れ流している情報の正確性や妥当性を「第三者が」検証する仕組みは、存在していないのです。

BPOという業界団体の問題点

こうしたなか、著者自身の専門領域のひとつが「監査論」ですが、これに関連し、以前の『「監査論」の立場から眺めるBPOと放送業界の問題点』でも指摘したとおり、放送業界には「第三者の検証が入らない」という、極めて大きな問題があります。

先日から「放送倫理・番組向上機構(BPO)」なる組織の問題点について議論しているのですが、これについて、本稿ではもう少し深いところから議論してみたいと思います。これには少しまどろっこしいのですが、敢えて公認会計士業界の内情から「独立第三者による強制力を伴った業務適正化の仕組み」について議論したうえで、こうした仕組みが放送業界や新聞業界、さらには官僚業界などに存在していないことによる問題点を探ってみたいと思います。会計と監査の不思議な関係公認会計士の本業は「XX」である「突然だが、ここで『クイ...
「監査論」の立場から眺めるBPOと放送業界の問題点 - 新宿会計士の政治経済評論

放送業界(民放とNHK)は「放送倫理・番組向上機構(BPO)」なる組織を作り、いちおう、放送内容については検証しているという建付けではあるのですが、そもそもBPOは放送法に規定されている公的な組織ではありません。単なる「自主規制団体」です。

しかも、本稿執筆時点において、BPOの理事・監事12人のうち、放送業界関係者ないし放送業界出身者が6人いますし、それ以外の理事・監事、あるいは「放送業界以外から選ばれる」とされる評議員らについても、いったい誰がどういうプロセスで選んでいるのか、よくわかりません。

すなわちBPOとは、実質的には放送業界が内輪で「放送内容の適法性を確保するための仕組みを作っている」というアリバイ作りを目的とした、実効性がない団体である、と結論付けて良いでしょう。その業界内で作った団体が「放送業界の倫理向上」などと謳ったところで、それはしょせん、「自己監査」に過ぎません。

あるいは盗癖がある人に警備をお願いするようなもの、とでもいえば良いでしょうか。

事実、テレビ業界における虚偽報道はあとを絶ちませんし、たとえばテレビで出演者が堂々とウソをつき、翌日謝罪に追い込まれたという事例は、『テレ朝で番組出演者が「電通関与は事実でない」と謝罪』でも取り上げたばかりです。

テレビ朝日の番組の出演者が、安倍総理の国葬儀における菅総理の弔事を「電通が関与した演出」だと決めつけるかのような放送を行った問題で、出演者が「関係者の皆さま、それから視聴者の皆さま、訂正して謝罪致します」「申し訳ありませんでした」と謝罪したそうですが、これはちょっと謝罪して済む話ではありません。しかも、菅総理や安倍総理に謝罪した形跡はありませんし、前日の放送で述べた「テレビでは演出は当然」とする趣旨の発言についての説明もなかったようです。菅総理の弔事は「電通の演出」今朝の『テレ朝、安倍総理国...
テレ朝で番組出演者が「電通関与は事実でない」と謝罪 - 新宿会計士の政治経済評論

こうした実情に照らすなら、しょせんは一種の「業界内の自主規制団体」に過ぎないBPOが、放送の倫理や品質の向上に役立っているとは到底言えないことは明白でしょう。

ファクトチェック

「ファクトチェックセンター」は報道機関を対象外に?

こうしたなか、メディア業界の「セルフチェック」という事例が、もうひとつ出てきたのかもしれません。それが、こんな話題です。

“ファクトチェック”はオカルト検証番組のことだったのか?

―――2022年09月30日 14時30分付 ITMedia NEWSより

ITメディアニュースによると、米Googleとヤフーの支援を受けて立ち上がった「日本ファクトチェックセンター」(JFC)を巡って、「報道機関はチェックから除外」とする方針を掲げていることに対し、一部のネットユーザーなどから疑問の声が上がっているのだそうです。

ちなみに「報道機関はチェックから除外」するという方針の根拠は、JFC側がガイドラインで定めるファクトチェックの「対象言説」を巡る、こんな取り決めにあるのだとか。

(4)正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関として運営委員会が認める者が発信した言説ではないこと」。

