中央日報などを見ると、相変わらず、「強制徴用問題の解決は日本の謝罪が必要だ」などとする寝言も掲載されているようです。自称元慰安婦、自称元徴用工という「過去のウソの被害者」に注目するわりに、日本人拉致被害者という「現在進行形の正真正銘の被害者」の存在にだんまりを決め込む韓国の姿勢は、無責任であるだけでなく、むしろ北朝鮮の犯罪に加担しているのではないかと思わざるを得ません。
ハンギョレ新聞は「敵ながらあっぱれ」?
今朝の『ハンギョレ寄稿「ICJ付託」、やれるものならどうぞ』では、韓国の左派メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に掲載された、自称元徴用工判決問題を巡り「韓国がむしろ国際司法裁判所(ICJ)に日本を提訴せよ」とする論考を紹介しました。
記事タイトルにある「やれるものならぞうど」とは、「どうせできっこないだろうけれども、やりたければどうぞ」という、当ウェブサイトなりの皮肉を込めたつもりです。
ただ、今朝も議論したとおり、それがいかなる思想・主張に基づいているかという点を脇に置くなら、新しい視座に基づく記事は時として有益です。そして、ハンギョレ新聞を読んでいると、突拍子もない議論も多い一方で、ときどきハッと気づかされることがあるのです。
その意味で、下手な「保守派」のメディアと比べて、韓国の左派メディアの記事の方が、ある意味では有益だったりもします。
そういえば、『韓国メディア「日韓の戦略的利害はもはや一致しない」』でも述べましたが、ハンギョレ新聞には「日韓両国の戦略的利害はもはや一致しない」と喝破したキル・ユンヒョン氏という論客がいます。まさに「敵ながらあっぱれ」、といったところでしょうか。
保守派メディアは「壊れたレコード」
一方、これに対して壊れたレコードのように旧態依然とした主張を繰り返しているメディアもあります。その典型例が、『中央日報』(日本語版)に掲載された、次の記事です。
「徴用被害者の解決、韓国政府が賠償して日本政府・企業は謝罪を」
―――2020.12.11 07:00付 中央日報日本語版
(※記事タイトルや本文に含まれる「強制徴用問題」とは、自称元徴用工問題を誤記したものですが、記事を引用する際には原文どおり「強制徴用問題」という誤記をそのまま使用しますのでご了承ください。)
中央日報によれば、世宗(せそう)研究所の陳昌洙(ちん・しょうしゅ)博士は10日の会合で、次のように述べたのだそうです。
- 今のように韓日間に不信が席を占めている状況では段階的かつ複合的にアプローチしなければならない
- 韓国政府は『第2の文喜相(ムン・ヒサン)案』など特別法を通じて、歴史問題全般に対して責任意識を表明し、日本企業の代わりに被害者に返済する必要がある
- 日本政府と企業も強制徴用などに対して遺憾と反省の表明が必要だ
どうして捏造された過去の犯罪について、日本が謝罪しなければならないのでしょうか。まったく意味がわかりません。それに、陳昌洙氏は、ご自身の国が2015年12月28日に交わした日韓慰安婦合意が、現在、いかなる状況になっているのかを認識したうえで発言された方が良いのではないでしょうか。
韓国政府が主体となって、自称戦争被害者を救済するための基金を設立し、「これで未来に向けて問題は解決した」などと宣言したとしても、どうせ次の政権になったらその基金を一方的に解散し、「まだ問題は解決していない」と言い張るのは目に見えています。
