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    Categories: 外交

日韓電話首脳会談は史上初「自動音声対応」でいかが?

昨日衆院を解散した岸田首相は、非常に多忙です。こうしたなか、韓国メディアは昨日、韓国大統領府関係者の発言をもとに、日韓首脳が15日(つまり本日)、電話首脳会談を実施する方向で検討しているとする趣旨の記事を配信しました。もっとも、ただでさえ多忙な岸田首相にとっては、外交上の優先順位も低く、大した成果も見込めない会話に貴重な時間を費やすのはもったいない話でしょう。そこで、当ウェブサイトとしては史上初の試みとして、「自動音声対応」の首脳会談を実施することを提案申し上げたいと思います。

「たかが」電話会談、何をそんなに必死になっているのでしょうか

先日の『岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク』や『たかが電話会談、しかも調整段階で発表した韓国の苦境』などでは、今月4日に就任した岸田文雄首相が韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領と電話会談を行うかどうかという話題について、相次いで取り上げました。

韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に今朝、岸田文雄首相が就任後に電話首脳会談を行っている相手国から韓国が「後回し」にされているとする記事が掲載されていました。国際法、条約、約束を守らない相手国に対する対応としては、ある意味では当然のことではあります。ただ、その一方で、韓国で「李在明大統領」が実現するならば、日韓関係はさらに緊迫したものとなってくる危険性もあります。人間関係と外交関係「みんな仲良く」論のウソひとつ、個人的な体験談を告白しておくならば、ウェブ主自身、学生時代には「みんな仲...
岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク - 新宿会計士の政治経済評論
本稿は、ショートメモです。岸田文雄首相が就任後、韓国との電話首脳会談が実現していないことを巡って、韓国メディアがしきりに気にしているようですが、こうしたなか、昨晩は「韓国大統領府高官」が、日韓電話首脳会談の「日程を調整中」、「決定すれば発表する」と述べた、と韓国メディアが報じました。たかが電話会談を、しかもまだ調整中の段階でわざわざ発表すること自体、韓国政府の置かれた苦境の証拠でしょう。日韓電話会談がまだ行われていないことの意味『岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク』や『韓国メ...
たかが電話会談、しかも調整段階で発表した韓国の苦境 - 新宿会計士の政治経済評論

本当に、「たかが電話会談」です。

事実関係だけを述べておくならば、岸田首相は就任して以降、「クアッド」構成国である米・豪・印の各国や英国に加え、近隣国である中国、ロシアとも、相次いで電話首脳会談を実施しています。

岸田首相の電話首脳会談の相手

(【出所】外務省ウェブサイトより著者調べ)

しかし、岸田首相と文在寅氏の電話首脳会談は、たしかに昨日夜時点において、まだ実施されている形跡はありませんが、伝えられるところによると、韓国メディアはこれを「韓日神経戦」などと呼び、首脳会談が実現するかどうかを必死になって報じているフシがあります。

こうした報道などを眺めていると、「何をそんなに必死になっていらっしゃるのか」、と、疑問に感じてしまうのは気のせいでしょうか。

中央日報と聯合ニュースは「15日に会談か」

さて、韓国メディアからは先日より、「韓国大統領府高官が『韓日両国が電話首脳会談実施に向けて調整中』、『決まったらまた発表する』などと述べた」、といった報道が相次いでいました。

こうしたなか、『日韓電話会談から見える日本外交上の韓国の地位の低下』でも取り上げたとおり、昨日は韓国メディア『中央日報』(日本語版)が、「関係筋は15日に電話首脳会談が行われると伝えた」、と報じています。

文大統領と岸田首相が15日に電話会談へ…日程めぐる神経戦、韓国は「後回し」

―――2021.10.14 06:45付 中央日報日本語版より

そのうえで中央日報は、「日程を巡って韓日で神経戦が繰り広げられている」、「韓国大統領府や韓国外交当局にも相当な不満が溜まっているという」、などと、伝聞形で、あたかも日本が韓国との首脳会談の実施を渋っているかのように報じている、というわけです。

韓国メディアからはここ数日、岸田文雄首相と文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領との「電話首脳会談」に関する話題を見かけることが増えて来ました。これに関連し、中央日報は今朝、日韓首脳が15日に電話会談を実施する予定だ、と報じています。ただ、こうした電話首脳会談をやる、やらないというやりとり自体、現在の日本外交にとって韓国の優先順位が著しく低下しているという事情を反映しているように思えてならないのです。2021/10/14 12:12追記本稿公表後に、日韓電話首脳会談を巡って追加で報道を発見したので、本稿末尾に「追...
日韓電話会談から見える日本外交上の韓国の地位の低下 - 新宿会計士の政治経済評論

