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韓国の海洋調査船3隻、日本の領海に不法侵入か=産経

またしても、違法行為の疑いが出てきました。産経ニュースの昨日の報道によれば、韓国の海洋調査船が、韓国が違法に占拠している島根県竹島周辺の日本の領海に侵入したことが、「政府関係者への取材で明らかになった」のだとか。これが事実だとすれば、まったく呆れる話というほかありません。

「尹錫悦政権下で日韓関係改善」

「韓国の尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権は日韓関係の改善に前向きだ」、などとする言説は、尹錫悦政権が今年5月に発足する前後あたりから、日韓を問わずさまざまなメディアで観察されました。こうした言説は、たいていの場合、「日本もこれに呼応して関係改善に誠意ある対応をすべきだ」、といった主張を伴っています。

ただ、ここで個人的な感想を申し上げておくならば、「日韓関係の『改善』」という表現自体、現在の日韓関係を描写するものとしては適切ではありません。『【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任』などでも議論したとおり、現在の日韓諸懸案は、韓国の日本に対する一方的な不法行為で構成されているからです。

世間では少し勘違いしている人が多いようですが、日韓諸懸案とは韓国の日本に対する「二重の不法行為」の問題です。解決する全責任は、韓国側にあります。そして、日本が議論しなければならないことは、「どうやって韓国に譲歩して折り合いをつけるか」、ではありません。「約束を守らない韓国を、どうやって罰するか」、です。本稿では「総論」として、これまでに当ウェブサイトで触れてきた「韓国の対日不法行為」の数々を、大ざっぱに振り返っておきます。韓国の対日不法行為、尹錫悦政権発足後に「風化」していないか?2022年5月1...
【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任 - 新宿会計士の政治経済評論

これを一般人の例でいえば、J家の隣に住むK家が、折に触れて「お前のお爺さんが80年前、俺のお爺さんに酷いことをした、謝れ!」などと言いがかりをつけてくるだけでなく、両家の境界線の塀を勝手に動かしたり、J家に侵入して仏像を勝手に盗んで帰ったりしているようなものでしょう。

このような状態で「両家も隣同士だし、そろそろ関係を改善しましょう」などとK家から言われたら、常識的に考えて、J家としては「関係改善」よりも先に、まずは「加害者」であるK家が「被害者」であるJ家にこれまでのことをちゃんと謝罪したうえで、J家に生じた損害を回復するのが先だ、などと思うでしょう。

しかも、「関係改善に向けて日本側も誠意を示せ」、などと言われても、困ってしまいます。交通事故でいえば100対ゼロで韓国側に責任があるわけですから、正直、「出るところに出て徹底的に争う」という選択肢が日本にはありますし、また、そのようにするのが筋でもあります。

「日本も誠意を示せ」、などといわれても困ります。日本としては韓国の出方を待つしかありません。

尹錫悦政権も対日不法行為を発生させている!

ただ、はたして尹錫悦政権が、本当に日韓関係の「改善」に前向きなのかを巡っては、個人的には大変に疑問に思う事例も多々あります。

ここで改めて、「韓国の日本に対する不法行為の一覧表」を確認しておきましょう。

図表 韓国の対日不法行為の一覧表(※引用・転載自由)

(【出所】著者作成)

これで見ると明らかですが、日韓諸懸案は文在寅(ぶん・ざいいん)政権時代に多く発生しているものの、それは別に文在寅政権時代には限られません。朴槿恵(ぼく・きんけい)、李明博(り・めいはく)の両政権時代にも多々発生していますし、しかも、尹錫悦政権発足直後ですら、さっそくに懸案が生じています。

その懸案が、竹島問題です。

島根県竹島といえば日本の固有の領土ですが、それと同時に、李承晩(り・しょうばん)がサンフランシスコ講和条約発効直前に勝手に宣言した違法な「李承晩ライン」に基づき、韓国が一方的かつ違法に占領されたままです。

その竹島近海にある日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国の船舶が日本側に許可なく海洋調査を実施したのですが、こうした行動を見ていると、韓国側が述べる「韓日関係の改善」とやらが、大変に怪しい代物であると言わざるを得ません。