というよりも、日本が韓国に対する不信を積み上げる原因を作ってきたのは、まさに日本が誠実に問題解決に取り組み、苦労して合意に結実させ、そしてそれを韓国がいとも簡単に破るというパターンを、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返して来たからです。
それに、陳昌洙氏のほかの発言にも、極めて大きな問題があります。
中央日報によると陳昌洙氏は日韓両国が対話を首相官邸・大統領府間の直接チャネルに格上げし、日韓首脳会談を開いて持続的に対話し、日本は輸出「規制」を撤回し、韓国は日本企業の資産現金化を「延期」し、「韓日正常が共同宣言(※原文ママ)」をする必要がある、などと述べたそうです。
そもそも日本は韓国に対する輸出規制を講じた事実はありませんし、韓国がやらねばならないのは「資産現金化の延期」ではなく、「大法院判決自体を無効にする立法措置」であり、「日韓間のすべての請求権問題は1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済み」とする宣言でしょう。
まるで日韓関係がギクシャクしている責任が、日韓双方にあるかのように騙るのはやめていただきたいと思う次第です。
自分たちの民族の人権侵害にはダンマリを決め込むんですね
さて、当ウェブサイトではかなり以前から、自称元徴用工、自称元慰安婦には、「『自分たちは戦争の被害者である』と主張しているが、その実態はウソをついて日本を悪者にしている『加害者』だ」という共通点があると申し上げて来ました。いわゆる「被害者コスプレ」ですね。
ただ、ウソと捏造で被害者を作り出すのが韓国のビジネスだという点もさることながら、韓国が現在進行形の拉致犯罪にはダンマリを決め込むというのも、明らかに矛盾した態度です。そのことを改めて痛感したのが、次の記事です。
ビーガン副長官「ワームビア・横田めぐみの悲劇」 最後の訪韓で北朝鮮の人権に言及
―――2020.12.11 07:06付 中央日報日本語版より
中央日報によれば、8日から5日間の日程で訪韓中のスティーブン・ビーガン米国務省副長官兼対北朝鮮特別代表は10日、北朝鮮に対して拉致被害者に言及したそうです。
中央日報が報じたビーガン氏の発言には、次のようなものが含まれています。
- 昨年会ったフレッド・ワームビアさんとシンディ・ワームビアさんの息子オットさんが悲劇的な虐待で不当に北朝鮮に収監され、無事に故国に戻ることができなかった。生きていたとすれば今週の土曜日に26回目の誕生日を迎えただろう
- 日本では横田滋さんが(北朝鮮に拉致された)娘めぐみさんと再会することを数十年間待っていたが今年亡くなった。オットーさんや滋さん、ジェシーさんが残した遺産と70年を待っている離散家族の希望は私たちがやっていることの切迫さを教えてくれる
非常に痛切なメッセージです。
ことに、世の中のお父さんは、もしも自分の娘が横田めぐみさんと同じ目に遭ったらどう思うでしょうか。それを踏まえたうえで、めぐみさんとの再会を何十年もの間、心待ちにしていた横田滋さんの無念を思うと、本当に悲しくなるという人が普通ではないでしょうか。
そして、日本人拉致問題がいつまで経っても解決しない最大の理由のひとつが、北朝鮮が不誠実な犯罪国家だからという点にあることは間違いないにせよ、それだけではありません。
南の片割れであり、かつ、自国からもたくさんの国民が北朝鮮に拉致されている被害者であるはずの韓国が、拉致問題に関しては無関心を貫いているからです。
こうした韓国の姿勢は、驚くほど無責任であり、驚くほど不誠実と言わざるを得ません。
拉致事件の解決はアプローチを逆転せよ!
