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福島瑞穂氏が社民党党首選に出馬

社民党の党首選に福島瑞穂氏が出馬なさるそうです。「ワンミズホ」ではありませんが、社民党といえば福島氏、福島氏といえば社民党のようなものであり、そして、皮肉な話ですが、福島氏こそ社民党という「負の存在」を食い潰すというかたちで、間接的には日本社会に貢献なさっている方なのかもしれません。

社民党、ラスト2%

昨日の『今夏、社民党を待つ「2%の壁」』では、最大野党であるはずの立憲民主党が支持率で日本維新の会に抜かれつつあるという点に加え、社民党がいよいよ政党要件を失うかどうかにも注目が集まっている、といった話題を取り上げました。

国内政治における今夏の注目材料は参院通常選挙ですが、社民党の得票率は2%を割り込むでしょうか。すでに「最大野党」である立憲民主党に対する支持率は減少傾向にあるのですが、新聞、テレビを中心とする古いメディアの社会的影響力が枯渇して行けば、昨年の衆院選に続き、「日本を支配してきた古い体制」が本格的に終焉する兆しとなるかもしれません。立憲民主党の支持率は低下傾向当ウェブサイトでは「数字」をテーマに、メディアが実施する6つの内閣支持率や政党支持率などのデータを「定点観測」しています(「定点観測」して...
今夏、社民党を待つ「2%の壁」 - 新宿会計士の政治経済評論

総務省の『政党交付金の交付の対象となる政党』というウェブページによれば、政党交付金の交付対象となる政党は、次の1、2のいずれかに該当するものとされています。

政党交付金の交付対象となる政党
  1. 所属国会議員が5人以上
  2. 所属国会議員が1人以上、かつ、次のいずれかの選挙における全国を通じた得票率が2%以上のもの
    • 前回の衆議院議員総選挙(小選挙区選挙又は比例代表選挙)
    • 前回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)
    • 前々回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙又は選挙区選挙)

社民党は2019年7月の参議院議員通常選挙で、いちおう比例代表において、辛うじて全国で2%の得票率を維持しましたので、少なくとも今から3年半後に行われる2025年の参議院議員通常選挙のときまで、政党要件を維持することは間違いありません。

ただし、今夏の選挙で2%を割り込み、また、今後4年以内には必ず行われる衆議院議員総選挙でも2%を割り込み、そのうえで2025年の参院選でも2%を割り込めば、社民党は晴れて「政党要件」を喪失するでしょう。

日本社会を悪くしてきた利権「鉄のトライアングル」

ところで、過去に『福島瑞穂氏は社民党を食い潰すことで日本に貢献した』でも述べたのですが、少々個人的な感想を申し上げるならば、福島瑞穂党首は「社民党」という「日本の癌」のひとつを「食い潰す」という意味では、じつは日本社会に貢献した人物なのかもしれません。

社民党は、かつては自民党と「二大政党制」を目指したこともある社会党の成れの果てです。その社民党は先週土曜日の臨時党大会で「分党」を決定しましたが、産経ニュースによると照屋寛徳衆議院議員は福島党首に対し、公然と、「あなたは先輩の遺産を食いつぶした」と批判したのだそうです。その意味では、福島氏は「社民党を食い潰す」ことで日本に多大な貢献をした、ということかもしれません。照屋衆議院議員が福島党首を公然と批判先日の『立憲民主の未来が見える?社民党所属国会議員が1人に』でも触れたとおり、社民党は土曜日...
福島瑞穂氏は社民党を食い潰すことで日本に貢献した - 新宿会計士の政治経済評論

ただ、これについて考えるうえで、もうひとつ紹介しておきたいのが、「鉄のトライアイングル」です。

当ウェブサイトでこれまでに何度となく申し上げてきたとおり、日本社会を悪くしてきた「利権」とは、結局のところ、官僚機構、マスメディア、そして野党議員の3者ではないかと思うのです。

官僚は言うまでもなく、たんに国家公務員試験に合格しただけの存在であり、私たち有権者が直接に選んだ者たちではありません。しかし、現在の日本では、その官僚こそが法令の解釈権などの実権を握っており、また、記者クラブ制度などを通じてメディア記者という「紙を食べるヤギ」を飼い馴らしている状況です。

(※ちなみに「紙を食べるヤギ」のたとえ話については、『新聞記者を鳩やヤギに例えた髙橋洋一氏に謝罪を求める』などをご参照ください。)

