武漢コロナウィルスや武漢肺炎の蔓延問題とは、結局のところ、経済問題です。なぜなら、外出自粛などの影響で、飲食店・観光業を始めとする、さまざまな消費活動が委縮し、その影響は長期化すると見込まれるからです。こうしたなかで1人あたり10万円の特別定額給付金の給付手続が始まっているようですが、ここに思わぬ落とし穴があります。電子申請よりも郵送申請の方が良い、という自治体があるのです。
武漢コロナ禍は経済問題だ
武漢コロナウィルスや武漢肺炎などの蔓延を受けた、1人あたり10万円の特別定額給付金の給付が決まりました。個人的な感想を言えば、経済対策の金額として十分なのかどうかという点はさておき、危機直後の「初動」としては、とりあえずは良い政策だと考えています。
もっとも、コロナ禍の影響で収入が激減した事業者や個人への支援だけでなく、経済対策などの点では、第2弾、第3弾の措置を講じていく必要があると考えていますし、その手っ取り早い対策は消費税・地方消費税などの大幅な減税(あるいはゼロ%の軽減税率の適用)でしょう。
こうしたなか、当ウェブサイトでは『国債372兆円増発と消費税法廃止、そして財務省解体』などで以前から繰り返しお伝えしているとおり、わが国は資金循環構造上、少なくとも372兆円ほど国債を増発しても問題がない、という状況にあります。
また、これだけの国債を増発すれば、むしろわが国の債券市場に十分な量の国債が行きわたることで、日銀は無制限金融緩和に踏み切ることができますし、有効需要の喚起に成功すれば、デフレギャップの速やかな解消にも寄与します。
資金循環的な分析に基づけば、消費税法を廃止し、当面、国債を財源としても、日本はビクともしないどころか、むしろそれこそがデフレからの脱却における近道であると考えられるのです。
ちなみに「国債増発」などといえば、必ず出て来るのが「『はいぱーいんふれ』になっちゃうよ」という反論ですが、そのようにおっしゃる方に限って、この30年間における家計資産の増え方や消費者物価指数(CPI)の推移、国債金利情報などの議論を踏まえていないことは明らかでしょう。
ちょっと何を言っているのかわからない
さて、デフレ脱出の処方箋やこれに伴う消費税法廃止問題、財務省廃止問題、貸倒引当金問題などについては折を見て、またじっくりと議論したいと思います。それよりも本稿で触れたいのは、昨日『読売新聞オンライン』に掲載された、次の記事です。
東京都内でも「10万円」申請開始…支給日まちまち、募るいらだち
新型コロナウイルス対策として国民に一律給付される10万円の「特別定額給付金」について、東京都内各地でオンライン申請の受け付けが始まった<<…続きを読む>>
―――2020/05/13 10:01付 読売新聞オンラインより
読売によると、特別定額給付金については支給が6月にずれ込む自治体もあれば、すでに支給をスタートさせた自治体もあるなど、支給開始時期はまちまちなのだとか。
ただ、個人的に引っ掛かったポイントは、そこではありません。
せっかくの「オンライン申請」を受け付けているにも関わらず、一部の自治体では住民からの申請内容を住民基本台帳のデータなどと「目視で」(!?)確認している、というのです。
「11日時点で約1万件のオンライン申請があった品川区では、職員が連日、2人1組になって、申請内容と住民基本台帳の情報を照合している。不備がないか1件ずつ目視で確認し、振込先の銀行名や口座番号などに間違いがあれば修正。1日の処理は約100件が限度」
…。
「ちょっとなにを言っているのかわからない」。
これが、この文章を読んだ感想です。
実際にオンライン申請を立ち上げてみた
そこで、実際にオンライン申請画面を立ち上げてみました。
基本的な流れは、『マイナポータル』から『特別定額給付金のオンライン申請』のリンクをクリック。自宅郵便番号などを入力して自治体を選び、さらに「ぴったり検索」で「特別定額給付金」のボックスにチェックを入れて「この条件で探す」をクリックすれば、申請画面に行くことができます。
その後のステップは、次のとおりです。
- step1…連絡先入力
- step2…申請者情報入力
- step3…申請情報入力
- step4…入力内容確認
- step5…添付書類登録
- step6…書類確認
- step7…電子署名付与
- step8…印刷・送信
(※ただし、マイナンバーカードとカードリーダー、またはカードリーダー機能が付いたスマホなどがないと、このマイナポータルを使った手続を行うことはできません。詳細は『マイナポータル』でご確認ください。)
実際に申請をしてみるとわかるのですが、少し操作方法にはクセがあるのですが、それでもマイナンバーカードとカードリーダーがあれば、住所などの情報を自動で取得することができます。
