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噴飯物の「日本は米中を仲立ちする役割目指せ」の主張

「アジア」と「中国」を混同するという詭弁

日本は「米国」と「中国」のどちらを取るか、その選択をすでに終えました。いうまでもなく、菅義偉総理自身が「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)を外交の基軸に据えたからです。ただ、そうした事情を知ってか知らずか、「日本は米中の対立を仲立ちする役割を目指すべきだ」とする主張が出てきたようです。

価値外交が結実したFOIP

FOIPの概要と具体的な連携相手国

外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ』を含め、当ウェブサイトでは以前から何度となく議論してきたとおり、日本の外交は菅義偉総理のもとで、「自由で開かれたインド太平洋」(あるいは “a free and open indo-pacific” を略した「FOIP」)を基軸に据えた価値外交に舵を切りました。

FOIPを最優先にした日本外交が迎えた大きな転換点昨日の『日本政府、外交青書でFOIPから中韓を明らかに除外』で「速報」的に取り上げたとおり、今年の外交青書における最大のポイントは、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の優先順位が中韓よりも上位に来たことではないかと思います。まさに、日本外交にとっての転換点でしょう。外交青書から判明する「日本外交の転機」外務省が27日、『外交青書一覧』のページにおいて、『外交青書・令和3年版(※PDF版/大容量注意)』を公表したとする話題は、昨日の『日本政...
外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ - 新宿会計士の政治経済評論

「価値外交」とは、いわば、基本的価値を共有する国との関係を重視しましょう、という考え方のことです。

そして、この「基本的価値」として、日本政府が具体的に列挙している項目は「自由、民主主義、法の支配、人権尊重」などであり、こうした基本的価値を共有している国として、昨年の外交青書では米国、豪州、インド(いわゆるクアッド)、欧州連合(EU)、台湾など例示しています。

(※ただし、台湾については日本政府は公式には「国」と認めておらず、外交青書上も、台湾が直接にFOIPに参加すべき、などと述べているわけではありませんので、この点に関してはご注意ください。)

これに加え、地図で見ればわかりますが、日本政府が「基本的価値を共有している」と述べている相手国は、台湾を別とすれば、米国を筆頭に、その多くは日本から地理的に離れた国ばかりです。

とくに、日本政府はこれまで、近隣諸国(とくに中国、ロシア、韓国)との関係を重視してきたため、日本外交のFOIP重視への転換を巡っては、「日本は中国との経済的な結びつきも強い」、「日本が中国包囲網に加わることは望ましくない」、などと主張する人がいるのも無理はない話でしょう。

外交には「価値」「利益」の2つの軸がある

しかし、ここで冷静に思い出していただきたい論点があります。

外交も結局は人間関係の延長で議論されるべきものであり、人間関係に「好き・嫌い」と「利害関係の有無」という2つの軸があるのと同様、外交関係にも「基本的価値を共有しているか、いないか」という軸と、「戦略的利益を共有しているかどうか」、という軸があるのです。

この点、現在の日本にとって、たしかに中国との経済的関係は非常に重要であり、とくに産業上のつながりも深いことから、日本が今すぐ中国と「断交」できる、という状況にはありません。いわば、中国との関係は日本の「戦略的利益」にとっては重要な意味があるからです。

しかし、それと同時に中国という国が、日本にとっては「基本的価値」を共有している相手国ではない、という点についても、やはり無視してはならないでしょう。

そして、人間関係にしてもそうですが、得てして国家間の関係においても、「基本的価値」をきょうゆうしていない国との関係は、いずれ破綻の危機に瀕します。「基本的価値」という言葉が小難しいと感じる方がいらっしゃるかもしれませんので、ここでひとつ、たとえ話を紹介しておきます。

ウェブ評論サイト『JBプレス』に昨日、「中国がコロナ封じ込めを構築に、着々と香港を監視社会に変えようとしている」とする趣旨の記事が掲載されていました。

「ゼロコロナ政策」を香港に押し付ける中国・習近平の真の狙い

―――2022.2.20付 JBプレスより

リンク先記事については、著者自身が見たところ、現時点では無料で全文閲覧できるようですので、もし興味がある方は直接お読みいただきたいと思います。

そんな国に、あなたは住みたいですか?

