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日韓関係の終焉よりも先に、米韓同盟に危機が訪れる?

戦わずに敗走したアフガン軍、韓国といろんな点でソックリ

当ウェブサイトでは最近、韓国が国際法を誠実に守ろうとしない限り、日韓関係についてはいずれ何らかの形で終焉せざるを得ないと考えるようになりました。こうしたなか、日韓関係が「どのような末路」を辿るか、という論点を巡っては、やはり米韓同盟というファクターを考慮に入れる必要があります。こうしたなか、米韓同盟が消滅する可能性が高まるなら、それはやはり、「李在明大統領」が実現したタイミングではないでしょうか。

日韓関係を待つ未来

外交にも見切りは必要だ

昨日の『岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク』や『韓国世論調査「関係改善、日本が態度変えるべき」6割』なども含め、普段から当ウェブサイトで申し上げている内容があるとしたら、「外交にも見切りが必要だ」、ということだと思います。

韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に今朝、岸田文雄首相が就任後に電話首脳会談を行っている相手国から韓国が「後回し」にされているとする記事が掲載されていました。国際法、条約、約束を守らない相手国に対する対応としては、ある意味では当然のことではあります。ただ、その一方で、韓国で「李在明大統領」が実現するならば、日韓関係はさらに緊迫したものとなってくる危険性もあります。人間関係と外交関係「みんな仲良く」論のウソひとつ、個人的な体験談を告白しておくならば、ウェブ主自身、学生時代には「みんな仲...
岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク - 新宿会計士の政治経済評論

本稿は、ショートメモです。当ウェブサイトでは、日韓関係を巡っては「無秩序な破綻は避けねばならない」とは考えているものの、日本が原理原則を譲歩するような形でそれを実現すべきでもないと考えている次第です。こうしたなか、韓国メディアに報じられた世論調査によれば、「韓日関係の改善には日本政府が態度を変えることが必要」とする回答が、韓国側で6割弱に達したのだそうです。当ウェブサイトは、日韓関係を巡っては「無秩序な破綻は避けねばならない」と考えているサイトのひとつだと自認しています。というのも、現在の日...
韓国世論調査「関係改善、日本が態度変えるべき」6割 - 新宿会計士の政治経済評論

日本にとって韓国は、経済的にも軍事的にも、いきなり関係が破綻したら大変に困る相手国です。そもそも貿易高では韓国は中国、米国に続く3番目の相手国ですし(※)、また、軍事的には日米同盟、米韓同盟を通じ、事実上の日米韓3ヵ国連携の相手国でもあります。

(※ただし、貿易統計のデータ上、最近は韓国に代わって台湾が第3位の貿易相手国に浮上する月も増えていますし、その台湾はTPPへの加入を申請していますが、これらについては『台湾が3番目の貿易相手国に浮上しつつあることの意味』などでもご参照ください。)

当然、日韓関係が無秩序に破綻でもしようものなら、そして朝鮮半島と台湾海峡で同時に有事が発生しようものなら、日本にとっては大変な国難が訪れることになりかねません。だからこそ、当ウェブサイトとしては、日韓関係については「唐突に破綻しては日本にとり、大変に困ったことになる」と申し上げているつもりなのです。

ただ、それと同時に、外交の世界に「永遠の敵対国」もなければ、「永遠の同盟国」もありません。

そこにあるのは「国益」です。

国益とは、難しい言葉でいえば「国際社会における自国の経済的利益と安全保障の追求」、ひらたいことばでいえば「国民みんなが豊かで平和・安全に暮らしていけること」です。

つまり、日本が韓国とお付き合いすることで、日本国民がよりいっそう、豊かで平和な暮らしを送ることができるというのであれば、韓国とお付き合いすべきですし、韓国とお付き合いすることで得られるメリットをコストが上回っているのであれば、韓国とのお付き合いの在り方は見直すべきだ、という話に過ぎません。

諸懸案の3つの落としどころ

ところで、このところ頻繁に申し上げている、日韓諸懸案を巡る「3つの落としどころ」を思い出しておきましょう。

日韓諸懸案を巡る「3つの落としどころ」
  • ①韓国が国際法や国際約束を守る方向に舵を切ることによって、日韓関係の破綻を回避する
  • ②日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することによって、日韓関係の破綻を回避する
  • ③韓国が国際法や国際約束を守らず、日本も韓国に譲歩しない結果、日韓関係が破綻する

