朝日新聞の調査ですら「政党支持率は自民の7分の1」
先週の『発表しない方がマシだった?立憲民主党の政権「公約」』では、なかなか強烈な立憲民主党の「政権公約」などについて触れました。新聞、テレビなどのオールドメディアが滅多に立憲民主党の行動を批判しないためでしょうか、よくぞここまで不勉強な「モンスター野党」が出来上がったものです。本稿は、その「続報」です。
目次
良い子も逃げ出す政権公約
先週の『発表しない方がマシだった?立憲民主党の政権「公約」』などでも触れたのが、立憲民主党の「公約」や「政策協定」です。
「枝野幸男内閣」が初閣議で直ちに決定する7項目
- 2021年度補正予算の編成
- 新型コロナウイルス感染症対策司令塔の設置
- 2022年度予算編成の見直し
- 日本学術会議人事で任命拒否された6名の任命
- ウィシュマさん死亡事案における監視カメラ映像ならびに関係資料の公開
- 「赤木ファイル」関連文書の開示
- 森友・加計・『桜』問題真相解明チームの設置
(【出所】立憲民主党HP『枝野代表が「政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項」7項目を発表 福山幹事長会見』)
市民連合と立憲民主党など野党4党の共通政策
- 憲法に基づく政治の回復
- 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
- 格差と貧困を是正する
- 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
- ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
- 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
(【出所】立憲民主党HP『市民連合と立憲民主党をはじめ野党4党が共通政策で合意』)
…。
周回遅れも甚だしい
なかなか強烈なお写真
改めてこの政策を眺めていくと、まさに「良い子も全力で逃げる」というレベルだと思いますし、それを象徴するという意味において、「この4人」のお写真は、やはり強烈と言わざるを得ません。
図表1 強烈なお写真
(【出所】立憲民主党HP『市民連合と立憲民主党をはじめ野党4党が共通政策で合意』)
2009年8月のような、新聞、テレビを中心とするマスメディア(あるいはオールドメディア)が情報を支配・統制する世の中ならばともかく、さすがにここまでインターネットやSNSなどが普及した世の中において、このような文章を読んで立憲民主党に貴重な1票を投じようとする人が多数を占めているとも思えません。
あるいは、立憲民主党さんの口から「科学的知見」などと騙られたところで、「あぁ、科学的知見ね」、と納得する人が多数を占めているとでも思っていらっしゃるのか、真剣に疑問に感じます。
zeroコロナで突っ込まれる立憲民主党政調会長
こうしたなか、『Yahoo!ニュース』には昨日、『ABEMA TIMES』が配信したこんな記事が掲載されていました。
“zeroコロナ”は実現できる? 立憲が目指す1日50人の新規感染…政調会長「withコロナの感覚では減らない」
―――2021/9/12 11:09付 Yahoo!ニュースより【ABEMA TIMES配信】
これがまた大変に面黒い記事です。
というのも、ニュース番組『ABEMA Prime』に出演した立憲民主党の泉健太政調会長の、こんな発言が紹介されているからです。
「政府の対策は、新型コロナの患者が増えれば緊急事態宣言。減れば解除。これを繰り返してきただけだ。感染者数が下がってきたときに、ただ緊急事態宣言の解除を視野に入れるのではなく、医療機関と保健所がちゃんと機能を発揮できるように整えないと、またいずれ増える。その繰り返しだ」。
泉氏はまた、「飲食店への追加支援が必要」などと述べたうえで、次のように述べます。
「我々立憲民主党は、下がってきている局面だからこそ、この後3週間、みんなで協力し合って、支援も追加して、人流を抑えて、患者数を減らすといった提案をしている」。
では具体的に、立憲民主党が考えている政策とは、いったいどのようなものでしょうか。
「立憲民主党が掲げている“zeroコロナ”戦略では『東京の新規感染者数が50人ぐらいになるまで、緊急事態宣言は続けるべき』と言っている。これは、かなり高いレベルだ。ただ、そこまでいくと、各保健所が一人ひとりの患者を追いかけていくこと、疫学調査がしっかりできるようになる」。
なんだか、凄いことをおっしゃっていますね。
