今朝の『【総論】「4つの特徴」から見る、ネットの長所と短所』では、粗削りながら、「ネットの4つの特徴」という考え方を使いながら、オールドメディアの社会的影響力が駆逐されつつある、という仮説を提示しました。ただ、この同じ考え方を使って、コロナ禍にもかかわらず、政権支持率が下落しない理由についても説明できるのではないか、と思うようになりました。
情報検索に強いネット、情報検索ができないオールドメディア
今朝の『【総論】「4つの特徴」から見る、ネットの長所と短所』では、個人的な体験に基づく実感を踏まえつつも、「この10年間で、社会のネット化はずいぶんと進んだ」ということと、その意味についての考察を展開しました。
議論としては、かなり荒削りであることは認めます。
ただし、新聞、テレビなどのオールドメディアと比べると、インターネットには少なくとも次の4つの特徴があることには、多くの方に同意していただけることでしょう。
- ①タテの検索:過去の情報などの検索が容易
- ②ヨコの検索:複数情報源からの検索が容易
- ③ナナメの検索:他の読者・視聴者の反応を知ることができる
- ④外国メディアなどにもアクセス可能
これが紙媒体としての新聞だったら、1年前の記事ですら、検索するのは至難の業ですし、また、同じ情報を複数のメディアがどう報じているかをヨコ串で比較しようとすると、膨大な新聞紙と格闘しなければなりません。しかも、自宅で主要紙すべてを読むのは、購読料などの点から現実的ではありません。
もちろん、図書館に出掛ければ、ある程度は過去の新聞を読むことができますし、また、同じ日の新聞を並べて読むこともできますが、それは図書館という特殊な環境だからできることであって、自宅でそれをやろうとしても、大部分の人には不可能でしょう。
ましてや、地上波テレビの場合、放送された内容は、自宅で録画でもしていない限り、普通の図書館等で視聴することができません。
いちおう、その気になれば、神奈川県横浜市中区日本大通にある「放送ライブラリー」という施設に出掛ければ、NHK、民放を含めた過去の放送を視聴することは可能ですが、その場合であっても放送内容を自身のPCなどにデータとして落とすことはできません。
これだと、放送内容が広く国民一般に公開されているとは到底言えませんし、ましてや情報を検索することも、番組内容を批判的に検証することも、事実上、不可能です。
ネットも玉石混交、大事なのは情報処理能力
ネットには、ほかにも「他の読者・視聴者の反応を知ることができる」、「不特定多数の人々と気軽に共有できる」、「政府などの情報源にもアクセス可能」、「外国のメディアの報道などに接することも可能」、という具合に、さまざまな長所があります。
とくに、当ウェブサイトでも多用するのが、外国メディア、政府・国際機関の発表、公表データなどをもとにして議論を組み立てるという手法ですが、これなどはちょっとした知識とスキルがあれば、正直、誰にでもできる作業です。
いずれにせよ、この10年における「社会のネット化」の効果は、「新聞、テレビが報じている内容自体、じつは大したことがない」、「新聞、テレビは肝心な情報を隠す」、といったことが一般社会に周知される過程だった、という言い方をしても良いと思うのです。
もちろん、当たり前の話ですが、社会がネット化したら、それですべて問題が解決する、という単純なものではありません。
インターネット空間には陰謀論を含め、いいかげんな情報もかなり蔓延していますし、最近では一部の極端に過激なことを唱える論者に「信者」のようなものがついていて、自分たちの気にいらない主張をする人を叩く、ということを繰り返しているようです。
そういえば、昨年秋の米大統領選では、たしかに状況としては不正が疑われる状況がいくつかありましたし、実際に当ウェブサイトでもこれらの一部を紹介したことがあります。
ただ、大統領選から1ヵ月経過したあたりからでしょうか、「トランプが勝った、バイデンは勝っていない」と考える人たちの主張が暴走し、一部の「まとめサイト」では、連日のように過激な説が掲載され始めました(とくに酷いのが某軍事情報まとめブログでしょう)。