これに関しては例外規定もあるにせよ、基本的には「報道機関(メディア)はファクトチェックの対象外」、ということなのだそうです。「報道機関は正確性・公正性に努めているから除外する」、という意味でしょうか。

これが事実だとしたら、これをどう考えるべきでしょうか。

ITメディアニュースはこの取り決めを巡り、次のような考え方があるのではないかと予想します。

  • メディアがウソを発信すればその看板に大きなキズが付くことは言うまでもなく、発信主体が分かりにくいSNSなどの情報よりは正確性が高い
  • ファクトチェックできる人的資源も限られる中、メディアは正確性・公正性に努めているからファクトチェック対象から除外し、メディア発信以外の情報を精査することでネット空間全体の健全性を上げよう

…。

そもそもの前提条件が間違っている

このあたり、日本のメディアの問題報道の実情を知らない人が、理屈だけで考えれば、この考え方にも一理あるように見えるのかもしれません。

たしかにインターネット上では、「どこの誰が発信しているのかよくわからない情報」が蔓延していますし、なかには「一見するともっともらしいけれども、よく調べてみたら真偽が疑わしい情報」というものも多く紛れていることも間違いありません(当ウェブサイトの著者自身も、そのことを日々痛感しています)。

したがって、「メディアは絶対にウソをつかないが、ネット上の情報にはウソが多く紛れている」という前提が正しいのならば、「報道機関をファクトチェック対象からは外す」という考え方にも、一定の合理性はあるのでしょう。

ただ、この「メディアは絶対にウソをつかない」とする考え方、そもそもの前提条件に大きな間違いがあります。なぜなら、メディアがウソを垂れ流しているという事例は、枚挙にいとまがないからです(先ほど例に挙げたテレ朝の事例もそのひとつです)。

これについてITメディアの記事でも、次のように指摘されています。

確かにネット上には真偽の分からない情報もたくさんあるのだが、一方で特にSNSによるユーザー発信がもたらしたのは『メディアが発信した情報のファクトチェック』ではなかったか。よく、メディアの役割は権力の監視だといわれる。そのメディアを監視しているのがSNSという構造だ」。

ネット上には『記者より詳しいその道の専門家』がほぼ間違いなくいる。記者も記事掲載までには専門家などに必要な取材をするわけだが、最後は自分の言葉で文字にする以上、間違いや勘違いが起きることはある(それ以前のミスや思い込みもあるが)。ネットの集合知はそれを見逃さない」。

まったくそのとおりと言わざるを得ません。

このあたり、当ウェブサイトでもこれまでさんざん指摘してきたとおり、新聞、テレビでは基本的な経済、金融、会計などの知識などがない人が、誤った情報を堂々と垂れ流している、という事例はいくらでもあるからです(「悪い円安論」、「国の借金論(財政破綻論)」などがその典型例でしょう)。

また、もっと基本的な部分で、そもそも事実ではない内容を垂れ流していたという事例もありますし(慰安婦捏造報道など)、メディア関係者が取材をするときの態度の悪さ、事件・事故の犠牲者の実名開示を要求するわりにはメディア関係者の犯罪を報じるときには匿名にするという二重基準などの問題もあります。

「セルフチェック」は立憲民主党の議員からも批判されていた!

インターネット上では、こうしたオールドメディアのウソ、捏造、二重基準、態度の悪さなどを指摘する意見が多くみられますし、記者よりも遥かに深い知識を持つ専門家が新聞、テレビの情報の間違いを指摘するという事例も多いのが実情です。

これが、ITメディアニュースが指摘する「ネットの集合知はミスを見逃さない」の金言なのでしょう。

ちなみにこの「ファクトチェックセンター」に関する話題、ウェブ評論サイト『アゴラ』の次の記事では、もっと舌鋒鋭く批判されています。

朝日新聞OBの「ファクトチェックセンター」は朝日をチェックせず

―――2022.09.29 23:09付 言論プラットフォームアゴラより

『アゴラ』によると、この「日本ファクトチェックセンター」なる組織、編集長を筆頭に、朝日新聞の元記者などが多いのだそうであり、そのうえで「いまだに朝日新聞は、他のメディアをチェックできる一段上の立場だと思っているんでしょうか」と問題提起しています。