意訳すると、「『zeroコロナ』だけれども『zeroコロナ』の意味は『新規感染者をゼロにすること』ではなく、『東京都の新規感染者を50人くらいに抑えること』であり、『それまでの期間、徹底して人の流れを止める』というものなのだ」、といったところでしょうか。
「あのテレビ朝日」に突っ込まれる立憲民主党
一方、これに対し、番組進行役のテレビ朝日の平石直之アナウンサーが「1400万人の人口がいるところで感染者50人はリアリティがない」と疑念を呈したのだそうです。『徹底して自分に甘いテレビ朝日:説明は明らかに不十分』でも述べた、自分に徹底的に甘いテレビ朝日の関係者に突っ込まれるというのも凄い話です。
また、記事によれば、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者の西村博之氏が、「うかつに台湾の成功例を出すと誤解を招く」と指摘したと述べます。
「台湾の場合は、自宅療養の人が外出したら罰金が課せられる。外国から来た人も隔離中にホテルの部屋を出たら罰金が課せられるので、それくらい厳しい処置があるから感染者を減らせた。『台湾のように減らす』と言うと『日本で同じような法律を作るのか?』という話になる」。
これに対し泉氏は「50人を目指すが、それだけが基準ではない」、「ウイルスの強さは一定ではく、変異株も変わってくる。<中略>ウイルスの生存期間が2週間ということ、まず3週間やってどの程度下がるかを見ないと次の対策は打てない」などと反論したのだそうです。
みずからの主張の欠点を突かれると「それだけが基準ではない」などと論点をごまかすのは、立憲民主党のフォーマットのようなものでしょうか。
個人的に、この泉氏の発言のすべてを読んだわけではないのですが、なにより、ここまでワクチン接種が進んだなかで、いまだに「PCR検査が」、などと主張しているのを見ると、もはや絶望的な気持ちにすらなります。
現状、わが国の法制でロックダウンが難しいのに加え、武漢肺炎にこれといった特効薬がない以上は、「とにかく現時点ではワクチン接種を優先する」、「ワクチン接種が終わっても、人々は当面、うがい、てあらい、マスク着用などを励行する」くらいしか方法はありません。
また、当ウェブサイトでも何度となく申し上げて来ましたが、PCR検査はPCR検査であって、「治療」ではありません。また、偽陽性などの議論を踏まえるならば、「全員に検査すれば良い」という主張が「数学的に誤っている」ことは明白です(『「PCR検査を全国民に実施せよ」を数学的に論破する』等参照)。
実際、菅義偉政権下でワクチン接種がものすごいスピードで進み、いまやワクチン接種完了率が(おそらくは)国民の50%を超えていると考えられるなか、立憲民主党が唱える「zeroコロナ」は、周回遅れも甚だしい議論でしょう。
政権担当能力なし
朝日新聞の調査ですらこの惨状
こうしたなか、当ウェブサイトで継続的に追いかけている6つの世論調査のうち、朝日新聞が実施するものについても、結果が公表されていました。
自民総裁選、河野氏33%、石破氏16% 朝日世論調査
―――2021年9月12日 23時30分付 朝日新聞デジタル日本語版より
せっかくなので、内閣支持率に関するデータも更新しておきましょう(図表2)。
図表2 内閣支持率(2021年8月~9月)
メディアと調査日 | 支持率(前回比) | 不支持率(前回比) |
---|---|---|
時事通信(8/6~9) | 29.0%(▲0.3) | 48.3%(▲1.5) |
産経・FNN(8/21~22) | 32.1%(▲6.9) | 61.3%(+5.8) |
読売新聞(9/4~5) | 31.0%(▲4.0) | 57.0%(+3.0) |
共同通信(9/4~5) | 30.1%(▲1.7) | 58.5%(+7.9) |
日経・テレ東(9/9~11) | 36.0%(+2.0) | 56.0%(±0) |
朝日新聞(9/11~12) | 30.0%(+2.0) | 不明 |
(【出所】各社報道より著者作成)
(※この点、今朝の『自民党政権を長続きさせる最大の功労者は立憲民主党だ』では、1ヶ月以内に2回以上の調査が行われている場合、メディアの調査を重複して掲載してしまったのですが、やはりあとから自分で読み返して「わかり辛い」と感じたので、本稿からは重複を除外することにします。)
菅総理が自民党総裁選に出馬しない、すなわち事実上、内閣総辞職する方針であることを示したのが9月3日のことですが、それ以降、内閣支持率についてはおおむね下げ止まったようです(ただし、不支持率は依然高止まりしていますが…)。
政党支持率は自民党の「7分の1」!
