岸防衛相は25日、北朝鮮が昨日発射したミサイルについて、通常軌道で発射された場合は全米を射程に収める可能性があるとする認識を示したそうです。事実なら、危機はまた異なった局面に入った格好です。ただ、冷静に考えてみれば、ロシアのウクライナ戦争遂行能力を低下させるためにも、ここはひとつ、北朝鮮に対する軍事行動、北方領土に対する軍事行動などを「議論する」ことが必要ではないでしょうか。
北朝鮮のミサイルは全米を射程に?
防衛省は昨日、北朝鮮が24日14時33分ごろ、1発の弾道ミサイルを発射したと発表しました(『北朝鮮のミサイル等関連情報』参照)。F15を発進させ、発射されたミサイルに関連する煙のようなものを確認し、動画としてYouTube上に公開しています。
動画自体は22秒という短いものですが、動画の概要欄には、次の文章が添えられています。
「北朝鮮が、令和4年3月24日14時33分頃、朝鮮半島西岸付近から、1発の弾道ミサイルを東方向に発射したことを受け、防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第2航空群所属のP-3C及び航空自衛隊の第2航空団所属のF-15を発進させ、青森県沖において被害情報の収集を行いました。その際、F-15は、今般発射された弾道ミサイルに関連していると推定されるものを空中で確認しました」。
…。
また、このミサイルを巡り、岸防衛相は25日の閣議後記者会見で、通常軌道で発射された場合には飛行距離が1.5万㎞超に及ぶとの見方を示し、「米全土が射程に含まれることになる」と明らかにしたのだそうです。
北の新型ICBM、岸防衛相は「次元の異なる脅威…米全土も射程に」
―――2022/03/25 10:16付 読売新聞オンラインより
まさに、北朝鮮による核・ミサイル開発問題は、新たな局面に入ったといえるでしょう。
国連安保理の機能不全を狙ったもの
こうしたなか、北朝鮮がこのタイミングでミサイルの発射を行うというのは、明らかに国際情勢の混乱を受けた挑発でしょう。
北朝鮮が発射したものがICBMなのだとしたら、これは明らかに2017年12月の国連安保理決議第2397号などにも違反しています。そして、本来、安保理決議に違反した行動を取れば、それは北朝鮮に対する『軍事行動の承認』の要件に該当します。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻を理由として、現在、国連安保理は機能不全に陥っています。こうした状況を思い出しておくと、北朝鮮が「今がチャンス」とばかりにミサイルを発射したのも、ある意味では当然に想定しておくべきものだったのかもしれません。
ロシアに「二正面作戦」は不可能
ただし、米軍を主体とする北朝鮮に対する軍事オペレーションが発動される可能性について検討しておくことは有益かもしれません。北朝鮮に対する軍事オペレーションの可能性が議論されていた2017年12月頃のような状況が、再び生じているからです。
国際法の解釈として、国連安保理決議違反を理由とした軍事行動を、米国が単独で(あるいは日米豪などが共同で)講じることができるかどうかについては、微妙ではあります。
しかし、少なくとも北朝鮮の3つの隣接国のうち、ロシアが現在、ウクライナでの軍事作戦で戦力を取られているなかで、ロシアの東側の守りが手薄になっているという状況は、軍事行動を起こすうえでの障害がひとつ減っているという意味でもあるのです。
こうしたなか、個人的にもうひとつ痛感するのは、「議論するだけで相手国を牽制することができることもある」、という点ではないかと思います。
たとえば、仮に日本が「不法占拠されている千島列島・樺太からロシアを追い出す特殊な軍事作戦」を、フィンランドが「不法占拠されているカレリア地方からロシアを追い出す特殊な軍事作戦」を、それぞれ同時に発動すれば、現実問題として、ロシアがウクライナ戦争の継続を断念せざるを得なくなります。
その意味では、ロシアが「二正面作戦」を気にしなければならない状況を作り出してしまう、というのは、それ自体がロシアの戦争遂行能力を減じることにもつながります。
議論するだけでもかなりの効果がある
