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NHKがネット配信の「社会実験」を4月下旬から開始

NHKは受信料利権を守るためになりふり構わぬ対応を始めたのでしょうか。ネットを通じてコンテンツを配信する「社会実験」とやらを4月下旬から開始するそうです。ただ、ここで改めて考えておく必要があるのが、果たしてNHKが「公共放送」とやらを騙るだけの資格がある組織なのかどうか、という点ではないかと思う次第です。

NHKはコンテンツの押し売り

自由主義経済の国で、商品やサービスを買ったわけでもないのにおカネを取られるということは、あまりないはずです。

当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』は、現在のところ、コンテンツの有料化には踏み切っていませんが、たとえば将来有料化に踏み切った場合、「インターネットを持っている人は当ウェブサイトを読むことができますから、読んでいない人もおカネを払ってください」などと呼び掛けても、おカネを払う人は皆無でしょう。

当たり前です。「読みたい人がおカネを払って読む」、「読みたいと思わない人は読まないかわりにおカネも払わない」。これは、小学生でもわかる話です。

ところが、こうした「当たり前」が通用しない、コンテンツの「押し売り」が強制される世界がひとつあります。

いうまでもなく、NHKです。

NHKの場合、放送法第64条第1項本文の規定に基づき、「テレビを設置すればNHKと受信契約絵を結ばなければならない」とされており、契約を結んでしまえば、その契約に基づいて受信料を支払わなければならない、という二段構えです。

放送法第64条第1項本文

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。

したがって、法律や契約をちゃんと守るという良き市民であれば、NHKの放送をただの1秒たりとも視聴していなかったとしても、テレビを設置した瞬間、NHKに対し、最低でも年間13,650円(地上波のみの契約)という、決して安くない受信料を支払わなければなりません。

NHKは受信料の使い方にも問題がある

ちなみに『NHK「1人あたり人件費1573万円」の衝撃的事実』などでも議論してきたとおり、NHKがその受信料を使って何をやっているのかという点にも注意が必要です。

1兆円を超す金融資産、不透明な連結決算に加えて「隠れ人件費」疑惑もNHKが2021年3月期(=2020年度)の財務諸表と連結財務諸表を公表しました。当ウェブサイトとしては、NHKが「公共放送」として相応しくないほど非常識に超高額な人件費を負担している点や、国民からかき集めた巨額のカネを1兆円以上、さまざまな形で保有している点を指摘して来ましたが、ここで最新状況について改めてまとめておくとともに、あらためて、NHKの「あり方」について考えてみたいと思います。NHK問題の要諦NHK問題をまとめると…?当ウ...
NHK「1人あたり人件費1573万円」の衝撃的事実 - 新宿会計士の政治経済評論

まず、1人あたりの人件費(※給与、賞与、諸手当、法定福利費、福利厚生費、退職給付費用等)が少なく見積もっても1600万円近くに達しています。国家公務員、上場企業の従業員などと比べても、異常な厚遇です。

これに加えてNHKは過去から取り立ててきた受信料を大量に蓄えており、たとえば連結集団内で見ると、職員らに対する年金資産を含め、1.1兆円を超える金融資産を抱え込んでいますし、渋谷の放送センターを筆頭に、都心部などの超優良不動産物件を保有しています。

余談ですが、『NHKの「隠れ人件費」600万円のケースもあるのか』でも触れたとおり、これまでに週刊誌など複数のメディアが、「NHK職員は格安の家賃で都心部などのとても豪奢な社宅に格安で入居することができる制度が設けられている」、とも報じています。

先日の『NHK職員に対する住宅手当に潜む「隠れ人件費」問題』では、NHK職員に対して月額5万円の住宅補助が出ているとする内部告発や、広尾の物件に2万円で住んでいる職員もいるらしいとする記事を紹介しました。これについて、もう少し踏み込んで補足しておきたいと思います。NHKの人件費問題事情は伏せますが、個人的にはこの数日、大変に忙しく、あらためて振り返ると、ここ数日の記事については誤字・脱字も多く、また、いくつか議論したい論点がすっぽり抜け落ちていたりもします。そのひとつが、先日の『NHK職員に...
NHKの「隠れ人件費」600万円のケースもあるのか - 新宿会計士の政治経済評論

