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中国共産党が恐れる「シックスアイズ」こそ日本の進路

ファイブアイズ、という「同盟」があります。これは、米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドの5ヵ国がおもに軍事情報などを共有するための協定ですが、これについて①たんなる軍事情報協定から資源・経済同盟に拡充させるべき、とする議論と、②これに日本を招き入れて「シックスアイズ」に発展させるべき、とする議論が、おもに英国や豪州の保守派の議員から提起されています。ただ、この議論に対し、中国共産党の機関紙である環球時報が、「米中対立局面で日本は米国の味方をするな」と主張しているのです。

ファイブアイズ

ファイブアイズとUKUSA協定とは?

英国、米国、カナダ、豪州、ニュージーランドの5ヵ国は、「UKUSA協定」と呼ばれる、通信情報に関する秘密協定を結んでいます。そして、この英米加豪NZの5ヵ国を、一般に「ファイブアイズ(the Five Eyes)」と呼びます。

UKUSA協定の一部は米国国家安全保障局(NSA)のウェブサイトで、その一部が公表されていますが(たとえば “UKUSA Agreement Release 1940-1956” など)、もともとは第二次世界大戦中の米英間の情報共有に関する協定に由来するものだそうです。

そして、現在のUKUSA協定も、基本的には軍事情報などを交換するための協定と考えて良く、北大西洋条約機構(NATO)や日米包括軍事情報保護協定(日米GSOMIA)などを含めた、安全保障に関する国際的な枠組みのひとつと理解するのがわかりやすいのだと思います。

もっとも、この「UKUSA協定」については米政府などから公表される資料も乏しく、その具体的な活動などについてはよくわかりません(※余談ですが、「UKUSAは5ヵ国のスパイ協定」だ、「全世界に秘密基地のアジトが置かれている」、などといった、やや陰謀論めいたページもあるようです)。

ただし、ファイブアイズについて注目すべきは、その参加国がいずれも英語圏であり、しかも米国を除けばいずれも英連邦(コモンウェルス)の加盟国ばかりです。その意味では、結果的に「英語圏・コモンウェルス圏」のインナーサークルという性格が伴っています。

これは、他の協定と比べれば際立った特徴です。たとえばNATOの場合、加盟国のうち英語圏は英米加3ヵ国のみであり、それ以外はドイツ、フランス、イタリア、スペインなど欧州連合(EU)主要国に加え、非EU圏からもトルコやノルウェーなどが参加する安全保障の複合的な枠組みです。

このことから、あくまでも当ウェブサイトの勝手な印象で恐縮ですが、実質的な活動はさておき、UKUSA/ファイブアイズは、「相互に信頼できる国同士が高度に軍事情報などを共有するための仕組み」であり、「その協定に参加していること」自体が何らかのメッセージ性を帯びているようにも思えるのです。

ガーディアン「ファイブアイズの拡大」

さて、米国などを中心に、中国リスクが日々、強く意識されるなかで、先週、英ガーディアンがこんな記事を報じました。

Five Eyes alliance could expand in scope to counteract China

The Five Eyes intelligence alliance could be expanded to include Japan and broadened into a strategic economic relationship that pools key strategic reserves such as critical minerals and medical supplies, according to centre-right MPs working internationally to decouple the west from China.<<…続きを読む>>
―――2020/07/29 05.00 BST付 The Guardianより

ガーディアンの報道内容を日本語で要約し、箇条書きにすると、次のとおりです。

  • 西側諸国と中国の対立が強まるなか、1941年に結成された「ファイブアイズ」と呼ばれるインテリジェンス同盟については、対象国を日本などにも拡大するとともに、重要な戦略物資の備蓄・共有を含めた経済的関係にまで発展させるという構想が浮上している
  • コロナ危機は西側諸国の中国に対する戦略物資の依存が大きいという実態が明らかになったが、こうしたなか、これらの物資の対中依存度を減らすための対策が、豪州、カナダ、米国などから近日中に発表されると見られる
  • とくにレアアースは携帯電話やPC、テレビなどの消費財、ジェットエンジン、衛星、ミサイルなどの防衛用途に至るまで広範囲に使用されているが、それと同時に過去10年間で中国が平均して世界の供給の9割以上を占めている
  • ファイブアイズの強化に賛同する豪州のアンドリュー・ハスティ議員はヘンリー・ジャクソン・ソサエティが主催した「脱中国セミナー」で、「サプライチェーンの見直しと欠点の洗い出しはファイブアイズ諸国共通の課題だ」などとして、自由貿易圏の構築の必要性を強調した
  • 日本の河野太郎防衛相は先週のチャイナ・リサーチ・グループのセミナーで、日本がファイブアイズの6番目のパートナーとなるべきだと提案し、英国のトマス・タジェンダット議員はこの提案を歓迎した