(【出所】著者作成)

この点、日本にとっては①が非常に嬉しい選択肢かもしれませんが、それと同時に、大変に残念ながら、韓国が国際法、国際条約、国際的な約束などを誠実に守ってくれることは期待できません。理想の世界に生きるのも結構ですが、人間、どこかで必ず現実に戻らねばなりません。

もう①に対する希望は、さっさと捨てましょう。

ただ、「日韓関係が破綻するのはあり得ない」という点にどうしてもこだわるのであれば、日韓関係の破綻を何が何でも避けるためには、日本が韓国に対し、大なり小なり、国際法の原理原則を捻じ曲げてでも譲歩しなければならない、というわけです。

この点、「日本が原理原則をほんの少し捻じ曲げて韓国に譲歩することで、日韓関係の破綻が回避できるならば、日本は躊躇なくそれをすべきだ」、などと論じる人がいます(※敢えて実名は挙げませんが、自称「保守派の論客」からもそのような主張が出て来ることもあります)。

しかし、大変に残念なことですが、日本が韓国に対し、この「ほんのちょっと、譲歩する」ということを繰り返してきた結果が、現在の日韓関係です。

すなわち、日本が韓国に譲歩した結果、むしろ韓国が増長してどんどんと日本に対し譲歩を求めて来て、ついに日本にとっては「譲れない一線」を「譲れ」と言われるようになった、という言い方もできます。その意味で、上記②の考え方は、本当に罪深いと言わざるを得ません。

日韓関係は「破綻するかどうか」ではない

だからこそ、当ウェブサイトとしては、日韓関係の落としどころとしては③以外にあり得ない、と一貫して申し上げてきた、というわけです。

こうしたなか、韓国が国際法や国際条約、国同士の約束などを破り続けた結果、韓国との国交を維持することが日本にとっても大変な負担になってしまうのであれば、こうした日韓関係の在り方についても、遅かれ早かれ、見直さねばならなくなります。

ただし、ここで重要なのは、日韓関係が「破綻するかどうか」、ではありません。「いつ、いかなる形で破綻するのか」、「破綻が不可避であるならば、その関係の破綻をどうコントロールすべきか」という論点です。仮に日韓関係の破綻が避けられないのだとしても、そのシナリオについては練っておく必要があります。

日本にとって避けるべきは「無秩序な日韓関係の破綻」ですが、それと同時に、やはり無視できないのは、米韓同盟の存在です。

そもそも論として、過去に日本が韓国に対する理不尽な譲歩を余儀なくされ続けた理由のひとつは、やはり「日米同盟」プラス「米韓同盟」、すなわち「日米韓3ヵ国連携」にあります。

米国にとっての中国との対立局面の深刻化、台湾海峡における緊張の高まりは、現在の米国から見た韓国の価値を高める要因ではありますが、ここで考えなければならない要素は、それだけではありません。

米国にとっては、朝鮮半島に展開する米軍は、在日米軍とセットで運用するという性格を有しており、したがって、日米韓3ヵ国連携は、(米国から見た)米国自身の世界戦略を展開するうえでは欠かせない要素でしょう。つまり、米国の「国益」でもある、と米国が考えていたようなのです。

米国がときとして、2015年12月の日韓慰安婦合意のような「理不尽な」譲歩を日本に強いて来たのは、まさにこの米国自身の国益にあるのであり、こうした構図が変わらない限りはいずれ米国は再び、日本に対して「韓国への譲歩」を要求して来る可能性があります。

もちろん、日韓慰安婦合意を事実上破棄した状態の現在の文在寅(ぶん・ざいいん)政権下では、米国が日本に対し、さらなる譲歩を要求することは考え辛いところですが、文在寅氏は来年5月に青瓦台を去ります(彼の引っ越し先は、監獄なのか、地上の楽園なのか、楽園なのかは知りません)。