このように考えると、NHKがかき集めている受信料水準は明らかに高すぎますし、その適正使用についても国会などを通じた監視・監督はまったく不十分と断言せざるを得ません。

さらにいえば、NHKが製作している番組は、紅白歌合戦や大河ドラマのように、明らかに「公共性」の定義から外れるものも多数存在しています。

たとえば、昨年末の『「公共放送の3要件」から明らかに逸脱する紅白歌合戦』などでも述べたとおり、『紅白歌合戦』なる番組自体、ポップ・ミュージックの歌手(や、最近だとユーチューバーなど)を出演させているという点では、どう考えても商業放送そのものです。

そもそも論として、超豪華な舞台セットで人気歌手が歌い踊る『紅白歌合戦』は、果たしてNHKが騙る「公共性」に合致しているのでしょうか。2006年の紅白歌合戦では、出演した歌手が素っ裸に見える格好で踊るという下品なシーンもありましたが、そもそも人気歌手を集めてきている時点で、それは単なる商業放送ではないかという気がしてなりません。本稿では改めて、NHK自身が主張する「公共性」について、考えてみたいと思います。テレビのない生活は意外と快適冒頭でひとつ、報告があります。かつてから報告しているとおり、著者...
「公共放送の3要件」から明らかに逸脱する紅白歌合戦 - 新宿会計士の政治経済評論

NHKを巡る諸論点を無視するかのように…

著者自身、「公共放送」という社会的存在を必ずしも否定すべきとは思いませんが、少なくともNHKがその「公共放送」を担う主体として適切なのかどうかという点については、まったく別の問題であると考えざるを得ません。

このように考えていくならば、「NHKを巡る諸論点」について、改めて国民的な議論が必要だと思う次第です。

NHKを巡る諸論点の例
  • ①現代の日本社会に公共放送というものは必要なのか
  • ②公共放送が必要だったとしても、現在のNHKにそれを担う資格があるのか
  • ③「見ない人からも徴収する」などの受信料制度は妥当なのか
  • ④1兆円超の金融資産、莫大な不動産などは、NHKの経営に必要なのか
  • ⑤少なく見積もって職員1人あたり1550万円超という人件費水準は妥当なのか

(【出所】著者作成)

ただ、こうした議論を無視するかのように、NHKは先週、こんな内容を発表しました。

NHK ネット通じ番組や情報届ける「社会実証」 4月下旬開始へ

―――2022年4月7日 18時12分付 NHKウェブサイトより

これによると、NHKは「インターネットを通じて番組や情報を届ける役割やニーズを検証するため、テレビを持っていない人などを対象に、専用のアプリやサイトを通じてサービスを提供する『社会実証』を、4月下旬から始める」ことに「なりました」、と述べています。

日本語の使い方がおかしいという点もさることながら、なかなかに強烈な話題でもあります。

そもそも論として、NHKが主張する「公共放送としての受信料」が正当化される理由があるとしたら、それは「NHKが全国への放送設備を整備するコストを負担しているから」、といったものがありうるかもしれません(※とりあえず、「本当にNHKがそのようなコストを負担しているのか」という事実関係は無視しておきます)。

しかし、インターネットを通じて番組を配信するという時点で、それはあくまでも「配信」であって、「放送」ではありません。

「正確、公平公正で多角的な情報」…なにかの冗談ですか?

これについてNHKの前田伸晃会長は7日の定例記者会見で、次のように述べたそうです。

皆様に、いつでもどこでも、命と暮らしを守り、正確、公平公正で信頼できる情報や、多角的な視点からの深みのあるコンテンツをお届けし、情報の社会的基盤としての役割をこれまで以上に果たす『新しいNHK』につなげていくことを目指す」。

…何かの冗談でしょうか?

