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G7サミットを前に、中国の王毅外相が韓国を「脅迫」

FOIPを勝手に「アジア太平洋戦略」と呼ぶ朝鮮日報

本日から始まるG7に先駆けて、韓国ではちょっと気になる報道があったようです。韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)の報道によれば、中国の王毅(おう・き)外相は9日、鄭義溶(てい・ぎよう)韓国外交部長官との電話会談で、「(米国が主導する)偏った動きに流されてはならない」と警告したのだとか。これが事実なら、そして韓国が敢然と反論しなかったのだとすれば、もう完全に「属国扱い」です。

FOIPvs韓国

本稿は、ショートメモです。

今朝の『英G7の「注目点」は価値を共有しない国のあぶり出し』では、英国で11日に開幕する「コーンウォールG7サミット」での注目点が、日本が主導する「FOIP」などへの共感に加え、個別会談の内容にある、と申し上げたところです。

FOIPは “Free and Open Indo-Pacific” の略で、日本語で「自由で開かれたインド太平洋」のことですが、これに米国、カナダ、英国、フランスに加え、豪州、インドなどが共感するとみられる一方、ドイツやイタリアがどういう態度を示すかどうかは微妙だ、というのが当ウェブサイトの見解です。

こうしたなか、FOIP自体が中国という「基本的価値を共有しない国」を強く牽制したものであることが明らかであるためでしょうか、中国にとってはFOIPにコミットした国、あるいはそのそぶりを見せた国を敵視することが想定されます。

といっても、中国も面白い国で、相手が連合を組み、勝ち目がないと見るや、おそらくはその連合の「最も弱いところ」を狙うのだ、というのが、当ウェブサイトで普段から指摘している内容です。おそらくその「最も弱いところ」は、ドイツであり、イタリアであり、そして韓国なのでしょう。

朝鮮日報「中国外相が韓国を脅迫」

そして、まったくその予想どおりの展開が生じているようです。韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に掲載された、次の記事がその証拠です。

中国外相が韓国を脅迫「米国の動きに流されるな」

―――2021/06/11 10:01付 朝鮮日報日本語版より

これは、中国の王毅(おう・き)外相が9日、韓国の鄭義溶(てい・ぎよう)外交部長官と電話会談した際、「米国による中国牽制の構想である『アジア太平洋戦略』を激しく非難したうえで『(米国の)偏った動きに流されてはならない』と指摘した」、とする記事です。

どうして「自由で開かれたインド太平洋」を、勝手に「アジア太平洋戦略」に変えてしまうのでしょうか、朝鮮日報は。

この記事に含まれる「米国による中国牽制の構想であるアジア太平洋戦略」という記述を読むだけで、朝鮮日報のFOIPに対する姿勢がよくわかります。

もちろん、中国外交部がこのように発言したのかもしれませんが、朝鮮日報も報道機関を標榜するなら、それを正しい言葉に置き換えて報道すべきでしょう。それをわざわざ「アジア太平洋戦略」などと呼び替えたこと自体、朝鮮日報がFOIPを正確に伝えようとしていない証拠でしょう。

記事によれば、王毅氏と鄭義溶氏の会談が実現したのは、G7にオブザーバーとして招かれている文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領が英国に向けて出国する直前のことであり、これについて朝鮮日報は次のように述べています。

中国が韓国に対し『米国がG7で進める反中議論の雰囲気に流されるな』と警告した形だ」。

しかも、朝鮮日報によると、韓国政府・外交部は王毅氏の発言を公表しなかったそうです。

通常、外交上のやり取りは双方が同じような内容を発表することが多いのですが、韓国や中国が絡むと、このように「どちらか一方のみが発表する」というパターンが非常に多い気がします。

もちろん、朝鮮日報が報じた王毅氏の発言は、中国側が自分たちに都合の良い内容を一方的に発表しているという可能性もあるのですが、これに韓国政府が反論しなければ、それは国際社会では事実と見られても文句は言えないでしょう。

