先ほどの『コロナとは経済問題 無駄な既得権を飼う余裕は消える』で少しだけ取り上げた、安倍総理の昨日の記者会見について、文字起こししたものが首相官邸HPにアップロードされていたので、改めて一読してみたいと思います。安倍総理の発言を読み、情報を整理していけば、これからの日本が直面するであろう課題が、おのずから見えて来るのではないでしょうか。
安倍総理の発言内容
安倍晋三総理大臣は昨日、39県に対する緊急事態宣言の解除とともに、残る8都道府県に対しても緊急事態措置の解除基準を示しました。
新型コロナウイルス感染症対策本部(第34回)
令和2年5月14日、安倍総理は、総理大臣官邸で第34回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました。会議では、新型コロナウイルス感染症への対応について議論が行われました。総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。<<…続きを読む>>
―――2020/05/14付 首相官邸HPより
安倍総理はあわせて、第2次補正予算の編成に着手し、必要な制度の創設のための法案を準備するとして、次の5点を示しました。
- ①雇用調整助成金の日額上限を特例的に15,000円に引き上げ、被用者が直接申請可能な仕組みを創設する
- ②中小・小規模事業者の家賃負担を軽減するための新たな支援制度を創設する
- ③大学生などの学生がアルバイト収入の激減などにより学業を断念することがないような支援の仕組みを創設する
- ④包括支援交付金を全額国費負担とするとともに、大幅な積み増しを行う
- ⑤日本公庫の特別貸付や日本政策投資銀行による危機対応融資の積み増し、劣後ローン当の資本性資金を活用した財務基盤強化
…。
コロナとは経済問題
今朝の『コロナとは経済問題 無駄な既得権を飼う余裕は消える』でも報告しましたが、コロナショックの本質は経済問題であり、スピード感を持って次々と対策を打ち出していく姿勢自体は評価できますが、正直、「質と量」を伴っていなければ意味がありません。
現在、コロナ災害により直接的な打撃を受けて苦しむ中小・零細事業者や社会的弱者に対する支援が必要であるという意味では、とくに家賃支援や公的融資の拡充などの対策が有効であることは間違いありませんが、それだけではやはり不十分です。
復興を本格化させる際には、当然、財源という問題にぶち当たりますし、不当な増税原理主義を掲げ、現在進行形で日本経済を破壊して来た財務省という根源的な問題については避けて通ることはできません。
くどいようですが、以前から『国債372兆円増発と消費税法廃止、そして財務省解体』などで何度も繰り返しお伝えしているとおり、わが国は資金循環構造上、少なくとも372兆円ほど国債を増発しても問題がない、という状況にあります。
また、これだけの国債を増発すれば、むしろわが国の債券市場に十分な量の国債が行きわたることで、日銀は無制限金融緩和に踏み切ることができますし、有効需要の喚起に成功すれば、デフレギャップの速やかな解消にも寄与します。
日本経済の復活のためには、消費税の減税(または事実上の廃止)、法人税や所得税、社会保険料の数年間の凍結など、かなり思い切った措置が必要であり、これを国民の声にしていかねばならないと考えている次第です。
(※これについては現在はまだ申し上げられませんが、当ウェブサイトとしても、何らかの動きとして世に問うていきたいと考えています。)
安倍総理の記者会見
さて、安倍晋三総理大臣これとは別に、昨日、記者会見も行っています。
新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見
―――2020/05/14付 首相官邸HPより
安倍総理が示した「緊急事態宣言の解除基準」とは、次のとおりです。
- 2週間前と1週間前を比べ、新規感染が減少傾向にあること
- 感染者が直近1週間の合計で10万人あたり0.5人以下に抑えられていること
- 感染経路が分からない感染者の発生状況などを総合的に判断すること
そのうえで安倍総理は、「残りの8都道府県では感染者数も大きく減少し、重症者もピーク時の6割くらいにまで減少しているが、まだリスクが残っている」、「地方への移動も控えていただきたい」としたうえで、
「来週21日をめどにこの解除基準に基づいて専門家会議に評価を依頼し、可能であれば31日を待つことなく緊急事態宣言を解除する」
