韓国の朴振(ぼく・しん)外交部長官が韓国の国会で1日、日本に対し、1998年の日韓共同宣言に盛り込まれた「反省とおわび」の見解を継承するように要求したと明らかにしたそうです。なんとも強烈な発言です。日韓共同宣言の精神に背く行動を取って来た韓国がそれを言うか、と呆れますが、それ以上に興味深いのは、韓国の国会自身が2001年、この共同宣言の破棄を要求する決議を全会一致で可決しているという事実でしょう。
二重の不法行為
「日韓諸懸案の本質的な原因は、韓国が①言いがかり、歪曲、ウソ、捏造などに基づき、②法的根拠のないことを日本に要求していることにある」――。
これが、当ウェブサイトでしばしば指摘する、「二重の不法行為」のことです。
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、竹島不法占拠問題という3つの大きなトゲは言うに及ばず、おもに文在寅(ぶん・ざいいん)政権時代に発生した火器管制レーダー照射事件やGSOMIA破棄騒動などのさまざまな諸懸案などを見ていると、それらの多くは2つのうち、少なくとも1つの特徴を満たしているのです。
ではなぜ、韓国はそのような不法行為を日本に対して仕掛けてきているのでしょうか。
その有力な仮説のひとつは、日本を半永久的に「道徳的劣位」の状態に置き、あたかも自分たちの方が日本よりも「上位の国」としてふるまおうというものではないでしょうか。
ちなみに「道徳的優位性」といった表現は、韓国メディアなどでは頻繁に目にするものですが、わかりやすくいえば、「被害者は加害者に対し半永久的に謝罪を要求することができる」、「加害者は被害者に対し、半永久的に罪悪感を持たなければならない」、といった、わが国(というか国際社会)にはない考え方のことです。
ここで重要なポイントがあるとしたら、「日本が韓国に対し、悪いことをしたかどうか」という事実認定の問題と、もし日本が本当に韓国に対し「悪いことをした」のだとして、それをどのように清算するか、という問題があります。
「いったん謝罪すれば問題は解決」、が通用しない韓国
当ウェブサイトなどは、このうちの「事実認定」の部分自体に疑義を唱えたいと思いますし、また、ありもしない歴史問題を韓国が日本に対して主張すること自体が立派な不法行為を構成していると考えているわけですが、この点はとりあえず脇に置きましょう。
百歩譲って、日本が韓国に対し、「反省し、謝罪すべきこと」をしていたとしても、これらについては半永久的に謝罪し続ける必要はありません。当たり前ですが、国際社会においては、いったん何らかの清算(たとえば謝罪と賠償など)が行われれば、多くの場合はそこで問題が解決し、終了してしまいます。
(※なお、イスラエルがナチスドイツの行為をいまでも執拗に追及し続けている、という事例もありますが、これについては本稿ではとりあえず取り上げません。機会があれば別稿にて議論したいと思います。)
しかし、韓国の場合は、日本が何度謝っても、基本的には許してくれません。
いや、もう少し厳密にいえば、「これをやれば許す」という基準が存在せず、ある政権の時代に「これっきりにするから日本は韓国に謝罪してほしい」などといわれて謝罪したところ、次の政権になってからまた謝罪を求められる、といったことが、いやというほど繰り返されてきました。
日韓共同宣言後も繰り返された「謝罪要求」
その典型例が、1998年に当時の小渕恵三首相、金大中(きん・だいちゅう)韓国大統領(※いずれも故人)が発した「日韓共同宣言」でしょう。
この共同宣言では日本の「反省」「おわび」などの表現が盛り込まれるとともに、「未来志向の日韓関係」が謳われました。故・小渕元首相の心中を忖度(そんたく)するならば、「過去についていちどきちんと謝罪し、ここで区切りとしたうえで、今後は未来志向の関係を作ろう」という決意でもあったのかもしれません。
しかし、残念ながら、この日韓共同宣言後も、韓国の大統領は日本に対し、謝罪や反省を要求し続けてきました。朴槿恵(ぼく・きんけい)元大統領などは、就任直後の2013年3月に、「被害者と加害者の関係は千年経っても変わらない」という、歴史に残る珍説を提唱したほどです。
[社説] 「加害者と被害者の立場は千年経っても変わらない」
―――2013/03/02 03:09付 東亜日報日本語版より
つまり、日本がどれだけ謝罪しても、どれだけ「反省」しても、韓国で政権が代われば、たいていの場合、こうした「謝罪や反省」はなかったことにされてしまいます。
しかも、2015年12月に安倍晋三総理が岸田文雄外相(現首相)に結ばせた日韓慰安婦合意などは、政権が代わったとたん、韓国によってあっさりと破られました。いとも簡単に約束を破る国とは、約束など成立するはずがありません。
