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菅おろし→解散総選挙、という流れで本当に良いのか?

勝って兜の緒を締めない立憲民主党

日曜日の3つの国会議員補選・再選挙で自民党が「全敗」したとする話題は、『立憲民主党が「実力以上の勝利」でも政権支持率は安定』で触れたとおりです。こうしたなか、予想どおり、ツイッターなどでは一部のメディアや活動家らが「菅おろし」を煽り始めているようです。でも、万が一自民党内で「菅おろし」の波が生じれば、それは逆に解散総選挙の良い口実になるかもしれませんが、左派の皆さんは本当にそれで良いのでしょうか。

自民全敗が菅政権にとって「見た目」ほどの打撃ではない理由

日曜日に実施された3つの補選・再選挙で、自民党が「全敗」した、とする話題については、『立憲民主党が「実力以上の勝利」でも政権支持率は安定』で触れたとおりです。

その際、「これを菅義偉政権の危機とまで見るのは少し尚早ではないか」と申し上げたのですが、その理由は、今回の選挙、「全敗」がある程度は予想されていたものだったからです。

そもそも衆院北海道2区では自民党が候補者すら立てられずに不戦敗でしたし、故・羽田孜元首相時代からの「羽田家」の地盤で、故・羽田雄一郎氏の「弔い合戦」としての様相を呈した参院長野選挙区で羽田次郎氏が勝利したのもある意味では当然のことでした。

また、参院広島選挙区での敗北は痛いものでしたが、それでも二階派と岸田文雄元外相との「勢力争い・内紛」という側面もあり、河井夫妻の汚職で自民党に逆風が吹く中での敗北は、むしろ打撃を受けたのは菅義偉総理ではなく、岸田文雄氏と二階俊博氏ではないかと思う次第です。

このように考えると、マスメディアが喜んで煽っている「自民全敗」も、菅義偉政権に対し、見た目ほどは打撃をもたらしていないのかもしれません。

立憲民主党がぬか喜び

その証拠に、「コロナ第4波」が到来したといわれるなかで、民間メディアの世論調査では菅義偉政権のコロナ対策に不満を述べる国民が多いことは事実かもしれませんが、そのわりに、内閣支持率は不思議なほどに安定しています。

普段から当ウェブサイトで強調しているとおり、内閣支持率や政党支持率は次期総選挙での獲得議席数を保証するものではありませんが、少なくとも「支持率ヒトケタ台」という現状に照らし、立憲民主党などの野党が「政権交代が発生する」ほど躍進するとも思えません。

そういう内容をツイートで発信したところ、「立憲民主党は『勝って兜の緒を締める』という言葉を知らないでしょうから、このまま調子に乗らせておいても問題はないと思います」、といった冷徹な反応も頂きました。

個人的には、この反応が最も興味深いものだと思う次第です。

もちろん、今すぐ総選挙をやれば、自民党が議席を減らす可能性がそれなりにあると思われる点は、普段から当ウェブサイトで申し上げているとおりですが、だからといって「惨敗」「政権交代」とまで行くかは微妙ですし、今回の「自民全敗」を契機に「菅おろし」の波が生じる可能性が高いとも思えません。

敢えていえば、次期首相の座を狙っているとされる岸田文雄氏こそ、大きな打撃を受けた本人であり、また、もしも自民党という政党がマトモであるならば、候補者の調整もろくにうまくできない二階俊博幹事長に更迭論が浮上するのではないかと思う次第です。

「菅おろし」煽って本当に良いのか?

ただ、先ほどツイッターを眺めていたら、「菅おろし」がトレンドに入っていたようです。

おそらく、左派メディアや「反自民」の人たちが喜んでそれをツイートしているからではないかと思うのですが、はて、本当にそれで良いのでしょうか。

新型コロナ対策に関しては、おそらく誰がどうやっても批判されるものでしょうし、今回のコロナ緊急事態宣言でも政権支持率に目立った変化が生じていないことを見ると、有権者が「野党を支持している」と判断することはなかなかに困難です。

こうしたなか、メディアが「菅おろし」を煽って、自民党内にも「菅おろし」という流れが出てくれば、野党の選挙態勢が整う直前を狙い、東京五輪前の解散総選挙(たとえば7月の東京都議会選挙との同時選挙)、という可能性も出てくるかもしれません。

いずれにせよ、衆議院議員総選挙は遅くとも秋ごろには実施されます。

解散総選挙は総理大臣の専権事項であり、菅総理の決断次第ですが、逆に野党が「勝って兜の緒も締めずに大はしゃぎ」しているうちに電撃解散、というシナリオは十分に考えられるのではないかと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (18)

