本日、日経平均が前日比1300円近く下落し、前場の引け値ベースではありますが、1年2か月ぶりに2万円の大台を割り込みました。過去の市場変動を調べてみると、これはリーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発する金融危機の際の2008年10月16日に観測された株安を大きく超えるものであり、また、為替市場では1ドル=100円を割り込みそうな円高・ドル安が進行しています。武漢コロナショックで実体経済が傷つくなか、やはり「悪の総本山」である消費税問題に切り込まないわけにはいかないでしょう。
日経平均が暴落
コロナ騒動の影響でしょうか、株安が止まりません。
本日午前時点で、日経平均株価は先週金曜日と比べ1276円68銭下落して19,473円07銭と2万円の大台を割り込みました。日経平均が2万円の水準を割り込むのは、(終値ベースでは)2019年1月4日以来約1年2ヵ月ぶりのことです。
調べてみると、日経平均が(終値ベースで)1000円以上下落したのは、2000年以来では過去に7回ありました。
- ①2000/04/17 (月)…1426円04銭安→日経平均の銘柄入れ替え
- ②2016/06/24 (金)…1286円33銭安→英国のEU離脱(ブレグジット)
- ③2013/05/23 (木)…1143円28銭安→日銀金融緩和直後で市場が不安定?
- ④2008/10/16 (木)…1089円02銭安→リーマン経営破綻後の金融危機局面
- ⑤2018/02/06 (火)…1071円84銭安→米株下落を受けた株安
- ⑥2011/03/15 (火)…1015円34銭安→東日本大震災後の株安
- ⑦2018/12/25 (火)…1010円45銭安→株高の調整?
ワンテンポ遅れるのが株式市場の特徴?
この過去7回の事例を見てみると、明確な理由がある株安局面(たとえば①、②、④、⑥)もある一方で、明確な理由が見当たらない株安局面(たとえば③、⑤、⑦)もあり、必ずしも市場の動きが合理的に説明できるわけではないということがわかると思います。
また、大災害、大事件の「当日」は、意外と株価は動かないものです。たとえば、東日本大震災の当日(2011年3月11日)やその翌営業日(3月14日)は、たしかに株安ではあったものの、千円以上下落するという状況ではありませんでした。
- 2011/03/11 (金)…179円95銭安
- 2011/03/14 (月)…633円94銭安
もちろん、3月11日の大震災発生が後場の引け直前だったという事情もあるのかもしれませんが、株価が大きく下落したのが大震災発生から4日後の3月15日だったというのは興味深いところです。
また、リーマン・ブラザーズの経営破綻(2008年9月15日、日本は休場)については、その直後の9月16日には600円あまりの株安となっているものの、さらにその翌日の9月17日にはむしろ株価は小幅反発しているほどです。
- 2008/09/16 (火)…605円04銭安
- 2008/09/17 (水)…140円07銭高
したがって、何らかの金融ショックの直後には、意外と株安になり辛く、株価の暴落はワンテンポ遅れるというパターンが非常に多いように思えてなりません。
ちなみに同じことを米株(ダウ工業平均30種、DJIA)でも比較してみたのですが、1000ドル以上の株安となったのは2000年以来では4回しかなく、うち2回は今年2月です。
- 2020/02/27 (木)…1190ドル95セント安→武漢コロナ
- 2018/02/05 (月)…1175ドル21セント安→利上げ観測嫌気
- 2018/02/08 (木)…1032ドル89セント安→利上げ観測嫌気
- 2020/02/24 (月)…1031ドル61セント安→武漢コロナ
米国で1000ドルを超える株安が日本よりも少ないというのも意外な感じがしますが、今回の武漢コロナショックは、米国の株式市場にとっては2018年のFRBによる利上げ観測を嫌気した際の株安に匹敵する売り材料となっていることが示唆されます。
WSJ「原油価格下落→安全資産上昇に波及」