いずれにせよ、「メディアをファクトチェックの対象から外す」というこれらのメディアの報道が正しければ、これは「メディアが間違いを犯さない」という前提(いわゆる無謬性)の仮定を置いている、という意味なのかもしれません。しかし、もしそうだとして、「メディアはファクトチェックしません」、「メディア以外をファクトチェックします」と述べたところで、一般の人に対する説得力があるのでしょうか。

もっと言えば、「正直、新聞やテレビはミスを犯さない」という前提自体が間違っているのであり、あるいは、新聞やテレビがなかば意図的に誤った情報を流し続けている疑いすらある現状で考えるならば、むしろ新聞やテレビこそ、ファクトチェックの対象とすべきでしょう。

その意味では、日本ファクトチェックセンターが活動開始後に、新聞、テレビのファクトチェックをバンバンとやり始めれば、社会の評価も非常に良くなるのかもしれません。その意味で、同センターの活動には是非とも、オールドメディアの報道を中心とするファクトチェックを期待したいところです。

視聴時間では40代以下は「テレビ<ネット」:新聞購読率も下がる

ちなみにツイッター上では、立憲民主党の石垣のりこ参議院議員が2021年2月25日に発信した、「セルフ調査報告がまかり通る組織に自浄作用を望むべくもない」とするツイートも注目を集めているようです。

これを立憲民主党の議員の方がツイートなさったというのも興味深いところですが、「セルフ調査報告」といえば、まさにBPOの存在に代表されるテレビ業界を思い出すのは気のせいではないでしょう。あるいはこのツイート自体も、なにかのコントなのでしょうか?

もっとも、オールドメディア業界も、いつまでも「この世の春」を謳歌しているわけではなさそうです。

というのも、8月の『利用時間数でネットに敗北しつつあるオールドメディア』などでも取り上げたとおり、『令和4年度版情報通信白書』などを読むと、人々のテレビ視聴時間(リアルタイム視聴時間+録画視聴時間)がインターネット利用時間に追い抜かされつつあるからです。

10代の平日の平均新聞購読時間は0.4分昨年の時点で、全年代のテレビ視聴時間数がネット利用時間数に追い抜かれていました。総務省が公表する『情報通信白書』などに基づけば、若年層ほどネット利用時間が多く、高齢層ほどテレビの視聴時間が長いことが明らかなのですが、それと同時に、年々、ネットの利用時間が延びるという傾向が認められるのです。こうしたなか、今年版のデータは早ければ今月中にも公表されると見られますが、今後、いったいどうなるのでしょうか。総務省データ「主要メディアの平均利用時間」総務省が毎年公表して...
利用時間数でネットに敗北しつつあるオールドメディア - 新宿会計士の政治経済評論

利用時間数自体で見れば、50代以上の高齢層に関しては、テレビはまだまだ生活の中心にあるようですが、40代以下の層に関してはすでにネット利用時間がテレビ視聴時間を上回っている状況であり、年々、その差は大きくなっています。

新聞に至っては若年層の購読時間は微々たるものですが、それだけではありません。年々、定期購読率も落ちて行っているのです。

新聞通信調査会が例年公表している『メディアに関する全国世論調査』によると、「月ぎめで新聞をとっている人の割合」は、2008年度において、20代で75%、70代以上で92.9%でしたが、これが2021年度になると20代で32.4%、70代以上で84.0%だったそうです。

(※なお、該当するレポートはPDFファイルで提供されており、図表自体は同ファイルの33ページにある『図24-5 月ぎめで新聞をとっている人の割合(年代別)』で確認することが可能です。)

ネット時代のリテラシー

このあたり、当ウェブサイトとしても、インターネット空間に「すべての正解」があるとは考えていませんし、むしろ誤った情報、不適切な情報も多々あります。

すなわち、ネットでは「何が正しくて何が正しくないか」を常に自分自身の頭で考え続けることが求められますので、だからこそ、オールドメディアが与えてくれる「正しい情報」(?)をそのまま無批判に信じ込む方が、思考を節約することができて楽ではあるのでしょう。

しかし、著者自身の私見ではありますが、ネットで情報収集する癖がついている人は、おそらく、知らず知らずのうちに「何が正しくて何が正しくないか」を判断するための思考訓練ができているはずであり、新聞、テレビなどのオールドメディアの情報を鵜呑みに信じている人と比べて騙され辛いことは間違いありません。

