韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝、『日本の半導体輸出規制、日本企業だけ被害…韓国は脱日本』という記事が掲載されていました。大変申し訳ないのですが、この手の議論は「木を見て森を見ず」、という傾向が強いと思います。というよりも、そもそも日本は韓国に対し、輸出「規制」を発動した事実はありませんし、韓国でも半導体製造に支障を来している、といった報道はないからです。
目次
輸出「規制」論という噴飯もののストーリー
日本政府が2019年7月に発表した、韓国に対する輸出管理の厳格化ないし適正化措置を巡っては、韓国メディアは「日本の輸出規制は強制徴用問題を受けた日本政府による経済報復だ」などとしきりに主張しています。
この点、日本の輸出管理適正化措置に対する韓国政府や韓国メディアの反応は、だいたい次の4点に集約されるようです。
【参考】日本の輸出管理適正化措置に対する韓国政府の反応の例
- ①日本の対韓輸出規制措置は強制徴用問題に対する不当な報復である
- ②韓国は順調に脱日本化を進めており、日本の輸出規制では困っていない
- ③日本の輸出規制は不買運動などを通じ、むしろ日本に打撃を与えている
- ④日本は今すぐこの輸出規制を全面撤回すべきだ
このうちの②と④が猛烈に矛盾しているのは困りものですが、それ以上に最近になって出て来ているプロパガンダが、上記のうちの③です。これに関連し、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝、こんな記事が掲載されていたようです。
日本の半導体輸出規制、日本企業だけ被害…韓国は脱日本
―――2021.02.08 09:56付 中央日報日本語版より
わかりやすくいえば、「日本の輸出規制が日本企業にブーメラン」、とでも言いたいのでしょう。まさに、噴飯もののストーリーです。
中央日報の記事の要旨を箇条書きにしておきましょう(※日本語表現については極力修正していますが、「輸出規制」という誤植についてはあえて誤ったまま引用しています)。
- 日経新聞が7日、「韓国で先端素材や装置の国産化の動きが進んでいる」などと報じた。日本の輸出規制が日本企業の被害だけ生んだという分析だ
- 日経が引用した韓国貿易協会のフッ化水素輸入統計によると、韓国半導体業界の日本産フッ化水素輸入量は2020年に前年比75%も減った。輸出規制が始まる2019年7月以前と比べると減少率は90%だ
- 輸出規制後に韓国企業がフッ化水素の独自生産を開始するなど、結局、打撃は日本企業に戻っただけだった
…。
そもそも貿易統計を全体で見ていますか?
まさに「木を見て森を見ず」の議論だと言わざるを得ません。
当ウェブサイトでは先日の『貿易統計③日本の貿易上、台湾と韓国の地位は逆転へ?』でも議論したとおり、2020年における日本の韓国に対する輸出高が減少していることはたしかですが、その一方、先端素材や生産装置などの輸出については、大きく減少しているという事実はありません。
実際、フッ化水素・フッ化水素酸の対韓輸出が急減していることは事実ですが、「化学製品」というジャンルに限れば、2020年における対韓輸出高は1兆1073億円で、前年比▲1496億円(▲11.90%)と落ち込んでいるものの、ゼロになったわけではないのです。
そもそも論ですが、これまで何度も述べてきたとおり、当ウェブサイトとしては、「日本の輸出『規制』は韓国に対する制裁である」とする見解には賛同しません。というのも、さまざまな状況証拠を積み上げていくと、韓国に対する制裁でも経済報復でもなく、やむにやまれて講じた措置だと考えざるを得ないからです。
具体的には、昨年の『対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった?』などでも議論したとおり、韓国が日本から「(旧)ホワイト国」として扱われているという輸出上の優遇措置を利用し、日本が韓国に輸出した戦略物資を横流ししていた可能性すらあると考えています。
