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    Categories: RMB金融

日米が「乗り遅れた」AIIB発足6年目のお寒い現状

「AIIB不参加」で日本企業はインフラビジネスで不利に…なったのでしょうか?

当ウェブサイトにおいて、「忘れたころにやって来る」話題のひとつが、例の「ドル覇権に挑戦する」、「日本をインフラビジネスから除け者にする」はずだった、「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の財務諸表分析です。AIIBがこのほど公表した2021年6月末時点の財務諸表(※未監査)などを手掛かりに、AIIBによる快進撃の現状と「バスに乗り遅れてインフラビジネスから除け者になっている日本の惨状」を簡単に取りまとめておきましょう。

AIIB、どうなった?

当ウェブサイトで以前から「定点観測」しているデータがいくつかあるのですが、そのひとつが、中国が主導する国際開発銀行である「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の財務諸表です。

AIIBは四半期に1度、財務諸表を公表しており、現時点では2021年6月末までの決算(※未監査ベース)を手に入れることができます。

そのまえに、おさらいです。

そもそも「AIIB」とは、いったい何者でしょうか。

昨年の『「時流を読み誤りAIIBに乗り遅れた日本」の末路』などでも触れたとおり、AIIBは習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席の主導のもと、中国政府が事実上の後ろ盾となり、2015年12月に設立された国際開発銀行です。

このAIIBは当時、「鳴り物入り」で設立されました。そのAIIBが発足するより8ヵ月前、『ダイヤモンドオンライン』に2015年4月2日付で掲載された次の記事あたりを読んでいただければ、当時の「熱狂」が伝わって来るように思えます。

日本は中国に対する冷静さを欠き、AIIB加入問題で流れを読み間違えた

―――2015.4.2 0:00付 ダイヤモンドオンラインより

ただ、日本は米国と並び、結局、このAIIBには参加しませんでした。

これについて、上記記事と同じ人物が2017年2月2日付で、同じく『ダイヤモンドオンライン』に寄稿した次の記事では、「日本における中国嫌いが災いし、結局、日本はAIIBを巡る世界の潮流に乗り遅れた」、などと舌鋒鋭く批判されています。

中国嫌いが災い、AIIBを巡る世界の流れに日本は乗り遅れた

―――2017.2.2 5:00付 ダイヤモンドオンラインより

すなわち、世界中の多くの国が相次いでAIIBに参加を決めるなか、主要先進国(G7)では日本と米国だけがAIIBに参加せず取り残され、世界の潮流に乗り遅れた、というのが、この記事の主眼でしょう。

一見華々しいAIIBだが…

AIIBにはG20の大部分が参加している

そこで、本稿でもまずはファクトチェックから開始しましょう。

AIIBのウェブサイトにある加盟国一覧のページ “Members and Porspective Members of the Bank” を(2021年9月3日)時点で閲覧すると、現在、AIIBの加盟国は87ヵ国(うちリージョナルが46ヵ国、ノンリージョナルが41ヵ国)です。

AIIBの加盟国(2021年9月3日時点)
  • リージョナル(アジア諸国)…46ヵ国
  • ノンリージョナル(アジア以外)…41ヵ国
  • 合計…87ヵ国
  • 出資約束額…967.7億ドル

(【出所】著者調べ)

出資する87ヵ国について、出資約束額上位10位までを抜き出し、それぞれの出資割合と議決権割合を一覧にしたものが、次の図表1です。

図表1 AIIBの上位出資国一覧(上位10か国、2021年9月3日時点)
出資約束額 出資割合/議決権割合
1位:中国(R) 297.80億ドル 30.77%/26.56%
2位:インド(R) 83.67億ドル 8.65%/7.60%
3位:ロシア(R) 65.36億ドル 6.75%/5.98%
4位:ドイツ(N) 44.84億ドル 4.63%/4.16%
5位:韓国(R) 37.39億ドル 3.86%/3.50%
6位:豪州(R) 36.91億ドル 3.81%/3.46%
7位:フランス(N) 33.76億ドル 3.49%/3.18%
8位:インドネシア(R) 33.61億ドル 3.47%/3.17%
9位:英国(N) 30.55億ドル 3.16%/2.90%
10位:トルコ(R) 26.10億ドル 2.70%/2.50%
その他77ヵ国 277.71億ドル 28.70%/36.99%
合計 967.70億ドル 100.00%/100.00%