先ほどの『新聞衰退は自業自得 これからはウェブ言論繚乱の時代だ』の続きですが、現代ビジネスというウェブサイトに、嘉悦大学教授の髙橋洋一氏が、まことに興味深い論考を寄稿されています。新聞社に対してチクッと刺すような論考が小気味よいと感じるのは私だけではないと思います。髙橋洋一氏の要点を突いた良文「押し紙」の問題、偏向・捏造報道などの問題などを巡り、私がかねてより新聞の社会的意義については強い疑念を抱いているという点については、以前から当ウェブサイトでも主張しており、この話題は今朝方も『新聞衰退...
新聞記者を鳩やヤギに例えた高橋洋一氏に謝罪を求める - 新宿会計士の政治経済評論

次に、新聞、テレビを中心とするマスメディア(あるいはオールドメディア)も、長年、新規参入もなく、報道する内容を恣意的に選んだり、歪めたりすることで、情報を独占してきた勢力です。そして、そのマスメディアが全力で特定野党を擁護する、というわけです。

マスメディアが「もりかけ問題」や「桜を見る会」で安倍晋三総理を、コロナ対策で菅義偉総理らを舌鋒鋭く批判したわりに、立憲民主党などの特定野党が国会質疑を空転させている事実などを頑なに報じようとしないことなどは、その典型例でしょう。

利権は自壊する:「ワンミズホ」社民党の党首選

ただし、面白いもので、利権は得てして、その強欲または怠惰によって自壊します。

現代社会だとマスメディアがどれほど「報道しない自由」を駆使しようとも、特定野党議員の悪行、奇行はSNSなどであっという間に拡散してしまいますし、また、マスメディアの記者が執筆した不勉強・不見識な記事も、市井の専門家が執筆したブログ記事等で徹底論破されてしまう時代になったのです。

衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ』でも述べましたが、昨年10月の衆院選など、まさにこうした「鉄のトライアングル」のなかの、オールドメディアと特定野党の部分が、腐敗のあまり自壊し始めた結果そのものではないでしょうか。

今回の総選挙、最大の勝者は、おそらくは議席を4倍近くに伸ばした日本維新の会であり、また、事前に惨敗を予想する意見も見られた自民党も、議席数は15議席減で済んだという意味では、「勝者」といえるかもしれません。一方の敗者はいったい誰なのか。「立憲共産党」と揶揄された野党共闘にも関わらず13議席減らした立憲民主党もさることながら、やはり最大の敗者は、新聞、テレビを中心とするオールドメディアではないかと思うのです。2021/11/01 10:15追記図表に注記を追加しています。オールドメディアさん、予測はどうでしたか?...
衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ - 新宿会計士の政治経済評論

こうしたなか、社民党に視点を戻すと、昨日はこんな記事もありました。

福島氏、党首選出馬の意向 社民、14日告示

―――2022/1/5 18:20付 産経ニュースより

記事タイトルのとおり、産経ニュースによると、14日告示・31日開票予定の社民党の党首選に、福島氏が立候補するのだそうです。「ワンミズホ」ではありませんが、ある意味では社民党イコール福島瑞穂氏、あるいは社民党の最後の党首として相応しい方なのかもしれません。

この調子で社民党の遺産をすべて食い潰し、次世代に社民党という負の遺産を残さないでいただきたい、などと思っているのはここだけの話です。

新宿会計士:

View Comments (22)

  • 「ワンミズホ」 >

    社民党は最終的にはアガサ・クリスティーの小説の最も有名なタイトルのようになってしまうかもしれませんね。

    そして誰もいなくなった、と。(笑)

  • 旧社会党の系譜からなる、社民党
     
    その遺産を喰い潰した、最後の党首として、
    ウィキペディア に名の残る名前ですね。

  • 社民党といえば、かつては社会党の名で「非武装中立論」などという天下の愚論を主張していましたね。

    幼い頃の自分ですら、「非武装で中立が保てるのか」、「スイスは国民皆兵のはず」(昔は永世中立国のスイスを日本の理想とする空気があった)という疑問を持ったものです。当時のマスコミは、「自衛隊は違憲」とし、社会党の非武装中立論をサポートする意見が多かった。冷静に考えれば、地政学的に西太平洋の制海権の鍵を握る日本が、東西対立の時に中立を許されるはずがありません。また、世界史的にも、武装中立しかあり得ないことは、少し考えれば分かりそうなものです。しかし、社会党もマスコミも、いい年をした大人が、大真面目で非武装中立論を主張した。そんな社会党が、100を超える議席を衆議院で持っていた時代がありました。
    その間に、日本の物理的・法政的な防衛力整備は遅れ、皮肉にも社会党政権の時に阪神大震災、民主党政権の時に東日本大震災が起きて、国民が彼らの愚策の被害者になりました。最近の野党とマスコミ離れは、日本にも健全な批判ができる人々が増えてきた結果と考えています。願わくば、リアリティに立脚する政党が、維新以外にも増えて欲しいものです。