こうした状況を踏まえるならば、韓国の要求に従い、ありもしない「歴史問題」を認めて「反省と謝罪」を表明してきた歴代日本政府の対応は間違っていたと断言できますし、今後、もしも日本が本当に「反省」しているのならば、歴史問題については正面から反論すること、不当な謝罪要求には絶対応じないことが必要です。
韓国外相「反省とおわび」見解の継承を要求
このことを踏まえて、時事通信のこんな記事を確認しておきましょう。
「反省とおわび」見解継承を 日本側に提起―韓国外相
―――2022年08月01日18時59分付 時事通信より
時事通信によると、韓国の朴振(ぼく・しん)外交部長官が1日の国会答弁で、先月日本を訪れた際、日本側に日韓共同宣言の「痛切な反省と心からのおわび」の精神を継承するように日本側に提起した、などと述べたのだそうです。
具体的には、朴氏は岸田首相や林芳正外相らとの会談で、次のように述べたのだとか。
- 金大中・小渕宣言の基本的な精神である日本の『痛切な反省と心からのおわび』を基にした21世紀のパートナーシップが重要だ。日本も継承・発展させる必要がある
- 韓国は関係改善のため努力を尽くしている。日本も応えて誠意を見せてほしい
なかなかに強烈な発言です。
何が強烈かといえば、そもそも日韓共同声明をめぐっては、2001年7月18日に韓国国会が「破棄を求める決議」を全会一致で採択したという事実があるからです。
対日関係全面見直し決議、韓国国会が採択
―――2001/07/18付 ウェブ魚拓サイトより【※朝日新聞記事】
自分の国の国会が全会一致で破棄を求めた日韓共同宣言を「尊重しろ」というのも、なかなかに困惑する発言ですし、なにより、日韓共同宣言以降も韓国の歴代大統領が日本に対し、繰り返し謝罪を要求したという事実を忘れて、どの面を下げて日本に「宣言を守れ」と要求できるのか、謎です。
いずれにせよ、日本政府は今後、くれぐれもいわれのない謝罪に応じることがあってはなりませんし、また、「佐渡金山の世界遺産登録」の件でも『やるなら徹底的に:佐渡金山登録を巡る3つのポイント』あたりで指摘したとおり、歴史論戦については「やるならファクトをベースに、世界に対し徹底的に主張する」べきでしょう。
政府は昨日、佐渡金山の世界遺産登録推薦を閣議了解しました。やるなら徹底的にやるべきです。その際のポイントは、①ファクト(事実関係)をベースに、②全世界に対して説明し、③ウソを徹底的に粉砕する、というものです。そして、外務省などは穏便にことを済ませようとしているのかもしれませんが、残念ながらそれは不可能です。なぜなら相手も歴史プロパガンダで世界を騙そうとする気マンマンだからです。佐渡金山の世界遺産推薦を閣議了解日本政府が佐渡金山の世界遺産登録を推薦する方針を巡っては、週末の『佐渡金山世界遺産登録は... やるなら徹底的に:佐渡金山登録を巡る3つのポイント - 新宿会計士の政治経済評論 |
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嫌だね
まっぴらだ
二度とするか
そもそもいっぺんでもした世代にムカついてさえいる
そもそも韓国国家が満場一致で破棄しているし。
https://web.archive.org/web/20020223100014/http://www.asahi.com/international/jk/010718a.html
韓国において存在しないものを継承は出来るもんか。
>しかし、残念ながら、この日韓共同宣言後も、韓国の大統領は日本に対し、
>謝罪や反省を要求し続けてきました。朴槿恵(ぼく・きんけい)元大統領などは、
>就任直後の2013年3月に、「被害者と加害者の関係は千年経っても変わらない」
>という、歴史に残る珍説を提唱したほどです。
朝鮮戦争の時にも北朝鮮と一緒に攻めてきた、朝鮮にとっては歴史上最大の
加害者であったはずの中国の加害は無かった事にして、ゴロツキ国家の祭典に
西側の首脳としてほぼ唯一参加したくせにね。
盧武鉉辺りの頃は、大統領個人が駄目だと思っていたが、韓国という国自体が
根本的に駄目なのだと悟ったのは、朴槿恵からだった。
こんなどうしようもない連中の空虚な「歴史認識」を尊重してきた国内の左翼の
低能さにも吐き気がする思いだった。
>自分の国の国会が全会一致で破棄を求めた日韓共同宣言を「尊重しろ」というのも、なかなかに困惑する発言ですし、
日韓慰安婦合意を破棄した事を考えれば、支離滅裂かつ首尾一貫していない事で首尾一貫している民族なので、困惑せずにいられるかと。
何せ、歴史すら整形する整形民族ですから。
結局、韓国政府が自国民=韓国人を抑えられない、説得できない
納得させられないという事の公式宣言なのでしょうね。
数日前までの「謝罪の言葉は(最低限)必要」という態度から
「反省とおわびの見解の継承」に譲歩してやっている、という
韓国人の有害無益な押しつけ性向全開とでも言うべきでしょうか?