これこそがネット時代に求められるリテラシー(情報を把握する能力)なのでしょう。

私たち一般人に求められるのは、「ネットの海」から情報を判断し、正しい情報、必要な情報を取ってくる能力を身に着けることであり、そうすれば、ファクトチェックを自ら続けていくことができるのではないかと思う次第です。

新宿会計士:

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  • 編集部が深刻な機能障害を起こしていると自ら認めたケースとして、日本経済新聞社が掲出した訂正謝罪事件があります。

    日本経済新聞 2022 年 9 月 28 日 公開記事
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL251VN0V20C22A9000000/
    「ロシア石油」記事検証 編集幹部の認識・確認不十分

    記事は誤った印象を読者に与えたと言っています。ギリシア沖海域で撮影した船舶の写真をもってして、事実の裏付けがないまま当該船舶が原油密輸を行っていると読者が解釈せざるを得ない論旨を展開したことを、撤回し記事見出しを書き換えました。

    撤回謝罪に至った経緯は記事をお読みいただければ分かりますが、以下の箇所は看過ならないと当方は考えます。

    当社(日本経済新聞社)は今回の問題をインド籍船側の指摘で把握

    もし「インド籍船側」が日本経済新聞社に連絡抗議しなければ、大きな見出しと大きな写真が伝えるところ「原油密輸犯人」は既成事実となって、世界に伝えられインターネットに永遠に記録されることになっていたことでしょう。これは「報道被害」以外の何ものでもありません。記事には以下の記述もあります。

    編集幹部の認識や確認が明らかに不十分だった

    そもそも今回は「OSINT=オープンソース検証」を新聞記事執筆の新しい手法だと強調する論旨展開で複数の記事が書かれています。新聞記者にそれができるのでしょうか。キーボードとマウスを操作して目覚ましい成果を上げることに関しては、新聞記者諸氏よりもよほど経験が長く腕のいい職業集団がいます。OSINT とは「既存のメディア劣化後退を見て彼らの足元をすくってやる意欲満々な集団」が掲げるスローガンであって、既存メディアにできないことを事実として証明し続けることが意欲の源泉なのは間違いないところでしょう。情熱とはそうゆうものなのです。

    「ロシア石油」「裏流通」の見出しとともにタンカー2隻の写真や映像を掲載した記事は、2隻がロシア産石油を取引したという誤解を読者に与えた

    上記文章が認める調査結果は、このような事例は氷山の一角でないのかとの疑念を深めるものです。別記事において編集部長氏は「(OSINT 手法の)活用により、官製の情報に頼らずに経済や社会に潜む問題を掘り起こせるようになった」と(呑気にも)語ります。編集部員全員に当方は伺いたいのですが、これまでの新聞記者の「取材」とはいったいなんだったんでしょうか。そして 「OSINT 手法が一般化」する時代にあって、新聞記者は一体何をするひとたちなのでしょうか。「もっと上手なひとたち」がたくさんいる状況にあって。

  • 伊藤律 サンゴKY 慰安婦や のアサヒシンブンOBが精査?
    伝単が 新聞名乗る 自由かな のアサヒシンブン出身者がw
    アサヒの事例からしても「報道機関名乗る宣伝組織」の垂れ流す情報は「正しい」と判断するのはいかがなものかと

  • お早うございます.またまた興味深い問題提起を有難うございます.

    >あるいは盗癖がある人に警備をお願いするようなもの、とでもいえば良いでしょうか。

    というよりも,BPOは被告自身に弁護士のみならず検察官と裁判官も選ばせる制度と呼ぶべきでしょう.

    何しろBPOで人権侵害や放送倫理などの問題を審査する3つの委員会の委員らの人選はBPOの評議員会に一任されています(BPO規約の第6~8章).

    従って,3委員会の委員長や委員は放送業界が起こした問題を追及し裁く立場にある検察官や裁判官(もちろん一部の人は弁護士の役割も果たすでしょうが)の役目を担っていることになります.

    その評議員会を構成する評議員の人選はBPOの理事会に一任されています(BPO規約の第5章).

    そして,BPOの理事会を構成する理事長と理事およびBPOの監事はBPOの構成員の推薦に基づいて選任されると定められています(BPO規約の第3章).