…。

なかなか興味深い記事ですね。

ちなみにガーディアンによると、河野太郎防衛相は英国に対し、環太平洋パートナーシップ(CPTPP)への参加を歓迎するなどと述べたそうですが、経済的にも軍事的にも、日英の距離感が縮まっていることは間違いなさそうです。

河野防衛相はまた、中国が経済発展を遂げつつあることで、外国のテクノロジー関連企業を買収する経済力を身に着けつつあると指摘したそうです。いわば、このファイブアイズに日本を加えた「シックスアイズ」が、軍事・経済同盟としての性格を持つべきだ、というわけですね。

中国共産党の脅し

中国共産党のわかりやすい反応

ただ、こうした「ファイブアイズ」あらため「シックスアイズ」構想に対しては、中国共産党系の機関紙である『環球時報』の英語版、すなわち『グローバルタイムズ』が7月30日付で、「中日両国はあらたな敵意を避けねばならない」とする社説を掲載しています。

China, Japan should avoid new animosity: Global Times editorial

British media reported that the Five Eyes intelligence alliance could be expanded to include Japan and become the “Six Eyes alliance,” and be broadened into a strategic economic relationship, according to some British center-right members of parliament. Japanese Defense Minister Taro Kono has said Japan would welcome an invitation to join the Five Eyes alliance. <<…続きを読む>>
―――2020/7/30 21:11:26付 環球時報英語版より

環球時報の主張の要諦を著者の文責で要約し、箇条書きにしておきます。

  • ファイブアイズはもともと、非ユーラシア大陸諸国の5つの英語圏国家で構成されている
  • 以前はおもに情報同盟だったが、最近の中米対立悪化を受け、4ヵ国がほかの西側諸国と比べ、よりいっそう米国に追随するものとなっている。また、米国の側も、中国と対決するうえでNATOを全面的な味方につけることが困難であると理解しているため、ファイブアイズを大事にしている。
  • 現在、このファイブアイズは日本といちゃついているが、もし日本がこのファイブアイズ同盟に加われば、日本が中国に対する同盟の前哨基地となりかねない。しかし、これは東京が北京に送りたいメッセージなのであろうか?東京はいま一度熟考すべきだ
  • そもそもファイブアイズにはフランスやイタリア、ドイツなどは参加していないが、なぜファイブアイズ諸国は日本を同盟に含めるようとしているのか、理解に苦しむ
  • 中日両国には長い友好的な交流の歴史もあるし、日本は第二次大戦で高額の代償を支払うまで中国を侵略し続けた歴史がある。中日両国はこの歴史問題の解決と管理の過程にあり、双方は新たな紛争の発生を回避する義務がある
  • 中国はアジアで最も強力な国としての地位を取り戻しつつあり、日本がこれに懸念を抱くのは普通のことといえるかもしれないが、しかし、中国は日本より強力であり、これは両国間の正常な状態への復帰である
  • 日本が歴史的理由により、米国と同盟関係にあるのは理解できるが、中米戦略的競争の時代において、日本は米国に味方してはならないし、米国が中国を崩壊させるのを助けるべきではない。それは中国の革新的利益に影響を与え、中日間に新たな敵意を生み出すからだ

…。

壮絶すぎる社説

端的にいえば、壮絶すぎて言葉を失いそうになる社説ですね。

この環球時報の社説で「あぁ、そういえばそうだな」と納得した部分は、「ファイブアイズ加盟国は非ユーラシア大陸国家ばかりだ」というくだりだけであり、それ以外の部分については読んでいて思わず苦笑いしてしまいます。

というのも、「日本は米国ではなく中国の味方をしろ」、「中国はアジア最強の国だから日本は中国に従え」、などと言っているのと同じだからです。ついに中国共産党が堂々とホンネをむき出しにしてきた、ということでしょう。