そもそも論としてNHKが「正確、公平公正で信頼できる情報」、「多角的な視点からの深みのあるコンテンツ」を発信しているのかという点も疑問ですが、それ以上に感じるのは、受信料の支払義務のない「テレビ」が普及するなか、NHKが組織の存続をかけて、なりふり構わぬ業務肥大化に出ているという点でしょう。

そういえば、以前の『NHKとの契約不要「ドンキテレビ」好調につき再販へ』でも取り上げたとおり、ディスカウントストアのドン・キホーテが発売した「チューナーレステレビ」が、どうもかなりのヒット商品となっているようです。

NHKと受信契約の締結義務が生じないとされる「チューナーレステレビ」の売れ行きが好調なようです。ディスカウントストアのドン・キホーテが2月中旬から、チューナーレステレビの再販を始めるとの報道に加え、一部のメーカーは同様のチューナーレステレビの発売に踏み切っているのだとか。これなど、NHKの強欲が、結果的にはテレビ業界自体を道連れにしているようなものでしょう。ドンキのチューナーレステレビ『社会はチューナーレスTVによりNHK排除に動くのか』を含め、以前からしばしば当ウェブサイトで紹介してきた話...
NHKとの契約不要「ドンキテレビ」好調につき再販へ - 新宿会計士の政治経済評論

この製品、「チューナーレステレビ」と銘打っていますが、現実には「テレビ」といえるかどうかは微妙です。そもそも一般に「テレビ」とは、地上波、衛星などの放送を受信するための製品を指す用語ですが、ドンキの「テレビ」自体、そもそもテレビ放送を受信するためのチューナーが最初からついていないのです。

このあたり、当ウェブサイトでも便宜上「テレビ」、あるいは「チューナーレステレビ」を呼称していますが、厳密には「動画再生機」とでも呼ぶべきなのかもしれません。

ただ、「テレビ」と銘打っておきながら地上波テレビが映らないというテレビがが世の中で販売され、しかも好評を博する時代が来るとは、なかなかに興味深いことでもあります。というのも、これこそまさに、テレビ業界自体が坂道を転がり落ちるように衰退し始めている証拠でもあるからです。

このように考えていくと、NHKの今回の取り組みも、「テレビがなくてもコンテンツを無理やり押し売りすることで受信料を強制的に取り立てる」ことの布石であると考えざるを得ないのです。

新宿会計士:

View Comments (16)

  • この社会実験は、昨夏、総務省がNHKに対して要請したことで実現していることを忘れてはなりません。

    NHK改革だの受信料の引き下げだのと耳障りの良いことを言い続けていますが、国民にやってます感を醸し出しているだけで、暴利を貪り続けているNHKという悪しき存在を認め続けている現実は不変なのですから…。
    本当の敵は政府かもしれませんよ。

    先月末、令和4年度のNHK予算が参院本会議で、自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党、社民党などの賛成多数でサクっと承認されましたね。

  • NHKはマスコミ利権の総本山と言うか、ラスボスと言うか……
    ここがいよいよ崩れた時、日本からは現存するマス”ゴ”ミは駆除されたと見なして
    良いでしょうね。その頃にはいくつものテレビや新聞が廃業していそうですが。
    逆に言えば、利権の勢力はNHKは何としてでも守ろうとするでしょう。

    今回の企みだっておっしゃる通り「何とかしてテレビを拒絶するネットユーザーからも
    金をむしり取りたい」と言う試みにしか見えません。
    ”アンケート調査”とやらを行うそうですが、NHKに批判的な意見は
    例によって無視するかおざなりにしか触れないんでしょうね。

  • やはり気になるのはNHKへの海外侵略です。
    特に中国・韓国・北朝鮮党朝鮮総連在日でしょうか。
    ロシアを見てもわかるようにテレビの洗脳効果は絶大です。
    仕事で日々忙しく立ち止まって考える時間は誰でもめんどくさいものです。
    そこに繰り返し刷り込まれる洗脳は恐ろしい! 
    公共放送を歌うのであれば、自身の公共性を積極的に証明すべきと思います。