(【出所】AIIB “Members and Porspective Members of the Bank” をもとに著者作成。「R」はリージョナル、すなわちAIIBからアジア地域に属するとされている国、「N」はノンリージョナル、すなわちリージョナル以外の国)

まったく参加していないのは日本、米国、メキシコのみ

これによると、リージョナルでは中国が最大の出資国であり、議決権についても1ヵ国で拒否権(4分の1)を発動することができますが、ほかにインド、ロシア、韓国、豪州、インドネシア、トルコなど、地域のG20加盟国が名を連ねます(表には出てきませんが、サウジアラビアも出資金額で12位です)。

また、ノンリージョナルではドイツ、フランス、英国という、「G7」のメンバー国が3つも名を連ねているほか、ほかの2ヵ国も、イタリアが11位、カナダが19位にそれぞれ入っています。「G20」だとブラジルとアルゼンチンが(金額は少ないものの)いちおうメンバーに名を連ねています。

つまり、G7でAIIBに参加していないのは米国と日本の2ヵ国だけであり、G20だと南アフリカとメキシコくらいなものでしょう(※なお、南アフリカは参加をコミットしているため、事実上、G20のなかで「まったく参加していない国」は米国、日本、メキシコの3ヵ国のみです)。

その意味では、G7のなかでは日米両国を除くすべての国が、G20では日米墨3ヵ国を除くすべての国が、事実上、AIIBに参加していると考えて間違いないでしょう。

日本は、この「AIIB」というバスに、完全に乗り遅れたのです。

AIIBバスは出発直後にエンジンストップ

もっとも、そのAIIBというバスは、乗り遅れたものの、結論から言えば発車直後からつまづいているようです。

AIIBの2021年6月末時点における財務諸表(未監査ベース、英語)によると、AIIBの払込資本(Paid-in capital)は193億5200万ドル、つまり「出資約束額」の20%が、すでに加盟国からAIIBに対して払い込まれています。

これに加え、AIIBは2021年6月末時点で164億ドルほど、外部からおカネを借りていますので(※Borrowings勘定)、バランスシートの規模はだいたい370億8583万ドル、といったところです。

ところが、肝心の「本業の融資」と思しき項目の伸びが、完全に鈍化してしまっているのです。2021年6月末時点で、この金額は合計104.9億ドルに過ぎません。370億8583万ドルも総資産があるにもかかわらず、です。

(※この「本業の融資と思しき項目」、財務諸表ではそれぞれ “Loan investments, at amortized cost” と “Bond investments, at amortized cost” と表記されている項目であり、これらについては本稿でそれぞれ、「償却原価法が適用される貸出金」、「償却原価法が適用される債券」などと表記します。)

では、370億ドルを超える総資産のうち、104.9億ドルの貸出・債券以外の項目は、いったいどこに行ってしまったのでしょうか。

その答えはおそらく、「余資」(つまり、当面使う予定がなくて余っているおカネ)として、おそらくは株式だの、投資信託だの、仕組債だのといった「資産運用」に回されてしまっている、と考えて良いでしょう。

具体的には「現金・現金同等物」(Cash and cash equivalents)、「定期預金」(Term deposits)、「売買目的投資」(Investments at fair value through profit or loss)などの項目に、わりと巨額の資産が計上されているのです。香港の証券会社あたりの「良いカモ」になっているのでしょうか。