連携に値する相手なのか

ちなみに朝鮮日報は、慶煕大学の朱宰佑(しゅ・さいゆう)教授の次のような発言を紹介しています。

王毅外相の発言は下の人間を叱りつけるときに使う訓戒調の表現だった。これでは主権国家の間でやりとりされた言葉とは考えられない。韓国に対して口では戦略的パートナーと言いながら、実際は属国のような扱いをしている。内政干渉を当たり前のように行った清の時代の袁世凱を思い起こさせる」。

また、「ある外交筋」は、次のようにも述べたのだとか。

反中メッセージが噴出するであろうG7首脳会議に韓国が出席するのは中国として気分が良くない。王毅・外相の発言は『英国に行ってもうまく立ち回れ』と指示する一種の引き締めだ」。

個人的には、韓国が中国から属国扱いされようが、それは中韓両国の力関係で生じるものであるため、私たち日本が口出しすべきことではないとは思います。

しかし、それよりももっと大切なことは、「日米韓3ヵ国連携」というものをまともに機能させるうえで、最低限必要な要件を、韓国という国家が満たしているのかを、私たちの側も冷徹に査定することではないかと思うのです。

新宿会計士:

View Comments (51)

  •  毎度、馬鹿馬鹿しいお話を。
     中国様が、(伝統と実績のある)朝鮮半島属国国家への命令で、「G7で対中包囲網が全会一致で決定しないように工作しろ」と言ったんだって。
     おあとよろしいようで。
     蛇足ですが、中国は韓国を生贄に、「中国に逆らうと、どうなるか」を世界に示したいんでしょう。

    • >中国は韓国を生贄に、「中国に逆らうと、どうなるか」を世界に示したいんでしょう。
      >個人的には、韓国が中国から属国扱いされようが、それは中韓両国の力関係で生じるものであるため、私たち日本が口出しすべきことではないとは思います。

      いわずと知れた、中国の韓国に対する命令は、日本に対しての強い警告も含んでいるのでしょう。
      日本の国力が低下している現在、日本も中国から属国扱いされるようになりかねません。媚中の2Fのような人が跋扈する限り、いずれ日本は、韓国と同様な立場に落ちていくでしょう。

  • 中国はドイツとイタリアにも同じことを言っていると思います。でも、さすがに属国に対するのとは違って外交儀礼に則った言い方ではあるでしょうが。

  • 王毅さんへ。
    鬱陶しいコウモリがウロチョロしないよう、五寸釘をさしておいてください。

  • 王毅中国外相が韓国を属国扱いしているというのは、全くその通りだと思いますが、韓国人は韓国が自ら求めてそのような立場になったのだということを、すっかり忘れているようです。
    あるいは、そもそも最初から理解できていなかったのかもしれません。さすがは「外交」という観念すら存在しない国です。文大統領も「観光旅行」から戻ったら、中国様からの呼び出し状が待ち構えているかもしれませんよ。良かったですね、一年に二度も「外遊」できて。

      • あー、そうか。ヨーロッパからの帰途、おそらく北京付近の上空を通るはずなので、「ちょっと降りてこい!(怒)」くらいはあるかも。
        どう考えても中国様のお気に召さない共同宣言が出されるであろうG7に嬉々として参加し、宣言の共同発出者に名を連ね、「仕方なかったんですぅ」とかいう言い訳が通るはずはありませんわな。

        それでも韓国メディアは、帰国後に「大成功!」とか、「国格の上昇!」とかいう記事が躍るんでしょうね。

        • 出発(ずいぶん遅い)の記事も地味ですし、D7前中はサイレント外交かもしれません。

          帰国前後はオーストリア、スペインの記事で「大盛り上がり」でしょうね。 最近の韓国を見ていると、外交=記念撮影と「妙なアリバイ作り」が主流になっているという印象があります。

          ツーショットを取れば、何でも有りの韓国外交! 