『HS2811.11-000』の対韓輸出高は激減しているが…
せっかく中央日報がフッ化水素について言及したので、財務省が公表している『普通貿易統計・品別国別表』をもとに、『HS番号2811.11-000』(フッ化水素、フッ化水素酸)の輸出高を確認しておきましょう(図表1が数量、図表2が金額です)。
図表1 HS番号2811.11-000の輸出高(数量)
(【出所】財務省『普通貿易統計・品別国別表』より著者作成)
図表2 HS番号2811.11-000の輸出高(金額)
(【出所】財務省『普通貿易統計・品別国別表』より著者作成)
(※なお、『違法アップロード者からのピントの外れた謝罪』などでも報告したとおり、当ウェブサイトの図表が転載ポリシーに違反して無断転用されるケースが相次いでいますので、本稿以降はグラフタイトルに “shinjukuacc.com” を入れています。)
これで見ていただければ明らかですが、日本政府が対韓輸出管理適正化措置を発表する2019年7月以前の『HS番号2811.11-000』の対韓輸出高は、数量、金額ともに9割前後を占めていたことがわかります。
(※ただし、日本のフッ化水素・フッ化水素酸の輸出高については、「再輸出品」、つまり『HS番号0000.00-190』に紛れている可能性もあるため、上記『HS番号2811.11-000』がフッ化水素のすべてであるという保証はない点については注意してください。)
「半導体王国」という意味では、中国や台湾も米国も、それなりに半導体を生産している国ですが、どうして韓国に対する輸出高が日本の輸出高全体の9割を占めるという事態となっていたのか、まったく理解に苦しみます。
半導体製造装置への輸出規制は適用されていない
しかも、日本の輸出「規制」(正しくは対韓輸出管理適正化措置)が発動され、『HS番号2811.11-000』の対韓輸出高が急減したことは事実ですが、その後、韓国における半導体供給に支障が生じたという話題はありません。
というよりも、2020年における日本の「半導体製造装置」の対韓輸出高は、前年比でむしろ1695億円も増えており、韓国向けの半導体製造装置の輸出シェアは2割を占めている状況にあります(図表3)。
図表3 日本の半導体等製造装置の輸出高(2020年と構成比、2019年との比較)
相手国 | 2020年と構成比 | 2019年比増減 |
---|---|---|
合計 | 2兆5167億円(100.00%) | +496億円(+2.01%) |
うち、中国 | 9579億円(38.06%) | +573億円(+6.36%) |
うち、台湾 | 5185億円(20.60%) | ▲646億円(▲11.08%) |
うち、韓国 | 4863億円(19.32%) | +1695億円(+53.49%) |
うち、米国 | 3285億円(13.05%) | ▲1273億円(▲27.93%) |
うち、シンガポール | 691億円(2.75%) | ▲31億円(▲4.29%) |
うち、イスラエル | 332億円(1.32%) | ▲2億円(▲0.62%) |
(【出所】財務省『普通貿易統計・概況品別国別表』より著者作成)
すなわち、「日本の輸出『規制』は韓国の半導体産業に打撃を与えるための経済報復だった」とする韓国メディアなどのロジックは、半導体製造装置の対韓輸出高が増えているという事実と、猛烈に矛盾しまくっています。
イランなどへの横流し疑惑
自然に考えて最も可能性が高いのは、「韓国が2019年7月以前、自国の半導体製造等に使用するために必要な量を遥かに超えるフッ化水素を輸入していて、それを迂回貿易・目的外使用などの不適切な使途に横流ししていた」、というストーリーではないでしょうか。
たとえば、韓国が米ドル換算して100億ドル近いイランのウォン資金口座の対価として、イランから「物々交換できるものを輸出して欲しい」と要求され、韓国が「(旧)ホワイト国」としての特権を使って日本から輸入したフッ化水素を渡していた、という可能性は十分に成り立つのです。