本業の融資はたった104.9億ドル

これをまとめたものが、図表2です。

図表2 AIIBの資産の状況
項目 2021年6月 2021年3月との比較
本業の融資と思しき金額(①+②) 104.9億ドル +5.6億ドル(+5.60%)
うち償却原価法適用貸出(①) 99.7億ドル +5.6億ドル(+5.97%)
うち償却原価法適用債券(②) 4.9億ドル ▲0.0億ドル(▲0.82%)
余資の運用と思しき金額(③+④+⑤) 258.1億ドル +10.3億ドル(+4.16%)
うち現金・現金同等物(③) 29.4億ドル +0.5億ドル(+1.72%)
うち定期預金(④) 143.1億ドル +6.9億ドル(+5.03%)
うち売買目的投資(⑤) 85.6億ドル +3.0億ドル(+3.57%)
その他の資産 7.9億ドル ▲0.9億ドル(▲10.44%)
資産合計 370.9億ドル +15.0億ドル(+4.20%)

(【出所】AIIBの財務諸表より著者作成。ただし、監査済みとは限らない)

すなわち、AIIBは、本来ならば「アジアのインフラ金融」を担うことを期待されていたはずなのに、その「本業」に回されていると思しき金額は100億ドル少々に過ぎず、260億ドル近くが「余ったおカネの運用」として、定期預金だ、有価証券だ、といった資産に回ってしまっているのです。

香港あたりの証券会社の高笑いが聞こえてきそうですが、気のせいでしょうか?

コロナ特需とAIIB

融資実行額が「頭打ち」に?

さて、じつはこのAIIBの「融資実行額」(※正確には償却原価法適用貸出・債券の合計額)、昨年6月期までは本当に低迷していて、その金額はわずか40億ドル弱に過ぎなかったのですが、この1年で一気に65億ドル程度増えました。わずか1年で2倍になった計算です(図表3)。

図表3 AIIBの融資実行額

(【出所】AIIBの過去の財務諸表より著者作成。ただし、監査済とは限らない)

とくに、2020年9月期までの3ヵ月で融資は一気に2倍に増えました。

いったい、何が起こったのでしょうか。

時期でピンと来た人は鋭いと思います。

何のことはない、コロナ関連融資が急増しただけのことです。

ここで、AIIBの「プロジェクト一覧」のページ “Our Projects“ を検索すると、現在、AIIBが抱えている案件は合計で190件あり、このうち現時点で承認がなされたものは138件、まだ承認されていない者が52件です。そして、承認された案件を年別に集計したものが、図表4です。

図表4 年別プロジェクト承認件数と承認総額
承認件数 承認総額
2016 8件 16.9億ドル
2017 15件 25.0億ドル
2018 12件 33.0億ドル
2019 28件 45.5億ドル
2020 45件 99.8億ドル
2021 30件 54.9億ドル
合計 138件 275.2億ドル

(【出所】AIIBの「プロジェクト一覧」のページ “Our Projects“ の情報をもとに著者作成)

つまり、AIIBが事業を開始してからの約6年で、承認された総額は275.2億ドルです。1件あたりで単純平均すると、プロジェクト1件あたり1.8~2.2億ドル前後、といったところでしょうか。

2020年の融資急増の正体は「コロナ特需」

こうしたなか、先ほど図表2~3などで確認した、現時点における「融資実行額」は、100億ドル少々に過ぎませんでした。どうしてこんな差が生じるのかといえば、おそらく図表2~3は「現実に融資を実行した金額」、図表4は「プロジェクトに対して支出される合計額ないし上限額」だからでしょう。

そして、2020年だけで45件、金額にして99.8億ドルもの承認がなされているという点には注目の価値があります。

これについて、ふと思いついてプロジェクト名称に “COVID” という名称が出て来るものを「コロナ関連融資」とみなし、それ以外を「コロナ以外の一般案件」と仮定して、両者を振り分けてみると、これまた強烈な結果が出てきます。

AIIBのコロナ関連融資
  • 2020年…21件・62.1億ドル
  • 2021年…10件・19.5億ドル
  • 合計…31件・81.6億ドル

(【出所】著者調べ)

つまり、2020年に新たに承認された45件99.8億ドルのうち、コロナ関連が件数の半数近い21件、金額にして3分の2近い62.1億ドルを占めてしまっているのです。そして、「コロナ特需」が存在しているという点においては、2021年もそのとおりではありますが、その件数・金額は間違いなく減少しています。