韓国側が日本の領海で違法な海洋調査の疑い

こうしたなか、その「続報」でしょうか、産経ニュースには昨日、こんな記事が出ていました。

韓国海洋調査船3隻、竹島周辺で領海侵入 7月下旬に異例の複数投入

―――2022/7/31 21:11付 産経ニュースより

産経によると、7月下旬にもやはり1週間程度の間、今度は日本の領海内で海洋調査船3隻が確認されたことが「31日、政府関係者への取材でわかった」のだそうです。これに関して、産経は次のように報じています。

韓国側は領海に侵入し、現場で『正当な調査活動だ』と日本側に主張。日本の排他的経済水域(EEZ)内で機材を運用していたとみられる様子も確認された。竹島周辺で同時期に複数の韓国調査船が投入されるのは異例だという」。

産経はまた、「国連海洋法条約では他国の領海内でも沿岸国の安全などを害しなければ『無害通航権』が認められる」としつつも、「海洋調査などは無害通航に該当しない」と指摘しており、産経のこうした事実ならば、韓国の行動は違法行為の疑いが濃厚です。

こうした行動を見ている限りにおいては、「韓国が国際法の精神に則って日韓諸懸案を解決する」という可能性は極めて低いというのが実情です。

それだけではありません。『韓国紙「日本は変化しないのに手を差し出す尹錫悦氏」』などでも取り上げたとおり、韓国ギャラップの調査によれば、尹錫悦政権の支持率は30%を割り込むなど、就任早々レームダック化が進んでいるとの兆候もあります。

「日本は何も変化していないのに、尹錫悦政権が韓日関係の改善により積極的になったのは危うい兆候だ」――。こんな主張が韓国側で出てきたようです。尹錫悦政権の支持率が20%台に下落したとの調査もあるなかで、韓国側では「日本に譲歩する尹錫悦大統領」への批判が高まっているようなのです。この点、日本との約束を守るかどうかは結局、すべては韓国側の選択であって、我々にできることは何もありません。「次の焦点は光福節の演説」?はぁ、そうですか韓国の尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権といえば、日本国内では当初、「悪化した...
韓国紙「日本は変化しないのに手を差し出す尹錫悦氏」 - 新宿会計士の政治経済評論

このように考えていくと、「尹錫悦政権下で日韓諸懸案の解決が図られる」とする期待自体、いかにも非現実的であると断言せざるを得ないでしょう。

新宿会計士:

View Comments (6)

  • 5月の林外相訪韓中も、調査船を活動させていた訳ですし、今度は3隻。

    尹錫悦政権が言う「日韓関係改善」は気だけで、行動面は真逆という事がハッキリしました。

    だから日本も気だけ「日韓関係改善待ったなし」、行動面は真逆にしないとバランスがとれない。

    日韓関係改善の為に、戦略物資の政策対話に3年以上応じない国は、自動的に1ランク落とすと明文化しては如何。

  • 外務省が害務省なのは官僚の責か政治の責か?
    官僚ニクシ視点から二元論的に官僚の責とするならば官僚は責任回避のためますます前例踏襲・先送り文化が咲き乱れ、政治の責とするならば"気に入らぬ"政治家をパージすべく日に影に躍活する官僚がそこかしこ…
    デハ政治家ニクシ視点に立てば…選んだの誰~からのオレは入れてないアタシが入れたい候補者居なかったエトセトラからのならジブンで立てばイイジャンあらブーメラン??
    黒白つけず半ば官僚半ば政治の責とせばソコは社会合議制の色濃いわがくにのコト、うだうだクッチャベッテんだかネゴネゴしてんだかイツノマニヤラ()なんとな~くそれとな~いケツに至り「ミンナデカンガエタンダカラ」誰が責任とるのん???状態…
    まー結果は国益に振りかかってくるから全国民で案分かぁ

    • 訂正
      ×外務省が害務省なのは
      ○外務省が害務省になるのは

  • こういう船こそ拿捕ってしまえば、多少は中国への見せつけのもなるのでは???

  • 韓国の対日外交カードって「嫌がらせをやめて欲しかったら何かくれ」というチンピラかヤクザかタチの悪い乞食の手段以外にありましたかね?

    対共防波堤として機能する見込みもないし、さっさとまた消えてしまえば良いのに。