それよりも、個人的に大変興味深いと感じたのは、こんな趣旨の記述です。

中国ではゼロコロナ政策に基づき、数人の新規陽性者が出たたけで広域を全面ロックダウンしたり、1000万人を超える市民全員を強制検査したりしている。現実的に、そうしたことが日本で実施できるかは考えてみれば分かる」。

具体的には、中国に居住するすべての国民、在住外国人は「社区」と呼ばれる地域集団に編入されており、中国が厳格なロックダウンや全市民への強制検査ができるのも、行政組織や警察(公安)が「社区」をフルに活用しているからだ、というのがリンク先記事の指摘です。

果たして、そんな国に、あなたは住みたいですか?

考えてみればわかりますが、中国は事実上の自由主義経済(正確には「社会主義市場経済」)を採用する国ではありますが、一皮めくってみれば、その実情は中国共産党が一党独裁する軍事主義国家であり、非法治主義・非民主主義国です。

習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席は中国人民の自由意思に基づく選挙で選ばれた指導者ではありませんし、また、中国の国会に相当するとされる「全人代」にも、実質的な権限はありません。

ひと昔前、欧米社会には「中国が経済発展すれば、自然に自由・民主主義に体制変換するに違いない」といった根拠のない期待が蔓延していたフシもあるのですが、現実には、待てど暮らせど、中国共産党支配体制は揺らぎませんし、それどころか社会のネット化に伴い、中国はますます監視社会と化しているようです。

中国の危険な対外膨張主義

そして、問題は、それだけではありません。

中国は現在、「偉大なる中華」の復興をお題目に、対外膨張主義に染まり、周辺国を武力で威圧しています。南シナ海の領有権を巡ってフィリピン、ベトナム、インドネシアで対立し、インドとの間では、中国がインド領に勝手に集落を建設しているようだ、などと報じられたこともあります。

中国がインド北東部の州内に集落建設、付近には軍駐屯地も…支配の既成事実化図る

―――2021/01/20 06:58付 読売新聞オンラインより

もちろん、日本だって、例外ではありません。

日本固有の領土である尖閣諸島(沖縄県石垣市)では、中国海警局の尖閣接続水域あるいは領海への侵入が相次いでいます。海上保安庁ウェブサイトで確認すると、とくに接続水域への侵入は、ほぼ毎日のように発生していることがわかります。

尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処

―――海上保安庁HPより

「尖閣諸島のような小さい島、争いのもとになるくらいなら、中国に差し上げてしまえば良いではないか」。

こんなことを主張した有名人がいたようですが、これはとんでもない思い違いです。もしも尖閣諸島を中国領だと認めれば、次は沖縄県全体を、「古来より中国領だった」、などと言い始めるであろうことは、火を見るより明らかでしょう。

また、中国では香港、新疆ウイグル、チベットなどでの人権弾圧も問題化していますし、自由主義諸国で留学生などが最新技術を持ち帰っていることなども大きな問題でしょう。日本が「自由・民主主義国」を標榜するならば、米中対立の折、中国の側に立つというのはあり得ない話です。

「欧米がアジアを分断」の詭弁

英米豪加+日vs独

ところで、日本が連携を図るべき相手国が、米国を筆頭とする自由・民主主義諸国である、という点については、すでに安倍晋三政権のころから、国家戦略としての方向性は固まっていたと考えられるものの、具体的にどの国と連携すべきかについては、論点があることも間違いないでしょう。

この点、『【資料】G7外相会合コミュニケ』などでも取り上げたとおり、昨年のゴールデンウィーク中に、当時の茂木敏充外相(現在の自民党幹事長)も英国を訪れて開催されたG7外相会合は、図らずも、日本にとって連携を図るべき国がどこであるかが明らかになったといえます。