  • 少なくとも、与党は解散総選挙は出来ないと高をくくって内閣不信任案をだすくらいはしそうですね。与党としては、内閣不信任案提出でもって解散の名分が立つので、案外この展開を狙っているかも知れません。

    今選挙をした場合の、「自民が現有勢力を減らす」という見込みすら、私は怪しいと思っています。前回衆院選挙の立憲民主や小池さんの党、参院選のれいわやN国といった反自民の受け皿になり得る勢力が見当たらないのです。

    油断していたところの突然の解散なら、広島のような野党統一候補を整えるのも時間的にうまくいかないでしょうしね。

    予定通りの展開なような感じがして仕方ないんですよ。

  • マスゴミは反菅に走り、反二階は隠すでしょう。悪夢の民主党復活に断固反対し、憲法改正を望む私たち多くの者は、この際、「菅はまあ頑張ってる」などとぬるいことを言うのではなく、最低限「二階幹事長辞任」まで持っていかないとヤバイですよ、本当に。

    • 理系初老 さま
      2F退任は、選挙に向けて良い影響が出ると思います。

  • オリンピックが終わってから総選挙。
    オリンピックを見れば、国民感情が明るい方向に変わると思います。
    菅総理はそこまでかな。

  • 今の野党相手であれば衆議院で三分の二を
    とって憲法改正までいけそうと甘い考えを
    持ってましたが、この国の有権者の多くは
    自民党か反自民かでしか見ないのかなぁ
    岸田さんも力ないな~、あの候補者に
    負けるかよ

    安倍さんの再登板があるかもしれないし
    少し期待してしまう

  • 更新ありがとうございます。

    解散総選挙をやれば、立憲民主党、国民民主党は大変厳しい結果になると思います。昨年〜今年にかけても、思い出すのは悪いイメージばかり。結果がありませんし、マスコミの支持率でも低迷してます。もちろん保守政党にプラス材料ばかりとは思いません。

    腹黒い領袖、二階氏には是非とも引退願いたい。またアノ長男、次男は絶対駄目。それなら議席を失った方が良いです。和歌山県からまともな人は出ないのか?河村氏も同じ、引退勧告を受諾して下さい。

  • 二階先生もさすがにいい歳(を大幅超過)だからなあ。82歳?
    和歌山絶対二階通る国も、そろそろ次世代にバトンタッチお願いします。
    (やっぱり"二階"性ではありましょうが)

  • 今日の「おまゆう」

    緊急事態宣言「繰り返しの反省が全くない」立憲・枝野氏 (引用元:朝日新聞)

    枝野幸男
    過去の緊急事態宣言を(感染者が)減り切らないうちに解除したことが、リバウンドを生じさせ、繰り返し事業者のみなさまに無理をお願いをしているということへの反省が全く感じられない。

  •  "韓国は生命線なのだ"が論破され、"中国は絶対に切れない貿易相手だ"も否定されつつあり、世の中ゆっくり変わっていくものだなと思います。
     さて二階氏は「どう見ても中国の狗だし、しばしば政策の足を引っ張る」のが目立ちつつも、長い事「選挙屋としては重要で切るに切れない重鎮」と党内外から見られていました。これも見直して「二階氏はどうも完全に役に立たないぞ」という認識になるのが先か、引退が先か。
     若い小泉氏なども見るに、こういった政治家への評価のサイクルは、どんどん短くなっていくかもしれません。80過ぎまで政治屋を続け安穏と重鎮ヅラ出来た(暗躍できた)時代が、今ちょうど終りなのかも。

    • 二階的政治はこの辺りで終わりにして頂きたいですね。
      自民党以外に選択肢が無いのを良いことにやりたい放題でしたね。
      日本の足枷である野党を支えてきたのは一部の腐敗した保守政治家でもあると思います。
      この辺りで自民党も変わらないと内政や外交に支障を来すことになりかねないと思います。

  • 自民党の総裁選が9月までに行われます。今の状況ではその前に選挙に動く可能性はほぼ無いと思います。どうせ10月に衆院の任期満了ですし・・・
    それでなくとも、コロナの状況下において期間を早めて意図的に「密」を作り出しかねない解散は印象が悪く、実行しづらいのではないでしょうか

  • 2009年にそっくりな風景を見ました。
    これからどんどん変異株、オリンピック辺りを狙って政権よこせ運動が続くでしょうが、今は若い人が冷静で政権や野党をよく見ているようなので、あのときの再来にはならないだろうと楽観視しています。
    ただ、アメリカ大統領選で大成功した郵便投票が来なければ良いのですが。

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