中国という国は、全力で全方位にケンカを売る、非常に面白い国なのかもしれません。日本の領土である沖ノ鳥島や尖閣諸島などに中国の船舶が出没することが常態化しており、日本の安全保障にとってはきわめて深刻な脅威が出現している形ですが、それと同時に、「ケンポーキュージョーがあれば日本は平和になる」というバカな考え方を粉々に打ち砕いてくれているという意味では、一種の「劇薬」としてはちょうど良いのかもしれません。
目次
沖ノ鳥島
中国政府「沖ノ鳥島は島ではなく岩」
中国とは、ナチュラルに特大ブーメランを放つという意味で、なかなかおもしろい国です。
中国が日本最南端の無人島である沖ノ鳥島をめぐって、「島ではなく岩だ」と主張しているという話題は、最近、いくつかのメディアで取り上げられるようになりました。ここでは産経ニュースの数日前の記事を紹介しておきましょう。
沖ノ鳥島EEZで中国船、10日連続航行 海洋調査も 日本政府が抗議「即時に中止すべきだ」
日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)周辺の排他的経済水域(EEZ)で18日、中国調査船がワイヤのようなものを引き上げているのを海上保安庁が確認した。<<…続きを読む>>
―――2020.7.18 20:28付 産経ニュースより
産経ニュースによれば、沖ノ鳥島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に18日、中国の調査船が10日連続であらわれ、ワイヤのようなものを引き上げている姿が海上保安庁により確認されたのだそうです。
また、この産経ニュースの記事によれば、国連海洋法条約では他国のEEZにおける無断の海洋調査を認めていないのですが、中国政府側は沖ノ鳥島を「島ではなく岩礁だ」と主張。中国調査船が同島周辺で科学的調査をするのに「日本の許可は必要ない」、などと言い張っているのだとか。
沖ノ鳥島の護岸工事
このあたり、国土交通省・関東地方整備局のウェブサイトに掲載されている『沖ノ鳥島』のページによれば、この島はもともと東西約4.5㎞、南北約1.7㎞、周囲11㎞の卓礁でしたが、現在は北小島、東小島の2つの島が海面上に残るのみとなってしまっています(図表1)。
図表1 沖ノ鳥島と日本のEEZ
(【出所】国土交通省関東地方整備局『沖ノ鳥島』)
このため、この2つの小島が浸食によって水没するおそれがあったことから、1987年から護岸設置などの保全工事が実施され、1999年以降は全額国費負担で建設省(現・国土交通省)が直接海岸の維持管理を行うこととなり、現在に至っています。
もしこれらの工事が行われていなかったとしたら、もしかしたらいまごろ、沖ノ鳥島は浸食され、すでに水没していた可能性もあるでしょう。
中国は国際法違反
今から4年前のPCA裁定に見る「島」の要件
もっとも、中国当局がこれを「岩である」と主張するのは、おそらく日本がEEZを設定している根拠そのものを無効だと述べようとするものでしょう。
ここで少し気になる論点もあります。
今から約4年前の2016年7月、南シナ海で中国が主張している「九段線」(図表2)と呼ばれる強引な領有権主張をめぐり、フィリピンがオランダ‣ハーグにある常設仲裁裁判所(PCA)で「中国の主張には法的根拠がなく、国際法違反である」という判決を勝ち取ったことがありました。
図表2 中国が主張する「九段線」
(【出所】防衛省『<解説>中国による南シナ海における海洋活動の活発化について』)
ただ、この裁定を巡り、産経ニュースには2016年7月13日付で、こんな解説記事が掲載されています。
国際法上の「島」の要件を厳格化 仲裁裁定、専門家が注目 沖ノ鳥島にも影響の可能性
南シナ海での中国の領有権を否定した12日の仲裁裁定で、裁判所が示した国際法上の「島」の解釈が、専門家に「隠れた焦点」として注目されている。<<…続きを読む>>
―――2016.7.13 21:22付 産経ニュースより
産経によると、仲裁裁判の裁定では、南シナ海の岩礁はEEZや大陸棚を設定することができる島ではなく、そうした経済権益を生じさせない「岩」や「低潮高地」だと判断。あわせて「島」を規定した国連海洋法条約第121条に次のような解釈を示したのだそうです。
- 「島」で人間集団が安定した共同体(コミュニティー)を維持することが可能
- 外部に依存しないで「経済的生活」を保つことが可能
そうなると、海に侵食され、沈みそうになっている沖ノ鳥島の場合を巡っても、そもそもEEZなどを設定する際の根拠となる「島」としての要件を満たしていない、と解釈する余地が生じてくる可能性はあるでしょう。つまり、日本の領有権・EEZの主張は、若干弱い、というわけですね。
特大ブーメラン!