なお、中央日報は具体的にいくつかの日本のフッ化水素メーカーが対韓輸出管理適正化措置で業績に打撃を受けた、などと嬉々として書き立てていますが、これらの日本企業が用途をちゃんと確認せずに韓国に輸出していたのだとすれば、正直、あまり同情する気にはなれません。
そもそも『HS番号2811.11-000』の対韓輸出高は、ピーク時でも毎月10億円に満たない金額であり、70兆円弱という日本の輸出高全体と比べれば、インパクトは微々たるものです。これをもって、「日本の輸出『規制』が日本に打撃」とは、誇張も良いところであり、片腹痛いと言わざるを得ません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ちなみにこの『HS2811.11-000』問題については、下記書籍でも取り上げています。
【参考】『韓国がなくても日本経済はまったく心配ない』
(【出所】アマゾンアフィリエイトリンク)
原稿の締め切りの都合もあったので、反映されているデータは昨年10月頃までのものですが、それでも大きな傾向は変わるものではありません。
いずれにせよ、この手の「日本の輸出規制が日本自身にブーメラン」といった報道が相次いでいるのは、それだけ韓国自身が困っているという証拠なのかもしれません。
半導体を作るのに必要なフッ化水素を確保しているにも関わらず、なぜ韓国が困った事態に陥るのかは不明ですが、やはり韓国が大騒ぎすればするほど、「探られると痛い腹」が存在するからなのかとする仮説が正しい証拠ではないかと思わざるを得ないのは、気のせいでしょうか。
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日経は誰かに頼まれて記事書いたんでしょうかね?輸出管理の件について知っていれば、あんな記事は書かないはず。あるいは、その程度の新聞なんでしょうか?
同感です。ついでに韓国産フッ化水素の自国内販売量はどうなっているかも記事にすべきです。
日経新聞て飛ばし、誤報が結構多いのは良く知られたことだと思っていたのですが。
ここのスクープは基本信じちゃいけません。他紙の続報を待ちましょう。
信用できるのは株式欄と市況欄だけデスヨ…(ただし解説・論説を除く)
そうですね、日経の経済関連記事を信用してはいけないというのは基本だと思います。一般紙がフォローしてようやく信憑性60%くらいに考えておくべきでしょう。特に業界動向に関する記事は、飛ばしが多いという印象があります。
経済関連記事以外、特に外信部あたりは、比較的マシだったと思うのですが、鈴置さんが追い出された頃からおかしくなり始めましたね。
しかし、経済新聞を名乗っておきながら、経済関連記事が一番信用ならないというあたりが、「株屋の業界紙」などと罵倒される由縁なのかも。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(そう自分に言い聞かせないと、韓国と同じく、自分は間違えない存在と自惚れそうなので)
対韓輸出規制に限りませんが、規制の影響は、長期的に見るか、短期的に見るかで違ってくると思います。また、規制で悪影響を受ける日本企業が皆無ではありませんが、逆に悪影響を回避できる日本企業もあります。つまり、どこに注目するかで、何とでも書けるのではないでしょうか。
駄文にて失礼しました。
韓国メディアが、日本が損したと言ってる事よりも、韓国の半導体産業が、儲かってる事実の方が、問題だと思います。
コロナ禍は半導体産業には追い風になったようですね。
ステイホームが生み出した様々な需要は大きく、サムスン電子も潤っているようです。
だんな 様
報道では半導体が儲かっているように見えるのですが、当年度数字は受注ベースではないかと疑っています。