さて、自称元徴用工や自称元慰安婦の問題を巡っては、これまでに当ウェブサイトで何度となく、次の2点が問題だと申し上げて来ました。
歴史問題の本質
- ①日韓間のあらゆる請求権に関する問題は、1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に決着しており、韓国の大法院の一連の判決自体、国際法に違反する状態を作り出している。
- ②韓国側が主張する「被害」の多くは、(おそらくは)韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである。
日本政府が問題視しているのはおもに①の視点ですが、これに加えて当ウェブサイトが問題としたいのは、②の視点です。とくに、日本人拉致という、朝鮮民族国家による現実の、かつ、現在進行形の犯罪に対して、同じ朝鮮民族国家である韓国が無関心を決め込んでいること自体、共犯のようなものです。
いずれにせよ、結局のところ、拉致問題を解決するためには、「どうやって北朝鮮に頼んで日本人被害者を返してもらうのか」ではなく、「どうやって北朝鮮に北朝鮮から日本人被害者を取り返すか」を議論する方が適切です。
また、「北朝鮮に頼んで拉致事件の全容を教えてもらう方法」を考えるのではなく、「金正恩ら北朝鮮政府幹部を逮捕し、拉致事件の全容を吐かせる方法」を考えるべきでしょう。
万が一、「憲法第9条の制約があるからそんなことはできない」などと言い出すのであれば、もっと本質的なことを教えてあげましょう。日本国民が日本国憲法を守るためにあるのではありません。日本国憲法が日本国民を守るためにあるのです。
このことを、改めて強調しておきたいと思う次第です。
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日本国憲法の前文には以下のようにあります。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
とても美しい理念ですが、残念ながら世界には「平和を愛する」とは言い難い国、「公正と信義」とは無縁と思われる国が存在していることもまた事実です。特に今世紀に入り、諸国の言動を見渡せば、残念ながらそのように考えざるを得ないということを、少なからぬ日本国民は認識したのではないでしょうか(サヨクをはじめ、そうでない人もまだたくさん居ますが)。
憲法改正に当たり、わざわざこの前文を修正する必要はありませんが、憲法の記述としては、「そうでない国」が存在することを踏まえ、対応していくための指針を与えるべきであると思います。
ところで、日本国憲法前文には以下のような記述もあります。
「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」
自国の『原則』だけを振り回し、キャンキャン吠えることしかできないどこぞの国の国民に読ませてやりたいものだと思います。
龍さま
読んだら、都合の良いように解釈して、謝罪と賠償を要求してくる気がする私は、大丈夫でしょうか?
ああ、確かに以下のように読み替えてくる可能性は否定できませんね。
「いづれの国家も、自国のことのみに専念して韓国を無視してはならないのであつて、(朝鮮式朱子学に基づく)政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国との(華夷秩序に基づく)上下関係を確立しようとする各国の責務であると信ずる。」
う~みゅ......
やはり、最後のパラグラフは撤回した方が良さそうな気が、私もしてきました。
以下は私の勝手な思い込みではありますが・・・。
この「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」の一文ほど戦勝国の悪意を現した文言はないと思っています。
つまり本質は「平和を愛する諸国民」=戦勝国(米国、ソ連、中国、・・・)あり、「公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと・・・」=戦勝国のお慈悲にすがって生きていくことを誓います という誓約分なのです。その具体的な証文が9条第2項であって、両者はセットになって日本の独立自尊を阻んでいます。龍様の仰るキレイごと文章は彼らの悪意を覆い隠す衣にすぎないのではありませんか。また、前文は、石原慎太郎氏のいう「日本語として間違っている」のような枝葉末節な類のものではなく、本質的な問題点です。全く先入観を持たないで前文を読むと理想的な文言のような体をしています。米国は占領国としてこの憲法を制定する前に何年にも亘って考えに考えた抜いた挙句、日本人の誰もが絶対に気づかないように悪意を忍ばせたに違いありません(これは日本が憲法を全面改定しない限り、米国から明らかにされることはないでしょう)。日本国民は一体いつになったら気が付くのだろう。わたしはかなり絶望的です。ちなみに安倍さんはこのことをわかっていたと確信しています。根拠はありませんが。
一言だけなのです♪
>日本は輸出「規制」を撤回し、韓国は日本企業の資産現金化を「延期」し、
何で日本は「撤回」で、韓国は「延期」なのかな??
