北京五輪で米国が外交ボイコットを打ち出したことを巡り、波紋が広がり始めています。中国のわかりやすい反発もさることながら、英豪両国が米国に追随すると表明したことに加え、日本も閣僚を派遣しない方向で検討しているとの報道もあります。ただ、もうひとつ興味深いのは、米有力紙『ワシントンポスト』が北京冬季五輪を「ジェノサイド五輪」と呼ぶ社説を掲載した、という点でしょう。
北京五輪巡る米中さやあて
『米国が北京冬季オリパラ「外交ボイコット」を正式表明』でも取り上げましたが、米国は2022年北京冬季オリパラを巡って、俗にいう「外交ボイコット」、すなわち五輪の場で政府閣僚などを送り込まないなどの対応を取ると発表しました。
米ホワイトハウスのサキ報道官は北京2022オリパラに関し、事実上の「外交ボイコット」をする方針を明らかにしたようです。といっても、五輪自体をボイコットするわけではなく、あくまでも「政府代表を送らない」というものです。こうしたなか、日本は欧米諸国の対中人権制裁に同調しなかった過去もあります。日本がFOIPを推進するという立場にあることを踏まえるならば、岸田政権には迅速な対応を期待したいところでもあります。本日の「速報」です。米国が来年の北京冬季オリパラに対し、外交官や政府代表などを派遣しないことを... 米国が北京冬季オリパラ「外交ボイコット」を正式表明 - 新宿会計士の政治経済評論 |
ただ、昨日の『米「外交ボイコット」に対する中国のわかりやすい反応』でも概観したとおり、これに対して中国は強く反発。中国外交部の趙立堅(ちょう・りつけん)副報道局長は米国の外交ボイコットについては「両国関係を傷つける」として強く反発し、「断固たる対抗措置」などを取る、などと述べました。
このあたり、個人的な感覚を申し上げるならば、新型コロナウィルス感染症の世界的な蔓延という状況もあるため、中国外交部もシレッと「米国はコロナを気にして要人を送って来なかった」、などと発表すれば良いのに、などと思ってしまいます。
いずれにせよ、中国とは、本当にわかりやすい国です。
中国外交部がもう少し賢明であるならば、自分の国にとって都合が悪いことがあったとしても、少しの間口をつぐむくらいのことはやっても良いのかもしれません。
日英豪の対応は?
さて、こうしたなかで、時事通信に昨晩、こんな記事が出ていました。
英豪も北京五輪外交ボイコット 米国含む3カ国に、中国反発
―――2021年12月08日22時30分付 時事通信より
記事タイトルにもあるとおり、英国と豪州が米国に追随して「外交ボイコット」に参加すると述べたのだそうです。
さすが、「AUKUS」と呼ばれる同盟を結ぶ3ヵ国だと思ってしまいます。
こんな話を眺めていると、日本は果たしてどうするのか、という点が気になるところですが、産経ニュースにはこんな記事がありました。
高市政調会長、北京五輪の外交ボイコット「打ち出すべき」
―――2021/12/8 13:27付 産経ニュースより
産経によると自民党の高市早苗政調会長は8日、米国の外交ボイコットに対し「賛同する」、「しっかりとした姿勢を日本としていち早く打ち出していくべきだ」と述べ、「政府はボイコットに踏み込むべき」との考えを示したのだそうです。
「決められない政治家」、「財務省の飼い犬」などと揶揄されることも多い岸田文雄首相に対し、この歯切れの良さは、いかにも高市氏らしい反応だと思うのはここだけの話です。
ただ、産経のこの記事自体は大変に短いものですが、記事の末尾にこんな趣旨の記述もあります。
「日本政府は北京冬季五輪への閣僚の派遣を見送る方向で検討している」。
これが事実ならば、日本政府としてはそれなりの決断だと思います。
ただし、昨日の『米「外交ボイコット」に対する中国のわかりやすい反応』でも紹介したとおり、現時点においては林芳正外相などは「北京冬季大会への日本政府の対応は適切な時期に諸般の事情を総合的に勘案して判断する」と述べるにとどまっています。
米国の北京オリパラ「外交ボイコット」に対し、やっぱり中国外務省が舌鋒鋭く批判しました。本当にわかりやすい国です。口をつぐむということができないのは中国の特徴なのかもしれません。その一方で、わが国はこれにどう対処するのか、とくに「決められない」岸田首相の性格が悪い方向に出ないかについては、大変に気になるところです。「口をつぐむ」ということができない中国外務省昨日の『米国が北京冬季オリパラ「外交ボイコット」を正式表明』で「速報」的に取り上げましたが、米ホワイトハウスのジェニファー・サキ報道官は現... 米「外交的ボイコット」に対し中国が予想どおりの反応 - 新宿会計士の政治経済評論 |
