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補足論点:結局「姜昌一へのアグレマン」の続報はない

本稿はショートメモです。年初の『実際のところ、姜昌一氏にアグレマンは出たのか?』や『日本にとってなんらメリットがない「姜昌一駐日大使」』でも取り上げたのが、韓国政府が次期駐日大使に「内定」した姜昌一(きょう・しょういち)前韓国国会議員に対するアグレマンです。これについて少し補足をしておきたいと思います。

事実関係だけを述べておくと、年末から年初にかけ、複数の韓国メディアが「韓国政府は相星孝一・現駐イスラエル大使に対し、日本政府は姜昌一氏に対し、相互にアグレマンを出した」と相次いで報じました。これらの報道が事実なら、姜昌一氏は今月中に、駐日大使として着任するはずです。

ところが、ここで非常に不自然な点があります。朝日新聞から毎日新聞、読売新聞や日経新聞、産経新聞、東京・中日新聞、果ては時事通信、共同通信に至るまで、わが国のメディアは、日本政府が姜昌一氏に対するアグレマンを「出した」とも、「出していない」とも報じていないのです。

もちろん、理屈のうえでは、日本政府はすでにアグレマンを出しているにも関わらず、何らかの理由で日本のメディアがそれを報じていない、という可能性もないわけではありません。

しかし、自然に考えて最も可能性が高いのは、「日本政府が姜昌一氏にアグレマンを出した」という報道自体が、韓国メディアの虚報(あるいは韓国メディアにそれを教えた情報源によるでっち上げ)だ、というものではないでしょうか。

実際、この「姜昌一氏へのアグレマン」を報じたメディアの報道を振り返っておくと、何となくその背景が見えます。ここでは韓国メディア『聯合ニュース』、『中央日報』(※いずれも日本語版)の報道を確認しておきましょう。

駐日韓国大使と駐韓日本大使の交代 両政府が同意=来月中旬にも赴任

―――2020.12.31 09:54付 聯合ニュース日本語版より

駐日韓国大使内定の姜昌一氏、日本が同意…1月に正式赴任

―――2020.12.31 14:47付 中央日報日本語版より

このうち聯合ニュースは「韓国の複数の外交筋が」明らかにしたとしており、また、中央日報は「東京の外交筋が」明らかにしたとしています。

ちなみに中央日報は今年に入ってからも、ほぼ同じような内容の記事を配信していますが、こちらの記事でも「東京の外交筋によると」、とあります。

姜昌一駐日韓国大使が今月赴任へ、日本が同意

―――2021.01.02 08:54付 中央日報日本語版より

中央日報がいう「東京の外交筋」が何を意味しているかは微妙ですが、自然に考えて「在日韓国大使館」という可能性が高そうです。もしこのように考えるのであれば、いずれの情報も韓国側から出て来たものだ、ということです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

もっとも、本件については中央日報の報道から1週間近くが経過するにもかかわらず、肝心の韓国メディアからも続報がありません。そうこうするうちに、内外でさまざまな話題が出て来てしまったため、日々のニュースに埋没していくことと思います。

しかしながら、姜昌一氏という人物がロシア政府の許可を得て北方領土に上陸した人物であること、天皇陛下を「日王」呼ばわりしようと呼びかけた人物であることを踏まえるならば、やはりこの人物が駐日韓国大使として赴任する資格があるとも思えないのです。

いずれにせよ、「姜昌一氏の駐日大使赴任」という話題については、きっちりと忘れないようにしなければならないと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (27)

  • 境界知能の子供たちという本に書かれている人々と同じ行動をする人々ですね。
    やはりこの本に書かれている様な対応が必要と思われます。

    • おさ様

      >この本に書かれている様な対応が必要と思われます。

      どんな対応なのか気になります。
      買って読むべきでしょうが、ちょこっとだけご教示いただけると幸いです。

      ただ、韓国は、小児病国家ですが子供ではなく可愛くありません。

  • 自民党衆議院議員 長尾たかし@takashinagao さんのツイート(2021年1月4日 午前10:27)
    https://twitter.com/takashinagao/status/1345904739414773761
    『 外務省、アグレマンを出したと公表はできないと言う回答でした。』