「撤回」には「撤回」じゃないと釣り合わないと思うのです♪
さてさて、お昼なのです♪
七味さま
撤回には撤回でも釣り合わないんですが、良い指摘だと思います。
だんな様
>撤回には撤回でも釣り合わないんですが
それはそのとおりなのです♪
ただ、あまりにもばかばかしい主張なので、ついついコメントしちゃったのです♪
だいたい輸出管理の方は、制度と体制、それに運用実績が揃って、ちゃんと管理できるって信頼ができれば、自称さんたちのとは無関係に処理できることなんだから、無理矢理結び付けてること自体が、バカらしいのです♪
北朝鮮の統治は決してうまくいっているとは思えないのですが、金氏は既に三代まで続いています。
周辺の中国、韓国、ロシア、そして日本とアメリカのパワーバランスによるものかと思われます。
周辺国の状況がこのまま続く限り、金氏の独裁政権は続くでしょうし、金氏の独裁政権が続く限り、拉致問題の完全な解決は難しいと悲観的に考えています。
ただし米中関係の劇的な変化などあれば、話しはいろいろ変わってくるでしょう。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(なにしろ、韓国と違って自分が間違う存在であると自覚しているので)
韓国としては、北朝鮮拉致被害者に注目すると、日本人が被害者になるので認めたくないのでしょう。これが、文大統領が(日本人だけでなく)北朝鮮の拉致被害に冷淡な一因なのです。
駄文にて失礼しました。
“壊れたレコード”…
南鮮で所謂保守系が力を失っているのも、
ソレが“壊れ”ていることが南鮮において意識下無意識下かかわらず共有認識化されているからかもしれませんナァ
アトはかのゲッシルイの群れの如く集団で破滅にGoToしていくのを、眺めているだけで済めばラクなんでしょうがネ
落ち行く流れから上手く距離を置くようにしておかネバ…
実は、北朝鮮による拉致被害が一番多いのが、韓国。
拉致被害者には、欧米人も含まれてます。
基本、人権には鈍感なのが韓国なのです。
拉致問題解決に関して、新宿会計士さんの意見に共感します。
韓国人は利己主義ですので「ウリの人権」にしか興味が有りません。
また、人権は相互に尊重する事が、必要になりますが、韓国人にとって尊重は、されるだけのもので、するものでは無く、したら負けなのが尊重なのです。
そんな人権後進国に逃げ込んで、日本を人権後進国という植村氏の記事を置いときます。
お勧めはしませんので、読む方は自己責任でお願いします。
週刊金曜日から(もうここで読まないかな)。
元『朝日』記者「慰安婦」報道訴訟 「人権後進国」象徴する判決
https://news.yahoo.co.jp/articles/4a295cee5a12e4f18017488f24e7800902022324
(韓国のとんでもない主張)
強制徴用問題は、韓国の法律に基づいて日本は罪を認め、被害者に対して謝罪と慰謝料を支払うべきだ。
また、この問題は、日韓併合自体が日本による韓国の不法占拠であり、当時から国際法違反である。
(私が日本がすべきだと思う主張)
韓国の国内問題に日本は干渉しない。
韓国の「強制徴用問題」は事実に基づかない主張であり、日本に謝罪を求めたり、日本人の生命財産を脅かす行為は許さない。
日韓併合は合法である。
これについて韓国は違法性を唱えているが国際的なコンセンサスすら得られる主張ではない。
ただし、「日韓基本条約」は日韓の当解釈を超えて結ばれたものであり、「日韓併合条約はもはや無効」であることがすでに合意されている以上、韓国の日本への謝罪要求は「日韓基本条約」の根底を覆す行為に他ならならない。
故に日本は韓国への謝罪を拒絶する。
また、「日韓基本条約」が破棄される事態になった場合においては、対韓請求権の行使を行う。
足りないものないかなぁ。
李承晩ラインの撤回要求も必要だな。
会計士 様
>日本国民が日本国憲法を守るためにあるのではありません。日本国憲法が日本国民を守るためにあるのです。
蓋し名言です。九条教信者や東大辺りに巣食う憲法学者に音読してもらいたいものです。
更新ありがとうございます。
私見で妄想ですが、北朝鮮から拉致被害者を取り戻すには、北朝鮮に突撃して奪還するのが最も短期間で、最も成功率が高く、最も犠牲者を少なく、かつ核関連施設破壊で北の武力を喪失させるのが一番良いと思います。
日本が軍を持てないにしても、無垢な日本人を解放するにはそんな「手荒」な事でもしない限り、今のままでは「全員が亡くなった」と近い将来、北朝鮮が言うでしょう。
出来れば米軍の手を借り、韓国には事前通告なし、中国には発動1時間前に「手出し無用、半日で片付ける」と知らせる程度で十分と思います。