そして、文在寅氏の次の住人が「親米派」だったならば(あるいは、米国がその人物を「親米派」だと勘違いしたならば)、「日米韓連携」の復活とともに、文在寅政権下で崩れた日韓関係を「修復せよ」とする要求が、米国から飛んで来るリスクには、十分な注意が必要でしょう。。

米韓同盟はどうなるのか

前提条件も永遠に変わらないわけではない~米韓同盟消滅~

もっとも、上記議論で大事なことがあるとしたら、「もしも米国が『日米韓3ヵ国連携』を引き続き重要だと思い込み続けているならば」、という前提条件です。仮に、ここの前提条件が変われば、案外あっけなく、米国は「心変わり」をする可能性はあります。

こうしたなか、当ウェブサイトとしてやはり支持したいのは、優れた韓国観察者である鈴置高史氏が2018年に上梓した『米韓同盟消滅』に示されていた、米韓同盟がいずれ破綻を迎えるしかないとする「予言」です。

通販サイト『アマゾンドットコム』によれば、同著の主眼は、こんな具合です。

北京・天安門上で自ら望んで独裁者に囲まれた朴槿恵。露骨な親北政策を展開する文在寅。二人の大統領に共通するのは、国際情勢を自国の都合で手前勝手に解釈した、国力に見合わない『妄想外交』だ。反米反日自我肥大を昂進させている韓国の『中二病』的世論の支持を得ても、その帰結は『米韓同盟の消滅』と『中国の属国』への回帰に他ならない──。朝鮮半島情勢『先読みのプロ』が描き出す冷徹な現実。

これを、今から3年前の時点で上梓した鈴置氏の慧眼には、本当に驚かされます。

それ以上に私たちがなにより注目したいのは、米中両国の対立の激化が想像以上の速度で進行するなか、鈴置氏のいう「中国への属国回帰」の動きがひたすら続いている、というわけです。

あるいは、自由主義諸国の連携が進むなか、北朝鮮に対する経済制裁の解除、朝鮮戦争の終戦などをひたすら主張し、米国をはじめとする主要国から無視されている韓国が、「明らかに浮き始めている」、と見るべきでしょうか。

朝鮮日報「韓国も参加を、との圧力高まる」

こうした予兆を示すのでしょうか、韓国メディアには昨日、相次いで、なかなか興味深い記事が掲載されました。

そのひとつが、『朝鮮日報』(日本語版)に掲載された、こんな分析です。

米英日の空母4隻が共同訓練、中国に向けて軍事力を誇示

―――2021/10/11 08:59付 朝鮮日報日本語版より

記事タイトルにもありますが、日米英3ヵ国の空母4隻が史上初めて南シナ海に結集し、「中国牽制に向けた共同訓練」を行っていた、とする記事です。

米英日の空母4隻が共同訓練、中国に向けて軍事力を誇示
米英日の空母4隻が共同訓練、中国に向けて軍事力を誇示 -

この共同訓練が行われたという事実については、日本政府(たとえば防衛省)の発表などを眺めていれば、すでに公表されているとおりですが、これを朝鮮日報が報じたという点は、なかなか興味深い点です。

というのも、朝鮮日報が指摘するとおり、中国の軍用機が今月初め、台湾の防空識別圏(ADIZ)を「侵犯」するなど、台湾海峡に対する中国の挑発行動が相次いでいるからです。

朝鮮日報はこの訓練について、米国防総省の発表などをもとに、日米英3ヵ国に加え、カナダ、オランダ、ニュージーランドの護衛艦や駆逐艦なども訓練に参加したとしており、さらには韓国人教授の、次のようなコメントを記事で取り上げているのです。

これら空母4隻があれば通常の開戦なら可能なレベルだ。韓国に参加を求める圧力も強まりそうだ」。

おそらく、朝鮮日報がこの話題を報じた意図は、この点にあるのでしょう。

まさに、中国リスクが高まるなかであるにも関わらず、執拗に、北朝鮮向けの制裁の解除を求める韓国は、自由・民主主義国家のなかでは明らかに浮いています。

岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク』でも述べたとおり、「韓国版・菅直人元首相」(※著者私見)である李在明(り・ざいめい)京畿道知事が次期大統領に選ばれでもすれば、「米韓同盟離脱」の動きはさらに加速するかもしれません。