さて、以前の『FRBの緊急利下げ:金融政策だけでなく財政政策も!』でも報告しましたが、あくまでも個人的な主観に基づけば、金融市場では次のような「安全資産の不等号」のようなものが成り立っていると思います。
日本円≒日本国債≒スイスフラン>米国債≒米ドル>ユーロ>米株>日本株≒新興市場諸国債券>新興市場諸国株>新興市場諸国通貨
この不等号では、左に行けば行くほど「安全資産」、右に行けば行くほど「リスク資産」ですが、一方で、今回の株安局面を資源市場から関連付けたのが、米メディアWSJの記事です。
Oil Price Declines Roil Global Markets(米国夏時間2020/03/08(日) 21:42付=日本時間2020/03/09(月) 10:42付 WSJより)
リンク先記事は日本時間の前場に出てきた最新のレポートですが、同記事によると株安は世界的に生じていて、とくにサウジアラビアにおける供給過多を要因として原油価格指標が20%以上下落する一方、米国の株式先物も、日中の変動が許容される最大値である5%の下落を記録したそうです。
自然に考えたら、コロナ騒動により石油価格は上昇しそうなものですが、WSJはサウジアラビアが石油の増産を決めたことが引き金となり、原油安から百万円株安の流れになったと説明。株先はドナルド・J・トランプ氏が2016年の大統領選を制して以来の大幅な下落になったのだとか。
その一方で、「安全資産」の代表格である米国債は買われており、10年債利回りはなんと0.239%ポイントも下落して0.529%と、もちろん米国債としては過去最低利回りを更新。30年債利回りも1.028%に低下している状況です。
ちなみに『外為どっとコム』のクオート画面によると、外為市場では先ほど日本円が一気に買われ、朝方に1ドル=105円台前後だったドル円(USD/JPY)が3円ほど下落して102円10銭台の円高・ドル安となっています。
円の買われ方はスイスフランを遥かに上回っており、スイス円(CHF/JPY)も1フラン=112円台から一気に100円台に下落するなど、円は主要通貨に対してほぼ全面高の様相を呈しています。
市場的には「リーマン級」
さて、安倍晋三総理大臣が昨年、消費税の増税を巡っては「リーマン級のことが起こらない限り予定どおり引き上げる」と述べていたことは、記憶に新しい点です。そして、少なくとも株式市場や為替市場などを見る限り、すでに「リーマン級のショック」は発生したと見て良いでしょう。
実際、時事通信に掲載された昨年8月の次の記事によれば、安倍総理は浜田宏一内閣官房参与との会談で、「リーマン・ショック級のことは起こらないだろう」との見通しを示し、消費税の増税を決めたと報じられています。
安倍首相「リーマン級発生せず」=消費税増税、予定通り(2019年08月01日14時53分付 時事通信より)
安倍総理にとっても、いや、日本経済にとっても不幸なことは、その「リーマン級」のショックが消費税の増税の半年後にやってきた、ということです。
あくまでも当ウェブサイトの見解ですが、昨年10月の時点で、残念ながら日本経済は、まだ消費税の増税に耐えられる状況ではありませんでした(というよりも、そもそも消費税の増税自体が「財政再建」にはまったく寄与しないのですが…)。
しかし、コロナショックによるサプライチェーンの混乱、観光産業への壊滅的な打撃、消費の萎縮などを考えると、事態はリーマンショックをはるかに超え、下手をすると東日本大震災にも匹敵する混乱に成長しつつあります。
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余談ですが、増税原理主義と緊縮財政主義を抱える財務省は、日本にとっては北朝鮮や中国を上回る脅威であり、この「悪の総本山」の解体は、憲法改正よりも優先すべきではないかと最近になって思えて来ました。
財務省の思想とは、「日本経済をぶっ壊してでも増税を成し遂げる」というものですが、これは本末転倒でしょう。日本政府は日本国を守るために存在するものであり、日本国を破壊するために存在するものではないからです。
安倍晋三、麻生太郎の両総理がもし国を思うならば、是非、残りの政治生命のすべてをぶつけて財務省をぶっ壊してほしいと思います。