もしも閣僚の派遣を見送るにしても、その「名目」いかんによっては、米国の失望を招く可能性もあります(たとえば「コロナ防疫」は閣僚派遣の断り文句としてはやりやすいですが、その分、「人権外交」という色合いが薄まってしまう可能性があります)。
WP「ジェノサイド五輪と呼べ」
こうしたなか、産経ニュースには昨晩、こんな記事も掲載されていました。
「ジェノサイド五輪」と呼べ ワシントン・ポストが社説
―――2021/12/8 19:11付 産経ニュースより
産経によると、米ワシントンポスト(WP)の電子版は7日、「北京冬季五輪を『ジェノサイド五輪』と命名する社説」を掲載したのだそうです。
産経からの孫引きですが、WPは社説で次のように述べたそうです。
「米国のボイコットは始まりにすぎない。同盟国は後に続くべきだ」。
WPがここまで踏み込んだ社説を掲載するとは、時代も変わったものだと思います。
いずれにせよ、深刻な人権侵害が漏れ伝わるだけでなく、中国は東シナ海や南シナ海などの海洋への違法な進出、香港の扱いをめぐる英国や国際社会との約束違反、北朝鮮制裁の不履行の指摘など、国際社会においてさまざまな問題を振りまく国のひとつであることは間違いありません。
さらには、チベット、ウイグル、香港などでの中国の問題行動、台湾に対する軍事侵攻の野心などを眺めていると、最近の中国という国は、本当に全方位に問題を振りまいているように思えてならないのです。
このように考えていくと、北京オリパラを契機に、西側諸国が「反人権弾圧」でうまくまとまることができれば、日本が進める「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想にもさらに勢いが生じて来る可能性があると思うのですが、いかがでしょうか。
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米英豪に続いてカナダも政治的ボイコットの輪に参加したとのことです。
https://www.theglobeandmail.com/canada/article-canada-joins-allies-in-diplomatic-boycott-of-beijing-winter-olympics/
Canada joins allies in diplomatic boycott of Beijing Winter Olympics
カナダは同盟国とともに北京冬季オリンピックを外交的にボイコット
日本国政府の決断は、岸田政権の親中度の目安になりそうです。
月長石様
これにニュージーランドが加われば、UKUSA協定(通称:ファイブ・アイズ)参加国が外交ボイコットで同調することになります。
ただ、ニュージーランドは他の4ヶ国に比べて親中度が高い為、外交ボイコットに加わるかは不透明ですね。
外交ボイコットというカードは、面子を人一倍気にする中国人というより習近平国家主席の面子を狙い撃ちした一種の神経戦ですね。 アメリカは選手団のボイコットや関税を上げる等より実害があまり出ないで、且つ「人権問題」という反対しにくい方法を考え出してきましたが、巻き込まれる世界中の国々にとっては難しい踏み絵ですね。
閣僚や高官を派遣しないことに「外交ボイコット」の看板をつけるかどうかの話ですよね。
5Eyesもだいたい出そろいましたし(NZは無さそう)、そろそろ日本も宣言しといた方がいいような気がします。
岸田政権は人権外交やるって言ってる以上はやらんとダメでしょう。どうせ大したオリジナル政策は打ち出せないでしょうし。
中国からの報復や嫌がらせは、どうせこんなことをするしないに関わらずこれからもあるでしょうし。
本論とはズレますが、産経のWP引用記事のようなのを読んでて、記事中に引用先URLを書けよといつも思います。
こういうのにも、読者に対して判断材料ではなく結論を教えてあげるマスコミの姿勢が表れてるのかなぁと、素朴に思いました。
次記事出てるのに気づいていれば、そっちに書いたのに・・・
元ジェネラリストさま,こういう宣言は【する|しない】だけでなく,宣言するにしても宣言するタイミング(というかスピード)も重要ですからね.
同盟国の米だけでなく,今後の日本が共産チャイナの膨張主義に対抗し開かれて自由なインド洋・太平洋の理念を実現する上で是非とも協力して貰わねばならない国々の豪英も速やかに外交ボイコットを宣言したのにねえ.