文在寅政権元高官のハンギョレ新聞への寄稿

その一方で、文在寅(ぶん・ざいいん)政権の元高官で、現在は「世宗研究所」の理事長を務める文正仁(ぶん・しょうじん)氏が、韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)にこんな文章を寄稿されています。

[寄稿] 米英豪の新たな安保枠組み「オーカス」が落とした4つの影

―――2021-10-11 08:36付 ハンギョレ新聞日本語版より

ムン・ジョンインㅣ世宗研究所理事長 米国主導のオーカスは地政学の帰還を通じて新冷戦の始まりを具体化する不吉な信号弾と言わざるを得ない。国内政治と反中感情を計算する米国の短期的利益には役立つかもしれないが、アジア太平洋地域の全体秩序から見て、長期的には反対の結果を生み出す可能性も十分ある。
[寄稿] 米英豪の新たな安保枠組み「オーカス」が落とした4つの影 -

記事タイトルにある「オーカス」とは、豪州、英国、米国の英語表記での頭文字 “AUKUS” をつなげたもので、米英豪3ヵ国のあらたな軍事同盟と理解されていますが、文正仁氏は記事の冒頭で、いきなりこう主張します。

米国主導のオーカスは地政学の帰還を通じて新冷戦の始まりを具体化する不吉な信号弾と言わざるを得ない」。

いったい、これはどういうことでしょうか。

文正仁氏に言わせれば、このオーカスの仕組みは、米国の同盟体制と地域の安保秩序に対し、次の4つの「深刻な懸念」をもたらす、というのです。

  • ①米国の同盟体制が階層化し、米国中心の同盟体制に亀裂と分断をもたらしかねないこと
  • ②豪州には原潜技術を提供するが韓国には提供しないという、米国のダブルスタンダードへの反発が生じること
  • ③AUKUS結成でアジアにおける軍拡競争の可能性が高まること
  • ④米中新冷戦をむしろ促進すること

「4つある」、とおっしゃいますが、①と②、および③と④が、それぞれほぼ同じ内容であるため、実質的には次の2点に集約できるでしょう。

  • (A)米国を中心とする同盟がピラミッド構造となり、英豪が最上位、韓日独仏が最下位となる
  • (B)AUKUSが中国、北朝鮮に加え、もしかすると日本をも刺激して軍拡競争が生じるかもしれない

(B)のような主張、ふと「どこかで見たことがあるな」と思ったのですが、日本共産党や立憲民主党、あるいは旧社会党あたりが、「日本が戦争の準備をしたら外国を刺激して軍拡競争になる」などと屁理屈をこねるのとソックリであり、思わず微笑んでしまいます。

一方で、(A)について、日本を韓国と同列に置いたのは、わざとでしょうか?

少なくとも日本は米国、豪州、インドとは「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)実現というコミットメントで強く結びついていますし、また、日本はAUKUSにこそ含まれていないものの、近年、米英豪加仏などの諸国との共同軍事訓練などを活発化させています。

日本がAUKUSに加わらなかった理由は、おそらく、現在の日本だと、軍法が存在しないなど、まだ法的な基盤が整っていないからであり、条件さえ満たせば、このAUKUSは将来的には「JAUKUS」に格上げされるかもしれません。

一方の韓国は、むしろみずからFOIPと距離を置き、米国の同盟国でありながら中国におもねる外交を行ってきました。米国から見て、日韓両国が「等価」ではないことは、ある意味では韓国の自業自得のようなものかもしれません。

ちなみに文正仁氏といえば、今年3月に朝日新聞のインタビューに応じ、『日本は大国らしい外交を』などと述べた人物でもあります。

米バイデン政権が発足して初となる外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が日本と韓国でそれぞれ開かれた。日米韓3カ国の協力の重要性が確認されたものの、悪化した日韓関係を打開する糸口は見つからない。韓国側…
「日本は大国らしい外交を」 韓国大統領の元側近に聞く:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

