昨日、ツイッターでひとつ、気になる画像が投稿されているのを発見しました。新聞販売店から「本日は折り込みチラシがありません」というチラシが入った、とする話題です。もしこれが事実だとすれば、新聞業界にとってはわりとシャレにならない事態となるかもしれません。新聞業界自体の体力が大きく低下している証拠だからです。そして、資金源を断たれれば、どんな会社、どんな業界、どんな国であっても破綻の危機に瀕します。果たしてコロナショックは新聞業界にとどめを刺すのでしょうか?
目次
え?チラシがゼロ?
ツイッター上に、なかなか興味深い画像が投稿されているのを発見しました。
投稿画像は、どこかの朝日新聞専売所(ASA朝日新聞サービスアンカー)から織り込まれたと思しきチラシで、こんな内容が記載されています。
本日4月16日付けの折り込みチラシですが、各スポンサー様からのご依頼が無かった為、折り込み広告がございません。ご了承くださいますよう、お願い申し上げます。
これについてはツイートに「どこの専売所か」が明記されておらず、また、「4月16日」とありますが、年、曜日などの記載が欠落しているため、「いつ、どの専売所が配布したものか」という情報については、厳密には特定できません。
ただ、もしこのツイート内容が事実であり、かつ、ツイッターに投稿されているチラシが2020年4月16日(木曜日)付のものだったと仮定すれば、これはなかなか深刻な事態です。
「ついにコロナショックでチラシが壊滅した」、という証拠のひとつになるかもしれないからです。
チラシ減の意味
新聞業界を成り立たせているのは「購読料+広告収入」
さて、一般論として申し上げるならば、新聞業界は、新聞社(業界用語でいう「本社」)と新聞販売店、広告代理店などから構成されています。
多くのケースにおいては新聞社と新聞販売店のあいだに資本関係はないにも関わらず、力関係として見れば「本社」は新聞販売店より圧倒的に上であり、新聞販売店側は「本社」に決して逆らうことはできません。
(※ついでにいえば、新聞社の「本社」から新聞販売店に対し、「押し紙」と呼ばれる、現実には販売されていない新聞紙が押しつけられているのではないか、といった疑惑も根強いのですが、これは「本社」と販売店の力関係からすれば、何も不思議なことではありません。)
ただし、建前上は、あくまでも新聞社(いわゆる「本社」)と販売店は別法人であり、独立採算です。戸別宅配される新聞の代金は、第一義的には販売店の売上となり、その売上が販売店から新聞「本社」に納められるのです。
この際、販売店は「折り込みチラシ」を新聞本紙に挟み込んで配達するのですが、販売店によっては、この「チラシ収入」がけっこうバカにならないくらいの売上をもたらします。
たとえば、(表向きの)販売部数が3000部の販売店が存在したとして、1ヵ月あたりのチラシの枚数がB4紙換算で1000枚だったとしましょう。「朝日オリコミ」の『料金表』によれば、B4紙1枚の折り込み単価は3.3円だそうですので、単純計算で月額の売上高は1000万円です。
もちろん、実際には広告代理店に「中抜き」されるため、この1000万円の全額が販売店の収入になるわけではありませんが、それでも下手をすれば、新聞の購読料と同じくらいのチラシ収入がもたらされているケースも「あった」ようです。
チラシ折り込み枚数は7年間で20%減少した
ただし、ここで「あった」と過去形にしているのは、漏れ伝わる情報によると、チラシの折り込みがジリジリと減少していることが、「一般社団法人日本新聞折込広告業協会(J-NOA)」のデータから判明するからです(図表1)。
図表1 全国の1世帯平均のチラシ折込枚数(年間)
年 | 枚数 | 増減・増減率 |
---|---|---|
2012年 | 5,949.8枚 | (不明) |
2013年 | 5,924.4枚 | ▲25.4枚(▲0.43%) |
2014年 | 5,754.3枚 | ▲170.1枚(▲2.87%) |
2015年 | 5,547.4枚 | ▲206.9枚(▲3.60%) |
2016年 | 5,349.5枚 | ▲197.9枚(▲3.57%) |
2017年 | 5,031.7枚 | ▲317.8枚(▲5.94%) |
2018年 | 4,810.9枚 | ▲220.8枚(▲4.39%) |
2019年 | 4,662.8枚 | ▲148.1枚(▲3.08%) |
(【出所】J-NOA『月間折込広告出稿統計データ』より著者作成)
データは2013年以降のレポートしか公表されていませんが、前年比較が掲載されているため、実質的には2012年以降のデータの取得が可能です。