もちろん、日本もフィンランドも国際法を遵守する文明国ですし、唐突な軍事攻撃は国際法違反を問われ、主要国から経済制裁を喰らう場合もあることから、そんな「特殊な軍事作戦」をいきなり開始する可能性は非常に低いでしょう。
ただ、たとえば日本の国会の予算委員会あたりで、「不法占拠状態にある北方領土を取り返すための軍事行動」について、どなたかが質問してくれるだけでも、ロシアを震え上がらせるだけの効果は得られるのではないかと思います。
また、北朝鮮による日本人拉致事件に関しては、日本が国家主権を発動し、強制的に日本人を取り返すために、北朝鮮に対して軍事侵攻するだけの十分な理由となっています。
「北朝鮮におカネを貢いで拉致された日本人を返してもらう」のではなく、「北朝鮮を焦土にして拉致された日本人を保護する」ためにはどうすれば良いか。
「北朝鮮におカネを貢いで拉致事件の全容を教えてもらう」のではなく、「金正恩(きん・しょうおん)ら北朝鮮政府幹部を拘束し、日本国内で取り調べを行い、日本国内で刑事訴追する」ためにはどうすれば良いか。
日本の国会が議論すべきことは、むしろそのような視点ではないかと思うのです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
いずれにせよ、台湾などを例外とすれば、日本の周囲は基本的に無法国家だらけです。
昭和天皇の玉音放送からサンフランシスコ講和条約発効までの期間のドサクサに紛れ、領土を火事場泥棒的に不法占拠した国が少なくとも2ヵ国ありますし、それ以降も日本国民を拉致した国が1ヵ国、日本の領海を公然と挑発する国が2ヵ国存在しています。
こんな無法国家に囲まれている日本にとっては、早く「自力で国土を守れる体制」を構築しなければなりませんし、米国、G7、「クアッド」、台湾、ASEANなどの同盟国、友好国、友人などとの連携をさらに強化し、経済力を復活させなければなりません。
今回の北朝鮮のICBM(?)発射も、ひとえに北朝鮮やロシア、中国や韓国などから、「日本はいまだに自力で国防できる国ではない」と見られている証拠でもあるように思えてならないのです。
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国会での質問というとさすがに軍事による奪還を是とした質問ができそうな議員も党もなさそうです。とするとこんな感じですかね。
「政府は、まさかこの機に乗じてロシアに不法占拠された北方領土を、武力で奪還する検討していないと思いますが、総理の見解を。」
質問者は野党はないかな。維新はロシアの件はダメそうだし、残った国民民主も無いかな。
やっぱ自民の議員ですかね。隊長、このブログ見てる感じしないんですよね。
あ、「れいわ」がいるわ。
フレンドリーファイヤー期待です。
領土奪回するだけの戦力は、日本にはないからね
軍事費を倍にしても、まだ全然足りない
実際に戦う訳ではないから関係ない、むしろそんな議論をする事は相手を利するだけ。
>むしろそんな議論をする事相手を利するだけ。
議論というのは、上のコメントの戦力や軍事費が足る足らないの議論の事です。
むしろ相手に領土奪還のするかもしれないとの懸念を示すだけのブラフをかますことが大事です。
逆に今の日本がやってることは核三原則等の様に相手に手の内をさらすことばかりで相手をその気にさせるような事ばかりです。
このサイトでその議論を自粛するのは可能だが
国会でその議論を禁止するのは不可能では?
国会でその議論になればブラフにもならないだろうし
現実的でないが、議論するだけなら良いんじゃないでしょうか。
たらればですが、朴槿恵政権時代に、核実験とICBM発射した時に、北朝鮮の軍事施設を空爆しておけば、アメリカ全土が射程に入る状況には、ならなかったでしょう。
バイデン政権は、北朝鮮に対する制裁の強化と対話となるでしょう。
日本で直接北朝鮮攻撃という話は、出にくいんじゃないかな。対敵基地攻撃力が必要だという議論には、なると思います。
憲法改正の発議にむけた動きをすればいいと思う。時宜にもかなっている。不磨の大典が変わる恐れがあるというだけで、近隣諸国はいやがおうでも防衛費を積まねばならなくなる。平和ボケしていたのは日本だけではないからね。
正恩さん!
どうでしょう、世界が注視しているなかで国境も接しているんですから、ロシア制裁の一番槍をかって出ては?