この点、現在進行形で尖閣諸島周辺の領海に侵入したり、沖ノ鳥島を「ただの岩だ」と言って無断で海洋調査をしてみたり、日本国内でさまざまな工作活動をしてみたり…。そんな国が「日本の長年の友好国」とは、片腹痛いとしか言いようがありません。

ただ、逆に言えば、環球時報が「日本はファイブアイズに加わるな」と警告しているということは、ファイブアイズに加わることが日本にとって正しい道だ、ということです。

あるいは、中国共産党としては、日本が日米同盟に加えて「ファイブアイズ」に正式に加わると、中国の「世界戦略」の邪魔になる、ということを、中国としては心の底から恐れている、という言い方をしても良いと思います。

決して良好ではない、日本国民の対中感情

では、日本国民は中国のことを、どう考えているのでしょうか。

そのヒントは、内閣府が発表する『外交に関する世論調査』にあります。

当ウェブサイトでは昨年の『【速報】「韓国に親しみ感じない」が初めて7割を超過』でも紹介しましたが、2019年12月20日に公表された最新調査に基づけば、日本国民の7割超が依然として中国に「親しみを感じていない」と答えています(図表)。

図表 日本人は中国に対して親しみを感じているか?

(【出所】『外交に関する世論調査(令和元年10月)』より著者作成)

これを見ると、日本人の対中感情の推移がよくわかります。

調査が始まった1978年頃、中国に対して親しみを感じている人の割合は6割を超えていたのが、日本が平成に入った直後から中国に対する親近感が急落。親近感と不信感が拮抗する状態が15年ほど継続します。

ところが、こうした膠着状況は2004年に入って、一気に変化します。「中国に親しみを感じない」と答えた人が「中国に親しみを感じる」と答えた人の割合を劇的上回ったのです。その後、現在に至るまで、「中国に親しみを感じる人」の割合が「親しみを感じない人」の割合を上回ることはありません。

それどころか、2012年から15年にかけては、中国に親しみを感じない人の割合がじつに8割を超すなど、日本国民の対中感情は決して良好とは言えません。

日中関係をどうすべきか

日中関係の悪化は中国が招いたもの

ただ、この結果については、個人的には決して違和感なく読めてしまいます。

というよりも、日本国民が中国に対し、親近感を抱くような材料があるのか、むしろ疑問でもあります。

たしかに、日中は長い歴史の中で、お互いに影響を与え合ってきましたし、漢字を筆頭に、私たち日本国民にとっては血肉のような文明の多くは古代中国からもたらされたものでもあります。この点については、まともな日本国民であればだれしも認める点ですし、また、漢籍に親しむ日本国民も大勢います。

しかしながら、古代からの付き合いと、現代の付き合いは、また別物ですし、現代中国ではしばしば、大規模な反日デモが発生しています(たとえば日本が小泉純一郎政権下にあった2005年のデモや、野田佳彦政権下にあった2012年のデモなどが有名です)。

また、菅直人政権下で発生した尖閣諸島沖合での漁船衝突事件などでは、中国当局は対抗措置として訪中中の日本人の身柄を拘束したり、日本に対するレアアースなどの輸出を禁止したりするなど、あからさまに敵意をむき出しにしたこともあります。

さらには、2012年12月に安倍晋三政権が発足して以降、習近平(しゅう・きんぺい)政権はしばらく日中首脳会談に応じようとしませんでしたし、2014年に中国・北京で開催されたAPEC会合の際には、習近平主席は訪中した安倍晋三総理大臣を仏頂面で迎えたほどです(図表2)。

図表2 憮然とした表情で安倍総理を迎える習近平主席

(【出所】2014年11月10日付外務省『日中首脳会談』)

もちろん、中国人民の側にも、過去の歴史問題などで日本に対し、よからぬ感情を持っている人がいることは否定できません。

しかし、日本の側の反中感情は、どちらかといえば、「現代の中国の日本に対するふるまい」がもたらしたものであり、その意味では、日中関係の悪化は、ある意味では中国の行為がもたらした自業自得のようなものでもあると思う次第です。

なお、ついでに申し上げれば、産経ニュースには昨日、こんな記事も出ていました。

<独自>中国、漁船群の尖閣領海侵入を予告 「日本に止める資格ない」

中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での多数の漁船による領海侵入を予告するような主張とともに、日本側に航行制止を「要求する資格はない」と伝えてきていたことが2日、分かった。<<…続きを読む>>
―――2020.8.2 19:22付 産経ニュースより

この産経の記事の報道が事実なら、「盗人猛々しい」としか言いようがありませんね。

中国のような国になりたいですか?