本稿は「資料」です。ロンドンで開催されていたG7外相会合やそのサイドライン会合については、『FOIP巡りG7で仲間作り:日英はもはや「準同盟」』や『日韓外相会談の発表自体「後回し」にされたことの意味』などでも触れたとおりです。こうしたなか、G7外相会合の共同声明(コミュニケ)が出ていましたので、その内容のごく一部を抜粋し、紹介しておきたいと思います。ロンドンG7外相会合のコミュニケG7外相会合の共同声明(コミュニケ)が出ていました。英語版に関しては次のウェブサイトで全文を読むことが可能です。G...
【資料】G7外相会合コミュニケ - 新宿会計士の政治経済評論

具体的には、G7諸国のなかでは米国、英国、カナダがFOIPに強いコミットを示したのですが、その一方でフランス、イタリアは、外相会談、首脳会談のタイミングなどにより、FOIPにコミットしたり、しなかったりとさまざまです。

さらにドイツは、基本的にFOIPから露骨に距離を置いていましたが、このあたりは16年に及んで政権を維持していたアンゲラ・メルケル前首相が昨年辞任したことで、路線が変わるのかどうかには注目しても良いと思います(※個人的にはほとんど期待していませんが…)。

つまり、対中包囲網という意味では、「日米英加」vs「独」、という構図であり、ここにフランスとイタリアが様子を見ている、といったところではないかと思うのです。

ただ、対中包囲網にフランスが加わるかどうかは、大変に重要な論点でもあります。なぜなら、フランスはドイツと並ぶEUの事実上のコアメンバーであり、核保有国であり、また軍事大国でもあるからです。

フランスはどちらにつく?

こうしたなか、ウェブ評論サイト『現代ビジネス』に昨日、こんな記事が掲載されていました。

「反中国」ムードを強めるフランスが、「アジア太平洋進出」を画策している事情

―――2022.02.20付 現代ビジネスより

フランスがなぜ、「アジア太平洋進出」を「画策」しているのか、という解説記事です。

「画策」という表現に悪意も感じますが、ウェブページで6ページに分割された記事のうち、5ページ目までで述べている内容については、(やや著者の方の思想が色濃く出ているきらいはあるものの、)それなりに参考になる記述ではあります。

具体的には、フランスが英国よりもさらに多くの植民地をアジア太平洋地域に保有していること、ニューカレドニアなどの独立問題を抱えていること、南太平洋での核実験が現地でさまざまな論争を招いていること、などに言及がされているのです。

このあたり、FOIPを何度も話題として取り上げてきた当ウェブサイトでは、「フランスがインド太平洋に利害を持っている」という点についても議論してきたため、もしかすると「あまり新鮮味はない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ただし、フランスがなぜ、アジアに強い関心を払っているのか、そしてフランス国内で次期大統領選がどうなるのか、などについては、参考になる記述が皆無ではないため、この点については付言しておきたいと思う次第です。

巧妙な議論のすり替え

ところが、この記事のおかしなところは、中国の軍事的野心や人権侵害、異常な監視社会などの実態に一切触れず、さらには自由主義のルールを悪用して技術を窃盗していることを伏せたうえで、「米欧がアジアの成長を妨げている」、といった議論にすり替えている点にあります。

それが、こんな記述です。

21世紀の今、アジアの成長と発展を米欧の軍事力で封じ込めることはできない。対する中国もこれに軍事力で対抗すれば東アジア全体に緊張が走る」。

この手の論者の方は、ときとして「中国」と「アジア」を巧みに混同させ、読者の理解をミスリードします。中国の世界侵略の野心に対抗するための包囲網を、「米欧の軍事力がアジアの成長と発展を封じ込める」ものであるかのごとく、読者を勘違いさせるのは、いかがなものかと思います。

この論者の方の主張のおかしな点は、それだけではありません。次の記述など、「因果関係」が完全に逆転していると言わざるを得ないのです。

アメリカが自国の巨大な軍事力を誇示し、さらにアジアの同盟国に多大な軍備拡大を要請して対中国包囲網を形成する以上、米欧による植民地化を体験した歴史を持つ中国としては、自国防衛のため軍拡せざるを得ないのも事実であろう」。