現在、自動車用半導体の供給不足を解消するため、日・米・独の自動車メーカーが台湾のTMSCと交渉し、生産を開始するようですが、元々自動車用半導体の生産はほとんど中国なのです。
昨年の長雨で長江の堤防を壊した所、武漢の工場が浸水したとのニュースが三峡ダムのサイトに出ていましたが、3か月立った今頃、台湾と交渉していると言うことは、今後も3か月以上供給の見込みはないと思われますので、サムスンの売り上げに影響しそうです。
車のサイトニュースからの推測で不確かな情報ですが、ご参考になれば。
半導体と一口に言いますが、サムスンが得意とするのはメモリ半導体なので、自動車生産にはそれほど大きな影響はないだろうと思います。また、ロジック系半導体も、自動車用と民生用とではそもそもグレードが違うので、巣ごもり需要でPCやゲーム機がバカ売れしたからといって、直接影響を受けるとは考えにくいです。半導体メーカーとしても、重要顧客である自動車関連向け生産・供給を滞らせてまで民生品を増産するとは考えられません。
そこで、一番怪しそうなのが、パワー半導体の供給不足です。自動車では極めて多用されますが、突然増産しろと言われてもできない製品のはずだし、自動車向けと民生品の差もあまりなかったはずです。この辺のディスクリート製品は担当外だったので、確かなことは言えませんが、パワー半導体と、あとはコンデンサ系の供給がタイトになっている可能性が高いと思います。
パワー半導体は200mmウエハーで古い世代の技術で造れるのでtsmcに頼むことはないと思います。多分自動運転用のAI半導体だと思います。ほぼGPUで新しい技術が必要です。
現時点での生産量を考えれば、自動運転用半導体で各社の生産に支障を来たすとも思えませんが。でも、確かに、ADAS関連の製品であれば、TSMCで生産している半導体が使われそうですね。
ただ、ディスクリート系の半導体は、急な増産には対応できません。以前勤めていた某半導体メーカーでも、あるディスクリート製品の需給が逼迫し、納期13か月なんてことになったこともありました。もちろん、受注は事実上停止で、拡販担当の同僚はしばらくヒマそうにしてましたっけ。
龍 様
ご意見の”重要顧客である自動車関連向け生産・供給を滞らせてまで民生品を増産するとは考えられません”に対し、専門家の認識は異なるようです。
https://biz-journal.jp/2021/01/post_202953.html
上によれば、羊山羊様のご意見の通り喰い合いをしている状況で、”直接影響を受けるとは考えにくい”訳ではないようです。
先日の記事”貿易統計④貿易統計から見えてくる日本経済の「課題」”(https://shinjukuacc.com/20210201-01/)で示された自動車輸出額への影響は来期に顕在化するでしょうし、かつて権勢をふるった自動車産業の急所が外国に握られている状況が顕在化した点も興味深いものと考えます。
自動運転もオートクルーズもなし、エアコンもパワーウィンドもオートマもなし、AMラジオのみ、キャブは…環境で無理でしょうけど、そんな車に戻れるのでしょうか。それはそれで私は悪くないと思うのですが。
城下町では無敵の自動車メーカーもtsmcにはゴリ押しが通じません。クアルカムもソニーもマイクロソフトも半導体が足りません。金玉握っているのはtsmcです。
こちらが最新
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63907
羊山羊 様
ありがとうございます…うっわ、こりゃあかんですね。
逆にサムスンは需要増に加えてTSMCのおこぼれ美味しいです、と。
あとは、自動車作るのやめてもらえればPS5が買える訳ですね。
へちま
tsmcはもはや配給制なのでPS5用に何個造ってくれるか気が気ではないですね。サムスンのファンダリーの生産ラインも年内売切れです。そのtsmcとサムスンの両方の金玉を握っているのがASML(のEUV)。そしてEUVのフォトレジスト(やっと本題)を塗布する装置は100%東京エレクトロン製。ようやく日本企業がw