           

  • 中国の対韓工作といえば、次期大統領候補として支持率トップの尹錫悦前検事総長の捜査が始まったようです。

    https://news.yahoo.co.jp/articles/e25fe293a0b282a1807fe4c98646c616d7987b55

    おそらくアメリカは、文大統領の後任として保守派の尹錫悦前検事総長を据えるべき工作を行っており、一方中国&北朝鮮としては、尹錫悦前検事総長を葬り去りたいのでしょうね。

    韓国国内も真っ二つに分かれているので今後どうなるかは予断を許しませんが、狡猾さと執念深さ、嘘の上手さでは与党支持派が上回っているので、やや中国有利といったところでしょうか。。

    いずれにしても、日本にとっては、用日派の登場は御免被りたいところですが。

    • >いずれにしても、日本にとっては、用日派の登場は御免被りたいところですが。

       最早用日派でも反日派でも誰が成っても一喜一憂する意味は無いです。日韓軋轢の原因は韓国の内政問題ですから、韓国が対日改善を渇望するなら、新たな大統領が積年の反日教育や扇動で妖怪化した韓国国民をどう導くかが先ではないでしょうか、しかしこれはもう不可能でしょう。
       要するに国柄の大きな相違から、隣国として対峙するのは実は適性国家だったと認識すべき状況で、今更韓流やらキムチやらの文化交流どころではありません。
       ここに至って、日本が採るべき道は確定したのではないでしょうか?。

  • 更新ありがとうございます。

    米国(日本)による中国牽制の構想であるFOIPを激しく非難し、『偏った動きに流されてはならない』(中国の王毅外相)と韓国の鄭義溶外交部長官に伝えた。

    伝えたどころか、もうココまで言われると、属国以下、奴隷の酋長か宦官相手に言ってるようなもんかな。ただ、聞いて「ハイ」「ネー」と返事するだけ。ノミ、シラミ級ですね。

    フツー、まともな人間なら負けてもともとでも、戦いを挑むと思うが。阿呆やん、、、。

  • 韓国側から王毅外相に電話している様ですので、恐喝では有りません。
    朝鮮日報が、被害者ヅラをしているだけです。

    韓国にしてみれば、従属の証の様なもんだと思います。

    >「王毅外相の発言は下の人間を叱りつけるときに使う訓戒調の表現だった。これでは主権国家の間でやりとりされた言葉とは考えられない。韓国に対して口では戦略的パートナーと言いながら、実際は属国のような扱いをしている。内政干渉を当たり前のように行った清の時代の袁世凱を思い起こさせる」。

    中韓の上下関係をはっきりさせたのは、韓国の三不の誓いです。それも中国が要求した訳では無く、文大統領から誓ったもの。この時に韓国は対中国について「主権国家」では、無くなったのです。
    それを「中国が属国扱いしている」とか文句を付ける、朝鮮日報が間違っていると思います。
    もう、逃げられないアル。

    • >韓国側から王毅外相に電話している様ですので、恐喝では有りません。

      中々、面白い見解ですね。(褒めてません)

  • 文ちゃんが東京オリンピックに行って日本の首相はじめお歴々に蝶よ花よと愛でられるという白日夢も、32年に南北朝鮮オリンピック開催という白日夢も水泡に帰したようで何よりです。ですが、「東京オリンピックに来て欲しいと日本が望んだが韓国は断った」という捏造には注意が必要ですね。
    ところで、
    政府転覆を夢見て、コロナの累積感染者数のみを切り取ってオリンピック開催反対を煽動するパヨク・マスゴミの、森氏、高橋氏に次ぐターゲットは、竹中氏のようですね。皆様ご存じのように彼はパソナの会長さんで、パソナは淡路島に本社機能を移転しましたね(ものすごいことだと思います)。パヨク・マスゴミにとっては、東京一極集中こそが利権そのものであるような気がしてきました。

    •  初めまして。
       竹中氏はパヨク・マスゴミにとってだけでなく、酷使様にとってもターゲットですね。
      何せ「竹中」の二文字を見ただけで発狂する酷使様もいる位ですから、彼らがパヨク・マスゴミの印象操作に付和雷同して竹中氏を攻撃するのは目に見えています。
       普段自分たちが忌み嫌っているパヨク・マスゴミの扇動に乗っかる悪い癖は子宮頸ガンワクチンのネガキャンの時に嫌と言う程感じましたから。