そもそもFOIPの源流は、米国ではなく日本にあります。

つまり、麻生総理が第一次安倍内閣で外相を務めていた2006年11月に提唱した「自由と繁栄の弧」を下敷きに、安倍総理が第二次内閣発足後に提唱した「セキュリティ・ダイヤモンド」構想をさらに発展させたものだからです。

こうした経緯をご存じではないのか、あるいは知っていて意図的に隠蔽しているのかは知りませんが、何も知らない読者だと、「欧米社会がアジアを再度侵略しようとしている」かのごとく誤解してしまうのではないでしょうか。

米中対立で日本に「中立」を要求

以上の理解のもとに、次の記述を読むと、正直、噴飯物でしょう。

最後に日本の立場から考えてみたい。QUADに懐疑的なインドや中国との経済的な結びつきが強いASEANと同じく、日本もまたこの構図に加わることには慎重である。経済的に中国を排除することは自国の国益にもかなわないからである。ここは米中どちらか一方の側に立つのではなく、歴史的・経済的な関係も踏まえ、両者を仲立ちする役割を目指すべきであろう」。

米中を仲立ちする役割を自認し、盛大に失敗した韓国という国の事例を挙げるまでもなく、日本がどちらの側に立つべきかは明確ですし、そもそも安倍・菅両総理の時代に、日本はこの選択を終えています。いまさら「米中間で中立」、「仲裁」とは、何をおっしゃっているのかという気がしてなりません。

さらには、次の記述も、因果関係がおかしいと言わざるを得ません。

現在、日本は米軍に代わって中国、ロシア、北朝鮮の太平洋進出を防ぐ『防波堤』の位置にある。米中の対立を仲裁しない限り、日本自体が危険にさらされる可能性が高い。RCEPやTPPによる地域経済圏の創設で世界経済をリードしつつある東アジアが、あえて分断と対立に加担して、経済協力そのものを危うくする道を取ることは、アジアのどの国の望むところでもない」。

この米中対立局面にあって、日本が安全な場所で経済的利益を享受することなどできるはずがありませんし、日本が米中間の「中立」を目指したところで、「日本自体が危険にさらされる可能性」があることは変わりません。

さらには、実効性のないRCEPはともかくとして、TPPには中国が参加していないという事実を、この論者の方はご存じではないのでしょうか?あるいは、知っているけれどもわざと無視しているのでしょうか?

当たり前ですが、どの国も戦争、あるいは軍事的緊張状態は望んでいませんし、欲を言えば地域に平和と安定がもたらされ、経済協力のもとで発展していけるのが一番良いに決まっています。そして、その状態を乱しているのが中国なのです。

いずれにせよ危機は訪れる

こうした点を踏まえると、次の記述は、本当に詭弁としか言い様がありません。

対中包囲網は欧米を利するかもしれないが、アジアや日本にとっては大きな危険と経済的犠牲を伴うことを肝に銘じるべきではないだろうか」。

対中包囲網が欧米を「どう利する」のかは、記事を読んでも今ひとつピンときませんが、少なくとも対中包囲網を構築しようがしまいが、アジアや日本にとっては「中国発の」大きな危険が迫っていることは間違いないのです。

いずれにせよ、当ウェブサイトとしては、日本が連携すべき相手国は、日本と基本的価値を共有している米国、豪州、英国、台湾、カナダなどであると考えていますし、あるいは欧州連合(EU)や東南アジア諸国連合(ASEAN)の有志国にも、日本と連携できるパートナーが複数国存在していると思います。

(※インドに関しては、正直、現時点において「日本と基本的価値を共有している」と言い切れるのかについては若干微妙だとは思いますが…。)

その意味では、地理的に近い異形の大国・中国との経済・産業面における関係の見直しは急務でしょうし、岸田文雄・現首相が中国との関係を規定する際に、どういう仕事をするのか(あるいは何もしないのか)についても、重要なテーマとしてモニタリングする価値があると思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (30)

  • アジアで、真に中立、即ち第三勢力になるためには、
    核武装をして、自前の"核の傘"を作る必要があるのですが、
    仲介論者たちって、それを嫌がるんだよなぁ。