書いたはずの様が抜けててすいません
羊山羊 様
ぜんぜん大丈夫です。
的確なご指摘、素晴らしいご見識です。
ええと、TELさん真ん中にみんなでタマ握りあって一番外れの自動車屋さんとかソニー屋さんが顔真っ赤、と。
ハッテ…修羅場ですね
へちま様
想像したら変な感じでした。
でもTELはtsmcには・・・
羊山羊様
ご紹介いただいたJBPressの記事を読みました。なるほど、ADAS向けのロジックLSI製造に関するTSMCへの依存はここまで進んでいたんですね。確かに、半導体メーカーからすれば、車載向けより民生向けを優先することはまずありえませんが、ファウンドリにすれば、注文順に製造するというのは当然です。私が在職していたころでもTSMCへの委託は年ごとに増えてましたが、28nm以降を丸投げしてたとまでは思ってませんでした。不勉強をお詫びします。
ただし、JBPressの記事に注文が一点。文中では盛んに「自動運転AI向け半導体」と言ってますが、ADAS(Advanced Driving Assist System)向けと呼ぶ方が正しいと思います。高度なAIを必要とするレベル4以上の自動運転はまだまだ実験室レベルであり、レベル3ですら、近々ホンダのレジェンドに搭載予定のものが初の量産対応であるはずです。LKSとかACC程度の機能であれば、それなりの処理性能は必要ですが、AIと呼ぶべきようなものは必要ありません。
従って、「自動運転AI向け半導体」が不足しているから自動車生産に影響があるのだという書き方は、やはり誤解を招きかねない書き方であると思います。なんでもかんでも「自動運転」とか「AI」に寄せる書き方には強い違和感を覚えます。
やっば、これガチ修羅場っぽ
マジでタマの取り合いやってる
龍 様
奇遇にも同時刻の投稿でしたが、私の投稿は本状況の所感を述べたもので、龍様のコメントに対するものでないので、ご理解いただけると幸いです。
龍様
そこまで強いこだわりのある方がいらっしゃるとはつゆ知らず。スマホで書いていると(今はPCです)どうしても短文になり端的な表現にしてしまいがちです。AI用半導体の定義もあいまいだし、自分なりの逃げ道としては「ほぼGPU」と追記しました。
まぁ蟻に咬まれたら痛いのは事実です。死にませんが。
死にはしないけど、今後は蟻に触るのやめようとか、最悪は巣ごと駆除しちゃおうとかなるんじゃないかってなる心配はしないんですかね。
あ、いつものアレですね。蟻さんすみません。
更新ありがとうございます。
ナニナニ?「韓国への制裁は、日本がブーメランを喰らった(爆笑)」「日本の輸出規制が日本企業の被害だけ生んだという分析が出てきた」。ホオ〜。この一文に対日悔しさ極まれり、ですネ。日本経済新聞の発信は、いつもの事だけどブレまくりです。日本を貶めたい勢力なんでしょう。
2019年7月に日本政府が「輸出管理」を始める前と比較すると90%急減したそうで。
韓国のサムスン電子が出資したソウルブレーンは日本製と「同水準の超高純度フッ化水素」の生産を始め、SKマテリアルズも半導体生産工程に使うフッ化水素の量産に成功した。同水準という事は、やや劣るんですな?
続きです。途中で送信、失礼しました。
貿易統計にはそんな事書いてない。韓国に対しては輸出は減っているが、先端素材や生産装置などは堅調じゃないですか。なんでも構わないような、日本のアラ探しは、辞めとくれ。
イランへの横流し、北朝鮮への瀬渡し、皆、韓国が噛んでいる。中国、北朝鮮、ロシア側に並んどけッ。何?席が無い(笑)?外で凍えてろ!FOIPもG7もクアッドにもTPPにも入れませ〜ん。日本が意地悪してるから?No!アンタラが不誠実だからだヨ!皆、見てんの。
日本が気にしているのは日本から韓国へのフッ化水素の輸出量ではなく、韓国でのフッ化水素の利用総量だし。日本製フッ化水素のシェアの話から逆算することもできるけど、そういう話も見たこと無いし。世界的な規制物質だから韓国も当然使用総量の統計が公開されているはずですよね?