おそらく、「沖ノ鳥島は島ではなく岩である」とする中国側の主張は、このPCAによる裁定なども念頭にあるのかもしれません。たしかに痛いところを突かれた、というわけです。
ところが、万が一、中国がこの2016年7月のPCA裁定をベースに「沖ノ鳥島は島ではなく岩礁だ」と主張するならば、その主張は中国自身に特大ブーメランとして突き刺さります。
なぜなら、中国が南シナ海に「九段線」(別名「牛の舌」)と呼ばれる強引な領有権、EEZなどの主張の根拠となっている「島」が、「島」ではなく「岩」である、と自ら認めることになってしまいかねない主張だからです。
あくまでも著者自身が手元に持つ当時のメモによれば、中国が九段線で囲まれた海域に持つとされる「歴史的権利」等の主張は国連海洋法条約違反であるとし、また、中国がこの地域にEEZを生成すると主張する根拠となっているスカボロー礁を含めた複数の礁は「島ではなく岩である」と断じられました。
すなわち、もしも中国が沖ノ鳥島を「岩だ」と主張するなら、みずからが南シナ海上で勝手に占領する礁こそ単なる岩であり、中国自身の主張が根拠を持たないことになってしまうのです。
全方位にケンカを売る中国
さて、中国という国がなかなか「面白い」のは、この国が現在、全方位にケンカを売っていることでしょう。
たとえば、日本に対しては先ほど紹介した沖ノ鳥島のものだけでなく、沖縄県石垣市の尖閣諸島をめぐって、外交ルートを通して日本の漁船に対し「立ち入るな」と要求した、という話題があります。
98日連続で尖閣侵入“言語道断”の中国! 日本漁船に「立ち入るな」と要求…許しがたい非礼
中国の傍若無人ぶりが、また明らかになった。中国政府が今月、日本政府に対し、沖縄県・尖閣諸島の領有権を主張し、周辺海域での日本漁船の操業は「領海侵入」だとして立ち入らせないよう外交ルートを通じて要求してきたのだ。<<…続きを読む>>
―――2020.7.20付 zakzakより
その一方で、中国は隣接する大国・インドとの関係も損ねているようです。
情報BOX:南シナ海巡り踏み込む米国、東南ア諸国も中国批判
米政府が南シナ海を巡って中国への姿勢を硬化させた。<<…続きを読む>>
―――2020年7月20日 16:47付 ロイターより
ロイターによると、米国のマイク‣ポンペオ国務長官は中国に対し、「海洋帝国の構築をもくろんでいる」などと批判したほか、「同海域に利害を持つブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムからも対中批判が高まっている」、などとしています。
また、先月は中国とインドの両軍が国境付近で衝突し、少なくとも20人のインド兵が亡くなるという事件が発生しています。
インドと中国、国境付近で衝突 インド兵20人以上死亡か
インド当局は16日、中国と国境を争うヒマラヤ山脈地帯で両国軍が衝突し、インド兵が少なくとも20人死亡したと発表した。<<…続きを読む>>
―――2020年6月17日付 BBC NEWS JAPANより
さらには、中国は今月、おもに西側諸国の強い懸念と反発を無視し、香港に対して国家安全法を適用し、「一国家二制度」が事実上、破綻したという状況です(『香港国家安全法を受けた「対中経済制裁」発動パターン』等参照)。
自然に考えて、中国は周辺国のすべてを敵に回し、自滅へのルートを辿っているようにしか見えません。
自滅する中国
中国の暴発に備える必要性は?