マウントの余地を残し、自分たちで自分の排出物の処理はしない、
できない、という、恐ろしく自分勝手でかつ無能すぎる穢らわしい
思考の表出だと思う。
それにしても、"国民は神様です"が行き過ぎているというか、
多数決万能の(日本の)小学校の学級会とは、また、違った
意味で民主主義を誤解しているというか。
政府が国民を説得、抑えられないなら、国としての骨(国?)格を
持っていないと思うのだけど、韓国人たちはどう思っているの
でしょうか? (それにしても、韓国人は覚悟がないと思う。)
最近、国民を説得できませんというメッセージを何度も発していますね。それをなぜ他国に頼ろうするのか理解不能。今までどんだけ甘やかしてきたんだか。
韓国では謝罪とは「過ちを犯した劣等な人間です」「永遠の奴隷です」「序列下位者です」と宣言するという意味でしかないということは、韓国ウォッチャーなら割と知られている話だと思いますが。
そんな、韓国内だけで通じる常識を国際常識と勘違いして持ち込まれても、話は通じませんね。
謝罪に対する価値観は、各国で違いますが。概ね「過ちを認める」「過ちを許す」「関係をリスタートさせる」という点では共通しているので。
韓国くらいでしょう。謝罪を「奴隷生活のスタート」と認識している国って。
「反省とおわび」の見解を継承、というのも彼ら独特の価値観による「日本に対する奴隷認識の確認」であり、それを足がかりに譲歩を引き出したいという考えなのでしょうが。
日本としてはもうそれ、とっくに終わっているんですよねえ。当然、守っているし、謝罪の価値観から考えても、世界からもそう判断されます。
「反省とおわび」の見解を「奴隷宣言」として扱うのは、全くの筋違いなので「あっそう」と、日本による対韓外交は小揺るぎもしませんよ。
そんな幼稚な詭弁を慮ってあげられるほど、韓国が積み上げてきた諸々の問題は、もはや軽くありません。
彼らを見ていると、福本伸行先生が描く漫画のクズキャラが思い出されて仕方ありません。
「努力はしている」とか「謝っているとか」。そんな事言う前に、自力で問題解決しろと。行動で、責任を果たせと。
まあ、どうせ解決出来ないのは目に見えているので。
日本は謝罪も要求しないが、ず~っと、このまま解けない宿題と負債を抱えて貰うというのでいいと思います。
謝罪を飲ませて、代わりに破産の様にそれまであったことをリセットなんて、逃げ得じみた真似。自分にはちょっと許せそうにありませんから。
また、万一韓国が謝罪をしたとして。そこから韓国をずっとその責任を問い詰め続けるという、それこそ韓国のような真似もして欲しくないので。
会談なんかしたのが失敗。
完全な無視に限る。
政権が変わって、日本にとって嫌な方向としては、
とりあえず日本側の望む方向で一旦解決するふりして、
一年後とかにぶり返すパターンだと思うのですが、
引かぬ媚びぬ顧みぬで貫き通してもらっているので、
ある意味助かります。
在日韓国人の作家、つかこうへい氏のペンネームは「いつか公平」からという仮説がありますが、
韓国政府および韓国人は、WW2後の国際体制における主権国家間の平等性を理解してるのでしょうか?
そもそも反日思想を持った人や団体を、丹精込めて育んできたのはほかでもない自民党でしょう。
反日の論理武装と教育面は日本の左翼が担いましたが、飯のタネとビジネスの場を提供したのは、オールド右翼なのですから。
日本の過去の行いを見て見ぬふりをし、すくすくと育った「子供や孫たち」の行動や発言にいまさら文句をたれるのは、あいた口がふさがりません。
丹精込めて育んだはさすがに嘘ですね。理由をつけて見ないよう(半分アメリカに言われて。半分 旧友邦として。なお、戦後あちらの政府にも話の通じる骨のある方がいたのは事実です。)友好国と信じて付き合ってきた。ならば合点がいきますが。
あと少なくとも安倍さんの合意は、「最後のチャンスです。世界が見てます。」の日本的温情は、読み通り 綺麗に裏切ってくれましたね。甘いっちゃ甘いのですが、個人的には理解できます。
日本人の特性として 「物事を荒立てない、非がなくても相手を配慮し丸く収める」があります。
これが やくざ国家に適用したのがまちがい。
小渕声明も、河野談話も うまく騙され粘着の素になってる。
外務省が無能すぎて相手の本質がわかっていない ということです。
ただしくは 中国のように躾けるということ。
エサを与えて懐柔するより 服従するまでエサを与えないのが 正解のようです。
竹島侵入、海洋調査もいつもの遺憾砲にとどまらず 入国ビザ免除停止の延長などで 警告を出すべきです。