    私にしてみれば「まだ2%も」ユートピア主義者の残党がいることが驚きです。

    •  非武装中立論を作り上げた、当時の社会党委員長石橋正嗣は、著書の上で「降伏した方が良い時だってある」と主張していましたから、平和を守るためではなく、日本を赤色国家に攻めてもらい、降伏した後で赤色傀儡政権に取り立てて貰うことを夢見ていたのでしょう。

      • 宇宙戦士バルディオスさま
        ということは、日本を反赤色国(?)が攻め来た時には、(社会党党員以外の)日本人は、死ねまで戦え、ということでしょうか。

        • 当時の社会党には、「非武装中立だから、国民は素手で戦え」と言う方もいました。

          軍人以外が戦闘行為を行ったら、戦時国際法では犯罪者として処分され、捕虜の扱いは受けません。まして「素手で戦え」とは、「B29を竹槍で墜とせ」と言った陸軍と同じです。
          このレベルの国防論が、野党第一党では大手を振ってまかり通っていた時代がありました。今も野党も、大して変わりはないのかもしれませんが。

        •  大人しく共産主義の奴隷となれということでしょう。
           旧東欧と同じく。

    • かつて「社会党から組合とったら何も残らない」「公明党から創価学会とったら何も残らない」「自民党から後援会とったら何も残らない」と言われていました。
      共産党にはそのような表現はなく、たぶんガチの人がおおいんでしょう。

  • 遠い昔「牛歩戦術」を繰り出して議場をぐしゃぐしゃにした国会議員たちに国民は厭世観を高めたものでした。若き日の自分の中では「野党=牛」という構図が確立して今もなおそのままです。

  • 独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (そう自分に言い聞かせないと、素人が間違えるので)
    社会党が社民党に変わった時、党として党名以外の何を変えようとしたのでしょうか、(議席数が減ったのは選挙の結果で、党が自分で減らそうとしたのではありません)
    蛇足ですが、(前日もコメントしましたが)今後、土井たか子という覆面の広報担当が出てくるかもしれません。(議員で覆面は、まずいでしょうが、広報担当の党職員なら、土井たか子の覆面をしていても、問題ないでしょう)
    おまけとして、社民党は、衰退していく日本の組織を研究する材料として、考えるべきかもしれません。
    駄文にて失礼しました。

  • 福島瑞穂しか議員が居ないと思ってたら、衆議院で一人沖縄で当選したんですね。東京あたりから辺野古妨害&反米の為に移住した人が大勢いるということでしょうか?

    • 社民党がなくなれば
      沖縄の反基地運動も下火になるかな?

  • おりしも、ラムザイヤーさんが韓国慰安婦は質の悪い詐欺師だ、みたいなことを再度強調してるようですが、福島さんは確か彼女たちが日本政府を訴えたときの代理人だったですよね。また、済州島に調査に行かれたのか行かなかったのか、また「元慰安婦」の証言を聞いたのか聞かなかったのか...
    ラムザイヤー流にいえば、全く「質の悪い」大ウソつきだということになるのですが、福島さんのはっきりとした説明を聞きたいものです。
    https://www.youtube.com/watch?v=bVapo8dg6Z0
    まあ、社民党も彼女のおかげで質が悪いものになりました。

    • すみません。だれか、知っていれば教えてください。
      朝日新聞が慰安婦報道の誤りを認めた時、社民党の福島瑞穂党首は、何といいましたか。

      • すみません。追加です。
        朝日新聞が慰安婦報道の誤りを認めた時、社民党の福島瑞穂党首が何と言ったかも、そうですが、日本国民から、何と言ったと記憶されているかも重要ではないでしょうか。

      • 引きこもり中年 さま
        ボクもその当時、耳をそば立てて瑞穂さんは何を言うかと聞いてたつもりですが、見事なまでに何も聞こえてきませんでしたね。 こんなのが見つかった程度です。
        https://www.asagei.com/excerpt/25948

        見事です!! 見たいものしか見ない、知りたいものしか聞かない...の姿勢に揺るぎはありません。照屋さんの口撃にも眉一つ動かさなかったですものね。最近ではTV討論何かに出ても、自分が言いたいことしか言わないですものね。 こういう風にボクもなりたい。(いや、家ではもうなってる)

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