2012年のチラシ枚数は全国で約6000枚だったそうであり、月平均だと500枚ですが、先ほどの「B4換算で月平均1000枚」という想定は、さほど非現実的ではありません。というのも、チラシはB4サイズ1枚物とは限らず、家電量販店やスーパーなどの場合、チラシ2枚組といったケースもあるからです。
ただ、比較が可能な2013年以降で見ると、チラシ折り込み枚数は毎年、前年比マイナスで推移してますし、2019年には4662.8枚と、2012年と比べて20%以上も減少している計算です。
部数減とチラシ減の「ダブルパンチ」
ただし、この「7年間でチラシ枚数が約20%減少した」というのは、おそらくは「新聞(とくに朝刊)を購読している世帯」の話であり、定義上、そもそも新聞(朝刊)を購読しなくなった世帯には、「折り込みチラシ」は1枚も投函されないはずです。
さて、ここで『「新聞業界の部数水増し」を最新データで検証してみた』でも触れた、新聞の発行部数そのものが減少傾向にある、という話題についても、再確認しておく必要があります。
「一般社団法人日本新聞協会」が毎年公表している『新聞の発行部数と世帯数の推移』というデータをもとに、2000年以降の新聞の発行部数推移を眺めてみると、見事なほどの「右肩下がり」であることが確認できます(図表2)。
図表2 新聞の部数の推移(2000年以降、発行形態別)
(【出所】(一社)日本新聞協会『新聞の発行部数と世帯数の推移』より著者作成。ただし、グラフ作成のレイアウトの都合上、データが存在しない1999年と2020年を、それぞれ起点、終点としている)
ここで、一般紙(とくにチラシの折り込み対象である朝刊)の部数は、2019年において2000年と比べて約30%、2012年と比べて約20%減少した計算です。
セット部数+朝刊単独部数
- 2000年…5189万部
- 2012年…4670万部
- 2019年…3697万部
ということは、先ほどの「2012年と2019年を比較すると、チラシの枚数が2割減少した」とする話題と照らし合わせれば、実際に各家庭に配られているチラシは、ダブルで減少しているはずです。ここで、簡単な検算をしておきましょう。
2012年における朝刊部数を100部、朝刊1部あたりのチラシ枚数を100枚と仮定すれば、2019年における朝刊部数は80部、朝刊1部あたりのチラシ枚数は80枚です。ということは、日本全体におけるチラシの枚数は、
- 2012年…10,000枚(=100部×100枚/部)
- 2019年…6,400枚(=80部×80枚/部)
と計算できますので、チラシの総量は2012年と比べて単純計算で36%は減少しているわけです。
ツケを払え!
「押し紙」を考えたらどうなるのか?
もっとも、先ほどの図表2については、そもそも「朝刊単独部数」の部数の減少幅が少なすぎる、という疑念もあります。
すなわち、2019年において、2000年と比べてスポーツ紙が50%以上減少しているにも関わらず、一般紙の減少率は26%に留まっていますし、夕刊単独部数も50%以上減少しているのに、朝刊単独部数の減少は15%少々に留まっているからです。
このことから、一般紙(とくに「朝刊単独部数」)は2019年において、実態よりも3~6割は水増しされているのではないか、という疑念を払拭することはできません(図表3)。
図表3 一般紙の発行部数に関する減少率のシミュレーション
(【出所】著者作成。なお、詳しい計算ロジックについては『「新聞業界の部数水増し」を最新データで検証してみた』の図表6、図表7あたりを参照)
先ほどのチラシ総枚数の計算で、
- 2012年…10,000枚(=100部×100枚/部)
- 2019年…6,400枚(=80部×80枚/部)
という仮定を置いたのですが、もしこの肝心の「部数」の部分でウソをついていたとして、2019年における実売部数が80部ではなく70部だったとしたら、折り込みチラシ料金を80部分顧客から徴求していたら、それは詐欺に該当しかねません。
自然に考えて、公称部数が80部、実売部数が70部だとしたら、チラシは80部ではなく、少し遠慮して75部分の料金しか取らない、という可能性もありそうですので、そうだとしたらチラシ収入はさらに大きく減少するはずです。
(※ただし、この「押し紙」と絡めた実売部数の議論は、客観的に確認できる証拠資料が存在しないという事情もあるため、これ以上議論するのは控えたいと思います。)
資金源を断たれると、どうなるか
さて、どんな業界であっても、どんな勢力であっても、あるいはどんな国であっても、資金源、収入源が経たれれば、必ず干上がるという鉄則があります。
たとえば2017年12月の国連安保理決議などにより、非常に厳しい経済制裁を受けている北朝鮮が、経済が苦境にあることは間違いありません(『コロナ、制裁、国境封鎖 北朝鮮に「トリプルパンチ」』等参照。もっとも、北朝鮮は意外と「しぶとい」国であるようですが…)。
