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野球選手の記者会見で「結婚予定」を尋ねる日本の記者

数日前に行われた野球選手に対する記者会見での記者からの質問がなかなか酷いと話題になっているようです。ノーベル賞受賞者に対する記者会見のときにも感じるのですが、やはり質疑のレベルが低いというのは、日本の新聞、テレビなどのオールドメディア業界の大きな特徴といえるのかもしれません。

大谷選手の記者会見「グダグダ」

当ウェブサイトは「金融・外交・政治・経済」などを取り上げるウェブ評論サイトを標榜しており、著者自身は金融評論家、エクセル評論家、ハンバーガー評論家でもあるため、どうしてもそれ以外の分野(たとえばスポーツなど)に関する話題はあまり当ウェブサイトにて取り上げることはありません。

ただ、数日前に、野球で「ちょっとこれはあんまりだ」という話題がありました。

米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が15日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見に応じたのですが、わが国のメディアからの質問があまりにも酷かったというのです。

大谷翔平会見「グダグダぶり」に酷評の嵐 海外からも批判「質問がとても長い」

―――2021年11月15日16時33分付 J-CASTニュースより

J-CASTニュースによると、この会見では米アナリストが「質問がとても長い」と記者を酷評したほか、ツイッターユーザーからも「質問がペラペラすぎる」「結婚とか彼女とかの質問をやめないかね」などとする「厳しい声が寄せられた」、としています。

実際の動画を視聴してみた

実際の質疑は、いったいどうだったのでしょうか。

動画サイトYouTubeを調べてみると、「ノーカット」と謳った動画がいくつかアップロードされていたようです。

視聴してみると、たしかに大谷選手の今シーズンの活躍とあまり関係のない質問が目立ちます。

だいいち、冒頭の司会者(スポニチの記者)からの質問が2分近くと非常に長く(動画の06:00~07:36)、これに対する大谷選手の第一声が、これです。

ちょっと質問が長かったので、何から答えたらいいのかちょっとわかんないですけども…」。

正直、この司会者の方、大谷選手への質問もそうですが、会場にいる記者、オンラインで取材をしている記者らに対するアナウンスもダラダラと長く、要点をうまくまとめるのが苦手なのかという気がします。

さらに、動画を視聴していると、寄せられる質問がなかなか強烈です。

たとえば読売新聞の記者は大谷選手と同名で当時1歳6ヵ月だった難病の川崎翔平ちゃんという小さい男の子を大谷選手がお見舞いしたことが大きく報じられ、寄付金が集まったことや関連する出版物などについてどう思うか、といった質問を投げかけました(翔平ちゃんは残念ながら1歳8ヵ月で亡くなってしまいました)。

また、読売テレビの『ミヤネ屋』の記者を名乗る人物からの質問(36:40~)は、「会場の皆さん、大谷選手に拍手を!」などと呼びかけ、「私生活でいちばんお世話になった人はだれか」「日本の家族と連絡を取っているのか」などと質問していました。

テレビ朝日の記者(40:50~)は「印象に残っている試合は何か、理由とともに教えてほしい」、「印象に残っているホームランは何か」などと尋ね、大谷選手が半ば困惑しながらもいくつかの試合を挙げる、という一幕もありました。

また、「NP通信」の記者と名乗る人物(46:10~)は、大谷選手に「いわゆる高額所得者・高額納税者として気付いたこと、ご要望について教えてほしい」などと聞かれ、大谷選手は「納める税金は納める」と答えてお終いでした。

さらには、メールでの質問(48:36~)で「家庭を持つというタイミングはありますか」と尋ねられたほか、フリーの記者(54:00~)からは、「食事についての質問」、「今シーズン一番のひらめきはなんでしたか?」といった、まことに漠然とした質問も投げかけられました。

正直、「こんなの」を相手にする大谷選手に対しては、やや同情してしまいます。

「記者のレベルの低さ」

もっとも、先ほどのJ-CASTニュースを読んでいると、すべての質問が野球と無関係の質問であったかのような印象を受けますが、実際に動画を視聴すれば、(質問のレベルはさておき)いちおうは野球に関連した質問も多かったようなので、その点については念のために申し添えておきます。

ただ、ノーベル賞の授賞者に対するインタビューなどでも感じるとおり、やはり、日本の記者は総じて質問の内容が抽象的であり、焦点が合っておらず、もっといえば「不勉強」、という印象を抱かざるを得ません。

じつは、著者自身もときどき、某分野でメディアの取材を受けることがあるのですが、一般紙だと質問のレベルも決して高いとは言えず、困惑することもあるというのが正直なところです。

少なくともその人の専門分野とは無関係の「好きな食べ物は何ですか」、「結婚の予定はありますか」、「休日は何をして過ごしますか」、といった質問を投げかけるのは、端的に申し上げて会見に応じている人に対し大変失礼ですし、時間の無駄ではないか、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (21)

  • まぁそのとおりですね。
    そして彼らにすると「百歩譲って記者のレベルが低いとしても、それは知りたがっている国民のレベルが低いからだ」という某政治家と同じ主張でしょう。
    ただこの主張は「やろうと思えば高尚なことををできるが、あえてやってない」ということに繋がりますので、「果たして本当にやれますか、そんな事例は過去ありませんでしたけど?」というブーメランになっちゃうという、まぁこれもいつもの流れです。
    なんて平和なんだ~

  • 少し見たけど、下らないのでやめました。
    今時、結婚の予定を聞くのは、セクハラじゃないのか?