その時点で、ある意味では参考になる、と思ってしまう次第です。

韓国を待つ未来

USDKRWの怪しい動き

さて、『岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク』などでも触れましたが、現在、韓国では文在寅氏の後継者として、李在明(り・ざいめい)京畿道知事が与党の公認候補として、最有力候補の1人に浮上しつつあります。

韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に今朝、岸田文雄首相が就任後に電話首脳会談を行っている相手国から韓国が「後回し」にされているとする記事が掲載されていました。国際法、条約、約束を守らない相手国に対する対応としては、ある意味では当然のことではあります。ただ、その一方で、韓国で「李在明大統領」が実現するならば、日韓関係はさらに緊迫したものとなってくる危険性もあります。人間関係と外交関係「みんな仲良く」論のウソひとつ、個人的な体験談を告白しておくならば、ウェブ主自身、学生時代には「みんな仲...
岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク - 新宿会計士の政治経済評論

むろん、古今東西を問わず、選挙というものは水物ですので、李在明政権の誕生が確定したわけではありません。

しかし、「李在明大統領」が実現すれば、文在寅政権下で弱体化した米韓同盟が、解体に向けてさらに進むという事態も生じかねません。

このように考えていくならば、米国が「李在明政権」の出現を阻止するために、韓国に対し何らかの警告を発する――たとえば、ドル基軸体制下にある韓国を、「通貨」で揺さぶる――という可能性は、あるのでしょうか。

いちばんわかりやすいのは、米国の格付業者あたりが韓国のソブリン格付や韓国企業の格付を数ノッチ引き下げ、これによって外国の銀行が韓国に対して保有するエクスポージャーのリスクウェイトが上昇し、耐えられなくなって外資が韓国から資金を引き上げる、という動きを誘発することでしょう。

ただ、著者自身の手元計算に基づけば、現在の韓国はリーマン・ショック時などと比べ、外国から外貨で借り入れている資金は、韓国銀行が発表する公式の外貨準備高の範囲に収まっています。米国が「言うことを聞かない韓国」を「通貨でお仕置きすること」は、難しいかもしれません。

もっとも、米ドル・韓国ウォンの為替レート「USDKRW」は、ここ1~2ヵ月、1ドル=1200ウォンの大台を目指して再び上昇(=韓国ウォン安)基調にあります。

そして、韓国ではかつてと異なり、外貨不足での金融機関の倒産リスクはさほど高くないとは考えられる反面、『韓国家計債務問題深刻化も金融危機の日本波及は限定的』などでも述べたとおり、外貨準備とマネタリーベース、家計債務の問題が複雑に絡み合っています。

中国はシャドバン連結外し、韓国は家計投機――厄介な隣国たち「中国が『シャドバン連結外し』ならば、韓国は『家計のリスク資産投機』だ」――。何の話なのかといえば、日本の近隣国で徐々に高まる金融危機の足音の話です。本稿では『韓国金融統計で見える「若者がカネ借りて投機する国」』の補足として、韓国の資金循環統計のデータを一部紹介するとともに、あらためて『中国「不動産危機」の本質は「シャドバン連結外し」か』などでも触れた、日本の金融機関の中韓両国に対する与信残高について、考えておきましょう。金融機関借入と住...
韓国家計債務問題深刻化も金融危機の日本波及は限定的 - 新宿会計士の政治経済評論

その意味では、FRBが粛々と金融緩和政策を「テーパリング」(段階的縮小)し、あわせて予定通り、米韓為替スワップを今年12月末で終了させれば、もしかしたら来年初めごろに、何らかの信用不安が韓国で生じるかもしれません。

ただし、米国が「反米左派を大統領に選ぶなよ」、というメッセージのために、ドル資金を絞ることで金融危機をけしかけたとしても、韓国の大統領選はその直後の来年3月のことであるため、時期的に間に合うのかは少々疑問です。

そんなまどろっこしいことを仕掛けるよりはむしろ、退役軍人や米戦略国際問題研究所(CSIS)あたりに「李在明大統領ならば米韓同盟は弱体化する」などとするメッセージを出してもらってダイレクトに脅した方がスッキリするような気もします。