また、暴力団についても勢力が徐々に減退して来ているとされるのは、そもそも「暴力団対策法」などの法律が整備され、国を挙げて反社会的勢力への資金の流れを防ぐ取り組みを行っているからでしょう(これについては警察庁『特集:暴力団の資金獲得活動との対決』等もご参照ください)。
新聞、テレビを中心とするマスメディアが偏向報道などを続けているという問題については、当ウェブサイトでもこれまでにずいぶんと取り上げて来たとおりです(『五千円で国会を潰す野党とオールドメディアは国民の敵』等参照)。
こうしたなか、個人的にはマスメディアには偏向報道をやめてほしいと思うにも関わらず、やはり、残念ながら全般的にマスメディアの問題報道は後を絶ちません。
しかし、マスメディアも売上がなくなってくれば、偏向報道の問題はなくなるのかもしれません。
いや、厳密にいえば、「マスメディア各社が反省して偏向報道をやめる」のではなく、「マスメディア各社が売上を減らし、社会的影響力を失うことで、偏向報道を行っても大して社会問題にならなくなる」、という展開ですね。
コロナ騒動が広告に打撃?
さて、ここから先は、あくまでも個人的な主観です。
昨今のコロナ騒動、そして今月以降の政府による緊急事態宣言は、消費の萎縮を通じ、間違いなく、実体経済に甚大な悪影響を与えます。そして、広告主にとっても、冗費を支出する余力はなくなりますし、「より効率の良い広告手段」を探る動きが出るのは当然のことでしょう。
その意味では、冒頭に紹介した新聞販売店のチラシのようなケースが、これからも各地で観測されるのかどうか、あるいはJ-NOAのデータで折り込みチラシの減少がハッキリ確認できるようになるのかについては、関心を持って注目する価値があるでしょう。
なぜなら、一般に折り込みチラシは、新聞販売店にとっては購読料と並ぶ重要な収益の柱だからであり、折り込みチラシが激減すれば、新聞販売店の体力が大きく削がれるからです。
PC、タブレット、スマートフォンなどの普及に伴い、紙媒体の新聞が売れなくなっているという話題はよく目にします。もしかすると、これまでは新聞業界を挙げて必死にその実態を隠してきたのかもしれませんが、もしそうだとしても、こうした隠蔽はいつまでも続きません。
コロナショックはこうした新聞業界の矛盾を一気に噴出させ、新聞業界はそのツケを支払わせれることになるのかもしれませんね。
View Comments (45)
東海地方からです。
先週の土曜日のチラシは、ごく薄状態でした。
通常は、新聞紙よりチラシの方が厚いので、コロナ効果抜群です。
なお、今日の新聞紙もごく薄です。記事は通り一遍の内容です。
ドベゴンズさま
チユーニチ新聞の土曜日は、新聞が膨れ上がる位チラシか、入ってましたから、激減ですな。
個人的には、「収入が減ったら新聞購読をやめるのも一案」 (2020.04.14 17:38:20 付 私のブログ記事) と考えています。
こちらの読者雑談専用記事にも類似のことを書き込んだところ、はにわファクトリー様から 2020/04/14 at 22:53 付で、「スーパーちらしの新聞差し込みが停止されました。」と返信をいただきました。
この流れは、武漢肺炎が収束した後も、続くのではないでしょうか。
オールドメディアも淘汰されるべき時を迎ているのでしょう。
特に、売国○日や変態○日と揶揄されたり、ATM と呼ばれる、偏向報道を繰り返す一部メディアは。
そう言えば、こうした一部メディアへは、半島方面からの資金流入も、近々途絶えそうですね。
誤:収束
正:終息
折り込みちらしを停止をしたスーパーはひとつではありません。距離の離れた別スーパーでも通知が掲示されています。系列はまるで違います。政府緊急事態宣言発令を受けてと同じ理由書きしています。いったい何が起きているのでしょうか。
ちらしを楽しみにしていた購買客をびっくりさせたり失望させない心遣いはこれまであってきたはずです。もうなしでも構わない、すなわち編集制作配布にかかるコストが見合わないとの勇断をスーパー側がしたとしか思えません。広告を出す側配る側にしてみれば、人海戦術によるポスト投げ込みチラシが、きっとひとつの市場なのでしょう。すなわち新聞折り込みはもはや広告媒体として有効でなく魅力的でもないと。見立てが正しいかはそのうちはっきりすると予測します。
名目上、広告によって外出を促進させてしまう効果があるためということでしょう。
実際は単純にコスト的な問題かもしれませんけど
匿名さま
>広告によって外出を促進させてしまう
きっとそうだからです。そして差し込みちらし広告取りやめは自主判断だったのかという陰謀論めいた妄想も抱いています。