と述べました。
もっとも、安倍総理は「どんなガイドラインがあったとしても感染リスクをゼロにすることはできない」としたうえで、次の4つの事例を列挙。
- 北海道では2月下旬に独自の緊急事態宣言を出し、感染者を大きく減少させることに成功したが、3月半ばの解除後、2~3週間たったころから感染者が再び拡大傾向となった
- ドイツでも、行動制限を緩めた直後、感染者が増加に転じ、再びロックダウンをせざるを得なくなった地域がある
- 当初、抑え込みに成功したと言われたシンガポールでも感染者が大きく増えた
- 韓国でも先週、ナイトクラブで集団感染が発生したというニュースがあった
そのうえで、次の「3つのお願い」を述べています。
①日常の暮らしについては少しずつ段階的に取り戻す
- 人との面会は避ける、電話で済むものは電話で済ませるなど、人との接触をできる限り減らす
- 県をまたいだ移動については、少なくとも今月中は可能な限り控えていただきたい
②前向きな変化はできるだけこれからも続けてほしい
- テレワークについては、改善すべきは改善しながら、前向きな変化を今後も継続していただきたい
- 時差通勤などの取り組みも混雑を避ける上で有効である
③日常のあらゆる場面でウイルスへの警戒を怠らないでいただきたい
- こまめな手洗いを心掛け、人と人との距離を十分に取り、密集は避ける
- 外出時には必ずマスクを着用し、他人との密接はできるだけ避ける
- 「3つの密」が濃厚な形で重なる夜の繁華街の接待を伴う飲食店、バー、ナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスへの出入りは、今後とも控えていただきたい
安倍総理の記者会見ではほかにも、冒頭で述べた経済対策に加え、日本企業が開発したコロナ検査キットに国内初の薬事承認が下りた話や、アビガンを含めた治療薬などにも言及があるのですが、この点について興味がある方は是非、安倍総理の会見内容を直接お読みください。
鈴置論の正しさを知る
さて、少しだけ余談です。
安倍総理の発言を読んでいて気付いたのは、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏の見立ての正しさです。
今週、『納得の鈴置論考、安倍発言の真意は「韓国は反面教師」』でも触れましたが、鈴置氏は『デイリー新潮』に寄稿した次の論考で、安倍晋三総理大臣の国会答弁の真意は「韓国を反面教師にしたい」という意味だ、と指摘しました。
「防疫で世界を先導」と胸を張る文在寅、「反面教師に」と冷ややかな安倍晋三
韓国の素晴らしい防疫体制に世界は学べ――との主張は正しいのだろうか。韓国観察者の鈴置高史氏が実態を解き明かす。<<…続きを読む>>
―――2020年5月11日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
先ほど紹介した記者会見のなかで、安倍総理が「いったん感染者の抑え込みに成功しても、再び感染爆発が発生する可能性がある」という4つの事例のなかに、しれっと韓国を含めていたのは、「韓国の事例は反面教師としても参考になる」という安倍総理の内心がポロッと出たものであるように思えてなりません。
そして、ここに気付いたのしょうか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝、こんな記事が出ていました。
安倍氏、韓国挙げて「コロナ、気を緩めた途端に一気に感染広がる」
14日、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)拡大により日本全域に発令した緊急事態宣言を多くの地域で解除した安倍晋三首相が「気を緩めた途端、一気に感染が広がる」と言いながら韓国の事例を取り上げた。<<…続きを読む>>
―――2020.05.15 06:56付 中央日報日本語版より
リンク先の記事の文字数は1000文字を超えており、都合が悪いことを取り上げるときには論評抜きで淡々と取り上げる傾向が多い韓国メディアにしては、珍しいという気がします。
とくに、
「安倍氏は今までただの一度も『韓国防疫』の長所については具体的に言及したことがない。そのような安倍氏が梨泰院(イテウォン)クラブ内の集団感染を公式的な記者会見で取り上げたことは非常に異例だ。安倍氏は会見の途中にも同じような脈絡で『韓国』をもう一度取り上げた。」
