新規陽性者数が激増の一方、ワクチン接種は2億回突破
新規陽性者数が再び増加に転じました。ただ、東京都のデータで見ると、新規陽性者は若年層に偏っています。こうしたなか、ついにワクチン総接種回数が2億回を超えました。新規陽性者が激増したとして、重症者が増えなければ、医療崩壊のリスクは格段に低くなるはず。ワクチンの効果が試される局面が到来したのかもしれません。
年明け以降、新規陽性者数が急増中
年が明けてから、コロナ新規陽性者数が急増しています。
昨日、つまり1月5日時点で全国で報告された新規陽性者数は2638人で、これは昨年9月25日の2691人以来、約100日ぶりの水準でもあります。また、新規陽性者数が2000人を超えたのも昨年9月以来、約3ヵ月ぶりのことです。
厚生労働省のオープンデータをもとに、昨年6月頃からの新規陽性者数をグラフ化しておきましょう(図表1-1が実数表示、図表1-2が対数表示)。
図表1-1 日本全国の新規陽性者数(実数表示)
図表1-2 日本全国の新規陽性者数(対数表示)
(【出所】厚生労働省『オープンデータ』より著者作成)
伸び方だけで見れば、大変な激増です。
「木曜日から始まる1週間」で集計を取ってみると、昨年11月22日に22人という1年半ぶりに低い数値を記録したのですが、11月最終週あたりを底としてコロナ新規陽性者数が増加に転じている様子が確認できます。
「木曜日から始まる1週間」で見た日本全国のコロナ陽性者数
- 11/18(木)~*165 *143 *122 *129 **22 *123 **55 | *759
- 11/25(木)~*117 *115 *132 **66 **56 *133 *126 | *745
- 12/02(木)~*112 *136 *123 **97 **35 *113 *139 | *755
- 12/09(木)~*144 *119 *140 *114 **57 *161 *175 | *910
- 12/16(木)~*140 *155 *191 *156 **72 *205 *221 | 1140
- 12/23(木)~*249 *262 *266 *225 *163 *316 *398 | 1879
- 12/30(木)~*437 *438 *457 *479 *673 1151 2638 | 6273
(【出所】厚生労働省『オープンデータ』より著者作成)
とくに、12月30日から1月5日までの週に関しては、1週間の合計値が6000人の大台を突破しており、11月25日から始まる週と比べ、じつに新規陽性者数は8.5倍にも増えている計算です。
東京とも新規陽性者が前週比で5倍に
一方で、東京都のケースも、なかなかに深刻です。
昨日、つまり1月5日時点の新規陽性者数は390人と、前日比で239人、前週比で314人も増えました。
都内のコロナ動向
- 新規陽性…390人(前日比+239人、前週比+314人)
- 7日平均…106人(前日比+35人、前週比+71人)
- 重症者数…3人(前日比+1人、前週比+2人)
- 新規死亡…0人(前日比±0人、前週比±0人)
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)
重症者数は3人、新規死亡者数はゼロでしたが、新規陽性者数だけで見れば、1週間前と比べて一気に5倍(!)にも増えた計算です。都内の動向についてもグラフ化しておきましょう(図表2-1が実数表示、図表2-2が対数表示)。
図表2-1 都内の新規陽性者数・重症者数(実数表示)
図表2-2 都内の新規陽性者数・重症者数(対数表示)
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)
ただし、東京都の場合は8月の2.6万人という数値が入っているため、グラフ化するとかなりわかり辛くなりますので、11月3日以降のグラフについても掲載しておきます(図表3)。
図表3 都内の新規陽性者数・重症者数
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)
東京都の場合、若年層に偏っている
もっとも、東京都の場合、興味深いことに、12月の新規陽性者数と比べると、1月に入ってからの新規陽性者は、20歳代が占める割合が顕著に増えていることが確認できます(図表4、図表5)。
図表4 都内の新規陽性者数・年代別構成(2021年12月)
年代 | 新規陽性者数 | 構成比 |
---|---|---|
10歳未満 | 70 | 7.58% |
10代 | 83 | 8.99% |
20代 | 220 | 23.84% |
30代 | 175 | 18.96% |
40代 | 154 | 16.68% |
50代 | 103 | 11.16% |
60代 | 41 | 4.44% |
70代 | 39 | 4.23% |
80代 | 30 | 3.25% |
90代 | 8 | 0.87% |
100歳以上 | 0 | 0% |
合計 | 923 | 100.00% |
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』より著者作成)