自分が通っているスーパーは朝8時繰り上げ開店セールをよくやります。狙っている購買層ははっきりしている。夜明け前にはもう起床していて通勤や通学とは無縁な非勤労世帯のひとたちです。午前8時開店を待てなくて行列作っています。特売商材は卵パックやトイレットペーパーです。
イーシャ 様
> 個人的には、「収入が減ったら新聞購読をやめるのも一案」 と考えています。
賛成です。今はスマホのニュースアプリの方が無料の上、便利で多様な意見を知る事ができますから。紙の新聞はお金がかかりますし、古紙回収に出す手間もかかって不便です。消費税が2%上がると家計には2000〜4000円の負担増となるそうですので、食費や光熱費を切り詰めるよりは新聞をやめる方が手っ取り早いです。
スーパーのちらしだって、スマホの広告アプリで代用できます。むしろアプリクーポンもついてるので広告アプリの方がお得です。特売日だって連日通えばいつなのか大体わかります。
テレビ欄も地デジなら確認できます。そうなると新聞の出る幕はありませんね。紙の新聞の役割は終わったのでしょう。
痛快なニュースをありがとうございます。
実家のある町は新聞配達店が一つは潰れ、もう一つの販売員のカブのカゴ内の新聞もここ10年で大分減りました。配達の負担が減ってなによりです。
15年ほど前、潰れた方の販売店に新聞奨学生として勤務していた同級生がいましたが、朝3時、夕方3時から2~3時間ずつの勤務で明らかにブラックでした。同級生との付き合いもままならない。こんな若者を搾取する制度など無くなればよいと思ったものです。一人でも多くの若者がより良い職につけますように。
書き忘れましたが、彼が住んでいた寮はマンションの1室を無理やり4室に間仕切りしただけのもので、果たして合法なのかと疑いました。廊下は埃まみれ、シャワー室とトイレは不潔で悪臭を放ち、呆れる余りラピュタモードで掃除したのも今となっては良い思い出です。潰れてくれて本当に良かった。
新聞社は物販サイト充実にずいぶん注力していますよね。オンライン通販は中毒性がある。すなわち通販と報道をセットにする、それが報道機関が「自分たちで選んだ」未来像なのでしょう。
A新聞の出会い系サイト事業は売却された模様です。こんなニュースを覚えている辺り、つくづく捏造新聞が嫌いなのだなと自覚しました。
「新聞の記事は読まないが、チラシが見たいので新聞購読をやめられない」とおっしゃる御仁は、今後どうするのでしょう。別の理由を作って新聞購読を続けるのでしょうか。
「新聞の記事は読まないが、紙が必要なので新聞購読をやめられない」とおっしゃる人々は、紙ならもっと安いものがあるという事実から目を背け続けるのでしょうか。
今や、新聞購読という行為は「国民の敵」にエサをやる行為だと、一人でも多くの日本人に気付いていただきたいと切に願っています。
>新聞の記事は読まないが、チラシが見たいので新聞購読をやめられない
体力順(本人もしくは周囲)で施設に収容されて行っています。決して回復基調にならないセグメントです。
「ちらしサイト」がそれなりにありますので、見る気があるならスマホ、PCで近所のスーパーの特売情報は確認できます。指定した店舗の広告を自動更新、自動送信してくれるかは確認してません。電子版の新聞では、いずれ住居の位置情報に紐づけて、ターゲティング広告を掲載するようになるのではないでしょうか。新聞社側が「ちらしサイト」にリンクを張っても収入にはなりませんしね。
新聞販売店の「チラシ折込」の裏事情
https://xn--6qs44kyxgu03au3m.com/fold-flyers/
「丁合機」なるものがあるのですね
https://www.pressio.co.jp/
https://www.pressio.co.jp/products/sorting_machine/
世の中はピタゴラスイッチみたいに出来ていて、アマゾンの奥地でチョウチョが羽ばたくと回りまわって桶屋が損するみたいな仕組みですね。
>電子版の新聞では、いずれ住居の位置情報に紐づけて、ターゲティング広告を
固定IPv6アドレスと聞いてピンとくるかたにより強調したいのですが、当方には最寄りのパチスロ屋のYoutube CMがしばしば表示されるようになっています。どうして居場所が分かるか? あなた近頃地図アプリ使ったでしょう。同じ場所での使用頻度が高かったり夜間深夜だったりしたらそこに居住していることは明確ですから、固定IPv6アドレスと地理位置がバインドできます。
>新聞社と新聞販売店のあいだに資本関係はないにも関わらず、力関係として見れば「本社」は新聞販売店より圧倒的に上であり、新聞販売店側は「本社」に決して逆らうことはできません。
別資本であれば確実に下請法の対象となるはずですが、新聞業界は無法地帯という事なのでしょうか?