もちろん、中国が沖ノ鳥島や尖閣諸島などの周辺で活動していることは、わが国の安全保障にとっては極めて深刻な事態ですし、それにもかかわらず、国会では野党勢力などが憲法審査を含め、安全保障をめぐる前向きな議論に応じようとしないのは、本当に困った話でもあります。
このままだと、日本の領海は、なし崩し的に中国に実効支配され、徐々に日本の権益と安全が脅かされる事態も実現しかねません。
その意味では、国防に関する議論を妨害している特定野党、中国による危険な侵略行為をほとんど報じようとしない特定メディアに対しては、本当に憤りを感じますし、また、わが国の海の安全を守る海上保安官の給与がNHKの職員よりもはるかに低いというのも、あきらかにおかしな話です。
当然、増税原理主義・緊縮財政主義に基づき安全保障予算をケチる財務省も、間接的に中国による日本への侵略に加担しているといえますし、その意味では岡本薫明事務次官を筆頭とする財務官僚らは、まさに外患を誘致しようとしている実行犯でもあります。
まずは国際社会と連携し、中国包囲網を
ただし、批判を覚悟であえて申し上げますが、個人的にはこの中国による動きについては、「水と平和と安全はタダ」だと思っている日本国民に対する劇薬になっているのかもしれない、と思うようになりました。
昨日の『敵基地攻撃議論を「爪を見せ始めた」と批判=中央日報』でも議論しましたが、中国や北朝鮮、韓国などの仮想敵国が明らかにおかしな行動をとってくれること自体、「ケンポーキュージョーがあれば戦争は起きない」などと主張するカルト宗教の信者を減らすことにつながるからです。
中国による公船侵入の常態化のみならず、韓国による火器管制レーダー照射や日韓GSOMIA破棄、北朝鮮による日本人拉致は、日本人に対する「ケンポーキュージョー」教の洗脳を解くうえでは、強烈すぎる劇薬ではないかと思う次第です。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
いずれにせよ、現在の日本が最優先でやるべきは、米国、ASEAN、台湾などの友邦と連携し、仮想敵国(ロシアも含む)の脅威を封じ込める、ということでしょう。
『防衛白書、「韓国との防衛協力と連携」をバッサリ削除』でも述べましたが、今年の防衛白書の『図表Ⅲ-3-1-3』に掲載された地図では、仮想敵国(?)である中国・ロシアが白抜きで明治さあれる一方、連携相手国が青字で示されています(図表3)。
図表 中国とロシアが仮想敵国
(【出所】2020年防衛白書『図表Ⅲ-3-1-3』)
北朝鮮と韓国が白抜きになっていないのは、国が小さすぎるからでしょうか。
また、個人的にはインドが青字で示されているのならば、台湾も同様に青字で示されるべきではないか、などと思う次第です。
(※余談ですが、『出版しただけなのにキャンキャン吠える中朝韓』でも報告しましたが、実際に日本が戦争の準備をしたわけではなく、防衛白書を「出版しただけ」で弱い子犬のようにギャンギャン吠える国がいるというのも、面白い話ですね。)
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>岡本薫明事務次官を筆頭とする財務官僚らは、まさに外患を誘致しようとしている実行犯でもあります。
官僚の個人名を書くのはいいですね。
単に財務省と書くより、敵感が増します。
10年ほど前から、海洋資源(特に漁業資源)をめぐって、日本と中国との間で大きな紛争が起こることを懸念してきました。それは恐らく私が生きている間に起こるであろうと。
経済的に急速に豊かになり、かつ、まだ貧困層が多い中国が一層の繁栄を求めるなら、食糧需要が急増するであろうことが理由です。その場合、中国は必ず日本周辺の豊かな漁場を荒らしに来ます。そして、漁業資源の保護など考えることなく根こそぎ収奪してゆくのではないかと。
日本一国でそれを食い止めるのは至難の業でしょう。
しかし、状況は変わりつつあります。
武漢肺炎発生時の情報
近平隠蔽や香港国家安全法など、中国は全世界 (少くとも全先進国) を敵に回しつつあります。また、中国国内を見ても、武漢肺炎という疫病や大洪水に加え、蝗害や地震にまで見舞われています。これらは中国では、皇帝の不徳が招くとされており、国内の不安定化を招くでしょう。洪水被害は衛生状態の悪化につながり、更なる疫病の蔓延も予想されます。他にも、中国経済は低迷しつつありますし、米国の制裁がそれに環をかけようとしています。
そういう国内事情から目をそらすために、敢えて海外に敵を作っているのかもしれません。
しかし、わざわざインドとも紛争を起こしたり、敵を増やし過ぎです。
四面楚歌というか全面楚歌。
中国という国はもっとずる賢い国かと思っていましたが、習
隠蔽近平政権がやっていることは韓国と大差ありません。武漢肺炎で全世界が弱ってはいますが、中国自体も弱っているのです。
そうしたなかで、中国を封じ込めさらに弱体化しようとする動きが世界中に広まっていることは、日本にとっては幸いなことだと言えるかもしれません。