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朝から株式市場と外為市場から目が離せなくなっています。
しかも北朝鮮はまたミサイルを打ってきて,軍事制裁を実行するとしたら絶好のタイミングになってしまっています。コロナ以外にいろいろなことが同時進行していて,情勢分析が大変です。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
今回の新型コロナウイルス感染拡大は、世界規模のサプライチェーンに
疑念を抱かせたという点では、その悪影響は超リーマン級では、ないでし
ょうか。
駄文にて失礼いたしました。
今回の騒動はコロナウイルス感染症が引き金となって、パニック的に暴落していると思ってます。
不良債権の焦げ付きが原因とかだったら、金融政策も効果がありそうですが、感染症が原因で、経済活動が停滞する場合は、効果がなさそうな…。
まずは感染症の対策を第一にしていただき、毀損しつつある実体経済の手当て(財政出動や減税)もしてもらいたいですね。
「健康になるためなら死んでもいい」の世界が目の前に。
東日本大震災後の反応が鈍かったのは、二日後になるまで津波被害の実態があまり報道されたなかったからだと思います。CNNで売春で失脚した元ニューヨーク州知事が「こんな大災害でも死者1000人」と称賛してましたから。初日から津波で壊滅的被害を受けた地域の空撮が報道されまくってたら翌日から暴落していたと思います。
12、13日は土日でした。月曜14日の動きが鈍かったという状況でしたが、フクイチの状況がどうなるかに注目が集まっていたという記憶があります。14日午後以降、フクイチの状況が悪くなる一方なので、14に続いて15日も株安に動きました。放射能うんぬんより、首都圏の電力供給に深刻かつ長期的ダメージ確定を見ての、下落であったのではないかと思います。もちろんパニック売りもあったでしょうが。
今回に関しては、「ここ1-2週間」が終わり、終息が見えない状況を確認しての売りと思われます。
終息が見えないうちは、消費税をゼロにしようが、1人百万円配ろうが、買い材料とはなりにくいでしょう。終息が見えないうちに、株価上昇材料を出すとしたら、「白旗」が有効です。「現役世代致死率は低いので、経済活動は通常通りとする」宣言です。緊急事態は、高齢者の活動に限定です。これは、批判は大きいでしょうが意外と支持されます。高齢者の医療を維持するために、経済をこれ以上止めれないという、乱暴な見切り発車をするわけですが、一番現実的です。現役世代は『コロナっぽければ休む』だけです。馬鹿げた案だと思う人もいるでしょうが、長期戦になったら、これが実は唯一解です、
ケロお様
ということは、
学校一斉休校=市街地空襲?
「白旗」って賢いですね。私もそういった解決策が良いのではないかと
考えています。
ただ、イタリア・イランの致死率の高さが、ようやくコロナがアメリカで
増えだしてきたタイミングで驚異となっています。
アメリカ(少なくともカリフォルニア)ではもうコメやトイレットペーパーの
買い占め競争が始まっていて、どちらも手に入りづらくなっています。
かなりパニックになっていて、これがしばらく続くでしょう。
こうなると、おっしゃるとおり何らかの経済政策を行ってもコロナウイルス
自体が収束しないと効果は限定的だと思います。
でも「白旗」は許されないでしょうね。世界中の致死率が日本や韓国程度
であれば可能でしょうが、イタリアみたいに5%ぐらいになってしまうと
あまりにも被害が大きく見えてしまいます。
更新ありがとうございます。
安倍総理、麻生副総理、菅官房長官はじめ政権中央も、こんな「異常事態」があるとは思えず、見通しが甘かったと言えば失礼か。いや財務省が岩盤だったのか。でも昨年夏から秋にかけて、ココで増税ヤメロと散々論議しましたね。
コロナショックによる観光産業への壊滅的な打撃、消費の萎縮、それこそ国民一人一人の生活範囲・行動が縮小することを考えると、事態はリーマンショックや個人的には東日本大震災を超えつつあるのではないかと危惧します。