ただ、冷静に考えて、もっと根源的な疑問があります。

それは、私たち日本国民が「中国のような国になりたい」と思っているかどうか、です。

もちろん、中国人のある意味でドライな国民性に憧れる日本人も、いるにはいると思いますが、そのような人はどちらかといえば少数派ではないかと思います。これはどちらが良い、悪いという話ではなく、現代の日本と中国は、まったく異なる文明に所属している、という意味です。

それだけではありません。

中国共産党の一党独裁国家である中国には言論の自由はありませんし、人民は政治に参加することができませんし、法律による公平な統治というものも期待できません(親戚や知り合いに中国共産党幹部などがいれば豊かな暮らしができるという話もあるようですが…)。

共産主義国である中国では、自由主義国である日本と異なり、貧富の格差が非常に大きいという話をしばしば耳にしますが、これなど壮大な皮肉と言わざるを得ません。

私たちは中国とどう向き合うべきか

もちろん、私たちは日本人であり、中国という国とはまったく異なる文明に属しているわけですので、文明的な観点からは、「日本は日本」、「中国は中国」、と、両者の違いを認め、お互い尊重しあうこと自体は必要でしょう。

ただ、ここで問題にしたいのは、日中の文化的な違いの観点ではありません。

中国共産党が支配する現代中国が、国際法や国際社会のルールを無視し、おもに西側諸国の最先端の技術を盗み出して不当な利益を得たり、勝手に岩礁に軍事基地を建設して領有権を主張したりしていることです。

もちろん、中国が国際法なり国際的なルールなりをきちんと守りながら平和的に台頭してきたのならば、私たち西側諸国としても、そうした動きを歓迎すべきでしょう。しかし、現実には、そうではありません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

といっても、結局のところ、私たち日本が一国で中国と対決するには、どうしても国防コストなどの点で負担が重くなりすぎますし、ローマとカルタゴのような「相手を滅ぼす戦争」を日中が戦うわけにもいきません。

そうなると、おのずから結果は見えています。それは、次の3点です。

  • ①日本がまず、国内経済をしっかりと発展させ、国民生活を安定させること
  • ②日本単独で自衛力を行使できるよう、法制度をしっかり整えること
  • ③日米同盟を基軸に、基本的価値を共有する国々(ファイブアイズ、インド、台湾など)との連携を進めること

つまり、なにも「中国を攻め滅ぼせ」、という話ではありません。日本がしっかりと国力をつけ、自国のことは自国で守れるように体制を整備しつつ、自由と民主主義を愛する国同士でしっかりと連携し、少なくとも中国の不法行為をやめさせるために、国際的なパワーを結集しなければならない、ということです。

とくに、中国はチベット、ウイグルなどでの人権弾圧、民族浄化を進行させているようですし、こうした行為は今すぐにでもやめさせなければなりません。また、東シナ海や南シナ海、中印国境などでの国際法に反した国境紛争についてもやめさせる必要があります。

さらには、武漢コロナを全世界にばらまいた情報の隠蔽体質も大いに問題ですし、こうした問題を抱えた国を、現在のまま国際的な自由貿易社会に存在させてよいのか、急いで議論する必要があります。

日本がファイブアイズに加わるということは、こうした議論に日本が積極的に関与するという意味であり、国防を筆頭に、さまざまな面での負担が今以上に高まることは間違いありませんが、それでも私たちはこうした負担に耐えられるだけの強い経済と国防体制を作り上げていかねばならないのではないでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (42)

  • 更新ありがとうございます。
    中国からしてみたら、日本は海洋進出を邪魔する蓋になりますので、蓋が強化されるのを避けたいのがミエミエですね。
    ちょっと古いですが、こんな記事がありましたのでリンク張っておきます。

    「逆さ地図」で見る、中国にとって邪魔な日本 - 強引に海を渡ろうとする中国の真意
    https://toyokeizai.net/articles/-/70361

  • 日本企業のトップは、頭に入っているのだろうか。日中間で、あるいは米中間ででも一旦大事が起きると、 中国にいる日本人は家族を含めて人質となる可能性がある。尖閣で証明済みだ。場合によると、日韓間でもありうるのに。