イーシャ様
最近の中国はどう考えても周辺にケンカを売りすぎているように思います。昔、習近平主席がインドに訪問した際、主席の誕生日に合わせて中国のインド国境の部隊が勝手に侵攻をしたという話もありますが、主席であっても末端まではきちんと制御しきれていないのではという印象を受けます。
もしかしたら、習近平政権を揺さぶるため、別の人間があえて外患を誘致しようとしているのでは、なんて想像も浮かんできます。
香港の法案の支持の国を見て、一路一帯は毒まんじゅうだと感じました。
言論の自由のない国、国民の基本的人権を奪う国、言論の自由がないから民主主義ができない国を支持するという、人間としての道を外れてしまいます。
(2020年6月30日 国連人権理事会)
支持:中国、アンティグア・バーブーダ、バーレーン、ベラルーシ、ブルンジ、カンボジア、カメルーン、中央アフリカ共和国、コモロ、コンゴ・ブラザヴィル、キューバ、ジブチ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、エリトリア、ガボン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、イラン、イラク、クウェート、ラオス、レバノン、レソト モーリタニア、モロッコ、モザンビーク、ミャンマー、ネパール、ニカラグア、ニジェール、北朝鮮、オマーン、パキスタン、パレスチナ、パプアニューギニア、サウジアラビア、シエラレオネ、ソマリア、南スーダン、スリランカ、スーダン、スリナム、シリア、タジキスタン、トーゴ、UAE、ベネズエラ、イエメン、ザンビア、ジンバブエ
言論の自由がない中国国民のためにも、香港の法案に反対した国が希望です。
反対: オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ベリーズ、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、アイスランド、アイルランド、ドイツ、日本、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マーシャル諸島、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パラオ、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、スイス、英国
中国を支持した国の中にミャンマーが入っていることに驚きました。国民の多くは中国を嫌い、日本は多額の経済支援をしているにもかかわらず、日本の立ち位置を認識させることが出来ないとは、日本の外交官の能力の低さの象徴ですね。未だに外交官とは太鼓持ちのことだと思っているのでしょうか?
ブータンにも再び手を出そうとしているみたいですが…
対米で詰みだしたので国内向けメクラマシでしょうかネ??
キュージョー教の人は南・東シナ海の牛の舌線と憲法前文を見直せばいいのだわ。特にここ。
>いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって
戦前の日本みたいに思い上がった中国に対して、これに抑圧される国々に対し日本に何ができるのかパヨクは考えるべきなのだ。戦前の日本が話し合いで何とかできる相手だったとでも思っているのだろうか?かつて憲法前文に日本を前提に書かれた(英語翻訳を見て日本語とのニュアンスの違いに頭痛くなったw)「自国のことのみに専念して他国を無視している国」は現在中国となった。そもそも九条も他の条文も憲法前文を実現するための手段を記述しているに過ぎない。そして現在、脅威を与えているのは日本ではなく中国という、その前文の前提が変わっていしまった以上、憲法の精神を守るためには集団的自衛権を滞りなく行使できるように条文を変えるしかない。それが本当の護憲というものだ。前文の精神に合わない条文を放置しておいて何が護憲だ。
> 戦前の日本みたいに思い上がった
> 前の日本が話し合いで何とかできる相手だったとでも
何だか色々と勘違いなさっていらっしゃいますね。
大日本帝国が無謬の存在だったなどと申し上げるつもりはありませんし、満州国建国まではギリギリOKとしても、その後の外交政策はかなり愚かしかったとは私も思っていますが、朝鮮半島の安定化から日清・日露戦争を余儀なくされ、その延長で満州の安定化に引きずられ、国力を顧みず日華事変に突入し、とズルズルと深入りしていった経緯は、思い上がりだけでは説明できません。
スターリンやルーズベルトの邪悪な意思も変数に入れてあげてください。それと日本と同盟を結びながら蒋介石率いる中華民国に武器供与や軍事訓練を施していたナチスドイツというどうしようもない国も。
遡れば日韓併合が全てのケチの始まりです。まことに大日本帝国は、国力を弁えない、マヌケでバカな国だったと思いますが、思い上がっていたとか、話し合いが通じないというのは当たりませんよ。当時、まともに話し合いを申し出てくれた国がありましたか?