正直言いますと、東北・関東で電力の供給が減り、首都圏も節電していた頃、西日本はピッカピカの電灯、エアコン付け放題でした。意識はそこまで浸透していませんでした。そういう意味で今回は全国規模、3月一杯どころか、4月も立ち直れないのでは。頑張っても立ち直り始める、ぐらいと思う。
シロウトの私が言うのもなんだが、消費税は元に戻して欲しい。そうすれば少なくとも消費は上向くと思う。
意外と目立っていませんが、増税・コロナショックに追い打ちをかけるように、4月1日からは同一労働同一賃金が導入されます。
多くの企業にとっては人件費の負担増が見込まれますので、企業の経済活動に更に抑制が掛かるかと思います。
派遣など外部労働力や非正規の労働力によって工場を回していた企業などは、中長期的な計画で生産拠点を国外に移すなどの対応を取ってくる可能性もあります。
せめて増税が無ければと考えると、「元に戻して欲しい」という考えに強く共感します。
匿名様
ご意見ありがとうございます。
未知の(?)ウィルスが経済活動に及ぼす悪影響、どの程度になるのかまったく予想がつきません。
経済のシステムが一端ダメージを受けると、あまりにも複雑故に修復、復元するのに相当な時間を要するように思うのですが、・・素人考えですが。
感染が人類への行き渡ったり、タミフルのような特効薬が開発されたりした後に、ということになるのでしょうかね。
消費税については、税率を元に戻すことでだいぶよくなるのか、正直わからないところです。
政府には小出しの財政政策だけは
やめてもらわないといけない
小出しにすればさらに悪化する
三月末になればバタバタと逝く企業や
個人事業主が増大する
財務省の抵抗などに負けないで
消費税の減税、大規模な補正予算を
組んでもらいたい、至急に
前例のない事態だから
前例のない対策が必要
大鉈振るえず小出し小出しでジリ貧…
違ったシチュエーションで何時か見た!
みたいな調子だけは避けていただきたいモノですワ
ホモサピエンスは近代国民国家体制から人類共同体体制への移行期である。
各政治的グループは「高度な自治」という名の体制を甘んじるしかない!
大事なのは弱者保護であろう。
その点で日本は先頭であるだろう。
労働基準監督署を国権の最高権力者にする事が大事なのではないか?
『働かざる者 食うべからず!』で働けない者を養う事が大事ではないか?
貧富の格差・1%の人が90%の富を独占する社会に正当性などない。
1%の人の90%の能力は人類共通の資産に依っている事など明白であろう。
私は消費税制度自体の撤廃を望んでいます。
以前のコメントの繰り返しですが理由は以下3点です。
1.税収比率3割を占めても納税者に納税額が見えない制度であること
2.収入のない子供老人を含む課税に制度上の正当性に疑いのあること
3.民間企業にコスト及び埋没コストが生じていること
私の消費税に関する意見は消費税撤廃の上、その財源を法人・個人の所得税に求めることです。
為政者に税の効率的運用を求めるには、納税者が納税の痛みを知ることが始まりであると考えます。
例えば年収600万円、家賃100万円、年間貯蓄100万円の世帯を仮定すると、年間消費税額は40万円です。
大抵の場合、所得税はともかく住民税に並ぶ税額となるでしょう。額を否定するものではありません。手段が問題です。
過去、年貢に喘ぎ止む無く決起した農民とて、財務省にかかれば年貢を巧妙に隠蔽されてたちどころに丸め込まれたことでしょう。
国民の三大義務のうち2つまでに関連する納税者を尊重する意味で、これだけでも消費税を撤廃する理由に充分と思います。
財務省の守銭奴じみた姿勢に灸を据えるには納税者の意識改革と一揆、そのために所得税への集約、納税者への税額の明示を望みます。
税率低減については市況の動向に応じて税率を一種の覚醒剤的に扱うことは健康的であろう筈もありませんし、それに関わる諸業務等のコスト及び埋没コストは無用である点で非効率極まります。
まして子供にまで税収を求めるとは、人頭税を課していた封建領主でさえ絶句するであろう消費税制度に私は正当性があるとは思えないのです。
同感です。
私も消費税は名を変えた人頭税だと思います。
何故なら人は生きている以上消費せざるを得ませんから。
少子化対策の真逆の税制です。
直ちに撤廃して所得税を中心とした税制に戻さないと日本の将来は危ういと思います。