戦わずに敗走したアフガン正規軍

ただし、普段から当ウェブサイトで申し上げて来たとおり、「外交を通じて相手国の考え方を変える」ということはできません。米国ではこのあたり、「外国など軍事力で脅し、経済力で飴を与えれば、言うことを聞く」などと完全に勘違いしているフシがあるのですが、現実の外交というものは、そう単純ではありません。

米軍のアフガン撤兵でアフガニスタン正規軍がタリバンに対し、まともに戦いもせずに降伏し、アシュラフ・ガニ大統領が多額の現金を抱えて首都からスタコラサッサと逃げ出したことは、まさにガニ政権自体、米国の勘違いが生んだようなものだという証拠でしょう。

そういえば、今から70年少々前にも、対立する軍が攻めてきたときに、やはり同様に、首都を捨てて特別列車でスタコラサッサと逃げ出した男がいましたね(その男の名は「李承晩(り・しょうばん)」です)。

【参考】李承晩

(【出所】韓国歴史博物館

軍備で遥かに劣るタリバンに戦わずに降伏したアフガン正規軍の実例もありますので、韓国軍が北朝鮮軍に対し、軍備で遥かに優位にあるからといって、あまりそこを過信すべきではないのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (22)

  • アフガン正規軍は多分に外部傭兵で構成されていたみたいですね。地域愛に根ざしてなかったので、金主が去ればサヨナラです。

    将校以外の韓国軍は徴兵による短期労働者。志願による職業軍人とは比べるべくもないのかもですね。
    *****
    人材不足なんだったら、在日の男性も徴兵(=住民登録+本国送還)すればいいのに・・。

    • アフガン正規軍は、従来のアフガンゲリラ型の軍制から、すっかり米国型の軍隊に教導されてしまっていたという話です。
      航空支援などがないとまともに戦えない近代化軍の形態に変貌してたところに、航空支援をアメリカの民間業者に整備などを委託していたのが、糞バイデンが一気に引き揚げさせて、アフガン正規軍はまともに戦えなくなったという。
      アフガン崩壊は、99%バイデンのせいです。もともとアフガンの政府になどなんの期待も出来なかった。

    • 「We did not go to Afghanistan to nation-build.」
      大統領スピーチが去る7月にありました。
      ではアメリカは何をしに行ったのでしょう。
      外に言い方はなかったのか。
      机をひっくり返された関係国は呆然とし、あるいは傷口に塩を塗り込むようなアメリカへの嫌悪を募らせたものもいました。

  • おはようございます。
    >(※著者私見)
    まさかと思うんですが、新宿会計士様が菅直人元首相に謝罪しなければならない未来が来るなんてこと、ないですよね(汗)
    楽・・じゃない心配でしょうがないです。

  • まあ、二人三脚やってくるんじゃないですかね。
    米軍の居ない朝鮮半島なんて、日本には意味が無いし、
    日韓関係が、それなりに回らないと、米軍も朝鮮半島に居辛いですし。

  • 朝からいつもの妄想です。
    私は、かねてより韓国を「中朝工作員に乗っ取られた国」と主張しています。
    時事通信から
    90年代、韓国大統領府にスパイ浸透 情報機関出身の脱北者主張 英BBC
    https://news.yahoo.co.jp/articles/891c96a787d263810d3623d48ad148f6d746d93b
    90年代当時に工作していて、現在していないと考えるには無理が有り、日本にも工作員が居ると考えています。

    中朝工作機関にとって韓国は、「中朝の主張を代弁さして自由主義側に譲歩させたり、情報や技術を入手したりするのに重宝な存在だ」という視点で見れば、文在寅政権が行っている事が理解しやすいと思います。
    一番典型的な例は、文政権が北朝鮮の制裁緩和を言い続けている事で、先日外交部長官が「中国の主張を聞くべきだ」という発言や、オーカスとその軍事演習への反発なども、仮説の範囲内の行動です。

    文政権が誕生してから、中朝工作機関の標的が、韓国から日本に変わっています。
    日本マスコミと特定野党は、中朝工作員に乗っ取られていると考えて見ていくと分かりやすいと思います

  • 朝鮮戦争時の逸話で、アメリカ軍は韓国兵のふがいなさに驚いたという話がある。
    つい5年前まで自分たちを苦しめた日本兵、その日本の一部だったのだから兵隊は精強なのだろうと期待していたのに。