  • 「英G7の「注目点」は価値を共有しない国のあぶり出し」のだんな様の投稿に返信した内容が、新たに記事になっていてびっくりしました。

    【中国外交部】王毅外相、韓国の鄭義溶外相と電話会談に関する投稿
    https://shinjukuacc.com/20210611-01/comment-page-1/#comment-166484

    上記の投稿では触れていない内容もありましたので、中国外交部発表の内容でファクトチェックをしみたいと思います。

    >朝鮮日報「中国外相が韓国を脅迫」
     確かに「脅迫」していますね(笑)上述の投稿欄に詳しく記載しているので割愛します。

    >どうして「自由で開かれたインド太平洋」を、勝手に「アジア太平洋戦略」に変えてしまうのでしょうか、朝鮮日報は。
     朝鮮日報がとぼけてウソをついているか、単純な翻訳ミスのどちらかでしょう。
     中国外交部の発表は「美国推动的“印太战略”充满冷战思维・・・」、即ち「米国が推進する『インド・太平洋戦略』は冷戦時代のロジックに満ち溢れ・・・」です。中国語でいう「アジア太平洋戦略」は「〝亜”太战略」ですので、明らかに朝鮮日報の誤報です。

    >朝鮮日報によると、韓国政府・外交部は王毅氏の発言を公表しなかったそうです。
     韓国政府の報道は確認していませんが、中国外交部は王毅外相と電話会談を行った韓国・鄭義溶外相の発言を次のように公表しています。

      郑义溶表示,韩国作为中国近邻,高度重视发展韩中战略合作伙伴关系,坚持一个中国原则,充分认识到两岸关系的敏感性。愿同中方深化政治互信,加强各领域合作,为韩中关系注入更多内涵和动力,为两国建交30周年释放更多积极信息。

      鄭義溶外相は「韓国は中国の隣国であり、韓中両国の戦略パートナーシップ関係の発展、一つの中国の原則を堅持することを非常に重視しており、(中国・台湾の)両岸関係がデリケートなものであることを十分に認識している。中国側が政治的な相互信頼関係を深化させ、各分野での協力関係を強化し、韓中関係により多くの内容と推進力を注入するため、両国の国交樹立30周年に向けてより多くの積極的な情報を発信することを期待している」と述べた。

      郑义溶表达了韩方对改善南北关系、推进半岛和平进程的强烈意愿,希望中方在半岛问题上继续发挥重要建设性作用。

      鄭義溶外相は「韓国側は南北関係の改善、朝鮮半島の和平の進展を、極めて強く願っており、中国側が朝鮮半島問題に対し、引き続き重要かつ建設的な役割を担うことを希望する」と話した。

    出所:中国外交部Webサイト
     王毅同韩国外长郑义溶通电话
     王毅外相、韓国の鄭義溶外相と電話会談
     https://www.fmprc.gov.cn/web/wjbzhd/t1882635.shtml
     
    新宿会計士様が仰る通り、「中国側が自分たちに都合の良い内容を一方的に発表しているという可能性」も十分に考えられます。個人的な見解としては、韓国の外相ならごく当たり前の発言といっても過言ではないのでは?と思う次第です。

    (備考)
     ①中国外交部発表記事の日本語訳は、名古屋の住人による仮訳です
     ②文章の前後関係から想定し、「両岸関係」に(中国・台湾の)という注釈を追記しました

    • 名古屋の住人 さま
      >「中国側が自分たちに都合の良い内容を一方的に発表しているという可能性」

      中韓の間では、中国が発表したことが、真実になると思います。
      南北間でも、北朝鮮が発表した事が、真実になると思います。
      韓国は、言われた通りにするしかないです。
      そして韓国は、日韓関係を韓国が発表した事が、真実になる様にしたいと考えていると思います。

  • 中共皇帝直臣王毅外相から南朝鮮王朝に対する単なる指導であり、脅迫ではないですね。
    これを南朝鮮の新聞が脅迫と表示しているのは間違いだと思います。
    属国は大事な会議の前に必ず宗主国様に出発のご挨拶と会議に出席する際の心がけを
    聞かなければなりません。 もちろん会議後の報告も。
    こういう事態を日本で作り出したいのが、共産・立憲等なんですよね~。
    止めてくんないかな~

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