     (中国共産党は、怪しげな種子を日米の農家に送りつけているらしい。コロナで味をしめた中国共産党、これからはもっと巧妙にウィルスをばらまくと予想していたが、こういうことになると知恵が回ることよ。差出人不明の中国からの封書は、郵政省がストップするなどの対策が必要になってきそう。)

    • むしろ、政府に民間人を見捨てる覚悟があるかどうかだと思います。

      これまでのところ、政府は日本企業の国内回帰を促すために補助金をだすなど、中国をデカップリングすべしとのメッセージを発信しています。米国が中国に厳しい姿勢で臨み、欧州諸国もそれに追随する動きを見せていることも報道されています。

      それでも中国にしがみつきたい企業経営者がいるなら、彼等に対して日本政府は「各自の判断でご自由に、但し政府は救済しませんよ」くらいのことは言ってもいいと思います。

      経団連のお花畑にいつまでも水をやる必要はありません。

  • 中国は、日本が明確に敵にまわらないよう必死です。
    昨日も、こんな報道がありました。
    "「日本企業は出ていくのか?」 危機感強める中国当局" (産経デジタル 8/2(日) 17:42)
    「ただ、中国は巨大な国内市場を盾に外資系企業の引き留めを図る構えだ。鍾山(しょうさん)商務相は5月に「中国には14億人の市場がある。賢い企業家は巨大な中国市場を捨てることはないだろう」と牽制(けんせい)した。」
    とあります。
    まぁ、従来からの中国の主張ですが、そんなの嘘。

    中国人民全員が、日本企業の顧客になるほど豊かですか ?
    中国は、日本人には想像できないくらいの格差社会です。
    本当に豊かなのは、中国共産党員(それも幹部クラス)と、それにコネのある極一部の人達だけでしょ。
    せいぜい、中国の人口の1割か、多く見積もっても2割に過ぎません。
    それ以外は、人と見做されているのかどうかさえ疑問なくらい。

    果たして、それほど魅力的な市場でしょうか ?
    魅力よりも、チャイナリスクの方が遥かに大きいと思いますが。

    • チャイナリスクに対して日本にできることはいくらもあります。「電源プラグを引っこ抜く」「バスタブの栓を取り払う」戦術です。中国戦線を拡大続けた挙句にずぶずぶで潰滅敗走したかつての黒い記憶を21世紀に再現することがあってはなりません。生産装置やテクノロジーをかっぱらわれて撤退となったところで企業経営の失敗に過ぎないといえばそれだけのことですが。

    • イーシャ様

      中国(共産党)に対して懸念される方はお見えになるのですが、中国市場購買層について、こんなにはっきりコメントされる方はあまりお見受けしませんので、私の一言。

      >中国人民全員が、日本企業の顧客になるほど豊かですか ?
      >中国は、日本人には想像できないくらいの格差社会です。

      おっしゃるように外国企業の顧客となるような人たちは上海など沿岸部に偏っていると思います。

      現役時代に重慶の合弁企業に出張で短期滞在をしたことがあります。
      我々日本人の相手をする現地人スタッフと飯を食いに行く時はそれなりの店(とは言っても日本でいったら場末の中華料理屋といった風情ですが)に行きますが、工場ワーカーは屋台で洗面器で飯を食ってました。この工場はトラックの合弁工場でしたが、彼らが自身で作っているトラックを買える日がくるのかなと思いました。
      十数年前の話しですが、今劇的に改善されてるようには思いません。14億人の購買層は共産党の宣伝とそれに踊らされた日本企業の幻想に思えます。

      • 三参三 様

        賛同いただきありがとうございます。
        鬱陶しい隣国との関係のなかで、学んだことがあります。
        「日本人が騙されやすい甘美な嘘には、事実をつきつけること」
        それが一番だと思うのです。

  • 更新ありがとうございます。

    英国、米国、カナダ、豪州、ニュージーランドの5ヵ国は、「UKUSA協定」という通信情報に関する秘密協定を締結、「ファイブアイズ」か。なるほど英連邦のメジャー級と米国ですね。何故今まで入っていなかったのか、というのは彼ら白人としての矜持もプライドもあるだろうから、敢えて無視します。

    思い起こせば、70〜80年代の中国というと、朝は自転車の大軍がバッタのように道路に押し寄せ、地方は電話をするにも片道4km歩かねばならないと、国費留学生が言ってました。