斜め上から、「東アジアの平和と安全を守る為、ウリが仲裁するニダ。」と言う国が、出て来そうで嫌だなぁ。
今こそ沖ノ鳥島を人工島にし、観測所など建てましょう!
新宿会計士様
全方位にケンカを売る中国
まさに現在の中国を一言で表現するに相応しい形容句ではないかと、思わずにんまり致しました。
これに似た国家にロシアがありますが、さすがにプーチンは習近平ほどジャイアン的ではありません。しかしその本性は隠しようもなく、ウクライナやジョージアなどの旧ソヴィエト連邦所属国との間には常に軋轢を生み続けておりますし、日本との間にある北方領土問題にもまともに向かい合うつもりなど毛頭ない事は、日本人としては長年の経験で熟知しているところです。
この両国に共通しているのはともに大陸国家であるということです。
大陸国家とは基本的に、主観的であり排他的であるされており、ランドパワーとも言い表されています。これに対立する概念が日本や英国米国に代表される海洋国家であり、こちらは海上の自由交易を経済の基点としているが為に協調的であるとされています。
このように書いてくると、トランプ率いるアメリカが果たして本当に海洋国家なのか?という疑念が湧くのは私だけではないかもしれませんが、その論はひとまず置いておきます。
さてこの海洋国家という概念を初めて世に問うたアルフレッド・セイヤー・マハンの言に依れば「大陸国家であることと海洋国家であるということは両立し得ない」のだそうです。(笑)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E5%9B%BD%E5%AE%B6
習近平の中国は今まさに大陸国家の本性を隠そうともせず、世界征服(少々大袈裟かも)を実現すべくその牙を研ぎ且つその切れ味を試そうとするかのようにインドや中央アジア、果ては我が国周辺にもいざこざの種子を撒き散らしています。
習近平は自国が大陸国家であることぐらいは自覚しているものと見えて、近年盛んに海軍の軍事力を拡充していますが、海軍力を持てば海洋国家になれるかと云うとそうは問屋が卸しません。先述したとおり海洋国家とは海上交易を経済の基本としており、それは自由で開かれた協調的な価値を共有する諸国家による紐帯の上に成り立っている概念なのであります。しかし今の中国にそのような姿勢は微塵も窺えません。
古くはペルシャ帝国、中世にはモンゴル帝国等といった大陸を席巻した大陸国家がありましたが、いずれも滅びるか衰退していきました。盛者必衰の理、奢れる大陸国家は久しからず、であります。(笑)
それにしても習近平にはかつての兵法三十六法にあった遠交近攻という知恵すらなくなっています。
今の中国に交わって助けてくれそうな遠くの味方は、おそらくアフリカの数カ国ぐらいと気まぐれなロシアぐらいなのではないでしょうか。
> 「ケンポーキュージョーがあれば戦争は起きない」などと主張するカルト宗教の信者を減らすことにつながる
あり得ません。実際に何人もの憲法九条信者と話をしてきましたが、カルト宗教信者というものは、論理で話ができる人たちではありません。
このサイトの常連さんの中にも、思い込んだ自説を絶対に曲げない方がいます。見守るオーディエンスはジャッジまではしません。個人対個人の意見の衝突に介入するのは野暮という所でしょう。
ましてや相手はカルト信者ですよ。議論の前提自体が食い違っていますから、話し合いになりません。
鳩山由紀夫元首相の言葉を思い出してください。「日本列島は日本人だけの者ではない!」つまり日本の主権を中国に明け渡すべきと言う信念を、国の最高権力者が持っていたのです。
こんなトンデモ政党を「政権コーターイ!」とかいう言葉に乗せられて投票した人が、日本人有権者の半数以上いたのです。憲法九条信者にとって、の憲法九条があれば戦争は起こらないというのは、常識です。それを信じられない方がどうかしているという感覚です。そのためには日本の主権を中国様に差し出すことに違和感を感じない日本人が過半数を超えていたのです。それが2009年8月の衆議院選挙でした。
人はいかに騙されやすいものか、人の判断力がいかに当てにならないか、それを私は思い知りました。まともではない事でも何でも、大声で繰り返し言えばまかり通るのが現実です。
憲法九条信者が信仰を変えると期待するのは買い被りすぎです。人間の理性を信じてはいけません。人間は必ずしも合理的判断を下しません。