という記述を読むと、中央日報を含めた韓国メディアが最近、「K防疫」なる用語を自画自賛しているのを思い出しますね。
これからは米中対立の時代へ
さて、ここから先はあくまでも個人的な感想です。
一連の安倍総理の発言を読むにつれ、発言の端々からは安倍総理の「ホンネ」を垣間見ることができる気がします。
おそらく安倍総理は数多くあるさまざまな事象で優先順位を付けていくなかで、おそらく現在は目先のコロナ対策、その次には経済対策、そして米中対立まで見通しているのだと思います。
個人的には、コロナ禍の終息を妨げているのは、ひな壇に専門知識のない芸能人を並べ、不正確な内容を垂れ流しているテレビや、特定の思想に基づいて政府の足を引っ張っている新聞などのメディアではないかと思うのですが、それだけではありません。
途中には増税原理主義を掲げる「国民の敵の総本山」である財務省が立ちふさがりますし、さらには米中対立(※余裕があればこれについても一両日中に話題として取り上げます)が激化していけば、日本としても中国とのサプライチェーンの寸断といった影響を受けることになりかねません。
さらには、米中間でバランスを取ろうとする「コウモリ国家」・韓国が日米同盟を揺さぶるような事態になる可能性もあり(※これについても余裕があれば近日中に別稿にて議論します)、予断を許さない展開が続きそうです。
View Comments (17)
安倍首相は対韓政策で戦後最強の首相だと思います。
コロナは誰の功績か正直よくわからないのですがそれでも主要国(数字が信頼できる)中トップの安全をキープしています。それは政府が致命的な失策をとっていない事とも言えます。韓国ご自慢の「K防疫」云々で勝ち負けと言うフレームが欲しい韓国は狂って居るとしか思えない。
ウイルスとの勝負ではあるかもしれませんが、少なくとも国(人)同士の勝負では断じてありませんからねぇ
鈴置さんの言う通り、安倍首相は、韓国の防疫を評価しておらず、反面教師として考えているかの様な発言だと思います。それを見て、韓国人は、悔しいと考えていると思います。
久々に楽韓さんの上位。
1. そのまま韓国が失敗することだけを望む姑息の典型安倍
共感:5460|非共感:58
2. トチ狂ってるね…
本当になぜあのようになったのか…
20~30年前の日本と今の日本を比べると、あまりにもレベルが低く、嘆かわしいほどだ
共感:2550|非共感:23
3. チョッパリ放射能猿
日本は後進国だ
共感:800|非共感:30
以上が、上位3件。
韓国を認めてくれない、認めようとしない日本への「恨」だけの意見だと思います。
日本も解除すれば、感染者が増えるのは当たり前だと思います。レベルの低い感染のケースもあるでしょう。
韓国のように、魔女狩りを楽しむ事が、無いようになって欲しいです。
最後に新宿会計士さんが書いている、「韓国が日米同盟を揺さぶるような事態になる可能性もあり」は、想像も付かないので、楽しみです。
また韓国が、GSOMIA破棄を云々の話じゃ無い事を、期待しています。
仕事をしていれば身に染みてわかることですが、
物事の優先順位を決めるのは大変ですね。
当然、責任ものしかかりますし。
安倍首相にはコロナが落ち着くまで日本国民の為になる経済対策を打っていって欲しい。
外交に関してはこの情勢では各国が自国の事しか考えなくなるのも当然なので西側諸国の一員として振る舞って欲しい。
初めて投稿させていただきます。
HNの通り、何の専門性も持ち合わせていないブルーワーカーです。
ここを訪れるようになって半年ほどですが、ブログ主である新宿会計士様はもとより、読者投稿も秀逸で、毎回の更新を心待ちにしています。
また、読者コメント欄も面白く、おかしな事をUPしてくる方も"ほとんど"ありませんので、読んでいて楽しい気分でいることができます。
一読者として十分でいたのですが、今回敢えてコメントさせて頂いた理由は、無知であったり思想が偏った人たちの発言が、あまりにも酷いと感じたからです。
出来ればここの読者の方々に、「偏向した正義感」を振りかざす人向けの"良い"レッテルを考えていただきたいと思います。(三密→集近閉のような net紅衛兵とか)
また一読者に戻るとして、韓国在住日本人様、ちょうちん様等々、読者投稿お待ちしています。
新宿会計士様、推敲など大変でしょうがよろしくお願いします。
type d様
裏付けの確認も無く、無責任なコメントを吐き捨てるように周知・発信する行為には「羞恥信」って呼称はどうでしょうか?