コロナ関連を除くと相変わらず…

そういうわけで、先ほどの図表4から、案件名称に “COVID” の表現が含まれているものを除いたものが、次の図表5です。

図表5 年別プロジェクト承認件数と承認総額(コロナ関連を除く)
承認件数 承認金額
2016 8件 16.9億ドル
2017 15件 25.0億ドル
2018 12件 33.0億ドル
2019 28件 45.5億ドル
2020 24件 37.7億ドル
2021 20件 35.4億ドル
合計 107件 193.6億ドル

(【出所】AIIBの「プロジェクト一覧」のページ “Our Projects“ の情報をもとに著者作成)

何のことはない、コロナを除くと、むしろ2020年までのプロジェクト承認件数は40億ドル弱に過ぎない、ということです。

今年、すなわち2021年は、6月までで20件・35.4億ドルが承認されていますが、それにしても、AIIBの出資約束額(967.4億ドル)にはほど遠いのが実情です。少し意地悪ですが、財務諸表の融資実行額と出資約束額を同じグラフに並べておきましょう(図表6)。

図表6 AIIBの出資約束額と融資実行額の比較

(【出所】AIIBの過去の財務諸表等より著者作成。ただし、監査済とは限らない)

このペースでいくと、AIIBの融資実行額が出資総額を超えるのか、それともその前に中国共産党政権が倒れてしまうのか、いったいどっちが先なのか、よくわかりません。

一帯一路と無関係

さて、こうしたなかで、もうひとつ興味深いのが、その現時点で承認されている、または承認されようとしているプロジェクトの「中身」です。

冒頭で紹介した記事では、「日本がAIIBに参加しないことで、日本の経済界でもインフラビジネスにおいて不利になるかもしれないとの不安の声が上がっている」、といった記述もあるのですが、実態はこれとむしろ真逆であり、多くのプロジェクトが世界銀行やADBとの協調融資案件も見られます。

すなわち、実態は「AIIBだと単独で案件が取れないから、世銀やADBが案件の一部をAIIBに分け与えている」というものであり、AIIBが始動して以来の6年間で、冒頭の記事とは真逆の減少が生じてしまっている、というわけです。

これに加え、昨日の『「北京証券取引所」構想と久しぶりに目にした一帯一路』などでも指摘しましたが、AIIBと並んで習近平氏が掲げる世界戦略の代表例が一帯一路ですが、その一帯一路構想とAIIBが有機的に連携している形跡はありません。

それどころか、現実には、「シルクロード」どころか、たとえば「運輸」(transport)のジャンル(全部で37件)の例でみると、金額で4億ドルを超える案件が10件あるのですが、それらはこんな具合です。

  • India: Delhi-Meerut Regional Rapid Transit System
  • Bangladesh: Sylhet to Tamabil Road Upgrade Project
  • India: Haryana Orbital Rail Corridor Project
  • India: Chennai Metro Rail Phase 2 Project ? Balance Corridor 5
  • India: Mumbai Metro Line 5
  • India: Mumbai Urban Transport Project 3A-1
  • India: Mumbai Urban Transport Project – Phase III (MUTP)
  • Russian Federation: Infrastructure Development Program (Previously: Russian Federation Transport Sector Investment Loan)
  • India: Andhra Pradesh Rural Roads

すなわち、都市内の交通や鉄道の改修といった案件が多く、「一帯一路」の名物であるはずの「西安とロッテルダムを陸路で結ぶ」のに関連すると思しきプロジェクトというものが、とんと見当たりません。

いったいぜんたい、これはどうなっているのでしょうか。

これでどうやって「ドル覇権に挑戦」するんでしょうか?

