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12月の支持率は軒並み60%台

日経・テレ東の合同世論調査では、岸田文雄内閣の支持率が前回比4ポイント上昇して65%だったそうです。これを高いと見るか、低いと見るかは人それぞれだと思います。ただ、個人的にメディアの世論調査を眺めていて感じるのは、政党支持率で日本維新の会と立憲民主党の「逆転」が生じていることに加え、これが今後も続くのかどうか、といった点です。

世論調査の「補正」って、いったい何なのでしょうか?

当ウェブサイトでは内閣支持率や政党支持率などの世論調査を追いかけ続けており、なかでも読売新聞、朝日新聞、時事通信、共同通信の4社のものに加え、産経・FNN、日経・テレ東の2つの合同調査、合計6つの世論調査については「定点観測」的に取り上げています。

ただし、これらの世論調査、報道記事によってはサンプル数や調査実施日などの記載がなかったり、内閣「不支持率」の記載がなかったり、政党支持率の記載がなかったりするため、「定点観測」的にウォッチするには、さまざまな欠点があることもまた事実です。

なにより、これまでの「経験則」的なものに照らし、これらの世論調査に関しては、必ずしも全幅の信頼を置くべきではないかもしれないとは考えています。

その理由はいくつかあるのですが、その最たるものは、「各メディアは世論調査結果をそのまま公表するのではなく、『鉛筆を舐めて』補正した結果を公表している」、という噂です。

わかりやすいものは、「年齢補正」でしょう。

たとえば、ある社会の有権者を年齢構成別にみると、40歳以下が40%、40歳超が60%だったと仮定しましょう。しかし、ある社の世論調査では、回答者を年齢構成別にみて、40歳以下が20%、40歳超が80%だったとしましょう。

このとき、40歳以下の回答結果を「40%÷20%」で乗じ、同じく40歳超の回答結果を「60%÷80%」で乗じるなどして加重平均して世論調査結果を出す、といった、補正を行うことが考えられます。

ただ、各メディアがいかなる基準でこうした補正を行っているのか(行っていないのか)、行っているならどのような補正を加えているのか、などについては、まったく表に出て来ません。

だからこそ、「各メディアが実施する世論調査結果を一覧表にしても、あまり意味はないのではないか」、といった批判があっても不思議ではありませんし、そのような批判が当ウェブサイトに寄せられた場合も、甘んじて受けたいと思っている次第です。

このため、当ウェブサイトとしても、こうした「定点観測」をいったいいつまで続けるべきなのか、慎重に見極めたいとは考えています。

ただし、現時点において「メディアの世論調査は100%完璧に間違っている」と決めつけるべきでもありませんので、あくまでも「参考」として支持率を眺めるのが良いのかもしれません。

岸田内閣の支持率は65%、前回比4ポイント上昇=日経・テレ東

さて、昨日は日経・テレ東が今月分の世論調査結果を出してきましたので、当ウェブサイトで「定点観測」している6つの調査の12月分の結果が出揃いました。

内閣支持率は、図表1のとおりです。

図表1 内閣支持率(2021年12月)
メディアと調査日 支持率(前回比) 不支持率(前回比)
読売新聞(12/3~5) 62.0%(+6.0) 22.0%(▲7.0)
共同通信(12/18~19) 60.0%(▲0.5) 22.7%(▲0.3)
産経・FNN(12/18~19) 66.4%(+3.2) 26.2%(▲4.5)
時事通信(12/10~13) 44.9%(▲2.2) 24.0%(+2.7)
朝日新聞(12/18~19) 49.0%(+4.0) 23.0%(▲4.0)
日経・テレ東(12/24~26) 65.0%(+4.0) 26.0%(▲1.0)

(【出所】各社報道より著者作成)

これら6つの調査のうち、内閣支持率が最も低いのは時事通信(44.9%)であり、朝日新聞(49%)がこれに続いていますが、それ以外の4つの調査では、いずれも支持率は60%台です。また、内閣不支持率に関しては、いずれも20%台でした。

岸田政権はまだ「初期」?

あくまでも個人的な感想に照らすならば、これらの調査結果については「ずいぶんと高いな」という気がしますが、それと同時に、現時点において岸田首相についてどう考えるべきか、有権者の間でも評価はまだ固まっていない可能性もあります。

なぜなら、現在はまだ政権初期だとも考えられるからです。

第1次岸田文雄内閣が発足したのは10月4日のことですが、その月は衆院選の総選挙に忙殺され、その後、(形式上は)11月10日に内閣総辞職しています。そして、同日、第2次岸田文雄内閣が発足したため、この内閣は本格的に始動してからまだ実質的に2ヵ月ほどしか経過していない、との見方もできます。

もしかすると、岸田首相は来年7月の参院選までは「安全運転」に徹するのかもしれませんし、それまでの間はしばらく前任者である安倍晋三、菅義偉両総理の路線を継承し、本格的な「岸田カラー」(たとえば「新しい資本主義」)を打ち出すのは来年8月以降なのかもしれません。