    現状、領土面では、北アメリカ大陸に引き籠っている米国と組むのが正しいでしょうね。

  • おはようございます。サンケイ5面によれば、北京五輪の日本のテレビCMはサムスンのみで、日本企業(トヨタやパナソニックなど)はなかったとか。同じ媚中企業でも、かの国とはやはり頭の作りが違うような気がしてほっとしました(買い被り?)。
    私見妄言ですが、ギャラク〇ーの売り上げが日本で1個たりとも増えるようなことがあっては日本の未来のために良くないと思います。

    • 理系初老様
      ギャラクシーと呼んで、絶対にサムスンというのはどこにも書かないのが彼らの戦略。それに騙されてる人も多いんじゃないでしょうか。かつて、docomoがギャラクシー押しをしてたのには本当にびっくりでした。

      • あんなことがあったのにまだ日本でファーウェイの端末が売られていたり、半島にサーバがあって個人情報が筒抜けでプライバシーの根幹を揺るがすLINEを推奨したりするのは異常と言う他はありませんね。

  • >ここは米中どちらか一方の側に立つのではなく、歴史的・経済的な関係も踏まえ、両者を仲立ちする役割を目指すべきであろう」。

    何となく、米中対立局面で「日本を矢面に立たせ陰に隠れたい」韓国の思惑そのものなんですよね。
    すでに話が通じない相手だと確信したからこその「価値観同盟(FOIP)による抑止」なのに・・。

    • かって2009年の民主党政権成立後に「米中等距離外交、東シナ海を平和の海に、最低でも県外」などのスローガンで日米安保を形骸化した鳩山以下3政権を思い出します。
      その裏で李明博政権はアメリカとの同盟を強固にし地位を安泰にしていました。
      アメリカにしてみれば日本韓国ともに中国に靡けば東アジアの足掛かりを失うことになり、安全保障で白日夢を見ている民主党政権よりは韓国がましに見えたのかもしれません。

  • この「羽場 久美子」と言う人、「特定アジア」って言うフレーズを滅茶苦茶嫌いそうですね。
    Wikipediaによると、「韓国は「敵」なのか」の呼びかけ人の一人だそうですし……

    まあ、多分「分かった上で」言っている人なんでしょうねえ。

  •  ここは我らがブンブンの出番?ちょっとおだてれば介入して、必ずや事態をさらにややこしくして、関係者全部をめんどくさくさせて(悪化させることなく)、半年休めの時間稼ぎができることでしょう。
     時間だけがむなしく過ぎてふりだしに戻るで、ひょっとしたら副次効果で全部なかったことにできるかもしれません。この4年の実績から間違いありません。
     がんばれブンブン。今こそ出番だ。進め進め。これが最期の大仕事♪

  • ところで話の本質と多少ずれますが、それぞれの国の価値観の相違という意味から、中国の「全人代(全国人民代表者大会)」と北朝鮮の「最高人民会議」を「日本の国会にあたる」という表現はやめてほしいですね。「中国の国会」「北朝鮮の国会」と彼らが呼ぶのは構いませんが、「日本の国会」とは全く相いれないもので、「国の最高権力機関」なんて誰も信じていません。あたかも民主的な運営がされているような錯覚を起こしそうです(このコラムの読者にはいないと思いますが)。

    • 羽場久美子氏(日本学術会議連携会員、神奈川大学国際日本学部教授)の最近のご講演内容です(学術会議HPより)
      「コロナ禍と欧州のジレンマ:『価値の同盟』、『新冷戦』か、あるいは『アジアとの連携』か?」

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    • 実態としての全人代がただの翼賛議会に過ぎないことは誰もが知っていますけれども、あくまでも法制上は以下の条文にある通り、国家の最高権力機関となっています。

      中華人民共和国憲法
      第57条
       全国人民代表大会は、最高の国家権力機関である。その常設機関は、全国人民代表大会常務委員会である。

      そして、一応同第5条には「いかなる組織又は個人も、この憲法及び法律に優越した特権を持つことはできない。」という規定もあり、憲法が最高法規であることを明記しているのですが、実質的には共産党が憲法の上にあることで、骨抜きになっています。また、同第29条には以下のようにあるのですが、