AIIBのプロジェクト一覧を眺めていて不思議に感じるのは、これだけではありません。

リストアップされている190件のプロジェクトのうち、185件がドル建てであり、残り5件がユーロ建てですが、当初の構想にあったはずの「人民元建ての融資」案件はゼロ件です。現実に承認された138件に関していえば、どれも米ドル建てです。

つまり、「アメリカの金融覇権を揺るがす」はずのAIIBですが、融資案件は多くが世銀やADBからの「おこぼれ」であり、「一帯一路」に関連する融資もほとんどなく、融資はほとんどがドル建て…。

いったいこれでどうやって、「AIIBで米国の覇権を揺るがす」つもりでしょうか。

ちなみに1ドル=110円と換算して、現時点におけるAIIBの融資実行額は、だいたい1兆円を超えるかどうか、というレベルです。ただ、多くの方がピンと来ていないと思いますが、この金額は日本でいえば地銀下位行よりも少ないです。

たとえば、全銀協『全国銀行財務諸表分析』によれば、2021年3月末時点における銀行の総資産と貸出金は図表7のとおりです。

図表7 日本の銀行の総資産・貸出金(2021年3月決算、単体ベース)
銀行名称 総資産 貸出金
三菱UFJ銀行 260.0兆円 88.4兆円
三井住友銀行 215.8兆円 81.9兆円
みずほ銀行 198.9兆円 82.1兆円
農林中央金庫 105.2兆円 21.8兆円
三井住友信託銀行 60.1兆円 30.7兆円
りそな銀行 40.2兆円 21.2兆円
三菱UFJ信託銀行 31.9兆円 3.3兆円
福岡銀行 19.4兆円 11.3兆円
横浜銀行 19.3兆円 12.1兆円
埼玉りそな銀行 19.1兆円 8.2兆円
千葉銀行 17.8兆円 11.2兆円
静岡銀行 14.0兆円 9.3兆円
常陽銀行 14.0兆円 6.9兆円
京都銀行 12.3兆円 6.1兆円
八十二銀行 12.1兆円 5.6兆円

(【出所】全銀協『全国銀行財務諸表分析』)

これに対し、1ドル=110円と仮定してAIIBの総資産と融資(償却原価法適用貸出・債券)を円換算すると、総資産が4.1兆円、融資が1.2兆円であり、日本の地銀上位行に遠く及びません。

冒頭で紹介した、「日本がAIIBに参加しなかったことでインフラビジネスの分野で不利になる」という記事に対して抱く違和感の正体とは、結局、肝心のAIIBの「融資規模」に関する考察がスッポリと抜け落ちてしまっている点にあるのかもしれません。

たとえていえば、「1兆円の国債を一気に売れば日本国債市場が混乱し、日本国債が暴落する」という、どこかの小説家の方が執筆した小説(『「1兆円もの日本国債が市場にあふれるぞ!」(爆笑)』等参照)の紹介文を読んだ瞬間、コーヒーを吹き出してしまったようなものでしょうか。

大変に面黒いと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (16)

  • 中国人の作家・ジャーナリスト莫 邦富氏は、盛んにAIIBを無視する日本を見下して書いてますね。そんなに日本が嫌いなら、別に日本語版までにして、お説を話して貰わなくてよろしいのに。

    「日本は米国に取って代わる中国を絶対に認めたくない。世界中の先進国が中国がNO.1になると見ているのに、日本人は冷静感を欠く」。このAIIB推しの論考は酷いものです。

    コロナを除くと、2020年までのプロジェクト承認件数は40億ドル弱に過ぎない。また、単独では無く世界銀行やADBとの協調融資が多い。完全にジリ貧ですね。ア〜中国の口車に乗せられなくて良かった。

    さて、AIIBの目玉である「西安とロッテルダムを陸路で結ぶ」のに、バスでも利用するつもりですか?高速鉄道?ムリムリ!そんな長距離は飛行機で十分だよ〜。アジアを我が物にする為、ハッキリそう言いなさい(笑)。

    • 私の記憶では、その論調は朝日新聞も同様でした。地下茎でつながっているのではと思います。
      中国が日本を引き入れたい目的はやはりメンツでしょう。世界1位と3位が参加しないとAIIBの特異性が際立つが、世界1位のアメリカだけが参加しないとアメリカの特異性が際立つからでしょう。2019年にAIIBがドル建ての外債を発行しました5年で2.25%。ずいぶんいい利率ですね。ADBは2020年に3年のドル建て債を発行していますが利率は0.25%。
      この違いは、すぐわかりますね。利率を高くしないと買わないからです。