    とありますので、日本国政府がアグレマンを出したのはほぼ間違いないかと思います。

    • マイナンバー 様

      情報ありがとうございました。
      引き続きのご愛読並びにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

      • ブログ主様
        わざわざの返信恐縮でございます。

        中央日報の本件に係る記事について、
        自民党衆議院議員 長尾たかし@takashinagao さんのツイート(2021年1月4日 午前10:27)後段の『と言う事はこの記事はルール違反と言うことになります。こうして既成事実を作るのが彼らのやり方。
        これに対抗するべく動いております。』

        にあるように、韓国外交部が(いつもの日本に対しては何をしてもいいかのように)慣例破りをした疑いが濃厚ですね。日本国民のひとりとして隣国政府の非礼だが狡猾なやり方に呆れ、警戒すると同時に、これにきっちり対抗するわが政府・国会であってほしいと強く願うのですが。。。政府にも与党(執行部)にも不安が・・・

        • 外交慣例を破られたことに対抗して一度出したアグレマンを取り消すことも可能だと思われます(アグレマンがもし出てたという前提で)

          一般論ですが、公表しないということはすなわち撤回も可能ということでもあります。人事が公表直前まで伏せられるのは、ギリギリまで撤回の可能性があるからです。こっそりだろうと人事でリークがあるのは、正式手続きは残しているが事実上確定しているときです。(どっかの銀行の半沢頭取みたいな)

          要するに後に撤回されないように事実をあえて漏らしたということですね。

          「これに対抗すべく動いております」まさにアグレマン撤回に向けて動いてると捉えましたがいかがでしょうか?

    • 通常外務省は「出した」とも「出さなかった」とも「まだ出してない」とも「コレコレの理由でお断り」とも公表しないのが決まりなのではないでしょうか?

      • ご指摘のとおり、アグレマンに関する情報は公表しないのが外交慣例のようですね。

        以下、自民党衆議院議員 長尾たかし@takashinagao さんの本件に係るツイート(2021年1月4日 午前10:27)の一部抜粋。
        https://twitter.com/takashinagao/status/1345904739414773761

        『対韓国のみならず、双方が合意したと言う事についても外交慣例上発表してこなかったとのこと。』

    • マイナンバー 様
       長尾議員のTwitterでは、まだ、確定と判断するのは早いと思います。
       新駐日韓国大使が来日するまで待ちましょう。
       姜昌一が来日したとしたら、次は宮内庁がどう対応するか見ものです。

       ”コロナ禍の折、信任状はポストで受け取りとか。”
       
       仮に、姜昌一が新駐日大使として来日したら今年の衆議院選挙は日本維新か国民民主に入れるぞ!(次世代の島がもう少し頑張ってくれていたら大躍進だったのに)

  • >理屈のうえでは、日本政府はすでにアグレマンを出しているにも関わらず、何らかの理由で日本のメディアがそれを報じていない、という可能性もないわけではありません。

    この可能性の他に、日本政府は既にアグレマンを出しているがマスコミには発表していない、という可能性はないのでしょうか?

    もちろん、あんな反日トンデモに対してアグレマンを出すことは日本国としては屈辱的とも言えますが、それでもアグレマンを出す理由は国内の親韓派議員からの圧力なかでも菅を首相にした最大の貢献者であり最大派閥の長である二階の「中国とは言うに及ばず韓国とも仲良く上手くやれ(もちろん俺の中韓利権からの甘い汁を守るためにだ)」という強い意向からでしょうし、外務省の定期記者会見で国内のマスコミにアグレマンを与えたことを発表しない理由は、国民からの反発による政権支持率の低下を避けるためです。

    この可能性は無いのでしょうか? つまり、日本政府が海外からの大使候補の打診を受けてアグレマンを出した時には、必ず外務省の定期記者会見などでその事実を発表することが慣行として確立しているのでしょうか?