北露国境に隣接している発電所くらいは勝ち取れるとおもいますよ。
北のミサイル技術はロシア製だと思うけど、ウクライナの件でロシアが没落した後どうなるのかな。ロシアは北朝鮮に援助などしてる余裕なくなると思うけど。
どうやら、日本への脅しのようです。
吉崎エイジーニョさんの記事です。
【全文】北朝鮮、24日のミサイル発射前に対日声明を出していた「再侵略の野望を自粛せよ」
https://news.yahoo.co.jp/byline/yoshizakieijinho/20220325-00288243
相変わらず俗悪で酷い作文ですね。
つか、いちいちエゴサしてんじゃねーよ臆病者って感じですが。
新宿会計士さまがご指摘の点は
大いに在るとかんじます。
その一方
でとても不自然に想うのは
いまだに北朝鮮やその支持者みたいなものの発言を
世界のまともな国家と同じ位置づけで
記事として紹介してしまっている
日本の偏向メディアのありようです。
今はお情けで国家として扱ってはもらえているものの
有史以来ほぼ中国の属国でしかない
南北朝鮮半島なのですが、
ほかのまともな国とはあまりに異なる
そのありようと日本国内でその肩を持つ
韓流のそんなこんなの人たちの
生きざまがすでに知られている中で
そのことに言及せずしての記事を垂れ流している
日本のどぶさよ偏向マスコミには呆れます。
拉致被害者の奪還を密かにでも官邸がプランとして持っているのであれば、余計な警戒を招かない様に伏せておきつつ時を待つ方が良いかもしれません。と言いつつ、岸田さんによる3月13日の自民党大会での演説の内容から、拉致が抜けていたことに本人気がついていなかった辺りから察するとやる気のなさにため息がでてきます。エンテベ救出作戦ができたイスラエルの意志が羨ましい。
千島樺太奪還の具体的な議論は安倍さんや高市早苗政権だったとしとも立憲共産界隈の火病に強烈なスイッチオンが予想され勇気のいる論点でしょう。いわんや平時のお公家集団、岸田政権では。。民間レベルで少しでもまともな議論を進めるしか今はないのでしょうか。
一方、マリウポリなどウクライナ南部に侵攻したロシア軍や親露派武装勢力が住民数千人をロシア領内に連れ去りをしており、一部が樺太へ移送されるとの報道も見られます。21世紀にスターリンの行なった強制移住という蛮行のデジャヴでしょうか。人道支援の救出という論点であれば、自衛隊による平和維持部隊の樺太進駐の議論は大いに進めてもらいたいものです。(過疎の北樺太には連れ去り市民を収容しきれず帰属未定の南樺太に送り込まれると動きやすくなるから困るなあ。ポーツマス条約交渉の過程では占領されている地域は割譲認めるとかいうロシア全権との駆け引きがあったっけかなあ)
お疲れさまです。
歴史の戦争を見ても、隣国が国境に軍隊を集結しているのに何もしないと、大体まずい結果になっていると思います。
核兵器を所有するロシア、暗殺者と言われている人が最高権力者、かつ戦後秩序の一線を確実に越えいる状況でございます。
ヤフーニュースでロシアが北方領土で軍事演習とございました。
何もしないというのは、まずいとおもいます。
完全になめらるとおもいます。
北海道まできたら動くのでしょうか?
それで良いのでしょうか?
少なくとも隣国が軍隊を国境に集結すれば、日本も海上に自衛隊を集結した方が良いのではと私はおもいます。
まず日本が本気で守る。そこで初めて、他国の対応もわかるとおもいます。
単なる示威行為つまり脅しに過ぎない演習に一々反応していたら,ただでさえ層が薄い自衛隊は実際の戦争になる前に疲弊してしまい,いざという時に使い物になりませんよ.
実際,西側の人民解放軍は東シナ海の我が国の防空識別圏(ADIZ)の内側まで頻繁に彼らの軍用機を侵入させることによって,那覇基地や九州の基地にある空自戦闘機部隊に毎日スクランブルをかけさせて,それら空自部隊の人員(パイロット,整備員とも)・機材(つまり戦闘機)両面の疲弊を狙っています.
この人民解放軍の空自疲弊戦術に対処するため,既に空自は,南西諸島方面に関しては,ADIZ内に侵入しても脅威が少ないと判断した場合はスクランブルをかけないことで在九州・沖縄の戦闘機部隊の疲弊を避けて温存する運用へと変更しています.
迷王星様
空自の疲弊の件はその通りですので、一つ一つの軍事行動に反応する必要は無いかと思います。
海自も領海を薄く広くカバーしていますので、北に艦隊を移動させるような演習はすぐには難しいでしょう(本当は津軽海峡封鎖演習なんてやってくれると良いのですが)。
ただ陸自は元々北海道に大部隊を有しているのですから、何か大きな演習くらい出来ないですかね~
支持。
日本が本気で守るのは当然の事ですが、その気概を示さなくてはいけません。
ウクライナはその気概があったがロシアになめられたから侵略されたのです。
日本はブラフでも何でもよいからやられたらやり返す国だと思わさなければいけません。
TVのコメンテーターがウクライナは早く降伏せよとの意見は、実際にそうすることが正しいとしても、日本はそんな考え方だと思われては逆効果になります。