これに加え、昨日の夜は、上記中央日報の記事とは別に、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)にも、「15日に電話会談か」という記事が掲載されました。

文大統領と岸田首相 電話会談は15日か=韓国「日程調整中」

―――2021.10.14 19:06付 聯合ニュース日本語版より

聯合ニュースは、韓国大統領府関係者が14日、電話首脳会談について「正確な日程中は決まっておらず調整中」だが「両国が合意すればあすにでも通話が可能」と述べた、としたうえで、日韓首脳が「15日に初めての電話会談を行うもようだ」と報じています。

この点、さきほどの中央日報の記事と比べると、ややトーンは落ちているのが気になりますが、聯合ニュースは「外交部当局者も<中略>日程を調整中と伝えた」、「電話会談で閉塞状態にある両国関係を改善するための意思を示すことができるかに関心が集まっている」、などと述べています。

あまり厳しいことを言いたくはないのですが、首脳会談(しかも電話)を実施したくらいで、「閉塞状態にある両国関係が改善」するかどうかに「関心が集まる」というのも、じつに不可思議で面妖な記事だと思ってしまう次第です。

単純に韓国の戦略的重要度が下がっているだけでは?

この点、本当に15日(つまり本日)、首脳会談が行われるかどうかはわかりませんが、少なくとも本日まで首脳会談が行われてこなかった理由については、単純に、日本の外交・安全保障分野における韓国の優先順位が低いだけのことでしょう。

この「韓国の優先順位の低下」については、日本政府がこれまで発信してきたさまざまなメッセージからも十分に読み取れます。

たとえば、『外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ』などでも述べたとおり、菅義偉政権下で今年刊行された外交青書では、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」が、日本外交の7つの重点分野のうち、日米同盟に次ぐ2番目に位置付けられています。

FOIPを最優先にした日本外交が迎えた大きな転換点昨日の『日本政府、外交青書でFOIPから中韓を明らかに除外』で「速報」的に取り上げたとおり、今年の外交青書における最大のポイントは、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の優先順位が中韓よりも上位に来たことではないかと思います。まさに、日本外交にとっての転換点でしょう。外交青書から判明する「日本外交の転機」外務省が27日、『外交青書一覧』のページにおいて、『外交青書・令和3年版(※PDF版/大容量注意)』を公表したとする話題は、昨日の『日本政...
外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ - 新宿会計士の政治経済評論

そのうえで、従来の外交青書では日米同盟に次ぐ2番目に位置付けられていた「中露韓などの近隣国」は、FOIPに次ぐ3番目に「降格」され、しかも韓国は意図的にFOIPから除外されているのです。

その一方で、安全保障分野においても、同じく菅義偉政権下で刊行された今年の防衛白書においても、FOIPや日台関係の重要性に言及がなされる一方で、日韓間の防衛交流が極端に落ち込んでいることが示されています(『ついに日韓ハイレベル防衛交流「ゼロ回」に=防衛白書』等参照)。

本稿は、速報です。ついに韓国との「ハイレベル交流実績」が「ゼロ回」になってしまいました。コロナ禍のために対話が停滞しているためなのか、それとも「それ以外の理由」があるのかはさておき、事実として、防衛省が本日公表した『令和3年版防衛白書』によれば、韓国は昨年4月からの1年間で「交流実績ゼロ」だったのです。「竹島」云々より、むしろこちらの方が重要なのかもしれませんね。ハイレベル交流実績以前の『ハイレベル防衛交流面でも大幅に後退していた日韓関係』で、過去数年分の防衛白書を確認したところ、韓国との「...
ついに日韓ハイレベル防衛交流「ゼロ回」に=防衛白書 - 新宿会計士の政治経済評論

日本政府は、北朝鮮問題などを巡り、口先では「日米韓3ヵ国連携が重要だ」、などと言い募っていますが、現実の日本政府の行動は、明らかに「米国>FOIP>中露>韓(外交)」、「米国>FOIP>日米韓3ヵ国連携(防衛)」という優先順序に従っています。

話しをしても意味がないし、大変に気を遣う

あるいは、考えてもみればわかりますが、岸田首相、あるいは前任者である菅義偉総理、さらにその前任者である安倍晋三総理らのメッセージは、「日韓関係はこのままではいけない」、「韓国が国と国との約束を守ってくれなければ困る」というもので、ほぼ一貫しています。