一昨年7月の戦略物資3品目の対韓「輸出規制」措置の発動、翌月の「ホワイト国外し」を受けての罵詈雑言の嵐。その後、対抗政策としての内製化が着々と進んだ結果「これだけの成果が~」と、声高な大本営発表的報道を、ろくに事実確認もせぬまま垂れ流していると思ったら、アタマが冷えてくるにつれ、「対日貿易赤字はむしろ増加」「自国産業の対日依存は一向改まらない」など、嘆き節みたいな論調が増えてきた今日この頃。産業構造などそんな一朝一夕に改まるはずもなかろうに、いかにもパルリパルリの国民性と見ていたのですが。
ご紹介の中央日報の記事、何か違和感がありますね。まともな状況把握もない噴飯物の記事であることは本文に指摘の通りでしょうが、興味があるのは、なんで今頃、時計の針を一年以上も巻き戻したようなはなしを掲載したいのかっていう、その心情の方。よもや、
「こんな現状、見とない、見とない」で、妄想の世界に逃避したなんてことは・・・。
イランに返さないといけないお金を返せないからでしょうね。
イランからはフッ化水素ならOKと言われているのかもですね。
むしろ輸出管理厳格化以前の輸入量は何だったの?・・ってことなんですよね。
(少なくとも、心の鏡磨きに使われなかったことだけは、確信しています・・。)
ここはひとつ、原点にあたる必要があります。
件の日経の記事 https://imgur.com/iQGgASP
※解像度が低く、読みにくくてすみません。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、
本エントリーで紹介されている中央日報の記事の元である
日経の記事には、「日本企業だけ被害」などという表現はどこにもありません。
日経の記事で書かれていることは、
1)日本の輸出管理によって、高純度フッ化水素の供給量が著しく減り、昨年も管理前の水準に戻ることはなかった。←筆者注:輸出管理なんだから当たり前じゃね?
2)減った分を補ったのが韓国の素材企業で、ソウルブレインは「日本企業と同水準の超高純度のフッ化水素の供給を始めたと発表した」←筆者注:あくまでも発表だけ
3)この影響で大きな打撃を受けた日本企業は、ステラケミファと森田化学の2社で、森田化学は「韓国以外の出荷を増やして減少分を補う」とコメント
4)韓国政府は、3素材について日本脱却のために21年度に予算を設定して企業の研究所を補助し、先端技術開発地域を指定して税制優遇措置を設け、国内外の企業誘致を図る。デュポンが進出を決めており成果が出始めている。←筆者注:1年も前のデュポン進出以外ないの?
5)上記により、韓国の国産化は確実に進んでいる。
とまぁ、既視感のある情報を根拠に「脱日本が進行中」という、向こうに軸足を置いた日経の記事であることに間違いはありませんが、そんなに煽った印象はありません。
そこに、「日本企業だけ被害」「日本企業の被害だけ生んだという分析」という、〝独自の論評〟を加えたのが中央日報です。
この日経の駐在記者の思想的背景は知る由もないし、別に目新しいことがあるわけでもないのになぜこのタイミングで向こうへのリップサービスのごとき記事を載せたのか、日経の姿勢も謎ではありますが、いずれにしても、使えるものは何でも使って自分の有利を演出する向こうのやり口は、面倒くさくても一つ一つ潰していかなければいけないと思いました。
おっしゃるとおりだと思います。マスゴミは完全に嘘でなければ、読者が誤解するくらいの切り取り、印象操作はOKなんでしょう。民間企業が不祥事をやらかすと鬼の首を取ったように騒ぎますが、奴らは「チェックが甘かった」程度の言い訳で済ませる。もし、業務改善命令みたいなものを導入するようにしたら、言論弾圧だ!なんて騒ぐんでしょう。
もし、フッ化水素が自由に輸入出来ないのを国産化で克服できたなら、それは韓国自身の努力の賜物であり、それをブーメランと称するのは自国の努力を無視する暴論です。
そもそもフッ化水素など戦略物資にあたるものを輸出する企業は、相手国の態勢不備などで輸出不能になることなど日常茶飯事です。そんな事態が起こっても大丈夫なようにある程度の利益を乗せて販売しています。まあ、企業にとって輸出規制強化よりも他国に価格競争を仕掛けられるとか、輸出しちゃいけない相手に輸出して摘発されて制裁食らうとかの方が痛いでしょうね。