  •  「社会実証の結果、我々NHKの意義や役割はすでに日本国民に必要とされていないことが判明しました。この事業は取り下げ、NHKは解体に向けて組織の順次縮小に向かいます。」

     という結果を甘んじて受け入れるのならば、やったら良いんじゃないですか。でもそんな結論絶対出さないでしょう?ならそれは実証ではなくただのアリバイキャンペーンですわ。そういうとこやぞ。

  • 国鉄民営化、NTT民営化など 数々の民営化が成功してきました。
    しかし、NHKは赤字で苦しんでいるわけでなく、国民総強制サブスクにより無茶苦茶な経営をしない限り赤字で苦しむ事はありません。

    ここは、公共放送の定義を厳密化して NHKを公共的なものと商業的なものにわけて 公共的な放送を公務員化にして 施設を国有化。
    商業的なものをスクランブル放送にするのはどうでしょうか?
    もちろん商業的な会社は施設使用料を頂き、また 内容を縮小するのでNHK料金は大幅減でお願いします。

  • 典型的な官の自己増殖。
    最初地上波1チャンネル、次に教育テレビで1チャンネル、BSで1チャンネル、されにBSで1チャンネル、
    放送大学1チャンネル、さらに1チャンネル。
    他にもNHK学園という通信教育制高校もやっている。
    さらにネットもやるんですか?

    • 放送大学は NHK ではありませんよ
      放送大学学園に基づいた国設の私立大学です。

  • 必要のない画面左上の馬鹿でかい番組ロゴと右上のキャッチコピーは
    画面がガチャガチャし汚いので即刻やめて欲しい
    BS1はNBA、NFL、海外サッカーなどスポーツをやめてしまったので
    何度目だよというくらいドキュメント、紀行などの再放送が多い
    受信料は値下げすべきしょう

  • >それはあくまでも「配信」であって、「放送」ではありません。

    そうですよね~(๑´∀`๑)
    ただ、「放送」じゃないと言っちゃうと、放送法15条の目的に抵触しちゃうから、NHKとしては「放送」だって位置づけてるんだろうな?って思うのです♪

    けど、「放送」って言っちゃうと、今度は「ネット利用者に受信料徴収か?」ってなるから、「番組や情報を届ける」って曖昧な表現にしたんだろうって邪推してるのです♪

    もう、いっそのこと放送法からNHKの規定をなくすとかすれば、そんな面倒なことなくなるのにって思うのです♪

    別に法律上の義務がなくても、
    >“NHKだからできる"放送に全力を注ぎ、(中略)視聴者のみなさまからの信頼にお応えしていきます。
    (NHK>>よくある質問 https://www.nhk.or.jp/faq-corner/2jushinryou/01/02-01-02.html)
    ってのをちゃんとしてれば、心ある人は契約してくれると思うのです♪

    あたしですか?・・・・・あたしは・・・・・どうしようかな?

    • 自己レスなのです♪

      放送法第15条には、
      >あまねく日本全国において受信できるように
      って書いてるから、ネットでの番組配信も「放送」って位置付けたら、ネット環境整備もNHKの責務になるのかな?
      月2000円程度の受信料で、自宅だけじゃなくて出先でも使えるネット回線引いてくれるなら、ちょっとお得かもなのです♪

  • NHKは「公共放送」を騙る資格は十二分にあると思います。語る資格はないですが(笑)。政官財、マスコミ含めNHKの浸潤が末期ですね。もう自己治癒することはできない。このまま暴走して宿主もろとも死滅するしかないように思います。

  • チューナーレス「テレビ」は、スマート「フォン」と同じ扱として、その読み名でいいと思いますよw
    そういう意味で言えば、スマートフォンも、スマートコンピュータ、もしくは携帯型小型電脳なんて呼び名が適切かもしれませんw

    私は(も?)、ネット配信はネットユーザからの徴収の布石の一つだと思います。もしそうだとすれば、そんなことは絶対阻止せねばなりません。
    最近総務省が、勝手に法の解釈を変えて、NHKの権利を拡大しているような気がします。注意せねば。

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