酷いものになると、「大統領就任式をFBIが急襲し、バイデン、ハリス、ペロシらが拘束される」、などと述べたケースもあったようですが、こうしたいい加減な情報を垂れ流しておいて、訂正しないというのは如何なものかと思います。
ちなみにこうした某ブログから流れ込んできた人たちでしょうか、なかには、「トランプ陣営はバイデン陣営の不正の確たる証拠を掴んでいる」、「大統領就任式までにそれが公表される」、などと当ウェブサイトにも得意げに書き込んでいた人がいました(他サイトにも似たようなコメントをつけていたようです)。
さらには、コメント主のなかには、「不正の確たる証拠はちゃんとあるから、それをちゃんと調べて公表し、バイデンの大統領就任を阻止して!」などと要求してきた例もありました。いくらなんでも、バイデン政権の誕生を阻止する力が当ウェブサイトにあるはずなどありません(笑)。
いずれにせよ、もしそう主張されるならば、ご自身でブログなり、SNSなりを開設して発信されれば良いのではないでしょうか(ちなみに当ウェブサイトとしても、昨年秋の米大統領選には不自然な点が多々あるとは思いますが、結局、それらの真相を突き詰めるのは米国社会の仕事だと考えています)。
結局のところ、ウソをウソと見抜く能力が大事である、という点は、ネット社会であろうがなかろうが同じことです。ネット社会の場合、新聞・テレビなどのオールドメディアしかなかった時代と比べれば、ウソをウソと見抜くための手段が多少は多く存在している、というだけに過ぎないからです。
下がらぬ支持率、なぜ?
さて、今朝の『【総論】「4つの特徴」から見る、ネットの長所と短所』でも少しだけ触れましたが、日本国内に目を転じてみると、コロナ禍が終息していないにも関わらず、菅義偉政権に対する支持率が下げ止まっています(最新の内閣支持率については図表1、政党支持率については図表2のとおり)。
図表1 内閣支持率(2021年4月)
メディアと調査日 | 支持率(前回比) | 不支持率(前回比) |
---|---|---|
読売新聞(4/2~4) | 47.0%(▲1.0) | 40.0%(▲2.0) |
朝日新聞(4/10~11) | 40.0%(±0) | 39.0%(±0) |
時事通信(4/9~12) | 36.6%(+1.6) | 37.7%(▲3.3) |
産経・FNN(4/17~18) | 52.3%(+0.9) | 41.9%(▲0.9) |
(【出所】各社報道より著者作成)
図表2 政党支持率(2021年3~4月)
メディアと調査日 | 自由民主党 | 立憲民主党 |
---|---|---|
朝日新聞(3/20~21) | 33.0%(±0) | 5.0%(▲2.0) |
読売新聞(4/2~4) | 39.0%(▲1.0) | 5.0%(▲1.0) |
時事通信(4/9~12) | 22.5%(▲0.5) | 4.2%(▲0.6) |
(【出所】各社報道より著者作成)
自民党に対する支持率は立憲民主党のそれと比べ、メディアにもよりますが、だいたい5~8倍くらい、といったところでしょう。
これについて、『若年層ほど政権を支持:「コロナ第4波なのになぜ?」』で、NHK出身者が「コロナ第4波が到来しつつあるのに、なぜ内閣支持率は理由なく上昇しているのか」、「メディアは政治批判という役割を果たしていない」と述べた、とする話題を取り上げました。
そのような方は、「メディアの役割は政治に問題を投げかけることだ」とでも勘違いされているのかもしれませんが、そもそもNHK自身が「国民から経済競争の結果、選ばれた」というメディアではないことを踏まえると、これはたいそうな思い上がりといわざるを得ません。
ただ、一般論として、政権支持率は若年層ほど高いという調査結果と、若年層はネットになじみが深いという傾向を合わせるならば、政権支持率の上昇は国民の「脱オールドメディア」と何らかの関係を持っていると疑うのは自然な発想ではないでしょうか。
(※余談ですが、そもそも「コロナ禍と政権支持率に関係がある」という考え方自体、何らかのモデルにより導き出した仮説ではなく、この論者による単なる決めつけではないかと思うのですが、この点はとりあえず脇に置くことにします。)
政権支持率上昇に寄与している貢献者は、村田蓮舫さん?
