円安の影響もあるのでしょうか、隣国でもウォン安が進んでいるようです。本日は瞬間的に、1ドル=1298ウォン台を記録したようです。すでに2年3ヵ月ぶりのウォン安水準ですが、もしも引け値ベースで1293ウォンの大台に乗せるなら、ウォンはじつに13年ぶりの安値水準に達したことになります(もっとも今後、為替介入が入る可能性もありますが…)。
ウォン安=1ドル1298ウォン台
韓国の通貨・ウォンの下落が加速し、本日は瞬間風速的に1ドル=1298ウォンを記録したようです。WSJのマーケット欄によれば、日本時間の本日午前中に1ドル=1297.97ウォンを示したほか、『Investing.com』のクオートでは日中最安値として「1ドル=1,298.33ウォン」と表示されています。
日本円が昨日から1ドル=136円台と1998年9月28日以来の24年ぶりの安値水準に沈んでいる影響も出ているのかもしれません。
ちなみに韓国銀行のデータベースによれば、日中最安値ベースでみると、2020年3月19日に記録した1ドル=1296.00ウォンの水準を超過しており、その意味ではすでに「2年3ヵ月ぶりのウォン安水準」に達した格好です。
また、日本時間の午後1時半時点の為替相場は1ドル=1296ウォンを少し超えているくらいですが、もし本日この状態で取引を終えるならば、2009年7月14日の1ドル=1293.00ウォンを超過し、13年ぶりのウォン安水準となりそうです。
もっとも、ウォンの為替レートはこのところ連日、引けにかけて買い戻される展開が続いています。おそらくは韓国銀行による為替介入でしょう。もしかすると本日も引けにかけて1ドル=1293.00ウォン未満の水準にまで買い戻されるかもしれません。
すなわち、本日、「13年ぶりのウォン安水準」に立ち会うことはできるかどうかはまだ確定していない格好です。
韓国銀行の為替介入能力はどうなっているのか
もっとも、まだ気が早いかもしれませんが、仮に1ドル=1293.00ウォンの大台を引け値ベースでも超過してしまうと、今後はウォンがどこの水準を目指して下落していくのかについては興味深い点です。というのも、韓国の外貨準備高統計が、なんとも怪しいからです。
韓国の2022年5月末時点における外貨準備高については公称で4477.11億ドル(うち現金預金と有価証券の合計額が4233.55億ドル)とされているのですが、もしも韓国銀行が本気で通貨防衛を行うにしても、防衛しきれるかどうかは微妙でしょう。
というよりも、韓国は外貨準備の多くを流動性が低い有価証券などで運用しているのではないか、という点は、以前から市場参加者間で提起されている疑問点のひとつです。
実際、米国財務省が公表する米国証券投資データ(Treasury International Capital Data, TIC)によると、2022年2月末時点における韓国全体の米国内の証券投資は5688億ドルで、内訳は債券が2113億ドル、株式が3575億ドルであり、米国債は1046億ドルに過ぎません。
これに関し、先日の『「韓国は外貨準備高を倍増し危機に備えよ」=亜洲経済』でも取り上げた、韓国メディア『亜洲経済』(日本語版)の『[キム・デジョンのコラム] 尹錫悦政府、初の課題は「国際金融競争力」向上』という記事には、こんなことが記載されています。
「韓国銀行の外貨資産構成を見ると、国債36%、政府機関債21%、社債14%、資産流動化債券(MBS)13%、株式7.7%、現金5%だ」。
この「国債36%」という記述から逆算すれば、韓国が保有する外国の国債の金額は1500億ドル少々という計算ですが、TICレポートの1046億ドルとは依然として400~500億ドル程度の差が存在しています。
想像するに、韓国銀行はリスクが高い国債(南欧諸国の国債など)や流動性の低い国債(中国国債など)にも、かなりの程度、投資しているのではないでしょうか(※このあたりは開示資料がないので想像によるしかありませんが…)。
通貨スワップ待望論にも要警戒
この点、国際決済銀行の『国際与信統計』などを読むと、韓国の企業などは常に外国(とくに英米両国)の金融機関から1000億ドル程度の外貨を短期で借り入れています(『世界の金融機関の「カネの流れ」とウクライナ復興金融』等参照)。
