昨日、朝日新聞系のウェブサイト『アエラドット』が配信した記事を読んでいると、「これからも両国の主張が対立するトラブルが続くようだと、『五輪ボイコット』のカードを韓国側が持ち出す可能性も考えられる」、といった記述が含まれていました。もしこれが事実なら、どれほど楽し心配なことでしょう。夜も10時間くらいしか寝られません。ただ、韓国の五輪ボイコットの可能性はさほど高くないと思われます。残ね

韓国選手団、李舜臣横断幕をＩＯＣ要請で撤回も…

つくづく、不思議な国です。

昨日の『駐韓公使「暴言」問題で期待する日本政府の「塩対応」』では、駐韓日本大使館の相馬弘尚総括公使が非公式の席で「暴言」を吐いたとして、韓国政府や韓国メディアがこれを問題視している、とする話題を取り上げました。

その末尾で、韓国メディア『中央日報』（日本語版）に土曜日付で掲載された、こんな話題を提示しました。

大韓体育会、「李舜臣応援」横断幕を撤去…日本の旭日旗も禁止

―――2021.07.17 11:05付　中央日報日本語版より

これについてはすでに週末、多くのメディアに取り上げられているため、情報がやや古くなってしまっているのですが、いちおうこの元記事について、簡単に解説しておきましょう。

これは、韓国の五輪委員会「大韓体育会」は「国際五輪委員会（ＩＯＣ）の圧力」により、東京五輪選手村に設置した「李舜臣（り・しゅんしん）将軍の横断幕」を撤去すると述べた、とする話題です。

中央日報によると、問題の横断幕は14日に選手村の宿舎に掲示されたものだそうで、文禄・慶長の役の当時、当時の李氏朝鮮の将軍・李舜臣が述べた「尚有十二舜臣不死」とする文章にちなみ、「臣にはまだ5000万の国民の応援と支持が残っています」などの標語が掲載されていたのだとか。

実際、中央日報を含めたいくつかのメディアの写真で確認すると、東京・晴海の五輪選手村のバルコニーに、韓国の国旗とともに、赤い布地に白抜きの目立つ文字で、問題の標語が書かれているのが確認できます（※ただし、現時点ではすでに撤去済みだそうです）。

またしても韓国メディアの「事実誤認」か？

これについて、中央日報は「日本メディアがこの横断幕に政治的な意図があると疑った」、「極右勢力が加勢し、日本帝国主義戦犯旗の象徴である旭日旗を出して抗議する事態に広がった」などとしています。

ただ、個人的に確認した限り、先週金曜日の時点でこれを記事にしていたのは東京スポーツくらいなものだったのではないかと思います（※ほかにもあったかもしれませんが、少なくとも読売、朝日、毎日、日経、産経の５大全国紙を確認した限りは、見当たりませんでした）。

【東京五輪】韓国選手村“反日横断幕”　発案した大韓体育会は「問題になることではない」

―――2021年07月16日 18時25分付　東スポWEBより

中央日報の記事の疑問点は、それだけではありません。

中央日報によれば、今回の横断幕撤去に至った理由は、ＩＯＣの関係者が韓国選手団事務室を訪問し、「横断幕のフレーズは戦闘に参加する将軍を連想させるもので、五輪憲章第50条違反であり、撤去しなければならない」と申し入れたからなのだそうです。

これに対し、大韓体育会は「競技場内の旭日旗応援に対して強く異議を提起」し、「ＩＯＣは旭日旗の使用に対しても同じ条項を適用して判断することを約束した」ため、「大韓体育会も選手団応援横断幕を撤去することに合意した」、などとあります。

要するに、韓国側が一方的に五輪憲章違反の横断幕を掲揚し、それを引っ込めることと引き換えに、日本側に対しても旭日旗の使用をしないように確約させたかに見える、というわけです。

もしも事実ならば、「明らかな不法行為を仕掛け、文句を言われたら『日本も悪い』と大騒ぎし、相手にも責任をなすりつける」、という意味においては、当ウェブサイトで常々報告している「ゼロ対100理論」そのものでしょう。

ゼロ対100理論とは？

自分たちの側に100％の過失がある場合でも、インチキ外交の数々を駆使し、過失割合を「50対50」、あるいは「ゼロ対100」だと言い募るなど、まるで相手側にも落ち度があるかのように持っていく、韓国や北朝鮮が好んで使う屁理屈のこと。

つまり、韓国側は「五輪憲章違反の横断幕を掲揚する」という不法行為を行い、それを撤回することと引き換えに、本来ならば五輪憲章に照らしてなんら問題がないはずの旭日旗の掲揚を禁止させる、というものだからです。