なお、「最近の内閣支持率は、新型コロナウィルスの新規陽性者数とある程度連動している」、といった説もあります。

この説に従うならば、たしかに「コロナ新規陽性者数が落ち着いているのが内閣支持率に反映している」、という説明もできるのでしょう。新規陽性者数は増加傾向にはあるにせよ、菅義偉内閣末期などと比べれば、新規陽性者数はずいぶんと落ち着いているからです。

ただし、「コロナ新規陽性者数と内閣支持率の相関」仮説が正しいかどうかを検証しようと思っても、サンプル数が少なすぎて実質的な検証は困難でもありますので、当ウェブサイトとしては、「内閣支持率コロナ連動説」については単なる仮説にすぎず、あくまでも「参考」程度に留めるべきだ、と考えている次第です。

政党支持率については「維新>立憲」が続くのか

さて、図表1にも記したとおり、昨日は日経・テレ東の世論調査結果が出て来ているのですが(※下記リンクも参照)、著者自身の探し方が悪いためでしょうか、残念ながら昨晩時点で、日経・テレ東の調査に関して政党支持率を見つけることはできませんでした。

接種前倒し「対象拡大を」43% 内閣支持率65%に上昇

―――2021年12月26日 20:00付 日本経済新聞電子版より

これについては、『支持率を追う 日経世論調査アーカイブ』のページが更新されるのをゆっくり待つことにしましょう。

そのうえで、日経・テレ東のものについては先月(11月10日~11日)の調査結果をそのまま掲載し、それ以外の調査については12月の政党支持率を一覧にしたものが、次の図表2です。

図表2 政党支持率(2021年11月~12月、カッコ内は前回比)
メディアと調査日 自由民主党 立憲民主党 日本維新の会
日経・テレ東(11/10~11) 44.0% 9.0% 13.0%
読売新聞(12/3~5) 41.0%(+2.0) 7.0%(▲4.0) 8.0%(▲2.0)
共同通信(12/18~19) 43.8% 11.6% 12.5%
産経・FNN(12/18~19) 38.6%(▲1.6) 7.2%(▲1.8) 8.1%(▲3.6)
時事通信(12/10~13) 26.4%(▲0.8) 5.0%(▲0.4) 4.9%(+0.2)
朝日新聞(12/18~19) 36.0%(±0) 8.0%(▲1.0) 7.0%(▲2.0)

(【出所】各社報道より著者作成)

この図表自体、先日の『参院選の投票先も「維新>立憲」=朝日新聞の世論調査』に掲載したものとまったく同じですが、改めて指摘しておくと、時事通信と朝日新聞の2つの調査を除けば、どの調査でも日本維新の会の支持率が立憲民主党のそれを上回っているのが印象的です。

朝日新聞の世論調査によれば、来年の参院選で日本維新の会の候補者に投票すると答えた人の割合が、立憲民主党の候補者に投票すると答えた人の割合を上回ったようです。この背景には、単なる2つの政党の勢力が変わるというだけでなく、もっと大きな変化――たとえば、「マスメディアに対する有権者の信頼度」――という視点も加えてみると、面白いかもしれない、と思う次第です。内閣支持率の最新版昨日の『政党支持率「維新>立憲」定着か』では、当ウェブサイトで「定点観測」的に眺めている世論調査をもとに、内閣支持率や政党支持率の...
参院選の投票先も「維新>立憲」=朝日新聞の世論調査 - 新宿会計士の政治経済評論

また、6つの世論調査だけで読む限り、2021年10月の衆院選以降、政党支持率のうえでは「維新≧立憲」という構図が固まりつつあります。立憲民主党が辛うじて日本維新の会を支持率で上回っている調査に関しても、朝日新聞の調査で1ポイント、時事通信調査に至っては0.1ポイントしか差がついていません。

ということは、来年7月の参院選の戦い方次第では、日本維新の会が最大野党としての地位を立憲民主党から奪うのかどうかが見えてくるかもしれません。

もっとも、それまで立憲民主党が分裂せずに存続しているのかどうかに関しては、また別の論点だと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (22)

  • このグダグダな岸田内閣の支持率がこんなに高いなんて信じられません。まあ、反日マスコミからすれば全く脅威ではないので、安部さんや菅さんの時のようなネガティブキャンペーンをしないこともあるかも知れません。ただ、このままだとせっかく安部さんが築いた日米同盟も崩壊しそうですし、この無能で文大統領並みのコウモリで日和見な岸田が続くのは日本にとってリスクでしかありません。痛手ではありますが参議院選挙で大敗し、早期退陣させるしかなさそうです。

    • >安部さんや菅さんの時のようなネガティブキャンペーンをしない

      でしょうねえ。明らかに中韓寄りになってるし。

  • >なお、「最近の内閣支持率は、新型コロナウィルスの新規陽性者数とある程度連動している」、といった説もあります。

    正直、原因はこれしか考えられない様な・・
    それ以外にいい加減な大衆に岸田首相が支持されている理由なんて思いつくでしょうか?