出前チラシがそういえば減ってるような。
ネットやアプリで注文とか予約が流行ってきています。
いまどきのチラシは表裏使ってますから「裏白」なんてまずなくて、
「チラ裏にでも書いとけ」
「先輩、そもそも書くとこない」
「じゃあ頭でも掻いとけ」
てな状態ですが、令和の終わるころの「現代用語の基礎知識」
『「かつてあった」広告媒体。一枚刷りの印刷物。「散らし」が語源』
チラシの効果も記事の効果もジリ貧であり、紙を媒体とする既存メディアが斜陽産業であることは、疑問を挟む余地のない事実でしょう。
デジタルの波に呑まれたカメラフィルム業界のことを連想します。コダックは倒産し、AGFAは撤退し、サクラは社名変更や経営統合を経て消えました。そこを生き抜いて、今話題のアビガンやら化粧品で気を吐く富士フィルムが存在するせいで、一層盛衰のコントラストを感じます。
マスコミも当然電子化の方向へ向かうでしょうが、その過程で野垂れ死ぬ会社も多数出ると思います。唯我独尊、権威主義、上から目線の大新聞などは、民衆の支持を得られないまま消えていくのでしょう。
某ATM新聞などは、ここは逆転の発想で、思い切り嫌われ者となり、パブリックエネミーを演じることで、生存を図るのはいかがでしょうか?いまさらネトウヨにすり寄るなどという卑しい真似を、社会の木鐸たるエリートがするなんて考えられないですよね。暴言を持ちネタにする芸人ポジションで、イロモノとして生きるのが、お互いに好都合なのではないですか。
一時業界にご縁がありましたので、徒然に。
昔は、専業の新聞配達員は『ヤクザ』にもなれないチンピラのお仕事などと揶揄されていましたが、最近のY紙の奨学生制度は、年間130万までの給付と家賃無償・所定の給与支給で、朝刊のみの配達も選択できます。稼ぎを取るなら集金業務もありますが、本人の時間の使い方でブラックにもなりホワイトにもなりではないかと思います。
また、本社と販売店との関係ですが、地域専売制を餌に本社有利の委託販売契約が結ばれていることは間違いありません。何せ契約書は、独占禁止法・下請け法等に精通した本社の顧問弁護団が監修するのですから、法律では勝負になりません。生殺与奪権は、まさに本社にあります。もっと細かく言えば、販売局の販売担当員の胸先三寸です。業界の構図は推して図るべしです。
最後に、販売店にとってチラシは命です。大体、新聞本紙の原価率は65%~70%ですので、粗利では従業員・家族を養えません。一昔前は、1,000部で年に一億円(購読料を含む・地域差あり)でしたが、今ではは3割・4割減は当たり前です。既に販売店の統廃合も始まっており、体力のある販売店は個別宅配の仕組みを使った別の商売を模索している状況です。
各新聞本社とも、個別宅配に拠らない(販売店切り捨て)web等に遷移を図っているようですが、一番稼いでいるのは不動産賃貸ではないでしょうか。
>>新聞本紙の原価率は65%~70%
実は上記の原価率ではない新聞が存在します。
それこそが販売店が儲かっていたからくりだったりします。