事実関係を冷静に振り返る

ただ、ここで冷静に記事を読み返してみると、記載の趣旨は次のとおりです。

「ＩＯＣは旭日旗の使用に対しても五輪憲章第50条に照らして判断することを約束した」。

これ、じつは、当たり前の話です。

五輪中の選手団や観客などのありとあらゆる行為は、五輪憲章に照らして適切かどうかが常に判断されるべきものであり、旭日旗の使用もその例外ではありません。

というよりも、「五輪憲章第50条に照らして判断した結果、旭日旗を用いた応援はまったく問題ない」、という結論が出るかもしれません（※もっとも、無観客なので、どうやって場内で観客が旭日旗を形容するのかはよくわかりませんが…）。

こうした見方を間接的に裏付けているのが、朝日新聞系の『アエラドット』が日曜日に配信した、こんな記事です。

韓国側が選手村の横断幕撤去に激怒「旭日旗を問題視」五輪ボイコットの可能性も〈dot.〉

―――2021/7/18 16:32付　Yahoo!ニュースより【AERA.dot配信】

こう申し上げては失礼かもしれませんが、リンク先記事は朝日新聞系メディア「らしからぬ記事」だ、という印象を受けます。というのも、先ほど取り上げた大韓体育会による「旭日旗使用も五輪憲章第50条に照らして判断される」云々の説明に対し、疑念を呈しているからです。

アエラドットは旭日旗使用を巡り、大会組織委員会が「旭日旗は国内で広く使用されており、政治的主張にならない」と主張するなど、「日韓の主張は平行線をたどっている」と述べています。

また、次のとおり、韓国が旭日旗を突然問題視するようになった経緯が詳しく説明されています。

「旭日旗がクローズアップされたのは、2011年のサッカー・AFCアジアカップ準決勝の日本－韓国戦だった。韓国のMF奇誠庸（キ・ソンヨン）がPKで得点した後、ゴールパフォーマンスで猿のモノマネを行った。（中略）奇は自身のツイッターで（中略）旭日旗に憤慨したことを理由に、猿マネのパフォーマンスを行ったと釈明した」。

事実関係としては、おおむねそのとおりでしょう。

そのうえ、アエラドットは「通信社国際部記者」のこんな発言を紹介しています。

「旭日旗も2011年までは韓国側から問題視されていなかったのに、あのアジアカップの一件から戦犯旗として撤去を求めるようになった。IOCは韓国側の主張に戸惑っているのが本音ではないでしょうか」。

つまり、アエラドットの記事を信じるならば、ＩＯＣ側も韓国が旭日旗の「取り締まり」を要求しているという点に「戸惑っている」、というわけです。

アエラドット「韓国側でＩＯＣへの不満」→ボイコット？

もっとも、韓国側の「怒り」もまた、ヒートアップしているようです。

アエラドットの記事には、こんな記述もあります。

「今回の横断幕撤去で韓国メディアからは怒りの声が相次いだ。（中略）IOCの対応に不満を露わにしている」。

その典型例が、東京オリパラ組織委のウェブサイトの日本地図に「竹島」が描かれていた、とする問題を受けた、韓国側の五輪ボイコット騒動です（ちなみに五輪ボイコット騒動については、当ウェブサイトでは『韓国前首相が日本に「偏屈、恥知らず」など暴言を吐く』などでも取り上げています）。

これについて、アエラドットは「韓国に駐在する日本人通信員」の話として、こう指摘します。

「（中略）韓国のアスリートにとっては本意でないかもしれないが、これからも両国の主張が対立するトラブルが続くようだと、『五輪ボイコット』のカードを韓国側が持ち出す可能性も考えられる」。

何とも大変な話ですね。

※　※　※　※　※　※　※

もっとも、個人的にこの「韓国が（いまさら）五輪をボイコットするというカードを切る」、とする報道には、かなり疑問です。韓国は、ある意味では瀬戸際外交が大好きな国ではありますが、だからといって、「一歩踏み込む」という勇気を持っているのかといえば、そこは微妙だからです。

せいぜい、手を変え品を変え、さまざまな嫌がらせを通じて五輪主催国である日本を挑発するのが関の山でしょうし、五輪を「ボイコット」して帰国してしまうと、せっかくの（？）「嫌がらせの機会」がなくなってしまいます。

もっとも、可能性は低くても、それが「絶対に実現しない」というものではありません。

それに思いを致すと、どうしても楽しんぱいで心配で、個人的には夜も10時間くらい寝たら起きてしまうくらい眠りが浅くなってしまいますし、また、それが実現してしまった場合には、おそらくは食事もハッピーセット屋さんで夜限定倍メニュー２～３品くらいしか食べられないのではないかと懸念する次第です。