しかし、『申請情報入力』の画面に遷移すると、住民全員の氏名がデフォルトで出てくるわけでもなく、また、銀行口座情報についてもいちいち手入力しなければなりません(※新宿区の場合)。すでに「こども手当」を受け取っている人であれば、役所の側が振込口座を把握しているはずなのに、何だか変ですね。
さらには、「添付書類」として、その銀行口座の実在を証明する「画像ファイル」(口座番号と名義人が写っているキャッシュカードや通帳などの写真、インターネットバンキング画面のコピーなど)を添付しないといけないようであり、面倒臭いことこの上ありません。
それに、マイナポータルの仕様だと、住民の側が入力すべき項目が非常に多いため、入力ミスが散発しても不思議ではありませんし、また、いちど送付してしまった申請書を訂正したり、取り消したりできないという致命的な欠陥もあります。
実際、「オンライン申請でミスに気付いた場合にはどうすれば良いのか」と区役所に聞いてみたところ、「区役所の側でチェックして、不備があれば弾きますので、お客様の方でもう一度、新しく申請をしてください」と言われてしまいました。
たとえば、「申請者は原則として世帯主」、「銀行口座は申請者名義」などと決まっているようですが、世帯主ではない人(たとえば配偶者)が申請してしまった場合や、世帯主が申請したものの、配偶者や子供の名義の銀行口座を指定してしまった場合には、ミスとして弾かれてしまうそうです。
これは、自治体側にはどうしようもできない欠陥です。
渋谷区「オンラインよりも郵送でお願い」
以上を踏まえて、読売新聞の記事に戻りましょう。
「渋谷区は区公式フェイスブックで、5月下旬に開始予定の郵送申請を利用するよう呼びかけている。オンライン申請で入力ミスをした場合、区での確認に時間がかかるため、郵送申請よりも支給が遅れることが見込まれるという。」
このくだりを読んで、個人的には深く納得しました。
実際のシステムを眺めると、申請者と銀行口座名義人が違っている場合に「間違っていますよ」と警告を鳴らすような設計ではありませんし、想像するに、銀行口座についてもいちいち役所の側でチェックしているのでしょう。
もちろん、マイナンバーカードの普及率自体が15%弱に過ぎないなどの事情もありますし、システム開発にそこまでのコストはかけられないのでしょう。だからこそ、品川区のように「1日100件が限界」、渋谷区のように「むしろ郵送を使ってほしいと呼び掛ける」、などのケースが出て来るのではないでしょうか。
また、マイナポータルでは国税や社会保険などの情報を統合しようとする試みもなされており、こうした「情報の一元化」の試みは高く評価して良いと思うのですが、ユーザー目線ではまだまだ課題が多いと感じざるを得ません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
もっとも、今回の問題を総務省や各自治体の責任に帰するのは酷というものです。
マイナンバーの実現を長年阻んできたのは、日本共産党をはじめとする反日政党や活動家らであり、また、国の歳入の一元化を阻んでいるのは財務省でもあります。
もしわが国に「歳入庁」のような組織があり、法人税、所得税、消費税、社会保険料、住民税、償却資産税、雇用保険料などを一元的に取り扱ってくれていれば、定額給付金の給付事務はもっと円滑に進むはずです。
個人的には、今回の騒動については財務省解体(すくなくとも国税徴収権限と予算編成機能の分離)と歳入一元化に向けた議論のたたき台にする好機ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
View Comments (20)
これは本当にそう思いますね。
全く電子化の利点を生かす土台ができていない。
政府も自治体現場も国民も総じて面倒な状態に陥っているのは間違いないので
現政権でなくても、是非やっていただきたいです。
ただ、野党や財務省だけじゃなくて
要望と倒閣を履き違えるメディアも全力で邪魔しそうで
どうやってこれらを退ければ良いのか、全く良い方法を思いつきませんが・・・
歳入庁は上念氏も前から提案してて良いと思います。
一方、新型コロナの諮問委員会に参加すると噂される学者は増税派ばかりとか。
復興増税含めて消費税12%とか言い出さないか心配です。
その時はダウンタウンの松ちゃんかミルクボーイの内海に動いてもらわないと。
> 申請情報入力』の画面に遷移すると、住民全員の氏名がデフォルトで出てくるわけでもなく、また、銀行口座情報についてもいちいち手入力しなければなりません
確かに、その部分のUI(ユーザ・インタフェース)も悪いですが、そんなの序の口で、極悪なのは、前にも書きましたが、
1)預金通帳の画像等、口座確認の画像を入力させる。
2)次のダイアログで、口座確認の画像は「振込名義人名をカナで確認できるもの」と表示する。