  • 仕方ないでしょう?
    スポーツ(野球)が解らない記者しかいないんだから、
    質問できるのは、スポーツ以外の事しか聞けないでしょ。
    それでも質問したいのか、意見が言いたいのかが解らないのは
    受ける側にとって苦痛でしかありません。 菅官房長官時代は偉大でした。
    意味の無い演説を、質問だと言い張る東京新聞の記者に耐えていたのですから。
    これで、記者の多くが大学を出ているという、現在の教育の貧困さを
    十分見せてくれるものです。
    昭和20年迄の大学生で、こんな人達がいなかったのはどうして
    なんでしょうか? 遊就館で文章を読みましたが、18~20歳であれだけの
    文章を書ける為、どのような勉強をしていたのでしょうか? 不思議です。 

  • オールドメディアから人材がいなくなってるって事でもあるから、ある意味歓迎すべき事でもあるな。このまま衰退していってくれ

  • (好意的に解釈して)新聞記者は、上が理解できる程度の質問しか出来ないのではないでしょうか。

  • これは日ごろのオールドメディアの街頭インタビューで常に感じることですし、プロ野球のヒーローインタビューでも感じることですね。要は、ろくな人材がいないし、それを許容しているマネージャー層もそのレベル、ということです。技術開発系の企業では使いものにならないコミュニケーション能力、場の空気の読めなささ、ですねぇ。

  • 日本のニュースでは、なぜか記者の質問の音声が流れることが少ないですね。
    発声からしてなってなく、文章もまとまりがないから報道しないのか、報道しないから記者の質問が酷いままなのか。
    いずれにせよ、英字記者たちとは雲泥の差ですね。

    • 多分ですけど、質問がダラダラ長いからでは?ネットの配信見ていて思います。

  • 現役時代の福原愛を思い出した。

    日本の記者はとてもレベルが低い。
    福原はしぶしぶインタビューに応じていた印象。

    それに対して中国の記者はレベルが高い。
    福原は笑顔で進んでインタビューに応じていた。

    その中国でのやりとりの日本語版の方がはるかに有益だと卓球ファンは口をそろえた。

    現在でも各分野でその傾向にあるようだ。

    特にこの前の枝野退任の記者会見はひどかった。
    さすがの枝野もあきれていたのではないか?

    各ジャンルにおいて日本のマスコミはレベルが低すぎる。

    • なんだかマスコミってゴミ人格者の吹き溜まりなんですかね?これじゃあ本当に「マスゴミ」じゃあないですか。

      • トシ様 匿名様

        https://www.j-cast.com/2021/11/15424929.html?p=all

        ですね。
        IWJの記者も映画化されて、日本アカデミー賞やブルーリボン賞総なめなんですかね…

        いんちきウマルも3年6ヶ月も誘拐されてたら、垂直方向にあなた方掘るだけで石油とか堀当てて身代金自分で稼いで解放してもらえと…つやつやしやがって。

        ウマルの嫁がよりによって出雲大社で創作暗黒前衛舞踏とか踊ってやがる…し

        • うまるという名前は
          日本では某アニメ以外には出てこないが
          僕アニメと何か関係あるのかな?

  •  スポーツ選手が新聞記者やテレビ局のアナウンサーを通さずにTwitterやInstagramで自ら発信しにいくようになった理由がわかるような気がします。

  •  日本のメディアはプロ野球選手を「芸能人」のように扱います。スター選手もファンサービスをし、そして大衆はその私生活まで知りたがる。需要のためにああいった趣の質問が多いのでしょう。

     ……というのはもう平成も半ばで終わったと思うのですよね。娯楽が少なかった時代は野球選手が様々な需要を満たしていたのでしょうけど。今のスポーツファンはスポーツ自体の掘り下げを見たいし(というかなんもないからとりあえず野球を見よう、などという層が激減した)、なんなら選手のコンディションを害するような芸能じみた取材は嫌悪している。ここらの傾向もネットの普及と合致しそうなのですが。

     つーか低学歴のど田舎の百姓だってですね、数字見たら「この作物ダメやな方針変えよ」とかなるわけですよ。継続的に数字に出てまでいるのに「絶対にTVは娯楽の王様だ」「絶対に新聞は情報の主役だ」などと思い続けて何らの進歩をしない彼らの神経を疑います。
     どっかの国とか政党とかと一緒で、褒めてくれるお仲間の意見しか聞いてないのかなぁ。中の人は似たようなものだろうし。

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