    日本政府が大使候補の打診に対してアグレマンを与えても、その事実を公表するとは限らないのであれば、キングメーカーの利権のためにアグレマンを出して政権支持率のために公表は避けるという可能性も充分に残っていると考えますが。

    • この説が一番可能性が高そうに思えるが 永遠に隠せないのと 支持率はもう戻ることはないのではと感じます

  • 更新ありがとうございます。

    なるほど〜。先月から韓国側が飛ばしていたのは、既成事実化を図る為か。日本政府が本当にアグレマン出しているなら、ガッカリだな。姜昌一だけはNO!だ。

  • 直前のコメントで私が提起した疑問への答となる情報を提供して下さり、ありがとうございます。なるほど、アグレマンを出したか否かは公表しないことが外交慣行であるということなので、韓国側の報道は本当だとすれば慣行を破る非礼であるし、本当でなければ単なる外交非礼である以前に既成事実化によるアグレマンを出せというプレッシャーを我々の政府に対して加えることを狙っていると言えますね。

    さて、どちらなのか?

    仮に後者だとすれば(そしてその可能性のほうが大きいと信じたいですが)、菅首相はそのような信じがたいほどの外交非礼に対しては、きっちりと面罵同然の外交非礼を以て(韓国マスコミに飛ばし記事のネタを提供している)韓国政府にお返しをすべきです。つまり「我が国が既にアグレマンを出したと韓国で報道されている姜氏に対しては、彼の事実に反した発言や行動により日本の国益を損なって来た経歴を鑑みて、日本政府は姜氏にアグレマンを出すことはありませんので、日韓両国民は偽の情報に惑わされないように願いたい」とね。

    やられたらキッチリやり返す、これが外交(に限らず人間同士の付き合いでも同様でしょう)の基本中の基本です。やられてもヘラヘラと苦笑いしているだけでお返しをしなければ、中朝韓に限らず相手がどこの国でも、日本は舐められるだけで今後も良いように押し込まれる一方になりますから。

    でも菅さんは安倍さんと違って自分自身では決断できないタイプの人間(要するに参謀の器であって将の器ではないということ)と今までの菅さんの言動を見る限りでは私個人は判断しているので、菅内閣に上のやり返すことを期待するのは小学生に大学入試問題を解けと要求するようなものか?

    • 反日、侮日人物である姜昌一に天皇陛下と対面させることについて菅首相や茂木外務大臣は何も感じるところが無いのでしょうか?
      ヘタレ国家ここに極まれりですね。
      この体たらくではバイデンにも韓国への譲歩を迫られる事必定だと思います。
      安倍前首相ならどのような判断をされるのでしょうか?

  • 駐韓日本大使、しばらく空席に 2020/12/26 ハンギョレ
    https://news.yahoo.co.jp/articles/27b3f9ec033dc8db69b76e3cc8d09400052662c6

    上記の配信の後で、日本政府から相星氏に対しての正式辞令は発せられたのでしょうか?
    空席のままでの留保が続けば事実上の「大使召還」なのかな?とも、思ったのですが・・。

    姜氏の留保は、承認拒否
    相星氏の留保は大使召還

    そうならば、日本側による厳しい対処なんですけどね。

  • アグレマン出したという確定情報が仮にあったとして、日本のメディアの性向からして記事を出さない理由がない
    その場合は単に取材力が欠如していて情報をつかめていないだけじゃないかと。

  • これはなかなか微妙なことになってきました。もし姜昌一大使が日本に乗り込んで来ると菅内閣というより自民党自体の支持層が離れていってしまうことになるかもしれません。

    ところで外交慣行だから発表しないって、アホちゃいますか。既に相手はその慣行を破っているのなら、こだわらなければならない理由はありません。ただの逃げ口上でしょ。

  • 日本側からも「近いうちに出ると思いますよ」ぐらいの話は出てたのかも。

    どうせムンたんのお仲間なら、無礼度についてはどれも対して変わらないでしょうから、駐中韓国大使みたいに飼い殺しにして晒し者にするほうが今後のためになるような気もします。

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