       中華人民共和国の武装力は、人民に属する。その任務は、国防を強固にし、侵略に抵抗し、祖国を防衛し、人民の平和な労働を守り、国家建設の事業に参加し、人民のために奉仕することに努めることである。
       国家は、武装力の革命化、現代化並びに正規化による建設を強化し、国防力を増強する。

      人民解放軍は今なお共産党の軍隊であって国防軍ではありません(もしかすると、この規定は変わっているかも。注)。

      やはり、共産党が憲法よりも事実上上位にあることで、法制面での論理的整合性にところどころ齟齬があるようにも見えます。ただし、同第3条で「中華人民共和国の国家機構は、民主集中制の原則を実行する。」とシレっと規定していますので、民主集中制の担い手たる共産党の指導がすべてに優越するという解釈もあり得るでしょうから、「何も矛盾はない」と胸を張れるのでしょう、一応は。

      というわけで、少なくとも法制上は、中国の国家元首は全人代によって選出される国家主席であって、共産党総書記ではありません。立法権も全人代にありますし、国軍(存在しないけど)の監督だって全人代の職権です。全人代によって選出される中央軍事委員会のメンバーがたまたま共産党中央軍事委員会のメンバーと重複していても、あくまでもたまたまなのです。

      注) 中国共産党規約第23条に「中国人民解放軍の党組織は、中央委員会の指示に基づいて活動を進める。中国人民解放軍総政治部は、中央軍事委員会の政治活動機関であり、軍隊における党の活動と政治活動の管理に責任を持つ。軍隊における党の組織の体制と機構は、中央軍事委員会がこれを規定する。」とあります。やはり人民解放軍は共産党の軍隊なんですね。

      • ”民主集中制”が”独裁+人権抑圧”体制の詭弁表現である
        ことに気づかないところが、共産党支持者の頭の悪いところ。

        ”全人代”を”中国の国会”と表現する人・メディアは要注意です。

        ”全くの無知”か、”錯誤を誘って騙そうとしている悪党”のどちらかと思います。

      • 龍さん、有難うございます。あの国の憲法はそうなっているようなので、あの国の人が「国家の最高権力である国会」というのには反対しません。しかし日本のマスコミなどで「全人代」を報道するとき決まり文句のように「日本の国会にあたる」と表現するのはどうかと思っている次第。実態を知らない人たちが「中国も日本の国会と同じように運営されている」とか「日本の国会はだらしないけど、中国の国会はしっかりしている」なんてバカなこと言わないかと心配しているわけです。ま、老人の取り越し苦労ですかな。

  • これも、ゼロ100理論が当てはまるシチュエーションですね。

    国境でのゴリ押しを始めたのは共産党中国なのに、なんで足して二で割る式の妥結を目指さないかんのか?

  • 当方は東アジア反日武装戦線が起こした爆弾事件を報じる新聞を覚えているクチですが、「アジアを語るひとたち」ははっきり危険と思います。
    日本人がアジアをちゃんと勉強して理解しているかというと相当に怪しいものです。
    アジアを騙るとき何かを巧妙に言い換えているような気がしてなりません。

  • ご紹介の現代ビジネスの論考には、駐大阪中国領事が「イイネ」を入れてると思います。

    欧米と中国が何で対立しているかを曖昧にしたまま論を展開するのは、「欧米の介入にアジアは一致団結して対抗しよう」の扇情的な要素があるからだと思います。
    欧米が軍事力で国境線を変更したり植民地を増やしている時代ならいざしらず、欧米も昔は好き勝手やってきてアジアともいろいろあったけど、今は曲がりなりにもそれを悪とすることで秩序を保つことにしています。
    日本もそこから利益を得ているし、現状を守ることに大義(自由・民主主義)もあります。

    現状を維持することに賛同する国々に対する離間の計だと思います。現状変更活動の一環。
    大した軍事力もないのに間に立てば、やれることは「コウモリ外交」くらいでしょう。

    • >駐大阪中国領事が

      駐大阪中国「総」領事でした。
      中国外交部の木っ端役人という意味では違いはありませんが。

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