本日、韓国の地裁で新たな自称元徴用工判決が言い渡されたようです。報道によると、「2012年の大法院判決から3年が経過した場合は、そもそも訴訟を起こしても意味がない」という、韓国民法上のいわゆる「不法行為の消滅時効」が援用されたようですが、これについてどう考えるべきでしょうか。
最新の自称元徴用工判決
また、いつもの「瀬戸際戦術」でしょうか。
本日も韓国で、自称元徴用工訴訟の判決の言い渡しがあったようです。
いくつかのメディアがこれについて報じているようですが、ここでは韓国メディア『中央日報』(日本語版)からこんな記事を紹介しておきましょう(※ただし、記事本文に出てくる「日帝強制徴用被害者」とは、自称元徴用工の誤りですのでご注意ください)。
強制徴用被害者遺族、日本企業相手訴訟でまた敗訴=韓国
―――2021.09.08 13:30付 中央日報日本語版より
以下では「強制徴用被害者」の用語を自称元徴用工に訂正したうえで、日本語表現を整えて要点を紹介します。
- ソウル中央地裁は8日、自称元徴用工の遺族が日本製鉄を相手取って起こした訴訟を棄却した
- 自称元徴用工は1940年から42年に岩手県釜石製鉄所に強制動員されて危険な労働に従事したと証言しており、これを受けて遺族は2019年4月に2億ウォンあまりを請求する訴訟を起こしていた
つまり、被告企業は2018年10月に韓国大法院(最高裁に相当)で敗訴した日本製鉄ですが、似たような訴訟なのに今回は原告が敗訴した、というわけです。
原告敗訴は「3年の消滅時効」
では、いったいいかなるロジックで原告が敗訴したのでしょうか。
記事によると、日本製鉄側は自称元徴用工の「身元が不明で記録も不正確だ」などと反論していたそうですが、裁判所は「消滅時効」を援用して原告敗訴を申し渡したようです。
すなわち、チュ王日報によれば、他人の不法行為で損害を受けた人が賠償を請求できる期間は、現行の韓国の民法上、「▼加害者が不法行為を行った日から10年、または▼不法行為にともなう損害と加害者を被害者が認知した日から3年」と規定されているのだそうです。
この点、仮に自称元徴用工が主張する日本企業の「不法行為」が事実だったとしても、その行為が行われた時点において韓国という国が存在していない以上、現行の「大韓民国民法」の規定を援用するのにはかなりの無理があると思いますが、とりあえずこの点は脇に置きましょう。
もしこの「韓国民法の不法行為の規定」を用いて損害を認定する場合、後段の、「不法行為にともなう損害と加害者を被害者が認知した日から3年」の起算点については、どうも韓国国内では2つの解釈が交錯しているようなのです。
- (A)大法院が自称元徴用工側の損害賠償請求権を認めて破棄差し戻しをした2012年
- (B)大法院が自称元徴用工に勝訴を言い渡した2018年
今回の訴訟は、(A)説を採用し、訴訟が提起された2019年4月の時点は、2012年から起算してすでに3年を過ぎていたでしょう、というロジックであるようです。
また、中央日報によると、担当の判事部長は先月11日、三菱マテリアルを相手取った訴訟でも、「2012年から3年の消滅時効が過ぎた」として原告の請求を棄却していたそうです。
まだ国民情緒法という「奥の手」がありますよ!
もちろん、そもそも論として土台となる2018年の大法院判決自体が1965年の日韓請求権協定に違反しており、国際法的には違法であり無効ですので、そこを起点にして「大韓民国民法」に基づく議論をしても意味がないとは思います。
しかし、この「大韓民国民法」の議論をするのであれば、先ほどの(B)説に立ったとしても、2021年10月30日以降に起こされる自称元徴用工裁判は、理屈の上では、いずれも韓国が勝手に作り上げた「民法消滅時効」議論で無効となるはずです。
もっとも、そもそも2018年10月と11月の違法判決を放置している時点で、韓国はすでに法治国家ではありません。また、こんな民法の規定など使わなくても、今後も韓国国内では憲法よりも国際法よりもさらに上位に位置する「国民情緒法」を使えば、いくらでも原告勝訴の判決など下せそうなものだと思う次第です。
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またまた屁理屈言いの無駄時間浪費の韓国裁判ですか?(嘲笑)。こんな形で平気で判決出す国へは、コロナ禍が終息して海外旅行が出来るようになっても、絶対行かんとこ、と思います。あ、その頃、既に韓国へは「安全情報」で最下位ランク(北朝鮮等)なんですね。金貰っても行きません。
ヤレ「3年間が過ぎた」とか「不法行為の起算点に二つの解釈がある」とか、メチャクチャやのう~韓国は!判決もバラバラ。かと言って日本の出方を見ている訳じゃなし。文大統領と与党の気持ちに忖度しているだけですネ。
法治国家じゃないんだから、最上位の「国民情緒法」を使えば、いくらでも原告勝訴に出来るだろ。面倒くさい民族だ。
韓国政府の「日韓併合違法論」の立場に立って考えると、
朝鮮系日本国民の児童を学校に通わせたのは「強制通学」という犯罪行為に、
朝鮮半島の生活水準の向上・文明化を行ったのは「強制開花」「「強制文明化」という犯罪行為になりそうですね。
ああ、こわいこわい((((;゚Д゚)))))))
徴用工訴訟「3年の消滅時効」の起算点はいつ?