3)通帳の表紙は漢字表記だったので、1つ前のダイアログに戻ってヤリ直し。
4)次の次のダイアログで、口座確認の画像は、モノクロ250dpiを推奨。
5)カラー300dpiで入力してしまったので、2つ前のダイアログに戻ってヤリ直し。
この様なヤリ直しさえ無ければ、3分とかからない超簡単操作だったのに。
重要事項を後出しするのはいけませんなぁ。
作業開始前から、「口座確認の画像って何?」と思って十分注意を払っていたのにこれだもの。
> せっかくの「オンライン申請」を受け付けているにも関わらず、一部の自治体では住民からの申請内容を住民基本台帳のデータなどと「目視で」(!?)確認している
一部の自治体ではなく、多分「全部」です。
今回は、世帯主が扶養家族分迄纏めて申請せねばならない仕様ですが、マイナンバーカードは夫婦間でも全く無関係の番号になっている事からも明らか様に、完全個人主義制なので、扶養家族かどうかは、役人が台帳を目視確認せねば判らない仕様になっているらしい。
郵送の方が早いのは、電子申請の場合、受付完了後に役人が目視確認する、一方、郵送の場合は、目視確認した結果を印刷した書類を郵送するので、受付完了後にこの項目を目視確認する必要がない、という仕様の違いに基づいている模様。
目視確認が終わったらしく、電子申請から1週間後に、「申請先の自治体にて受領しました。」というメールが来た。(時間かかり過ぎだろ。)
> もしわが国に「歳入庁」のような組織があり、法人税、所得税、消費税、社会保険料、住民税、償却資産税、雇用保険料などを一元的に取り扱ってくれていれば、定額給付金の給付事務はもっと円滑に進むはずです。
その前に、関係労組を何とかしない限り、役所の焼け太りになるだけでしょう。
「電子化等の職務効率化→組合員数減」と骨髄反射する組織がある限り無理なのでは?
特別定額給付金に関してだけのコメントです。
「確定申告をオンライン提出した経験がある人以外、難しいです」
有り体に、そう言っておけばよかっただけ。
その前提なら「住民税の引落し/還付に用いた口座を指定する場合、○○にチェックしてください」という項目を設け、口座確認の書類アップロードや、役所側の目視チェックも省けたのにね。
暗証番号を忘れて窓口へ殺到?
システムの機能に脆弱な点が多く、この期に及んで問題が露呈したのか?
せっかくマイナンバー制度を作ったのに、有効利用しようと動かない行政のおかげで普及しないわ、職員がシステムに慣れないわ。
しかし…郵送での申請書の内容に不備があれば、オンラインより更に時間を要するのでは?うーん…
一つの問題は振込時の本人確認かと思います。少なくとも銀行口座とマイナンバーの紐付けが確実なら画像コピーの添付は要らない筈です。
例えば申請の画面に「振込を希望する口座にはあらかじめ金融機関でマイナンバーの登録が必要です」みたいな表示をしておきます。
で、地方公共団体の側がマイナンバーを入力したら登録されている口座が出てくる様にするとか、振込の入力時に名前と口座番号とマイナンバーが一致しなければエラーが出るとかのシステムであればまあ本人確認の課題もクリアかと。
そんなシステムもまだまだこれからなのかもしれません。
いまだに金融機関における新規口座開設時等のマイナンバー登録は必須ではないです。マル優や投資信託の購入の手続きをする際にはマイナンバーは必要になりますが…
例えば老齢年金の裁定請求時は郵送される裁定請求書に記載して謄本を添付して返送しますが、これがオンラインでできるレベルにならないと無理かと思います。
マイナンバーは地方公共団体だけでなく、金融機関の側からも、国民一人一人もまだまだ浸透しきれてないかと思います。
更新ありがとうございます。
実際に区役所を覗いてみると、多くの殺気だったクレーマー風市民がおりましたので、帰りました。役所のHPを見ると、今は新規にマイナンバーカードを申し込む人で溢れているらしい。だ〜か〜ら〜やっとけ言うたやろ!(笑)
私はマイナンバーカードがあるので、家でパソコンでやってみましたが、『申請情報入力』の画面に遷移すると、全部手入力(笑)。『添付書類』も邪魔くせ〜。
もう一度、役所のHPを見ると、「今、窓口は新規のマイナンバー申請者で混雑している」「今からネット申請しても時間はかかる」(笑)。
最後になんと、「6月15日月曜日から手続きの済まれてない全世帯に、順次郵送致します。お急ぎでない方は是非、ご利用下さい。インターネットよりも早い場合もあります。手続きは不要です。送る順序としては、生活困窮世帯、また今回のコロナ禍による影響で仕事を失った方、事業を閉められた方、生活保護者、片親世帯を優先させて頂きます」。
そしたら私達は7月末ぐらい?まあ、もうこのまま待つかな(爆笑)。歳入省作って一元管理しないから、こういう事になるんだ。国の金の入ると出るとを分けよ。財務省は解体しろ!
