ヘタレ国家・ロシアがドル建てユーロ債の元利払いをやっぱりドルでも実行したようです。また、昨日はルーブルが米ドルに対し昨年11月以来の高値を付け、ロシア中銀が金利を17%から14%に引き下げるなど、「見た目」はルーブル危機が去ったかのような状況が生じつつあります。しかし、政策金利自体がウクライナ侵攻前には9.5%だったこと、現在のロシアでは企業に外貨収入の80%をルーブルと強制換金することが義務付けられていることなどを忘れてはなりません。
ロシア中銀が再利下げ:17%から14%に
ロシアの中央銀行が再び利下げに踏み切ったようです。
Bank of Russia lowers key rate by 3 percentage points to 14% per annum
―――2022/04/29 21:55付 タス通信英語版より
ロシアのメディア『タス通信』(英語版)によると、ロシア銀行は金曜日、政策金利を17%から14%に引き下げると発表。ただし、ロシア中銀は同国経済を取り巻く外的環境が「依然として挑戦的」であるとしつつ、状況次第では年内にさらに利下げをする可能性がある、などとしています。
このあたり、たしかに最近、ロシアの通貨・ルーブルの為替相場自体は安定し始めています。
ルーブルはロシアによるウクライナ侵攻が発生した2月24日以来、西側諸国の経済・金融制裁の影響で、3月には一時1ドル=150ルーブル近くにまで売られていましたが、同じくタス通信の次の記事によれば、昨日時点ではルーブルが1ドル=71ルーブルと、昨年11月以来の高値を更新したのだとか。
Курс доллара на Мосбирже опустился ниже 71 рубля впервые с ноября 2021 года
―――2022/04/29 16:02付 タス通信より
いったんルーブルで払った元利金をドルでも払った模様
さらには、『ロシア外貨建て国債にポテンシャル・デフォルトの判断』でも議論した、「5月4日までに米ドルで元利払を行わなければ、ISDAのDCがロシアにデフォルト宣言をする可能性がある」という話題にも、続報があったようです。
ロシアが誇る対独戦勝利記念日である5月9日に向けて、首都の名を冠したモスクワ艦の撃沈以外に澪、もうひとつの「戦果」(?)が出て来ました。ISDAのDCは20日、ロシアがドル建てユーロ債の元利払をルーブルで行ったことを「ポテンシャル・デフォルト」と認定したようなのです。もしも猶予期間内にドルでの支払いがなされなければ、ロシアは5月4日に正式にデフォルト認定される可能性が出て来ました。5月9日に向け目標を修正『ロシア「5月9日までの勝利宣言」に合わせ目標修正か』でも取り上げたとおり、ウクライナに対... ロシア外貨建て国債にポテンシャル・デフォルトの判断 - 新宿会計士の政治経済評論 |
例の「ロシア財務省がルーブルで強引に支払った」とされる、ロシア政府発行のドル建てユーロ債を巡り、ロシアのメディア『インターファックス通信』(英語版)は、ロシア財務省が元利払いを米ドルで実行したと発表した、などと報じています。
Russian MinFin makes payments on 2022, 2042 Eurobonds in dollars
―――2022/04/29 22:03付 インターファックス通信英語版より
あくまでもロシア政府の発表に基づけば、同国財務省は、2022年償還物については5億6480万ドルの元利金を、2024年(※「2042年」の誤植でしょうか?)償還物については8440万ドルのクーポンを、それぞれシティバンクのロンドン支店に対して送金したのだそうです。
もしこの発表が事実なら、当初の「デフォルト上等!」とばかりのロシアによる勇ましい掛け声も、結局はデフォルトが迫るなかで、ロシアとしては「ヘタレ」たかに見えてしまいます。このあたり、「越えてはならない一線」を越えないという点では、中露朝韓「赤クアッド」に共通のテンプレートでもあるのでしょうか?
