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韓国メディア、日本の「ワントラック外交」を批判

昨日の『「日中韓サミット不参加」事実なら日本外交の変曲点か』の続報です。菅義偉総理大臣が自称元徴用工問題を巡り、日本が受入可能な措置を韓国側が講じない限り、今年の日中韓3ヵ国サミットに参加しない方針だと共同通信が報じたことを巡って、韓国メディアが「逆ギレ」している様子です。

続報:日本外交の転換点

昨日の『「日中韓サミット不参加」事実なら日本外交の変曲点か』では、自称元徴用工問題を巡って日本政府が韓国政府に対し、「日本が受入可能な措置を韓国側が講じない限り、菅義偉総理は日中韓3ヵ国首脳会談に参加しない」と伝達した、とする共同通信の報道を紹介しました。

情報源が「毒水を流すインフラ屋」とも揶揄される共同通信であるという点を踏まえると、この報道自体に全幅の信頼を置いて良いのかという問題はあります。しかし、もしもこの報道が事実なら、非常に興味深い話です。

首脳会談の実施を巡って条件を付けるのは中韓の常套手段ですが、日本が韓国(や中国)に対してそれを行うこと自体、日本外交にとっては大きな転換点だからです。

もっとも、個人的に昨日の記事を掲載したあとでふと思ったのですが、この共同通信の記事は、もしかすると日本として「日中韓3ヵ国首脳会談」を実施したくないという事情があるからこそ、自称元徴用工判決問題を言い訳に日本が出してきたものなのかもしれません。

米中対立がますます深刻化し、中国包囲網の締め付けが強化されるなかで、現段階で日中首脳会談の実施を希望しているのは、むしろ中国の側ではないでしょうか。事実、中国は最近、日本に対する公然とした批判を避けているフシがあります。

たとえば、先月は安倍晋三総理が辞任した直後に靖国神社に参拝した(『後世に莫大な遺産を残して靖国参拝の安倍総理に感謝!』参照)ものの、少なくとも中国当局はこれに対し、沈黙を守っていますが、2013年12月に安倍総理が靖国参拝したときとくらべれば、抑制的な対応に見えます。

このあたりの事情については、もう少し続報を待ちたいところです。

中央日報が日本政府を批判

こうしたなか、本稿ではこんな話題を紹介しておきたいと思います。

「安倍氏に会わない」と言った朴政府非難していたのに…その戦略持ち出した日本政府(1)

日本が強制動員被害者賠償問題と菅義偉首相の韓日中首脳会談出席を連係させる戦略を打ち出した。日本政府は韓国が受け入れ可能な措置を講じない限り、今年韓国で開かれる首脳会談には出席しないという立場を韓国側に伝達したことが分かった。<<…続きを読む>>
―――2020.10.14 08:48付 中央日報日本語版より

リンク先は、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝掲載された記事です。

これによると、日本政府の今回の方針は、2013年、当時の韓国の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権が慰安婦問題を日韓首脳会談に関わらせて対応したのと同じだと主張。安倍総理が批判したはずのこうした外交方式を日本が持ち出したことを「『自己矛盾』という指摘が出ている」と述べているのです。

中央日報は間接的に、「日本が自称元徴用工判決問題解決を日中韓首脳会談実施の条件に持ち出したことは不当だ」、とでも言いたいのだと思いますが、これこそまさに「語るに落ちる」、でしょう。なぜなら、間接的に、「首脳会談実施に条件につけた自国の行動が不当だ」と述べているのと同じだからです。

それはともかくとして、中央日報の記事には、こんな記述もあります。

韓国政府は『韓日中首脳の年内対面会議』を基本方針として推進してきた。だが、韓国大法院の日本企業資産差し押さえと現金化手続きを控え、日本がこの2つの問題を連係させる『ワントラック(One-track)』戦略を持ち出した。

このあたりもまた同様に、私たち日本国民にとっては理解が難しい部分ではないでしょうか。

「ツートラック」理論は、中央日報を含めた韓国メディアが好む議論です。当ウェブサイトなりに解釈すれば、この「ツートラック」とは、「歴史問題」と「現代の問題」は別々に取り扱おうとする姿勢であり、良く言えば現実的、悪く言えば場当たり的でご都合主義的です。

要するに、日本との経済協力関係などを引き出しつつも、「過去の歴史の問題」を提起することで、対価を支払わないというやり方です。

支離滅裂なコメントは、韓国が困っている証拠

ただ、逆にいえば、韓国側から「日本がワントラックを持ち出してきた」と表現されること自体、韓国が困っているという証拠です。だからこそ、中央日報の記事の中では、国民大学日本学科の李元徳(り・げんとく)教授の次のような発言が紹介されているのでしょう。

現金化に対する措置がない限りは首脳会談もないという日本の立場は自己矛盾に陥っただけでなく、韓国政府の歩幅を減らし、韓国国民の感情を傷つけること」。

控え目に言って支離滅裂ですが、韓国の側からこの手の支離滅裂なコメントが出て来ること自体、日本外交にとっては非常に良い傾向ではないかと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • 先ずは情報の真偽を確かめるのが第一優先事項だと思うのですが。
    真偽不明のままあれこれ批判し国際情勢を自国に有利にしようとする韓国のいつもの常套手段に見えます。

  • 韓国が最初に始めた外交戦略を韓国が批判するのは自己矛盾には当たらないのかなあ

  • 日本に有利な合意はいつでも破棄出来るスタンスの下朝。
    中韓vs日の2対1で日本に支援、譲歩求められる事が必至の会談。
    日本からしたら行く意味全く有りません。

  • 韓国は中国のTHAAD対抗経済制裁に「ワントラックだ」と抗議したんでしたっけねぇ?

  • 自称徴用工問題は、日本に新たな被害が発生しうる現在の問題ですから、ツートラックの対象じゃないですね。

  • 国家間合意が意味をなさない国とは何を話し合っても意味がない、時間の無駄。
    って状況を半島側が造り上げてきたことが理解できないバカがまた自国内向けに踊ってますねェ

    という感想を持ちました。

  • 日本政府はまだ公式にはなにも言っていないので、「いやぁ、出席するつもりだったのだけど、韓国の新聞・世論があまりに理不尽・失礼極まりないことを書き続けるので、やめにしたよ」と発表すればよろしいかと。

  • 幾度もおかわりを求める韓国。
    ただ飯を食わせたくない日本。

    朴政権の時から状況は何も変わっていません。
    前は諌めようとしたけど、今は突き離しているだけのことなのかと・・。

    助けない。教えない。関わらない。
    助けない。教えない。関わらない。
    ↑うん、やっぱりいい言葉。

    慰安婦合意の後は「約束守れ!」とだけ唱えれば良くなった。
    出来るわけが無いから、戯れ言に巻き込まなくて良くなった。

  • 韓国としては「自己矛盾してる」くらいしか言えないわけです。現実問題として日中韓首脳「級」会談は開催不可能になったわけですからね。

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