    • 菅首相の支持率が低下して退陣したのも
      自民党が総選挙で勝ったのも
      コロナの感染者で説明つくからね

  • 韓国メディア的評価の高さ≒在⦿マスコミ的評価の高さ∝反日度の大きさ∝⁻¹護国度の大きさ

  • (立民の葛藤)
    A:連合との協賛を重視。
    B:共産との連合を重視。

    余計な事しないで、アンチ自民の受け皿(但し、きちんと政策提言して・・。)でいた方がマシだと思うんですけどね・・。

      • 門外漢様
        いつも反応していただき、ありがとうございます。
        この場の品位を損なわない範囲で精進いたします。
        m(_ _)m

  • 政権初期にも関わらず、
    まだ本格的には何も行っていないにも関わらず、
    初っ端から媚中だの財務省の犬だのとレッテルを貼っているのはどなたでしたっけ?

  • 同じように無作為に電話をかけて、どうしてこんなに結果が違うんだろう。
    数字を見ていて1つ気がつくことがある。
    支持、不支持の合計が各社で大きな開きがあり、また合計が100%にならないことだ。
    支持不支持の合計は産経93%、時事69%だ。
    考えられる可能性の一つは、産経は支持、不支持、以外にどちらかというと支持、どちらかというと不支持、わからないの5択。時事は支持不支持以外にわからないの3択。
    政党支持率について3党の支持率の合計は共同で68%、時事で36%。同じ質問をしてこんなに結果が違うのは質問のしかたが違うとしか考えられない。

  • 議席予測で数値を調整するのはわかりますが、世論調査と謳う以上は調整をしちゃダメでしょう。調整手法も公開しないと。もしやってれば、ですが。

    今の岸田政権のマスコミ受けがいいと思います。政権初期だからかもしれませんが。
    感覚的なことですが、財務省の覚えがめでたい政権はマスコミ受けもいい傾向があるような気がします。

    森友を追求していたNHKの現場記者が、NHK幹部から圧力を受け左遷されて転職した話のインタビュー記事を読んだことがあります。明確にこれ以上森友の記事を書くなと指示されたのだそうです。指示を無視して記事化を続けたのだそうですが。
    本人は「政権への忖度」の文脈で語っていましたが、記事から推察するに、圧力を受けるようになったタイミングは、森友の話題が、政権攻撃から財務省(近畿財務局)のチョンボの話になったときでした。

    財務省とマスコミにはよくわからない太いパイプがあるのだろうなぁと、想像しました。

    (その記者は書籍化もしているようですから、検索すればすぐ出ると思います)

    • 大阪日日新聞のその記事を探しましたが、なくなっているみたいです。
      その近辺のことを記した本人の記事がありましたので貼っておきます。

      相澤冬樹記者
      https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20190514-00125962

      この記事からもわかりますが、この人は財務省への攻撃と、政権への攻撃の区別がついていないんです。

  • 60%台であれば支持率は十分高い方だと思いますが、ある意味高くて当たり前のように思います。

    あれだけ連日のように、「アベガー」「スガガー」って言っていた声も「キシダガ―」の声はほとんど聞こえませんし、オールドメディア、地上波、週刊誌、自称専門家も、毎日毎日毎日毎日、飽きもせず、支持率を落とすべく、ネガティブキャンペーンをやっていたのに、今はホント大人しいです。その連中はどこに行ったのやら。。。

    このことから考えてみると、今の政権が彼らにとって都合のいいものであろうことは、推測できると思います。

    • 操縦しやすそうだからと考えます。
      先日日本経済新聞社主催の講演会で首相がお手盛り発言をやってくれて彼らはさぞほくほくだったと判断しています。しめたもの、ではないでしょうか。

  • 岸田総理の学歴
    ・「開成高校」←官僚受けがよい
    ・「早稲田大学」←マスコミ受けがよい
    だったりして。
     それはともかく、岸田内閣には、官僚と議論できる大臣が多いような気がします。「官僚=悪」という図式で懲罰人事を多用した噂がある前総理大臣かつ元官房長官がいましたが、彼が完全に政権を去ってから、霞が関の風通しが良くなったと聞きます。岸田総理が政策(給付金、入国管理、大学受験)で二転三転してもすぐにリカバリして大事にならないのは官僚が協力的なんだと思います。

    • >霞が関の風通しが良くなった

      誰にとって?と言う事でしょうね。

  • 政策がブレブレですぐ方針転換する政権、普通は信用できないはずですが…
    間違った方針に固執するよりは余程いい、などと思われているのでしょうか。

    コロナの感染状況が諸外国に比べて落ち着いているという事実も、国民に何かしらの安堵感を与えているのかもしれません。

    国会でも「すぐ頭を下げる岸田総理は攻めにくい」などと立憲共産党がボヤいているとか。
    安倍元総理、菅前総理とも違う柔和路線が奏功しているんでしょうかね。

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