ただ、それよりも面白いと感じたのは、政党支持率です(図表3)
図表3 政党支持率(2021年8月~9月)
メディアと調査日 | 自由民主党(前回比) | 立憲民主党(前回比) |
---|---|---|
時事通信(8/6~9) | 23.7%(+2.3) | 3.9%(▲0.6) |
読売新聞(9/4~5) | 36.0%(+4.0) | 7.0%(+2.0) |
日経・テレ東(9/9~11) | 48.0%(+9.0) | 8.0%(▲3.0) |
朝日新聞(9/11~12) | 37.0%(+5.0) | 5.0%(▲1.0) |
(【出所】各社報道より著者作成)
自民党政権に対しかなり批判的な論調で知られている朝日新聞の調査で、これです。
自民党に対する支持率は37%に達したのに対し、立憲民主党に対する支持率はヒトケタ台、わずか5%です。つまり、自民党に対する支持率は、立憲民主党に対する支持率の、およそ7倍(!)というわけです。
もちろん、「政党支持率」は次回選挙での獲得議席数を意味するものではありません。
しかし、先ほど示した朝日新聞の記事のリンクによると、「かりに今、投票するとしたら」として聞いた衆院選比例区投票先は、自民党が43%で前回の35%から上昇する一方、立憲民主党が11%で前回の15%からさらに低下したとしています。
ますます政権から遠のく公約
では、この状況を、立憲民主党はどう回復する(あるいは回復しない)つもりでしょうか。
産経ニュースに掲載された次の記事などが、そのヒントかもしれません。
立民・枝野氏、衆院選に向け「差別のない社会」発表
―――2021/9/13 13:18付 産経ニュースより
産経によると、枝野代表は13日に国会内で記者会見し、「政権交代を果たした場合に取り組む政策」の第2弾として、次のような項目を発表したのだそうです。
多様性を認め合う差別のない社会
- (枝野氏自身のライフワークである)選択的夫婦別姓制度の早期実現
- LGBT(同性愛者など性的少数者)平等法の制定
- ドメスティックバイオレンス(DV)や性暴力被害者など女性支援の充実
- インターネット上の誹謗中傷も含め性別、部落、民族などあらゆる差別の解消
- 入国管理制度の抜本的見直し
(【出所】産経ニュース)
ますます厳しさを増す外交・防衛環境のなかで、現時点までに外交・防衛に関する「公約」が皆無だというのも驚きですが、マクロ経済政策、デジタル行政の推進、さらにはブースターをはじめとするワクチン政策など、政権与党を目指すなら「当然に考えておかねばならない内容」がまったく含まれていないのにも驚きます。
あるいは、日米安保はどうするのか、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)はどうするのか、欧州連合(EU)や英国、ASEANなどとの連携はどうするのか、11ヵ国で発足したTPPをどう拡大していくのかなどについても、まったく言及がありません。
いずれにせよ、これだとごく一部の「その筋」の人たちのウケを狙った内容と言わざるを得ず、2009年8月、民主党が自民党に代わって政権を取ったときのような「現実路線」は完全に姿を消したと評価せざるを得ません。
あるいは、新聞、テレビなどのオールドメディアが立憲民主党を徹底的に甘やかしたがために、一種の「モンスター野党」が出現してしまったのかもしれません。
いずれにせよ、どなたかが指摘していましたが、むしろ立憲民主党としては、「最大野党としての地位」が安泰であれば良いのであって、本気で政権を取りに行こうとしているわけではない、というのが正確なところではないかと思う次第です。
View Comments (40)
野党さんにはお気の毒なんですが、新しい統一目標と言うか公約って、安部政権下でやってきたことばっかりですね。
安部政権って内政ではかなり社会主義的な政策を実行してきてまして、最低賃金だの育児環境の整備だの不思議なくらい労働者寄りでした。
続く菅政権では世界共通の手探り状態ながら、野党の掲げるPCR検査拡大等のアドバルーンではなく、かなり科学的に有効な手段を実益優先で対外的にみても相当なスピードで結果を出しています。
野党さんたちって、自公政権を踏襲して正統な後継者を目指しているのでしょうか?
もう大きなところはあらかた安部・菅政権で社会主義的な政策実施済みまたは継続中なんで、目新しい政策を思い付けないんじゃないかな?
この公約なら、自公政権が優秀だったと野党連合が追認しているようなものなんじゃない?
ある意味「支持者に合わせた公約」なんだと思います。
本来の活動目標は、「日本人を分断させ、国体を破壊する」です。
「差別や人権という言葉を使って、日本人を差別して、日本人の人権を圧迫する」。
日本を守る気は毛頭無いんでしょう。
>本来の活動目標は、「日本人を分断させ、国体を破壊する」です。
この点に関しては立憲民主党や共産党のみならず,自民党でも河野太郎候補(や石破茂氏)あたりは同様だと思いますよ.
河野氏の場合,総裁選に立候補してからは女系天皇などに関する質問に対しては言葉を濁すなどして誤魔化していますが,女系天皇容認や選択的夫婦別姓支持といった日本の国体を破壊する主張に関して全面撤回した訳ではありません.