    • マスコミや野党が、バスに乗り遅れるなと言う中、走らないバスに乗らなかった、安倍前総理、麻生副総理は賢明だったと思います。

  • AIIBから自民総裁選を思う

    AIIB設立から早6年も経過していたんですね。
    主要加盟国のリストを改めて眺めていたら、これらの国々のリーダーも随分と様変わりしたものだと、時の流れを実感しました。替わっていないのはドイツのメルケル首相ぐらいではないでしょうか。

    しかしそのメルケル首相も今年で引退すると云われていますので、不動のメンバーといえば習近平だけでしょう(たぶん)。そう思うと何やら感慨深いモノがあります。当時加盟を決めたそれぞれの国のリーダーたちは、今どこで何を思っていることでしょうか。

    こんな詐欺まがいの国際ネズミ講に参加してしまったことを、少しは恥じているのかどうか、その心境を尋ねてみたくなります。

    また当時これに乗り損ねてはならないと声高に喚いていたメディアや学識者たち、そして政治家たちにも同じことを問うてみたくなります。

    近年、中国はますます居丈高になり、近隣諸国の領土領海への露骨な野望を隠さなくなってきています。及び腰ではあるもののEU諸国も漸く中国の危険性を認識し始めてきているようですが、やはりその認識の低さには疑問を抱かざるを得ません。

    私見ではありますが、アメリカが加盟しなかったのは中国のそうした野望の危険性ゆえにというよりも、むしろ自国の権益を脅かす可能性があったからではなかったかと考えています。

    WW2直前のF・D・ルーズベルトが、スターリンや蒋介石に取り込まれてしまったがように、オバマ元大統領も、致命的に中国や北朝鮮を見誤っていたことが、今日となれば明白にわかります。

    これを正しく判っていたのは、我らが安倍前首相ぐらいではなかったでしょうか。

    自民党の総裁選挙がこのあとどう展開していくのか、まだまだ予断を許さない状況ではありますが、よもやの安倍晋三氏の再び(三度と云うべき?)の返り咲きを切望してしまうのは私だけでしょうか。

  • 海外からのODAを受けつつも、さらなる途上国にODAを発してた中国。
    ADBからの融資を受けつつも、困窮国にAIIBからの融資を発する中国。

    彼らの行動は「他人の資金で暴利を貪る悪徳な高利貸し」そのものなんですよね。
    *性根を見透かされたのかと・・。

  • AIIBの設立の思惑は、発展途上国は、質のいい資金でインフラ投資をやりたい。先進国はそのようなプロジェクトに食い込みたい。中国はそのような機会を利用して国際的な影響力を強めたい。
    だだし、これは援助ではなく貸付だということ。利息をつけて返済してもらわなければならない。
    中国は2種類のメニューで途上国にアプローチできる。一帯一路メニューとAIIBメニュー。

  • 札束で頬をひっぱたいて言うことをきかせることと戦狼外交の両輪による外交政策は諸国の警戒を呼び覚まして中国の四面楚歌を招きAIIBもなりを潜めていますね。
    習近平国家主席は行き過ぎた資本主義経済の手綱を引き、貧富の格差を縮める政策やら、当面は内政に重点を置くように見え、共産主義の原点に戻ろうと考えているようです。しかし、何分弾みがつくとどうにも止まらない中国社会では、文化大革命ほどではないにしても、どういう影響が出てくるのか誰にも分からないです。
    確実に言えることは、現在、中国14億人のうちの60歳以上の高齢者は約2.6億人と日本の人口を遥かに越え、しかも長らく続いた一人っ子政策により若者がもともと少ないことに加えて、都市部の教育費の高さから出生率も下がり続けています。想像を絶する高齢社会が出現するのは確実です。といっても、若者・壮年も数億人いるので国力が即低下するわけではないので、戦狼外交は当分は変わらないでしょうが。

  • >つまり、2020年に新たに承認された45件99.8億ドルのうち、コロナ関連が件数の半数近い21件、金額にして3分の2近い62.1億ドルを占めてしまっているのです。