> 多くの殺気だったクレーマー風市民
「カードに暗証番号が付いてるなんて知らなかったヨ。」とか言っている連中は、確かにモンスタークレーマーだろうな。そんな輩は、クレジットカードも、銀行カードも使えないだろう。
マイナンバーカードの発給を受けたら、カード以外のものは、全て役所の出口迄に捨ててしまうのだろうか?
暗証番号期限切れ予告の通知が送られて来るが、開封前に捨てているのだろうか?
もしそうなら、デジタル時代に生きるのは無理な人だと思うので、未開の地に引っ越したら。
> 全部手入力(笑)
確かに(笑)だが、他人の名前や住所を入力する訳じゃないので、テレビ見ながらでもできる。
> 歳入省作って一元管理しないから、こういう事になるんだ。国の金の入ると出るとを分けよ。財務省は解体しろ!
マイナンバーカード登場時からいまだに続くパヨク(特亜工作員)のネガキャンが主犯で、財務省は微罪だろ。
マスゴミ等が流すマイナンバーカード関連の情報は、あらかたフェイクだ。
今回の給付申請も、初日だけで350万件以上(外国人を含む日本の全世帯の6%以上)完了している。
どこが難しいねん。このペースが半月も続けば、ほぼ100%。(そんなことは有り得ないが)
テレビ見てたら、「マイナンバーカードを持っていても、使い道が無い。」とかネガキャンしている。
確定申告(医療費還付請求)等の、各種電子申請には、超便利だ。
住民票・印鑑証明等も、マイナンバーカードでオンライン申請しておけば、コンビニで何時でも受け取れる。
他にも、子育て・介護・障碍者等々には便利だろ。
但し、総務省の或電子申請は、最初は住基カードだったのに、知らない内に、公的個人認証が無くても電子申請できる独自拡張が追加され、更に知らない内に、昔電子申請したのに、今は紙申請しか受け付けないというのが発生している。こんな裏切り省庁がある事も事実。
マイナンバーカード発行総数 1872万枚(16-Dec-2019)。
毎月30万枚以上発行して来た様なので、現在の発行枚数推定 20M枚。
日本の所帯平均人数 2.47人(2018年)。
毎年、0.01人のペースで減少している様なので、現在の所帯平均人数推定 2.45人
従って、今回の申請に使われるであろうマイナンバーカードの枚数は、最大 20M ÷ 2.45 ≒ 8.16M
初日に受付完了した電子申請数 3.5M (初日の24時直前に申請した人の受付番号から)
5/15迄の電子申請総数の見積もりが難しいが、仮に初日の2倍だとして 7M件
7M ÷ 8.16M ≒ 0.85
従って、マイナンバーカードで電子申請できないと主張するモンスタークレーマー達の、マイナンバーカード保有者中におけるデジタルリテラシー度は、下位15%の中という事になる。
電子申請総数が 7M という見積もりが少な過ぎだと思うので、実際には、下位数%程度だろう。
住基カードの頃から続く、特亜工作員達のネガキャンが凄い。(けど、忘れ去られたのかな。)
ここに書き込む人達も、相当深刻に汚鮮されている感じ。
P.S.
受け付ける度に7番インクリメントするシステム仕様とかだったりすると、上記推論は成り立たない。
私は僅かながら固定資産税にまとまった金額が毎年必要なので大袈裟ではありますが納税通知預金口座を開いております。その割に迂闊にも日本共産党などのネガティブキャンペーンに乗ってしまいマイナンバーカードを作成しておりませんでした。我ながら本当にチグハグな事です。今回の給付金も結局紙の申請書を待つばかり。更にマイナンバーカードはコロナ以降にならざるを得ません。新宿会計士さまのご指摘の様に歳入省の様な省庁が財務省と分離してあれば良いですね。
COVIDの届け出もFAX、COVIDの説明会も都庁まで出かけた挙句3密、この国は、ホワイトカラーの生産性をあげたくないとしか思えない。
多少行政側の肩を持つとすると、マイナンバーを導入したときに、マイナンバーは個人情報だから管理を厳格にしなきゃならないとか、名寄せに使うのはけしからんみたいな論調があったことも影響してるのかな?って思うのです♪
システムとしては、マイナンバーをキーにして、住民登録とか口座情報にアクセスできるようにするだけのものなのに、マイナンバーそのものの管理が複雑なんだろうなって思うのです♪
この手のシステムって、使いながら運用も含めて枯れさせなきゃいけないのに、導入時の制約が大きすぎると、チグハグなものになっちゃって、返って修正が効かなかったりするものだと思うのです