もうすっかりビジネス野党としては“ウッカリ政権が転がり込んできた”ら前回以上の惨状を曝すこと請け合い、“万が一にも政権獲らず”に“コア支持者を維持”することにしている様に見受けられまする
PCR検査と徹底的な隔離によるゼロコロナは世田谷モデルで大きな成果を上げた例があるのだからそれを大々的にPRすればよいのに。
百聞は一見に如かずと言いますからね。
森友・加計・『桜』問題真相解明チームの設置が笑えます。
この問題で長い間、国会を空転させたことに対するアリバイ作りなのでは?と勘繰ってしまいました。
どうせ問題真相解明チームを設置するなら、立憲民主党の支持率が、なぜ1桁なのか真相解明したほうが、よほど国民に本気度をアピールできると思います。
あら探しをするチームを設置すれば、単に責任転嫁が目的なのでは?と思われても仕方がないと思います。
もっとも、『我々の時間を返せ!』と厚顔無恥な発言をしているひとをお見受けしますが・・・。
小市民様
『「モリカケサクラ問題」がなぜ問題なのか真相解明チーム』をカウンターパートとして設置すると関西生コン・関西電力収賄・モリカケ隣接公園・熱海埋め立て地災害・東日本大震災国交省副大臣どさくさ紛れに歳出消滅・小田原城址土地転売等々、国民の役に立つ情報が掘り出し放題に出てきて蛸地蔵なんですが、今更モリカケサクラじゃ国会でやる意味無いですよね…
そうです。書き忘れたのですが、感染症対策に国会を空転させ、長期間取り組まなかった事のカムフラージュがあるとおもいます。
そう考えれば『我々の時間を返せ!』発言が、無理な言い訳だとわかります。
ついさっき考えました、という感じの雑な公約ですね。
立民が支持率の低下を抑える方法は、沈黙だけです。
>日本学術会議人事で任命拒否された6名の任命
>ウィシュマさん死亡事案における監視カメラ映像ならびに関係資料の公開
>「赤木ファイル」関連文書の開示
これって政策のつもりなんでしょうか?
立憲民主、以前にも増して劣化が激しいようです。
他も含めて掲げた政策?の共通項は、外国のための政治、といったところでしょうか。。
さすがの国民民主も飲めないはずです。
更新ありがとうございます。
市民連合と立憲民主党など野党4党の共通政策や、枝野氏の7つの急いでやる事は、私がかつて遥か昔に発表した「小学校のかべ新聞」並みですね。いや、まだ更に低いか。
枝野氏が今日発表した第2弾は、もうごく一部の、隙間ぐらいの人しか相手にしてないのかって言うぐらいです。「多様性を認め合う差別のない社会」「選択的夫婦別姓制度」「LGBT」「DVや性暴力被害者など女性支援」「性別、部落、民族など差別の解消」「入国管理制度の抜本的見直し」、、それではアッチ系だけしか支持しません。野党第一党から陥落だネ〜。
立憲民主党
でわなく
利権民主党
でわ?
日本の将来を考えるのであれば、一度立憲民主党に大鉄槌を下し、壊滅的打撃を与えるべきなのではないかとすら思います。けして自民党に満足しているわけではありませんが、どうせ今でも単独過半数の議席を持っているのだし、多少議席が増えたところで、一部勢力が極度に警戒する憲法改正などそうそう簡単には行えません。ならば、一時的に自民党に絶対多数を与えたとしても、日本にとって有害でしかない連中を殲滅すべきではないかなどと思ってしまいます。
これが極論・暴論の類であることは重々承知していますが、リベラルとすら言えない似非リベラルが蔓延り、まともな政策議論が行えないという状況にはいい加減ウンザリしているのです。
前回衆院選で排除の理論を持ち出した小池都知事はおそらく正しかった。
希望の党構想が潰れた段階で、特に野党支持者は二大政党なぞする気が無いのは明白になったのでしょう。
立憲民主党の議員の方でも優秀な方、善良な方はいっぱいいると思います。それでも代表として選ばれたら今のような政策しか出せない。政策論争し是々非々で政治する人は国民民主党として追い出された。そして共産主義革命を根本とする共産党に色々な意味で近づいている。先鋭化すればするほど社会から排除する方向にしかならないのではないでしょうか。
嘆かわしい話です。
まんなっか様
確かに小池さんの排除の論理は、きっと正しかったんですよね。しかし、風を読み違えたというか、国民はここまで枝野幸男とその仲間たちがどうしようもない連中だとは思ってなかった。まだ当時は。
あのとき、判官贔屓、同情で立憲に投票した無党派層の人達は、後悔してるはず。もういっぺん入れる馬鹿はいないはず、図らずも鉄槌が下されるであろう、と思ってるのですが、甘すぎますかね。
立憲民主党に鉄槌を下すのに賛成します。
国の政策を妨害するだけの野盗は,日本人には必要ありません。