    90年代に模倣から安もんを作り、家電、雑貨、食品、諸工業で日本、米国らを圧倒し出します。当然貧富の差は大きく、富裕層がドーンと生まれた。
    その頃からですね。「中国に親しみを感じない」と答えた人が「中国に親しみを感じる」と答えた人を上回ったのは。いろいろ尽くしてやったのに、未だに国民を煽る為、日本は悪いことした国と教える。

    もっとまともな国、価値観が伴う同士なら良いのですが、今の中国共産党が支配する現代中国は、国際法や国際社会のルールを無視し、勝手に岩礁に軍事基地を建設して領有権を主張したりしていることです。

    日本がファイブアイズ(シックスアイズ)に加わるということは、こうした議論に日本が関与するという意味であり、国防を筆頭に、仲間、絆が深まります。是非加入すべきでしょう。

  • 中共は、日本に対しては、分かりやすい反応をする事が有ります。米中でやり合う時に、日本がどちらに付くかで、結果に大きく影響すると思います。
    日本が付くのは、アメリカ側という事になるのは、政府の対応から見れば、明らかだと思います。
    中共は、日本を取り込むカードが有りませんから、力で日本を変えようとすると思います。この時、国内の工作員が動くと思いますので、良く注意して観察しましょう。
    尖閣に入ってくるのは漁船でも、乗組員は武装している軍人と区別が付きませんので、海上保安庁では手に余る事になると思います。自衛隊と米軍がどう動くかが、日本の将来に大きく影響すると思います。

  • 何度もだまされないように気を付けないとね

    中国をめぐる、このような議論というか懸念は、20数年前に活発だとよかったんだが。
    あの頃、「WTOに移行すると、中国人の給与と足して2で割るようになるぞ」と言っても、聞いてくれる人は少なかった。が、その後の日本経済の停滞、そして低所得層の増加を見るたびに嘆息しつつ、中国沿海地区(浙江、江蘇、広東)の一般職の給与水準をウオッチし続けている。

    日本経済、そして社会の停滞は、これといった技術革新がないこととWTO体制の影響がもたらしたものといえるが情報発信者の多くは口をつぐんでいる。

    中国と日本との、いまの対立点のわかりやすい事例は尖閣をめぐる紛争。日本が実効支配しているが帰属には議論の余地がある、という日中双方の認識のもとに日中条約が結ばれた。火種は尖閣の国有化の際に事前協議が不十分だったのだろう。それを、いまちゅうごくがばいがえししている。

    つづく

  • 何度もだまされないように(2)

    5eyesに加わろう、という議論がある。
    熱しやすく冷めやすい、という日本人評があるが、5eyesとは、そんな生易しいものではない。
    トルコは永年にわたってNATOの南正面を支えてきた国であり、反ロシア感情の強い国でもある。EU加盟を望んでいるが、はっきりとは言わないがEUはキリスト教文明連合でもあるから、イスラムのトルコは加盟できないでいる。そのトルコが、軸足を少しだけロシアに向けている。

    WTOにおいて、中国がルールを悪用して多くの利益を得ているが、はっきりと糾弾しているのはアメリカ兄貴くらいで、他国はどうしようもできずにいる。おそらく、将来インドもそのまねをする可能性が大きい。

    日本の戦国時代に「先駆け衆」という言葉があった。意味は、あとから恭順してきた新参者は、いちばんつらい持ち場で働け、というものだ。
    5eyesとは、キリスト教文明を共有する旧英系国家連合でもある。これに加われば、NATOにおけるトルコのように、戦国時代の先駆け衆のように、下働きをずっと続けていかなくてはならない。その根気があるなら、参加するのはいい選択だと思う。

    • おとら様へ

      なかなか面白い論考ですね。
      アメリカ『兄貴』とは…(笑)
      しかも、日本の大手メディアにはほとんど出て来ることはない予想内容に、日本人のコメントではなかなか出てこない戦略的な思考方法…(笑)
      (どこかのメディアにはよく顔が出てくる戦略的な思考方法です。)
      無視すべきかと思ったのですが、我慢できませんでした。

      ≫日本の戦国時代に「先駆け衆」という言葉があった。意味は、あとから恭順してきた新参者は、いちばんつらい持ち場で働け、というものだ。
      5eyesとは、キリスト教文明を共有する旧英系国家連合でもある。これに加われば、NATOにおけるトルコのように、戦国時代の先駆け衆のように、下働きをずっと続けていかなくてはならない。