    そのBPOの構成員とはNHK,民放連盟,民放連盟所属各社,その他の理事会が承認した放送事業者であり,これら構成員がBPOの運営費用を負担する代わりに,前段落の通り理事会の人選の全権を握る,つまり放送業界の都合通りの理事会を構成する権利を有し,この理事会が理事会の意向通りに3委員会の人選を行うように全ての評議員を選ぶ権限を有する訳です.

    つまり,BPOを構成する全ての組織の全ての人員をNHKや民放連各社の思い通りに動く者だけとなるように構成出来るルールになっている訳です.

    即ち,放送業界が犯した人権侵害や虚偽の流布といった「犯罪」を追及し裁く立場にある「検察官」や「裁判官」の役目を担う3委員会の委員の全員はBPOの構成員たるNHKや民放連各社の思い通りに選べるということです.

    ですので,BPOに提訴された問題に関してはNHKや民放などの放送各社=BPOの構成員が被告の立場にある訳ですが,これら被告が提訴された問題を追及し裁く「検察官」役や「裁判官」役の人員全てを被告ら自身に都合の良い様に選べる構造になっている組織,それがBPOです.

    以上で参照したBPOの規約等に関してはBPOのサイト下にある次のページを御覧下さい.

    ・BPO規約と運営規則
     https://www.bpo.gr.jp/?page_id=1102#04

    こんな構成のBPOが放送界が犯している反社会的行為を適切に裁き問題を解決できると考える人がいるとすれば,余程の間抜けだけですね.

    やはり放送界が様々に犯す問題はBPOなどに委ねずに問答無用できちんと司法に委ね,司法によって裁かれるべきです.

    • 旭川イジメ事件の第三者委員会なるものが ほぼ加害者サイドのメンバーで構成されていたことや そもそも政府の諮問委員会なるものの人選が役所が行っているのも悪しき先例となっているのでしょう。司法も問題含みですがそれでも 司法に委ねることに賛成です。言論の自由とマスコミのあり方や 信教の自由と統一教会問題とか 外交と内政には境界線があって これについては山本七平氏が「日本はなぜ外交で負けるのか」で書いているとおりと感じています。

  • 他のなによりも「日本ファクトチェックセンター」と名乗っている所が問題ですね。
    これが「朝日ファクトチェックセンター」なら
    「ああ、朝日新聞ね。ぷっ」と冷笑されるだけで済んだのに……

    とはいえ、アゴラが叩き始めた事を考慮すれば影響力は決して大きくならなさそう。
    ネットに怯え続けているマスコミが少しでもストレス解消したくて
    始めた活動なんじゃないかな、と予想します。

  • 「日本ファクトチェックセンター」ってネーミングが、主語が大きすぎるんだと思います。
    Buzfeed関係者が作ってるっていうんで、余りマジメに調べる気にもなりませんが、
    どうもここが公式サイトらしいです。

    JFC公式?
    https://factcheckcenter.jp/
    「JFCファクトチェック指針」
    >これらの指針は国際ファクトチェックネットワーク(International Fact-Checking Network, IFCN)の行動規範をもとに、日本での実践例も参考にして作り上げられたものです。

    IFCNの行動規範の和訳サイト
    https://fij.info/introduction/ifcn-code
    >IFCNのCode of Principles
    >この原則に関する綱領は、公的な人物や著名な機関による言説、広範に流布されている公益の関する事項の言説の正確性について、不偏不党の立場から記事を恒常的に発表している団体のためのものです。(以下略)

    「公的な人物や著名な機関による言説」が対象だと、一丁目一番地で宣言してます。
    のっけから基本原則をねじ曲げているんじゃないですかね。

    >3. 資金源と組織の透明性
    >加盟団体は、自分たちの資金源について透明性をもちます。(以下略)

    JFCはgoogleとyahooの支援で設立されたとの報道ですが、JFC公式ページは資金源について一切記載がありません。
    googleは担がれたんじゃないですかね? Yahooは担いだ方か担がれた方かわかりませんが。

    • 出資者のGoogleやYahooは、なんでこんなユーザーから総ツッコミのチェック体制を容認しているのか聞いてみたい。

  • 一体何のファクトをチェックする機関なのだろう?
    既存の新聞社やテレビ局などが垂れ流す偏向報道は除外されるとするなら、反オールドメディアに対する規制が目的になる!…ということ?
    学○会○並みの滅国機関?