    • 韓国軍には元日本兵は一人もいなかったらしいよ

      • 下の方に書かれていますが、韓国軍の初期の将官は日本の陸士出身者が多いですよ。
        兵卒は知らん。

  • 日韓関係については、保守派が勝とうが、左派が維持しようが、韓国民の多数の意識が変わらない以上、改善することはないでしょう。それと同様に、米韓関係は、韓国民の多数が望まない以上、ムンジェインもそうだったように、左派政権であっても、決定的に破綻することはない、と思います。ただ「在韓米軍は占領軍」とか「分断されるべきは日本」とかのイ・ジェミョン発言は、バイデンやブリンケンはじめ米国外交当局には評価されず、対中包囲網への消極的姿勢もあいまって、同国における韓国の重要性は低くなっていくと思います。つれて中国の韓国への態度も、「上から目線」のものが増えてくるかな、と期待しています。他国の不幸をたのしんぱいするのは器が小さいとは思いますが、それくらいは楽しませてほしいな。

  • むしろ、米国は半島の経済的焦土化を実行に移すのではないかと期待心配しています。
    日本は、半島難民を入れないよう法整備を進めると共に、既に居ついている方々にもお帰りいただきましょう。まずは、法を厳格運用して、三世以後は即追放で。

    経済的焦土化の混乱に乗じて、北が南に軍事進行する可能性もあります。
    自衛隊の関与を嫌う韓国に対して、日本ができることは限られますね。
    そのときには、敵前逃亡して日本へ逃げてこようとするアレらを銃撃して阻止し、
    「背水の陣で戦え」
    と鼓舞してあげましょう。

  • 李承晩は朝鮮戦争勃発時に首都ソウルから一目散に逃げ、追撃してくる北朝鮮軍を恐れて避難民が渡っていた橋を落とさせたのも有名ですね。それでも不安だったのか、軍が釜山周辺で必死の防衛戦をしている最中に日本の山口県岩国市へ臨時政府を立てて国土を放棄して逃げようとしています。幸いこれは日本が断ったのとアメリカのマッカーサーに「兵士が必死に戦っているのに元首が逃げ出すとは何事か」という旨の叱責を受けて頓挫していますが。
    あと、当時の韓国軍が国連軍が駆けつけるまで釜山を防衛できたのは、旧日本軍に所属していた将兵が粘り強く戦ったからという皮肉もあります。

    • 白善燁将軍率いる韓国第一師団ですね。朝鮮戦争でひたすら不甲斐なかった韓国軍で、随一と言ってよい勇猛な将軍であり、彼の奮闘なくして大韓民国は存続できなかっただろうと思われるのですが、従北左派によれば「親日派」なのだそうです。白将軍が余計なことをしなければ、もっと早く朝鮮半島は統一されていたのにということらしいです。
      戦歴を見る限り、李舜臣など足元にも及ばない本物の英雄なんですが、全くそのようには扱われることなく、ただのテロリストのほうが顕彰されるという出鱈目ぶりです。あ~あ。

  •  悪いな盧び太、この訓練は空母持っている人用なんだ。

     しっかしハンギョレのというか韓国人の思考は浅いというか。まるで「AUKUSという思いつきが4つの懸念をもたらす」という言い様ですが。4つの現実に対処した結果がAUKUSでしょう。

    ①米国同盟への寄与度がすでに階層化していて、韓国やドイツといった国の態度のせいで対中体制に亀裂と分断をもたらしそうになっている。
    ②同盟内なのに、アメリカが原潜技術を提供できる相手とできない相手が存在する。米国のダブルスタンダードではなく、受ける側の同盟国の寄与度・信用度に深刻な差がある。
    ③すでに威嚇のエスカレートという虚栄の軍拡競争ではなく、米中双方が必要な配備を進めているにすぎない。むしろ最小限の自己負担にとどめて最大限の戦力を維持するためにクアッドやAUKUSといった体制を整えている。
    ④米中新冷戦が促進された結果がAUKUS。さらにいえば韓国の態度こそが事態悪化を促進している(でもコチラ側に来ないでね)。

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