そもそも、日本とは法律や契約など守るつもりなどない韓国にとっては、時効などの
概念など、どうでもよいことなのではないでしょうか?
ウリが、この日からと言ったら、それが法律となる自分たちに都合の良い
「ウリナラ情緒法」の国ですから。
ホワイト国様
> 徴用工訴訟「3年の消滅時効」の起算点はいつ?
何年何月年日から3年でなく、今日から3年ではないでしょうか。問題は、明日になれば、今日という日も一日ずれるということです。
引きこもり中年 さま
そうです。彼らの気分次第ということですね。
いやいや時効到来は1945年の10年後じゃない?
でなければ、最高裁確定の2018年の3年後でしょう。
差し戻し判決はなんの関係もないと私はおもいますけど。
時効判決が流行っているのは、日本政府に「これ以上、徴用工の賠償判決は出ない」と思わせて、譲歩をさせようとしているだけだと思います。
国際法違反の判決を韓国が解決するまで、相手にする必要は有りません。
だんな様
同感です。
本来、却下すべきだった事案を今さら棄却してるだけのことで、ちっとも歩み寄ってる訳じゃありません。
頃合いを見て「確定判決分のみだから形式的に謝罪を・・」ってな魂胆なんでしょうね。 きっと。
確か戦犯企業に対して時効が無くなるとかそんな法案を作ってる最中だったと思います。
施行されれば当然のように遡及適用される事になるでしょうからいつでもひっくり返すことが可能です。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(そう自分に言い聞かせてないと、朝日新聞と同じく、自分は間違えない存在だと、自惚れそうなので)
本日の朝日新聞の社説は、韓国の(自称)元慰安婦救済を訴えるものでした。(ここにいる皆さんは、「誰のせいだ」と思うでしょうが)朝日新聞のなかにいると、「朝日新聞は常に日本政府を正しい方向に導くものだ」というポジションを維持することが重要になり、昨日の記事との整合性は気にならなくなる痴呆症の症状になるのです。(近くに、似た実例もあります)
私としては、朝日新聞がそんな社説を書くのなら、自身の慰安婦報道の社説も、並べて書くことを義務付けるべき、と思うのですが。
駄文にて失礼しました。
すみません。追加です。
朝日新聞にとっては、「自社の新聞を読む人は、事実を知るためでなく、自民党政権を批判したいがために読んでいる」ということが、(無意識の)前提になっているのではないでしょうか。だから、昨日と今日とで、記事の内容が全く違っていても問題ないのです。
そもそも論で、私の認識では1940〜1942は、朝鮮本土からは徴用していないはずなんですが。
徴用開始は1944/10だった様な。
それに遺族がそれを請求するのも、違和感。これができたら、全ての朝鮮人が請求権利者になる。
仮に、2018年10月30日が時効の起算であるというB)説に立った判決が今後なされたとしても、韓国としては徴用工裁判を終結させないため、当然ながら、時効成立前の2021年10月30日以前に再び提訴することになるのでしょう。
従って今回及び昨今の韓国裁判所の時効に基づく原告敗訴は、日本にとって現段階では意味がありません。
それではなぜ原告敗訴にしたかと言えば、おそらくアメリカ等国内外の圧力により、今の段階では日本との関係をこれ以上悪化させたくないこと、
また政権交代等による日本側の対応の変化、つまり日本政府が外交交渉のテーブルに乗ることを期待しているのでしょう、被告敗訴にしてしまえば日本政府の姿勢が一層効硬化しかねませんから。。
日本側としては、2021年10月30日までに提訴されるか否かが重要であり、仮に提訴されなかったならば、韓国側の日本側に対する軟化姿勢はある程度本気であると判断できるかもしれません。
しかしながら、今現在も続いている裁判がありますし、何より国民情緒法で法理論を無視した何でもありの国ですから、当然ながらいかなる軟化姿勢を見せてきても、一切信用すべきではないでしょう。
粛々と、離韓断韓政策を続けるべきです。
韓国の民法は、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効について、次のように定めています。
第766条(損害賠償請求権の消滅時効)①不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人がその損害及び加害者を知った日から3年間これを行使しなければ、時効により消滅する。
②不法行為をした日から10年を経過したときも、前項と同様である。
⇒この規定を本件事案に当てはめれば、「➀については1942年から3年後の1945年に」、「➁については1942年から10年後の1952年に」、それぞれ損害賠償請求権が時効消滅することになります。
但し、韓国の民法が施行されたのは1960年1月1日なので、「➀は民法施行日から3年後の1963年1月1日」、「➁は民法施行日から10年後の1970年1月1日」になる可能性もあります。
この点については、正直よく分かりませんが、いずれにしても、損害賠償請求権は時効消滅してしまっているはずです。
しかし、例外的に判例で「被害者が『障害』により権利を行使できない場合は、その『障害』が無くなってから3年で時効消滅する」とされており、本件事案も『障害』(韓国裁判所が日本企業に対する不法行為請求権を認めていなかったこと)により被害者が権利を行使できなかったため、その『障害』が無くなってから3年で時効消滅することになります。
この『障害』が無くなった時点を「韓国大法院が強制労役被害者の損害賠償請求権を認めて破棄差戻をした2012年」とみるのか「韓国大法院が強制労役被害者の勝訴を確定した2018年」と見るのかという解釈の問題ということになりますが、普通に考えれば、「韓国大法院が強制労役被害者の損害賠償請求権を認めて破棄差戻をした2012年」には『障害』が無くなったと解釈すべきだと思います。