図表5 都内の新規陽性者数・年代別構成(2022年1月1日~5日)
年代 | 新規陽性者数 | 構成比 |
---|---|---|
10歳未満 | 35 | 4.34% |
10代 | 52 | 6.44% |
20代 | 293 | 36.31% |
30代 | 167 | 20.69% |
40代 | 120 | 14.87% |
50代 | 78 | 9.67% |
60代 | 27 | 3.35% |
70代 | 20 | 2.48% |
80代 | 11 | 1.36% |
90代 | 4 | 0.50% |
100歳以上 | 0 | 0% |
合計 | 807 | 100.00% |
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』より著者作成)
とくに、1月以降の新規陽性者数については、20歳代から40歳代までで、全体の7割を超えている状況にあります。このあたりは、7月から8月にかけて、新規陽性者数が激増した局面と、大変よく似ています。
そして、あくまでも一般論ですが、若年層の重症化リスクは、高年層と比べて極めて低いという特徴があります。京都大学の西浦博教授らによる研究では、(ワクチン接種が普及する以前における)「重症化率は高齢者ほど高くなる」という統計的事実が示されています。
30歳代を1としたときの年代別の重症化倍率(ワクチン普及以前)
- 若年層:10歳未満…0.5倍/10歳代…0.2倍/20歳代…0.3倍
- 中年層:30歳代…1倍/40歳代…4倍/50歳代…10倍
- 高年層:60歳代…25倍/70歳代…47倍/80歳代…71倍/90歳代…78倍
(【出所】厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識』P4より著者作成。「重症化率」は、新型コロナウイルス感染症と診断された症例(無症状を含む)のうち、集中治療室での治療や人工呼吸器等による治療を行った症例または死亡した症例の割合)
※なお、ここで「若年層」「中年層」「高年層」と分けたのは、当ウェブサイトによる分類です。
もちろん、30歳代を1とすれば、重症化リスクは60歳代で25倍、70歳代で47倍、80歳代で71倍だそうですが、逆に、20歳代は3分の1、10歳代は5分の1に過ぎません。
このこと自体、「若年層が重症化しない」、という意味ではありませんが、それと同時に、新規陽性者の絶対数に過剰に反応して懸念すべき話でもないのです。
ワクチン接種回数は2億回を突破
こうしたなか、ついに年初に入り、日本全体でのワクチン接種の合計回数が2億回を超えました(図表6)。
図表6 総接種回数と接種率(公式ベース、1月6日時点)
区分 | 総接種回数 | 接種率 |
---|---|---|
①全体合計 | 201,040,648 | |
うち1回目 | 101,053,199 | 79.79% |
うち2回目 | 99,317,838 | 78.42% |
うち3回目 | 669,611 | 0.53% |
②一般・65歳以上合計 | 65,993,503 | |
うち1回目 | 33,061,452 | 92.43% |
うち2回目 | 32,932,051 | 92.07% |
③②以外の区分 | 134,377,534 | |
うち1回目 | 67,991,747 | 86.19% |
うち2回目 | 66,385,787 | 84.15% |
(【出所】VRSオープンデータおよび首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて』データをもとに著者作成。1月6日時点のVRSデータ、1月5日時点で取得した職域接種データ・重複計上データ・3回目接種データなどを使用。接種率の定義は、その年齢階層における累計接種数を『令和3年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】に記載されている人口で割った数値のこと。「全体」については1億2665万4244人で、「65歳以上」については3576万8503人で、それぞれ割っている。なお、「③」の区分については、便宜上、「12歳未満人口は1200万人だ」という仮定を置いたうえで、若干不正確ながらも、便宜上、対象人口を7888万5741人として算出している)
日本国民全体のうち、すでに8割近くが、すくなくともワクチンを1回以上接種している格好です。
また、接種対象ではない12歳未満の人口を除外して接種率を計算すると、1回目接種はほぼ9割が終えている計算です。さらには、すでに医療従事者等を対象とした3回目接種(ブースター・ショット)も始まっています。
そして、「ワクチン接種は感染を完全に防ぐことはできないものの、新型コロナウィルス感染症の発症を95%程度の確率で予防する効果がある」、とするのが厚生労働省の見解です(厚労省『ファイザー社の新型コロナワクチンについて』等参照)。
もしもこの見解が事実であれば、いよいよ日本全体でワクチンの効果が試される局面が到来した、という言い方もできるかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