一見すると危機は去ったようにもみえるが…
いずれにせよ、今回の利下げや国債の元利払いなどの報道だけを見ていると、一見すると、ルーブル危機は去ったかに見えます。
ただ、少なくともロシアの為替相場に関していえば、こうした状況は、あくまでもさまざまな通貨防衛策が強引に導入されたことの効果と見るべきかもしれません。たとえば、インターファックスの次の記事によれば、ロシア企業は輸出取引などで得られた外貨収入の80%を強制的にルーブルと交換しなければならないようです。
Russia requires exporters to sell 80% of FX revenue, figure could top $400 bln by year’s end
―――2022/02/28 13:12付 インターファックス通信英語版より
また、ロシア中銀が一時20%にまで引き上げていた金利を14%に下げたことは事実ですが、この政策金利自体、ウクライナへの軍事侵攻直前では9.5%だったことも忘れてはなりません。依然として、開戦前と比べ、金利は4.5ポイントも上回っているのです。
さらには、西側諸国による経済・金融制裁がロシア経済にどのような影響を与えるのかについては、実際のところ、正確に予測することは難しく、むしろ「輸入金額としては少ないけれど、経済を動かすうえで欠かせない部品」のようなものの存在は、むしろ今後少しずつ判明していくはずです。
いずれにせよ、当ウェブサイトでは『意外としぶとい?ルーブル「紙屑化」の可能性を考える』などでも述べてきたとおり、「これだけ」でロシア経済を崩壊させることは難しい、などと考えてきたことは事実です。
北朝鮮を道連れでどうぞルーブルが、意外としぶといです。もちろん、国際社会が対露制裁をさらに強化すれば、ルーブルがさらに下落することはあるかもしれませんが、だからとって「紙屑化」するのかどうかに関しては、非常に気になるテーマです。ロシアは内に籠ることができる国でもありますし、北朝鮮のように長年にわたる経済制裁にしぶとく耐えているという事例もあるからです。金融制裁・現時点までの効果金融制裁発表から1週間ロシアがウクライナに軍事侵攻したことを受け、国際社会がロシアに対する厳格な金融制裁を発表してか... 意外としぶとい?ルーブル「紙屑化」の可能性を考える - 新宿会計士の政治経済評論 |
しかし、それと同時に、今回のロシア中銀による利下げを、「ロシアに対する経済制裁は効きが悪くなってきた証拠」などと軽率に判断すべきではありませんし、むしろ今後は経済面に加え、武器供与などを通じた軍事・外交面での圧迫を強めていくべき局面でもあります。
その意味では、金融という世界における西側諸国とロシアの対決は、当面続くと見ておくのが正解でしょう。
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>一見すると危機は去ったようにもみえるが…
ロシア産の原油や天然ガスの販売先が限定されるってことは、購入先(中印?)から足元をみられて買い叩かれるってことです。
そしたら玉突きで、中印に納入予定だったブツが他の諸国に行き渡ることになり、ロシアは一人負けすることになるのかと・・。
一見、無効化されかねない制裁でも巡り廻ればロシアの体力を削ぎ落すには十分なのかもですね。
石油、天然ガスで得られる収入は、ウクライナ侵攻以前より却って増えているという記事を見かけます。まあ、収入は増え、西側諸国がモノを売ってくれなくなったせいで支出は減って、となったら、ドル、ユーロの手持ちはその分増えてるはずですから、当分ルーブル相場は維持され、ドル建て対外債務も支払うことができるということなのでしょう。
それにしても、「デフォルト上等!」と尻まくった割には、えらくおとなしくなりましたね。
「ドル経済圏から閉め出されるんやったら、ウチで面倒見たる」という、C国様からの力強いお言葉は、どうもえられなかったようですね(笑)。
気になるのは、1ドル=71ルーブルが現実のレートかどうかです。つまり、71ルーブルあれば1ドル紙幣と交換できるかどうか。
答えはノー。3月9日以降、ルーブルを外貨に替える両替が禁止されています。ルーブルをドルに替えるには闇市場で替える必要がありますが、その闇レートがどうなっているかです。そしてそのレートが現実のの為替レートです。
ブレジネフがソ連を支配していた1978年、ドル=67コペイカ、1ルーブル=1ドル50セントという公定レートがあり、ルーブルは世界一強い通貨と宣伝されていました。外国人観光客がソ連でおみやげを買う時はこの公定レートでドルをルーブルに替える必要があります。
その一方、闇レートは1ドル=8〜10ルーブルと伝わります。ロシアとの貿易決済でこの闇レートを利用していた企業や個人はいたと思われます。なお、ルーブルと外貨の交換は銃殺刑または3年以上の強制労働でしたから命がけです。
今の北朝鮮と同じですね。
余談ですが、日本外務省のロシア関係者は公定レートと闇レートの差を利用して「ルーブル委員会」なるものを設け、裏金作りで私腹を肥やしていたという疑惑があります。
ルーブルの闇レートですが、詳細な情報がまだわかりません。ある情報だと1ドル=130ルーブルだそうですから、2倍近いです。今後は北朝鮮同様、闇レートで内情をうかがうようになるかもしれません。
先立っての
ロシア国内ルーブル払方式
発表の際は、
ロシアさんは利払いを
踏み倒す気マンマンなのだと
思っていました。
もしもあんな方式で
デフォルト免れるというのなら
この先真似する国も出てきてしまい
その影響で
真面目な借りてまで
借りれなくなって
金融秩序崩壊すると感じました。
指名手配のチンピラさんが
借り手に対して言うのに、
お前さんへの返済は
うちの家にあるお前の貯金箱に
入金したから返したことにしろよ
ええな ゴラぁ~??? 的な
とても通用しない理屈です。
単に国家の問題だけでなく、
人々のモラルにまで影響するもので
借金踏み倒し画策したい人たちは
『なるほどその手があったか』?
と小躍りし、
某Kさんや取り巻きの人とかも
膝を打って賛同しそうです。
ただ、プーチンさんの場合は、
非難される侵略・虐殺やめない一方で
デフォルト国家の位置づけは
へんなプライドからの未練があって
泣く泣くドルで支払ったとしたら、
それは制裁が有効な証でもあるとも感じます。