    • 匿名様

      ファクトは無限に存在します。
      何故なら、立場等が異なればファクトが
      無限に変化するからです。

      中共がより強大化する時点で、一番困った問題があります。
      それは近隣にある「日本」という存在です。
      日清戦争で負け、日中戦争も米国の手助けにより
      日本に勝利した事にしてありますが、日本と戦っていたのは
      国民党軍であり、共産党指揮下の八路軍ではありませんでした。
      この事実を封印する為、国字を繁体字から簡体字に変更する事で
      歴史を誤魔化し日本を悪者に仕立てあげているのです。
      中共の膨張を食い止める国は?と聞かれて多くの人・国は
      米国と答えるでしょうが、違います。
      米国は利権が無ければ、中共の膨張に無関心です。
      (第二次大戦に米国が加わったのは、欧州・中国利権の為でした。)
      膨張を食い止める国は、日本しかいない状況なのです。
      その為、アサヒで若者が中共に好意的などの寝言記事を
      掲載しているのです、
      つまりファクトチェックセンターの約有りは、現在のマスコミの
      中共ベッタリだけじゃ足りないと中共が判断したので、さらに
      中共ベッタリを推し進める為に、ネット上の検閲機関となる。
      これこそが役割であり、だから中共ベッタリのマスコミに対し
      検閲する必要性はまったく無いのです。

    • >一体何のファクトをチェックする機関なのだろう?
      報道機関の嘘に対するファクトチェックをチェックする機関じゃないでしょうか。

      つまり、報道機関の嘘をファクトチェックされると困るので、
      報道機関の嘘をファクトチェックした記事等を「ファクトチェック(名目)して一律嘘認定」することで
      「報道機関の嘘をファクトチェックした記事は全部嘘のファクトチェックだった(=報道機関の嘘が真実)」
      とレッテル貼りすることが目的の機関ではないかと。

  • そもそも論ですが、「報道機関は自主的にファクトチェックをしている」という信頼が崩れ、なのに「マスゴミは、その信頼感が崩れたことをみとめたくない」、「記事の内容のファクトチェックを行うと、社内、業界村の和が乱れる」ということで、問題解決を先送りにしているのではないでしょうか。
    蛇足ですが、そのうち、(公的なのか、有志連合なのかは分かりませんが)マスゴミのファクトチェックをマスゴミ関係者以外が行う正式な組織が、出来るのではないでしょうか。でも、そうなっても、東スポだけは、そのファクトチェックの対象外になるでしょう。というより、「うちはファクトチェックなんて関係ない。そのつもりで読んでくれ。ファクトチェックは、そちらでやってくれ」と言えば、よいのではないでしょうか。

    • 毎度、ばかばかしいお話しを。
      報道機関:「ファクトチェックなんてしたら、上司が機嫌が悪くなるじゃないか。社内の和が乱れるじゃないか。業界村の空気に反するじゃないか」
      これって、笑い話ですよね。

    • すみません。追加です。
      (別に日本だけとは限りませんが)報道機関を自称する組織が、本当に報道機関かは、誰が保証するのでしょうか。

  • 例えば安倍総理の国葬において反対デモ参加者が主催者発表で何万人というのは、あくまで主催者がそう発表したというのは事実です。ただ、本当にそれだけの人がデモに参加したかどうかという点では甚だ疑問です。デモ参加者の「主催者発表」は主催者の願望が込められており、事実の把握には向かないというのが定説です。事実を把握したければ、警察発表を参考にするのがいいのは明白です。

    ファクトチェックという活動そのものが、報道機関が行う「事実ではあるがバランスを欠く」報道を強化する宣伝のような気がしてます。

    そもそもファクトチェックなんて言葉を鵜呑みにする方が間違い。そう思います。

  • 会計監査の世界には「内部監査」と「外部監査」がある。
    自主的にチェックしながら、外部の目も入れるということ。

    今これがなければ他人の金で会社経営できないよ。

  • 「『日本ファクトチェックセンター』をチェックするセンター」が必要。SNSがその役割を果たすのを期待。

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