集近閉の二番煎じだと「妄択答〔もうたくとう〕」でしょうね。コメンテーターたちは用意された妄想〔シナリオ〕に沿った一択の台詞を読み上げてるに過ぎないのかもです。
国益を顧みない主張を繰り返す人たち〔友愛主義者〕に限れば「友愛主〔ユアーズ〕」って呼称がしっくりきそうな感じです。
大した捻りもなくって、そのまんまですけど・・。
m(_ _)m
type d さん
慣れないテレワークで四苦八苦するという、「騒動@オンライン コロナイゼーション(ソードアート・オンライン アリシゼーション)」の中、いかがお過ごしでしょうか。
※コロナイゼーションは、Colonization(植民地化)ではなく、Coronization(コロナ禍)。
コロナ対策で緊急事態宣言に関する法改正を行わなければならない国会で、偏向した正義感を振りかざして「森友・加計狂い(賭ケグルイ)」に興じていたのは立憲民主党「えだのフレンズ(けものフレンズ)」でした。
彼らは政権を盗った旧民主党時代にも、ダム建設の中止は国民の意思だ!と息巻いてましたが、結局、建設継続(そして2019年の台風では大いに役立った)となった「自滅の八ッ場(鬼滅の刃)」という騒動がありました。
巧いレッテル張りの文句を考えてやろうと頭をひねりましたが、しょうもないダジャレに終わってしまいました(汗)。
カズ様・頭が運動不足様
返信ありがとうございます。
「妄択答〔もうたくとう〕」→ツボりました。(笑)
仲間内での飲み会・麻雀自粛の中、公費を使っての「森友・加計狂い(賭ケグルイ)」には、少々あきれております。
非常に苦しい社会情勢であります。私としては、ウィットに富んだツッコミが増えると大変ありがたいです。
ブログ主様
本論からはずれ、かつ、ブログ主様が間違っていることでもないのですが、
他国の検査キットが「抗体」を検出するもの
日本の今回の検査キットは「抗原」を検出するもの
大きな違いは、感度の問題はあるものの、いわばウイルスの存在を見ているものだ、という部分は今後強調していきたいな、と個人的に考えています。PCRより感度は落ちるものの、同じ意義の検査だと言えます。抗体検査はあくまで、体に抗体があるかを調べるものつまり既感染も含みますから。
追伸です。
抗原検出キットを開発、使用開始という点でも日本はよく対策できていると安倍総理には強調してほしいな、と。
韓国を「新型コロナ対策の優等生」と書いている新聞がありましたが、韓国の防疫対策の中心は、「プライバシーを無視した強権的手法で感染が疑われる人を洗いざらい探し出し、強制的に検査を受けさせること」だと思います。この方法を日本で採用することは無理だと思います。
また、感染初期に新興宗教の集団礼拝で、日本とは比べ物にならない規模のクラスターを発生させた経験がありながら、行動制限を緩めた直後にナイトクラブで大規模クラスターを発生させてしまうなど、とても「優等生」とは言えない国民性が目につきます。
本当の意味で「新型コロナ対策の優等生」と言えるのは、台湾とニュージーランドだと思います。両国とも、比較的初期に国外からの水際対策を徹底したことが最大の成功要因だと思います。また、国民性の面でも、過去の野球やラグビーの国際大会での選手や観客の振る舞いに非常に好感が持てました(韓国のサッカーや野球の国際大会での選手や観客の振る舞いとは対照的でした)。
今後、日本が感染症対策で学ぶべきはこの両国だと思います。
NZはともかく台湾は初期水際対策が出来たのは対中関係が険悪化しててすぐに渡航禁止に踏み切れたこと、後は韓国同様導線をすぐに公開し、マスクを配給制にしたりIT化が貢献してたりと、即効的に真似しにくい分野の力が大きい気がします。
NZもこれから冬に向かいますので、何処まで爆発させずにいけるか。
韓国も世界の中では割かしうまくやってる方だと思うんですが、その韓国らしさが見事に足を引っ張るという…
ゲイバーで蔓延したら差別感情の大きいかの国では絶対に表に出ない。
日本も夜の街の感染拡大局面では韓国の二の舞でしたので、これからどうするかが問われていくことになりそうです。
NZとオーストラリアに注目しています。
【朗報か?それとも悲報か?】日韓文化協会が、解散するそうです!!
https://twitter.com/salon_ena/status/1261197979186130951
過去21年間にわたり、韓国に渡る日本人留学生を支援してきたそうです。
その日韓文化協会が、今年限りで解散するとのこと。
おそらく、近年の日韓関係の悪化により、日本から韓国へ留学したい
学生が激減したからではないでしょうか?
憶測なので、韓国に詳しい方、訂正があればお願いします。
>「K防疫」
人権無視の防疫だから独裁国家でもないと真似ができない。
もしくは「人民民主主義国家」とかなら真似できるかも?
>『韓国防疫』の長所
徴兵制でしょうね。軍医をガンガン導入できるし、隔離施設も軍の教育所を使いまくってますし。K防疫を称賛する人はまず日本に徴兵制を導入するところから始めたらどうでしょうか?
自分たちのうまくいった話もどうしてうまくいったかを検証しなければ、事故と同じように今後の参考にはならないと思うんですが、韓国は検証して成功の中に粗が発見され、満たされた虚栄心に水を差されるのが嫌なのか成功しようが失敗しようが自分たちの姿を客観的に見ようとしない傾向があると思います。
「世界が羨む韓国」という事に関して触らないようにしているような感がある。
輸出産業的には大した利益も生んでおらず、実態は国内市場が小さい韓国音楽業界の公的支援に過ぎないようなKPOPの扱いに似てるように見える。