こうしたなか、村田蓮舫(※)参議院議員が昨日、「最優先で守るべきは国民の命」などとツイートした、という話題がありました(※ただし、村田氏は昨年、離婚にともない姓が「齊藤」に変わっているそうですが、ご本人が頑なに姓を名乗らないため、当ウェブサイトではやむなく「村田」と表記しています)。
蓮舫氏、菅首相の緊急事態宣言の東京五輪への影響「ない」発言に「最優先で守るべきは、国民の命です」
―――2021年4月21日 12時46分付 スポーツ報知より
記事タイトルにある「蓮舫」とは、もちろん、村田氏のことでしょう。
菅義偉総理が3度目の緊急事態宣言を3都府県に発する観測が強まっているなか、村田氏は自身のツイッターで、菅総理が東京五輪への影響を「ない」と述べたことを強く批判。
「何を根拠に五輪だけは開催するのでしょうか」、「最優先で守るべきは、国民の命です」と述べた、ということですが、これなどは少しインターネットを使いこなす人が見れば、コロナ禍の最中に「もりかけ・さくら」に明け暮れて審議拒否をしていた立憲民主党の方こそ、「国民の命をないがしろにしている」と思うでしょう。
いずれにせよ、社会のインターネット化が進めば進むほど、村田齊藤謝蓮舫氏がなにかをツイートすれば、それが確実に立憲民主党に対する支持を減らす行動につながるようになったのだとすれば、これはこれで興味深い社会の変化、というわけではないかと思う次第です。
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昨日は、阪神タイガースが読売ジャイアンツに9連勝を阻まれましたが、プロ野球は開催されています。サッカーのJリーグも開催されています。水泳の日本選手権では池江選手が驚異的な復活を果たされました。フィギアスケートの国別対抗戦では羽生選手が惜しくもまたネイチャンチェン選手に敗れました。
一方、海外では、ゴルフの松山選手がマスターズをアジア人として初めて制し、早藤キャディのコースに礼をした所作も話題となりました。テニスの錦織選手は、今、バルセロナオープンを戦っており、次の相手はナダルです。野球のオオタニサーンは、日米通算100本塁打を打ちました・・・
何故、レンポウさんは、開催する責任の一部が政府にあるオリンピックだけを問題にして、前述の開催者には文句を言わないのでしょうか。
人の命が大事だぁ、マスターズなんてやっている場合じゃないだろう、と。
私は、共産党と連立しようとしているのが、一番かと思います。
蓮舫氏のツィートの元ネタってこれかな?
↓
菅首相「検討し速やかに判断」大阪の緊急事態宣言要請受け
https://www.google.com/amp/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20210420/amp/k10012986601000.html
「大阪からの要請に対して速やかに判断したい」って趣旨の説明の流れで、記者から五輪開催への影響を聞かれて応えたものみたいですね♪
大阪からの要請は確か1ヶ月程度だったし、そもそも、大阪って五輪の開催地だったのかな?
そんなことを考えると、大阪に緊急事態宣言が出たからと言って、五輪の開催には影響はないだろうってのは、そのとおりだと思うのです♪
また、菅総理は、続けて「ただ、安全・安心の大会になるように、政府として全力で取り組んでいきたいと思う。」と述べてたそうだし、記者との短いやり取りの中では仕方ないんだとも思うのです♪
ただ、大阪をはじめ各地で感染者数が増加してるなかで、「五輪を開催して本当に大丈夫なの?」って素朴な疑問はあるのです♪
やっぱり3回目の緊急事態宣言がなされようとしてる中で、コロナ禍をどうやって終息させていこうとしてるのかが、今ひとつよく見えないっていう不満の気持ちはあるのが正直なところなのです♪
だからこそ、五輪の開催に向けた対策だけじゃなくて、ワクチンの確保とか病床の確保、医療従事者をはじめとする関係へのケアみたいな全体的な対策についても、ちゃんとやってるよって言って欲しかったなって思うのです♪
ただ、蓮舫氏のツィート自体は、無駄に攻撃的に感じるのもあって、あんまし共感できないんですけどね♪
昔の芸名のままの国会議員というのは非常識だと思います。2重国籍の話もスッキリはしてない。
それで、ご本人がアドレスにrenho_shaとされているので、謝さんとお呼びするのが日本人的には一番適切な解釈ではないでしょうか。