日本は引き続き世界最大の債権国であり、円安で大いに潤っているはず――。そんな最新データが出てきました。当ウェブサイトで定例的に観測している「国際与信統計」(CBS)のデータです。また、アジアにおける金融では、英国が日本よりも大きな存在感を示しているという姿も見えてきます。その一方でいま最も注目しておくべき視点のひとつは、ウクライナの復興融資がどうなるか、でしょう。現在のところ、ウクライナは外国からさほど多くのカネを借りていないのですが、これがどう変わっていくのでしょうか。国際与信統計(CBS)... 世界の金融機関の「カネの流れ」とウクライナ復興金融 - 新宿会計士の政治経済評論 |
韓国メディアからしきりに流れてくる「500~1000億ドル規模の通貨スワップ」という議論も、韓国という国の資金調達構造に照らせば、韓国が常にその程度の金額を必要としているという証拠でもあるのでしょう。
もしかすると今後、韓国メディアからは「韓日通貨スワップが必要だ」などとする主張が、よりいっそう出てくるかもしれません。
この点、某ウェブサイトには先日、「まずは日韓通貨スワップの再開で信頼関係を醸成せよ」、などとする主張が掲載されたようですが(『【インチキ論説】関係修復の第一歩は日韓スワップから』参照)、少なくとも日本にとって日韓通貨スワップを締結するメリットは皆無でもあります。
そろそろ、日本のどこかの新聞社が「日韓協力のあかしとして、金融分野で日韓通貨スワップを推進すべきだ」、などと書き立てたりしないかと思うようになりました。昨日は再び、1ドル=1290ウォンの大台を突破するウォン安水準となったからです。そこで本稿では久しぶりに、日韓通貨スワップの日本側のメリット(※インチキ)を通じて日韓通貨スワップ待望論(※インチキ)を掲載してみます。(なお、本インチキ論説は転載自由ですが、もし転載なさるなら必ず出所は明記してくださいね、新聞社さん!)またしても、ウォン安だ。外為市場... 【インチキ論説】関係修復の第一歩は日韓スワップから - 新宿会計士の政治経済評論 |
いずれにせよ、「韓日関係改善のため」といった甘言に政治家が騙されないことを祈りたいところです。
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15時半頃には、瞬間で1300KRW/USDを超えましたね。
今investing.com見たら1301.77でした。
15:45で1,302 ウォン台。下げ止まりがみえません。韓国銀行得意の介入は?実弾不足?
取引時間15:30終了後に1300の上に跳ねましたね。
下値も切り上がってますし、いい感じです。
KOSPIの下落も加速中。
16:10頃に瞬間的にですが1304ウォン台
どこまでいくか楽しくなってまいりましたぁ
コロナ禍、ウォン安等で財務状況の良くない財閥が破綻すると銀行融資が焦げつき、それを嫌って外国人投資家のキャピタルフライトが一気に進み株価とウォンの破滅的下落が進行する。韓国通貨危機のパターンが再現するかも。いやね他人の不幸を喜ぶわけではないんですけどね(棒読み)。
1300超えましたね。
介入については逐次投入してて全く意味なく溶かしてるものと想像。
そろそろヘッジファンドがお金握りしめてやってくる頃かと。
15時頃買い物に出かけ,先ほど帰宅したら一気に1300の壁を突き抜けていてビックリしました。
今週末ぐらいにはひょっとして?なんて思ってはいたのですが,意外とあっさり逝きましたね。
もはや1200台に戻ることはなさそうな気もします。
本日もうすぐ晩酌タイムに突入しますが,なんか酒ウマ~な夜になりそうです。(笑)
1305,02ですね。
2年前の春先には1300突破に100wベットして、負けましたが、今日はリベンジです。
ダウ先が急落してるからでしょう。ガチガチ連動ではないですが、基本連動ですよ。今日パウエルが議会で何か言っちゃいそうだから?か。
10年利回りは下がって来てるのに、円、ウォンの動きは分かりませんが。