それを「総合的に判断する」などと言って閣僚さえ送らなければ北京の最低限の面子を潰さぬように宣言しないでもアメリカなどからも不満は持たれないだろう,と岸田さんが考えているとしたら,文ちゃん並みの勝手読みというか考えが甘いにも程がある.
もし岸田さんが本当にそんな読みをしているとしたら,やはり岸田さんは外相として韓国外交部の尹長官に簡単にコロっと騙されて煮え湯を飲まされただけのことはある外交下手というか外交音痴と言うべきだろう.だから共産チャイナに対して今以上に踏み込まれないようにするには日本としてファイティングポーズを続けることが不可欠なのに,よりによって林さんなんて人間を外相に据える人事も平気で行えたのだろう.
政務会長の高市さんが「日本も速やかに政治ボイコットを宣言すべきだ」と言ったので,岸田さんはますます宣言しないと個人的には予想しています.岸田さんは高市さんにポイントを獲らせたくないのが見え見えなので,今回も高市提案には意地でも乗らないと考えます.余程,日本中から非難轟々になり支持率も急降下するといった事態が起こらない限り.
だが,そんな個人的感情や打算で日本の国の将来を左右する外交をやられては国民の一人としては堪ったものでないというのが率直な感想です.
さて,私の予想を覆して速やかに政治ボイコットを宣言し,「あらっ,岸田さんって結構使えるじゃない」と実証してくれるのか,予想通り「やっぱり使えないのね」と思わせてくれるのか,これがこれから数日間(せいぜい週明けの月曜日一杯まで)の最大の見物だと個人的には考えています.
安倍元首相も表明したから
岸田の性格上、なおさらボイコットできなくなった
南国は外交ボイコットは考えていないと報道しているが
南国に外交ボイコットを考える余地はない。
日本が外交ボイコットを考えるのはよいが、中共に滞在している
日本人をどうするかを考える必要がある。
中共に法律みたいなものはあるが、法の上に党がある国なので
党の意向次第で無差別・無法に中共滞在日本人が投獄される事は当然予想
される事である。 幸いな事に武漢コロナウィルスの影響で日本人旅行客が
中共にいない事である。
日本は武漢コロナウィルス対策で政府関係者が動けず、山下会長が行くというのは、
良い案である。
外交ボイコットを、米英豪加が表明しましたので、日本も今日明日には表明すべきです。
日本はアングロサクソン系の国との連携を連携を深めるべきです。
フランスやドイツなどを気にしないほうが良いでしょう。
あとは、各スポーツ団体がどう対応するかという事になります。
日頃人権にうるさい方々が多いようですので、対応が楽しみです。
冬の大会は黒人選手が少ないので人権を気にしない団体が多いかも知れませんが。
「Opinion | The U.S. boycott of the Genocide Olympics is only a start - The Washington Post」
should follow とか must call とかホントに言っててワr…驚く。
ワシントン・ポストって、そんなに政権に近かったか。
いや、「リベラル」の「教義」ゆえか。
子供の遊びの缶蹴りと同じで、行かないか・上層部が行くか以外に
とんでもない人数で中華人民共和国が反対出来ない状況で北京入りするという選択肢もないではない。
何しろ大都市北京である。
西側各国から臨時外国団として10万人とか100万人とか外交特権を期間限定で与えたまま送り込んで、食糧や電力・暖房とかのエネルギー源消費しまくったらどうなるだろう?
要するにベラルーシがポーランド・ドイツにやってる事を公明正大に五輪大使として送り付けちゃう。
臨時外交官の期限切れたら亡命申請を中華人民共和国にしてもらってもいいし。
北京の公安とか38方面人民解放軍とか機能麻痺するんじゃない?
武力行使も出来ないし。
この国はジェノサイドを行なっているので、そもそもオリンピックの開催国たる資格は
ないでしょう。ボイコットではなく、本来はIOCが開催地の変更に踏み切るべき事態です。
ところが、IOCは会長が、女子テニス選手の一件でも、何やら怪しげな動きを見せています。
WPVの変異株の命名についてもWHOは妙な忖度をしています。このあたりの国際機関は、
すでに、中立公正なものでは無くなっているのかもしれません。となれば、ここは、おかしな
国々を排除した新たな国際秩序をつくるべきでしょう。おかしな国々とは争うのではなく、できる限り
政治的にも経済的に関わりをなくしていく方向で、社会全体で取り組まなければならないでしょう。
日頃人権人権言ってる日本共産党からのボイコット支持って出てましたかねぇ…。
何はともあれ、チワワが英断を下す事を願ってます(o^人^o)