文在寅政権下の韓国が、国際法、国際条約、国際約束などを踏みにじってきたこと、こうした状況を改めるための具体的行動を取ろうとしないことは、少なくとも現在の日本政府が、大統領としての残り任期が半年少々に迫った文在寅氏を相手にしないことの、十分に合理的な理由でしょう。

ことに、昨日衆議院を解散し、大変に忙しい岸田首相が、わざわざ時間を割いてまで首脳会談を実施するかどうかは、正直、疑問でもあります。その際に参考になるのが、『韓国の要請で行われた首脳会談、日本は従来の立場主張』でも述べた、菅総理の対応です。

本日、日韓電話首脳会談が実施されました。このなかで菅義偉総理大臣は「日韓両国はお互いにとって極めて重要な隣国であり、北朝鮮問題を始め、日韓・日米韓の連携が重要」という従来の日本政府の発言を繰り返すなどしつつも、例の自称元徴用工問題などの諸懸案については「このまま放置してはならない」などと述べました。加藤勝信官房長官によれば、今回の会談は韓国側の要請で実施されたものだそうです。加藤勝信官房長官「韓国側の要請で」本日、菅義偉総理大臣と韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領が首脳会談を実施しました。...
韓国の要請で行われた首脳会談、日本は従来の立場主張 - 新宿会計士の政治経済評論

菅総理が昨年9月16日に就任して約1週間少々の9月24日、やはり日韓電話首脳会談が行われたことがあったのですが、その際には加藤勝信官房長官が「電話会談は韓国側の要請で行われた」と述べ、菅総理もすぐに会見し、「わが国は一貫した立場に基づき韓国側に適切な対応を求めた」などと述べています。

これなど、こうやってすぐに記者発表をすることで、韓国がウソの報道発表をすることを未然に防ぐ狙いがあるのかもしれません。

あるいは、『日韓外相会談の発表自体「後回し」にされたことの意味』などでも述べたとおり、今年5月に英国・ロンドンで行われた茂木敏充外相と鄭義溶(てい・ぎよう)韓国外交部長官の会談では、日本側の報道発表が非常に遅れた、という「事件」がありました。

おそらく真相は「米国の顔を立てて形だけ実施した」というものか昨晩の『日韓外相会談、唐突ながらも内容に「サプライズ」なし』で「速報」した日韓外相会談について、先ほどやっと日本の外務省に会談内容がアップロードされていました。ただ、内容自体のそっけなさもさることながら、今回の会談には不自然な点もいくつかあります。その最たるものは、順序的には5月5日の最初に行われたはずなのに、概要の発表が最後になったという点ではないかと思うのです。日本側からの答え合わせ昨晩の『日韓外相会談、唐突ながらも内容に「サプ...
日韓外相会談の発表自体「後回し」にされたことの意味 - 新宿会計士の政治経済評論

これなどは、もしかすると外務省が報道発表内容を精査したことに加え、韓国側の報道発表を見極めてから日本側も発表を行った、という意味でもあったのではないかと個人的には疑っています。

すなわち、韓国という国は、首脳会談や閣僚級会談などを行ったら行ったで、「相手が発表するよりも先に、ただちに記者会見をしてしまう」、「相手の発表を見極めてから、改めてわが国としての立場を発表する」といった具合に、通常の国だとやらなくても良いような「工夫」をしなければならないのです。

「大した成果も見込めないくせに、相手のウソに備えてあらかじめ準備しなければならない」…。

解散総選挙直後で多忙な岸田首相、官邸スタッフらが、そこまで気を遣うことはできるのでしょうか。

いっそのこと自動音声の対応はいかがでしょうか?

このように考えたら、正直、岸田首相自身がボイスレコーダーに自身の声を吹き込み、それを電話口で流せば良いのかもしれません。

日韓両国はお互いにとって重要な隣国であり、北朝鮮問題を始め、日韓・日米韓の連携は重要ですが、旧朝鮮半島労働者問題を始めとして、現在非常に厳しい状況にある両国関係を放置してはなりません。よって、韓国におかれましては国と国との約束を守るなど、適切な対応をとっていただきたいと思います」。

いや、どうせそこまでやるならば、もっと踏み込んで、史上初の自動音声対応首脳会談というものはいかがでしょうか。

まずは韓国人である文在寅氏に直接伝わるように、韓国語で「あらかじめプッシュ回線をオンにしてください」というアナウンスを流したうえで、次のようなメッセージをあらかじめ吹き込んでおくのです。