    アジア開発銀行(ADB)については、コロナ関連融資が99億ドルだったらしいので、緊急融資という機動性の点でもまだADBがはるかにに上回っていますね、「審査のスピードの速さ」を強味として売りにしていたAIIBにもかかわらず。

    https://www.adb.org/sites/default/files/page/576566/20210112-adb-president-apvax-presentation-launch-japanese.pdf

    中国という国自体の信用度がずっと下がり続けていますので、今のままではAIIBも運命をともにすることでしょう、何らかの強みがないかぎり。。
    結局、物的担保頼りなのでは、話になりません、最終的に収奪しただけになりかねませんから。。
    成長を担保、つまり技術や教育等のサポートを行って成長させ、融資と利息を回収、場合によっては多額なキャピタルゲインを得る、という目標に沿った融資を行い得るためには資本主義社会で培ったノウハウが必要であり、AIIBにはそのノウハウがまだ殆ど無い、ということなのでしょう。
    融資倒れ→担保強制回収→融資先国の恨み、の負のサイクルから脱することはできないでしょう。

    • 途上国のプロジェクトに金を貸すというのはそれなりのノウハウが必要で、実は簡単ではないということがAIIBの実態に現れています。それは中国が途上国、特にアフリカを中心とした独裁国家に提供している借款も同様に困難に陥っています。借金かたとして中国が99年の運営権を取得したスリランカのハンバントタ港のように中国が権益を手に入れるための手段となっているとの批判があり債務の罠と言われてますが、最近ではアフリカ諸国に対する中国の借款の多くは返済が滞っており中国の方が債務の罠にはまっているのではないかという報道も出ています。ザンビアのように権益を手に入れるのではなく債務減免を迫られるという事態も発生しています。
      この問題、新宿会計士様にはいつか詳しく取り上げていただけるとありがたいです。

      • ムッシュ林様

        おっしゃる通りですね、特に発展途上国においては、教育や技術のサポートを行って融資先を大きく成長させるためには、一筋縄ではいかない人と人のつながり、また政府要人への賄賂等、原理原則を守っていては「回収」できないのが実情があるのでしょうね、命の危険さえもあるでしょうから。

        そのノウハウは組織で共有できるものもありますが、本質的には属人的でなかなか真似ができないものが多いようにも思います。
        そういったノウハウを有する人材が必要であり、中国がAIIB設立当初に日本に副理事長の職を提示したのは、人を寄越せということだったのでしょう。

  • 大丈夫です。 心配はありません。 
    懸案案件であったアフガンは、米国が逃げ出しタリバンと強固な結びつきが
    あります。 アフガンを過ぎれば、問題となる国はありません。
    ウィーンはもう目前に迫っております。アフガンを起点に巻き返す事は可能です。
    タリバンが契約を破れば、我が偉大なる人民解放軍が虐げられている
    アフガン民を救済に赴きます。 その為、新彊ウィグル地域まで鉄道・道路を
    整備して参りました。ワハン回廊は、直ぐにも我が軍が管理できます。
    (という事で、中共とアフガン戦争の始まり、始まりーいつ始まるかな~
    中越戦争はベトナム戦争後 4年後でした、となれば、4年後 2025年頃かな~)

    • >その為、新彊ウィグル地域まで鉄道・道路を
      整備して参りました。ワハン回廊は、直ぐにも我が軍が管理できます。

      西ローマ帝国がゲルマン人侵入を防げなっかたように、逆に言うと、外国勢力が中国に侵攻しやすくなった。

      タリバンにはアメリカの最新の武器がプレゼントされていますから。

  • そういえば韓国から日本にかけて勝手に海底トンネルを掘ってるのも中国が応援している、とした話をどこかで読みましたが、少なくとも鉄道より具体性がありそうで嫌ですね・・・

    AIIBに関してはトーシロの読める定点観測がほとんどないので、こちらの論功を毎回楽しみに拝読しています。
    タグにしれっと「アジアインチキイカサマ銀行」が紛れ込んでいてクスッとしました。

    さらっと数字を見るだけでも、参加国にたいして全く機能していないのがよくわかりますね。

      • 海辺に水を張った瓶を用意して、波紋が起きるか注視するんですよ。
        墨攻で見ました。