では何を武器として戦うのか? 最近私が熱心に説き、しかし余り理解されていないことですが、人は見た目で判断します。これは左翼が良く理解し、実践していることです。これに対し、保守層は「人間は中身だ」という信念があり、見た目を重んじません。これは保守層の致命的な弱点です。
民主党政権を誕生させたような浮遊層をしっかり取り込むには、外見を整えた政治家やオピニオンリーダーを担ぐことが大事です。
皆様があまり評価しない小泉進次郎先生ですが、彼は自民党の大切な資源です。有能な振付師を付けて上手に踊って頂きたいと願っています。
三原じゅん子、丸川珠代、小野田紀美各氏にも、有能なスタイリストや振付師をあてがって、大衆の心をわしづかみにして頂きたいと願う者です。
衆愚? 何を今さら。民主政治は最初から最後まで衆愚です。有能な政治家はそれを織り込んで行動しなければなりません。そういう意味で私は、トランプ大統領は、米国史上希に見る有能な指導者だと見ています。
阿野煮鱒様
>それが2009年8月の衆議院選挙でした。
2009年8月・・・思い出します。あのときは南米におりましたが、自分にとって初めて在外選挙で投票することになり、それも選挙区投票も可能で、日本にいる人よりも早めに投票しなければならなかったのでよく覚えてます。日本人の同僚が小生のほかに二人いたのですが、日本の裏側の国にいて、日本の生の様子はそれほどよくわからないものの、皆「たまには自民党以外の政党に政権とらせてみるか」といった意見でした。ある日の昼休みに、投票するにも鳩山さんのいる政党のことがいまいちよくわからないので、先ずは政党のHPでもみるかと皆でHPをよく読んでいたところ一言で言うと、日本をくさしているような結構変なことが書いてありました。「えーここに投票するかぁ??」となり、仕方ないが「腐っても鯛」に投票するかと皆で政権交代となることは選ばなかったものの、ふたを開けたら鳩山さんのところが圧勝という外信速報を読んで、皆で妙な気分になったことを思い出します。これって“言葉に乗せられた”人がたくさんいたわけなんですね。しかし自分も日本にいたらいちいちHPなんぞ見もせず周囲に乗せられていたのかもしれません。当時の日本国内がどういう盛り上がり方だったのかは結局のところ肌感覚でわかる術はもはやありませんが。
中国が、何故いま、全方位にケンカを売っているのかについて、評論家や専門家の方々が説明しています。
その中で、私が一番納得したのが、「習近平が、2023年3月に国家主席に再任されるための実績づくり」のためだというものです。
すでに、中国は、2018年3月の全人代で憲法を改正し、「2期10年まで」としていた国家主席の任期を撤廃しました。しかし、これは、自動的に習近平が再任されることにはなりません。
それどころか、昨年までの米中貿易戦争により米国に大幅な譲歩を強いられ、今年になって、武漢コロナウイルス感染症の蔓延、国内経済の失速、失業者の増加など、中国指導部内で習近平の指導力に対する疑問を持つ者が増加しているというのです。もちろん、そうした声が国外に向けて発信されることは有りませんが、国民による選挙が無い中国では、こうした党内抗争は年中行事だそうです。
習近平も、そうした声を意識しており、2023年3月に再任されるためには、習近平が「強い指導者」であるということを実績で示す必要があると考え、「香港国家安全維持法」の強行導入、インド国境での武力衝突、南シナ海や尖閣諸島などでの傍若無人な活動を行っているというのです。
香港を中国共産党の完全な支配下に置くことをほぼ確実にした習近平は、次の標的として尖閣諸島を実力で奪取し、その次は台湾の武力制圧を狙うのではないかと説明していました。
仮に、これが事実であれば、自分の地位を死守するためであれば、国際的な約束も平気で破棄し、他国の領土をも奪い、まさに何でもありということです。
名無しの権兵衛様
なるほど。2023年に自動的に任期が延長されるわけじゃない、んですね。
再任されないといけない、と。
全方位にケンカを売る。新しいスタイルの兵法ですね。
敵の敵は敵。戦いの戦局の中から生きる道を掴もうとしてるのかもしれませんね。
あえて「沖ノ鳥島は日本の領土だ」と主張させ、それに理解を示すことで「南シナ海の岩礁も島である」との認識を国際的な既成事実としたいのかと・・。
おおお、
なるほど感あり
逆転の発想ですね
そこまで賢いとは思いませんが、政治的センス感じます