ヨボセヨ。本日は日本の首相官邸にお電話ありがとうございます。岸田首相多忙のため、自動音声により案内しております。サービスの品質向上と後日のトラブル防止のため、音声については録音させていただき、YouTubeにアップロードさせていただきますことをご了承ください。就任のお祝いを録音する場合は1を、岸田首相から文在寅大統領閣下へのメッセージを聞く場合は2を、オペレーターにおつなぎする場合は3を、ガイダンスをもう一度最初から聞く場合は9を、それぞれ入力してください」。

そのうえで、就任祝いについてはそのまま喋ってもらい、その録音したうえで、その音声を岸田首相の先ほどのメッセージとともに、最後にまとめてYouTubeなどに投稿すれば、記者会見も会見内容の文字起こしも省略可能です。

どうせ大した会話はなされないのでしょうから、それでも十分な気がします。コロナ禍の時代、外務省職員の仕事も減ってみんなハッピーです。

ついでなので、オペレーター業務も節約してしまいましょう。

もし先方がオペレーターにつないでもらおうとして3を入力したら、1時間ほどBGMとして「旭日旗に関する我が国の立場」の韓国語版ガイダンスを流し、最後に「恐れ入りますが電話が大変混雑しております。おかけ直しください」というメッセージとともに通話をブチッと終了するくらいの対応で、ちょうど良いのかもしれませんね。

(※なお、自動音声対応のアイデアは、読者コメント欄で複数の方々から頂戴しました。この場を借りて御礼申し上げる次第です。)

新宿会計士:

View Comments (25)

    • 必須ですね
      天皇侮蔑発言の時も そんな事言ってないで逃げようとした前科があるからねー

    • 門外漢 様

      同じことを思いました。

      2年前に車を買い替える際、ドライブレコーダー(後方監視カメラ付き)をオプションで付けました。後方からの煽り運転に対応するためにです。

      こういうものが個人の車にも必要とされるようになったのですから、今後は国家間のやりとりにも「煽り防止のため」の録画録音は必須の時代になったのかもしれませんね。

      特に特定アジアの諸国家とのやりとりに於いては。

  • 紳士蟻さんのところでは、「会談」の濃度と格にこだわった韓国が納得行く結果が得られずごねているという予想が出てましたが、五輪の開会式参加と同じく、本来ならお祝いを言いに来るのをメインにすべきなのにどうしていつもここまで欲張りなのか。

    自動応答といえば、同じく紳士蟻さんのところのこれも面白かったです。
    https://sincereleeblog.com/2021/10/14/nitteinoseidaaaaa/comment-page-2/#comment-341193

  • したり顔で嘆いて見せる小利口な編集委員どのの記事は、どうせ終わったコンテンツの劣化再生にすぎないのですから、ジャーナリズムを名乗らせるのは止め職務をカセットテープ型旧式留守番電話機に置き換えてちょうどと考えます。

  • フリーダイアルでしょうか?
    100万ドル/秒ほど課金しましょう。

  • VRレンホーを再利用したらどうかと思いました。とは言えレンホーではどうかとは思いますので、総理なのか、茂木大臣バージョンに改造し、相当品性部分も手を加えた上でリリースしても良いかもしれませんが。

  • 中央日報から
    首脳電話会談も「不快感バトル」…韓国大統領選に日本総選挙、選挙で身動き取れない外交
    https://news.yahoo.co.jp/articles/d92220fbaec0ac1afeb24bd3bfa94e3a72f94f80
    >文大統領と岸田首相の電話会談は15日が有力とみられている。ただし、確定した日程ではないため、変動の可能性は依然とある。
    こりゃ今日有るかどうかは、分かりませんね。

    >いわゆる日本の「最優先グループ」に分類されるが、韓国はここに含まれなかった。
    地理的に最も近くて、自由民主主義という核心価値を共有する隣国であるにもかかわらず、韓国首脳との電話会談が優先順位に入っていないということだ。

    価値観を共有しないから、優先順位が下がったと朝鮮脳は、考えません。

    韓国ネット民も電話会談しなくても良いというスタンスで、誰が何のために電話会談するのか良く分からない関係という事でしょう。

  • いかに八方美人の岸田総理でも選挙戦初っ端に、必要性が低く且つありもしない会談結果を韓国側から発表されて、日本の嫌韓派からの票を減らしてしまうリスクを負うことはしないと考えるのが普通ではないでしょうか。本当に今日電話会談あるのかしらん。
    自動音声対応? 自動でも対応すると了解したと吹聴されるので、留守番電話でいいんじゃないですか。

  • ある事無い事捏造されるので
    公開電話会談にすれば良いかと。
    2〜3分なら。

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