コロナの蔓延防止、緊急事態と言われてますが、そもそも国民が自主的、積極的に対策しないと感染は拡大する訳であって、このサイトへの伊江太さんの投稿に詳しいところです。それに対して、マスコミや反政府政治家が政権交代を主目的に政策を非難するあまり、国民に対して「行政の施策が悪いから感染が拡大する」かのような印象を与えていることが、感染拡大の大きな要因だろうと勝手に憤っております。言うまでもなく方法論の重箱の隅をつつくのが反対運動の常套手段ですが、コロナ感染の国難においても徒に民心を惑わすだけの政治屋やマスゴミに腹立ってます。(観念的な意見で済みません)
R4さんは過去の成功体験からか、流れる血から
なのか常に自分が上なんでしょうね
日本の中共との対立でますますご自身の役割を
アピールしていかないと存在理由がなくなります
から必死でしょう
日本の為にも、もっと斜め上をいって頑張って
欲しいものです
万が一、億が一、枝野内閣なるものが成立してしまった場合、蓮舫氏ほか数人のキャンキャンと支離滅裂なことを吠えるだけという議員が閣僚に就任してしまう可能性が高いと思われます。
この一点だけをもってしても、立憲民主党に票を投じない理由としては十分ですね。
世論と自民党内の理論にもギャップがあるみたいです。
自民党内では「二階氏の力は衰えた」と考える人も増えてきて,菅総理も二階氏離れを考えている様子が見られます。他方、菅下ろし工作も活発化しています。アメリカは,この自民党内の動きを見て,4月の会談が「最初で最後のバイデン・菅会談」と考え,日本政府との良好な関係をアピールしたものの,菅総理個人はかなり冷遇したように見えます。個人的信頼関係を築いても無意味と判断したでしょうし,1週間程延期しても日本が飲んでくれない事項もあったのでしょう。邪魔したのは親中派かな。
ただ,二階氏はまだ選挙の公認権や人事権をそれなりに握っていて、キングメーカーとしての力は維持しているようにも見えます。5~9月のどこかで総理交代があるかもしれません。9月までの短期総理でしょうが。
オリンピックに対するアメリカと二階氏の考えは何故か似ています。科学的にも現在の第4波ではなく,二重変異株によるもっと強力な第5波がオリンピックを直撃する可能性が大きいです。これは、インドの猛威をふるっていて、ワクチンが効くかわからない株なので、第4波のイギリス波より怖いです。しばらくするとそれがグラフで見えるようになるでしょう。あとはIOCの判断待ちでしょう。菅政権の命運も連動するかもしれません。
一時的に短期総理を置いたとしても,その総理のままで選挙をしたら,地方での大敗は見えています。9月あたりに小池都知事を担ぎ出すか、安倍さんの再登板という、国民が「アッ」と思う人事の直後に総選挙を考えているのでしょうか。議員さんなみんな,自分の再選が第一なので,過去の経緯は水に流して,ここは,いろいろなシナリオが考えられます。
野党を見ていてもくだらないので、自民党内の人間関係や派閥争いを観察するほうが、ためになって面白いですよ。
台湾の人達は蓮舫議員をどう思っているのでしょうか?
知りたいですね。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(というより、自分でも外れて欲しいので)
(井沢元彦(著)の『逆説の日本史』の世界ですが)新型コロナ再拡大が問題になっています。ここで(R4だけとは限りませんが)「新型コロナのワクチンを早めに用意しておくべきだった」や、「新型コロナ治療のための病院、病床を増やしておくべきだった」と批判するのは簡単ですが、もし用意していたものが(幸いにも)無駄になった場合、「税金の無駄使いだ」と批判するのではないでしょうか。(医療機器などのものだけなら、まだ簡単ですが、そのための人は、要らなくなったからとして辞めさせる訳にはいきません)
蛇足ですが、日本人は、いずれ起きるかもしれない災害に備えて、金を使うのが苦手ではないでしょうか。(できたとしても、前例踏襲で、決められたことを繰り返すことになるでしょう)
駄文にて失礼しました。
蓮舫氏は、北京大学に留学した親中派だと思っていますが、台湾人でもありましたね。(現在もそうなのかもしれませんが)
さて、台湾と大陸のどちらに味方する気ですかね。コメントしていないかな~♬
中国で人気過熱! 蓮舫大臣の知られざる中国留学生時代
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/864