      ご指摘の通りですよ。
      日本はあくまでも『外様』の立場です。しかも米中で戦争があるなら、米中に挟まれた日本は最前線に立ってキリキリ働け、『多少の犠牲』が出たとしても文句を言うな、これだけ『優遇』してやっているんだからな、という無言の圧力が常にかかってくることを覚悟しなくてはならない。
      しかし、そこまでしないとこの先、日本は生き残れないでしょう。二度も敗戦してしまうと、日本人そのものがこの世界から消滅してしまうでしょう。
      つらい立場です。この危機感ゆえに、日本はファイブ・アイズに加わらなくてはならないでしょう。
      こう言うと、相手は日本の足許を見透かして来るでしょう。(既に足許を見透かされているから、あえて言うのですが…)
      しかし、相手が足許を見透かして来るという恐怖感ゆえに、こうしたことを絶対に言えない人種がお隣にいる。日本人が強がりを言い続けて破滅に向かう人々ではないことだけは、ここで示しておきたいのですよ…

      一つ言い添えると、アメリカ合衆国と言えども英連邦(コモンウェルス)からすれば外様の立場だったのです。
      それゆえに『世界の警察官』と持ち上げられながら、世界中のあらゆる地域にその軍事力を派兵しなくてはならなかったとも言えます。(アメリカ人の多くは世界各国の国名はおろか州名すらろくすっぽわからないのに、世界中の戦場で犠牲を強いられることにアメリカ国民はこりごりしていたとも言えます。)

    • 中共に飲み込まれて英米相手に戦わされる下働きよりは余程マシだと思いますよ。
      本来、日本が自力でどうにかしなきゃない話なのですから。

      ドップリ浸かるんでなく、対中協力体制に留めるのが肝要と思います。

  • 数年前に小笠原周辺海域に中国漁船が大挙して侵入し赤珊瑚を盗みまくった事件がありました。
    中国には憤りを、日本には無力感を抱きました。
    今、尖閣に中国公船が領海x侵犯を常態化させていますが、このまま日本が生ぬるい対応をしていると、尖閣周辺海域に中国漁船がやって来て荒らし回る時が来るだろうと思っていました。漁船員を装った武装勢力が上陸占拠するだろうとも思っています。
    今日の産経の記事では、大挙侵入「日本に止める資格ない」などと訳が分からないことをぬかしています。
    中国はサラミをスライスするように日本の対応を見ています。
    日本政府が中国の行動に応じた対応を考えていて、実力行使すると思いたいです。

    ファイブアイズが主題でしたね。
    日本が入れるといいですね。英語を話せる日本人は多いと思いますが、その中に国益をきちんと考えられる人がどのくらいいるのか。害務省と揶揄されるようなところもありますので機密情報の管理を含め、日本がファイブアイズ諸国に認められると嬉しいです。

  • 何度もだまされないように(3)

    「尖閣は日米安保条約が適用される場所」と、アメリカ兄貴の高官たちが何度も発言している。が、それは有事の際にアメリカ軍がここで戦ってくれる、ことを約束するものではないだろう。

    かつてベトナムに50万の大軍を派遣し、事実上敗北したアメリカには、「あんなところに子弟を送る意味があるのか」という疑問を当時も、そしていまもトラウマを残している。そのアメリカが、あんな岩山だらけの小さな島に米軍を派遣してくれる可能性は低い。
    「心から応援するよ、日本、がんばれよ」とエールを送ってくれるだけだと思った方がいい。

    十倍の人口をもつ中国を相手に、どこまで頑張れるか、日本の本気度が試されている。コロナ不況であろうと、国債を増発しつつ消費税も15%程度に上げて、防衛、海上保安庁に潤沢な臨時予算をまわし、米軍が日本を出ていくなら、その引き換えに核兵器保有をアメリカ兄貴に納得させる、というのが今なされるべきことだと思うが。
    文字通り生活苦に絶えて納税してこそ「血税」の意味が理解できるだろう。イージスアショアのようなものに大金を費やすのが妥当なのかどうか、喫緊の課題は何か、国民的な議論があっていい。

    ロシアはシベリア出兵を学校で教え、中国も日本との戦争を教えているが、日本の歴史教育は近現代史が充分とはいえない。このような教育を受けた国民に現状認識をまちがえずにやれるかどうか、むずかしいんだけれど、いまは頑張りどころだと思う。

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