若年層がクリスマスから正月にかけて青春を謳歌したら「漏れなくコロナが付いてきた!」ということでしょうね。そして会社が始まったので、今週から中年にも職場で感染で広まり、お持ち帰りで家庭内感染。来週からの陽性者数字に爆増で出るんでしょう。
来週は成人の日から始まるし新年の挨拶周りとかもあるだろうから、ウイルスに被爆する機会は来週いっぱいは続いて、陽性者はあと3週間ぐらい増加を続けるんでしょうね。
3倍/週とすると今の10~30倍、東京で2000~6000、日本全国では数万人の陽性者。
ただ重症者数はそんなには増えないと期待。
今日が雪のため,仕事を早々に切り上げ帰路につきました。2日前の書き込みや,12月末の書き込みから変更すべき事項は特にないです。ワクチンはファイザーもモデルナも,そのメカニズムから考えて,重症化予防には重要な役割を果たすでしょうが,感染防止の効果は少ないと思います。感染防止には抗体よりT細胞のほうが重要なはずです。
10日で100倍という南アや欧米のデータが日本で当てはまらない,としたら,ワクチンではなく,季節性コロナとの交叉免疫のおかげでしょう。
上のほうの人達は「100%の完全を目指す」姿勢で異常に慎重な見解を出していますが,デルタに有効な対策もオミクロンには空振りになる可能性が高く,結局は「オミクロンはただの風邪」で終わる可能性のほうが高いです。
デルタ株と同じ感染対策をしてもオミクロン株には大して役に立たないので,あまり行動制限をかけないほうが賢明でしょう。もう,空港での水際規制も意味がなくなりました。
ふと思ったので。
岸田さんは、バイデンさんとあまり関係がうまくいってない気がするのですが、ワクチンの確保は問題ないだろうか。ちょっと心配。。。
話は逆で
ワクチンや治療薬を札束積んで持っていったから
売電からの心証が悪くなった可能性もあるかも
医者には色々な方がいらっしゃいますが、この方の論文は確りとされていると私は思います。
オミクロン第6波に向けて日本人が知っておくべき4つのこと(前編)
https://agora-web.jp/archives/2054557.html
オミクロン第6波に向けて日本人が知っておくべき4つのこと(後編)
https://agora-web.jp/archives/2054558.html
医師であり、医療経済ジャーナリストでもある森田洋之氏のアゴラへの寄稿記事です。
確りとしたデーターを提供しているので、2部構成ながら読み応えがあると思います。
先ず私達がしなければいけないことは、武漢コロナウイルス・オミクロン株の事を確りと知る事だと思います。
そして扇動ばかりするメディアの報道を見聞きしない事です。
ところで安倍晋三元総理が読売新聞のインタビューで、武漢コロナウイルスを5類に引き下げるべきだとの見解を示し、ネット上では賛否両論となっているそうです。
安倍元首相が「コロナを5類に」と読売新聞に見解を示し賛否両論
https://agora-web.jp/archives/2054579.html
この記事中にもありますが、安倍元総理を愛して止まない某メディアはこの発言そのものより、安倍元総理が発した事から猛反発をしているそうです(笑)。
安倍元首相が新年早々「コロナ5類扱い」発言 医療崩壊の“元凶”また政権に口出しで批判噴出
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/299515
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/299515/2
何処までも「アベガー!」をやらないと気が済まないストーカー体質の気持ち悪いメディアですね。
これを放置ている親会社の某出版会社も罪が重いですね。
某出版会社社長のお爺様は、大日本帝国陸軍の大将で、陸軍大臣だった人物なのに…。
Naverによると韓国では2022年分としてワクチン1億5000万回分以上を確保したそうで、盛り上がっているかと思うとさにあらず、
「なんで今頃無駄遣い!」
って非難になっているようです。
各国難しい舵取りで模索中ですね。
それにつけてもWHOや国連の無力さよ…
評論活動する組織でしたっけ?
遅ればせながらウイルス関連でコメント失礼します。
図表3の第一Y軸と第二Y軸の目盛りの取り方は誤解を与えるように思いました。この折れ線を見ると陽性者数の激増(これは事実)と同様に重傷者数も激増しているように見えてしまいますが、実際は一人から三人になっているだけです。
何が言いたいかと申しますと、以下のようなシンシアリ氏のオチが分かる図があればすばらしかったと思った次第です。
・「新規感染者が増えても重症患者・死亡者が管理できる水準でとどまるなら、もう日本は「7波」を心配する必要はなく、本当の意味でのウィズコロナ時代に突入できるかもしれません。」
・「韓国では、いまでも毎日40~50人の死亡者が発生しています。」
なお、シンシアリ氏が指摘しているように、あいかわらず韓国の人たちはウィルスと戦わずに日本と戦っています。
—–「今日、京郷新聞が『成功したと言ってたのに、日本感染者爆増」。マネートゥデーが「K防疫をあざ笑っていた日本、感染者爆増」。韓国日報が「崩れる日本の防疫」などの記事を載せました。