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総理、いっそ習近平さんと靖国神社に共同参拝しては?

先ほどの『コロナウィルス騒動が産業に与える影響をどう見るか』の「こぼれ話」です。先日、台湾のWHO参加が認められたとの報道がありましたが、これについて中国が日本政府に抗議したという報道を見た記憶がありません。先月末、安倍晋三総理大臣が参議院予算委員会で「台湾のWHO参加が必要だ」と述べたにも関わらず、です。というよりも、春先の習近平氏の訪日を控え、むしろ中国の姿勢には卑屈さも垣間見えます。いったい日中の力学はどう変わってしまったのでしょうか。そして習近平氏は本気で今年の春に日本にやってくるつもりなのでしょうか。

台湾のWHO参加を歓迎する

先ほどの『コロナウィルス騒動が産業に与える影響をどう見るか』であわせて議論しようかどうか迷った話題があります。ただ、結局、微妙に内容がずれているため、これだけ単独で別稿にすることにしました。

というのも、『入国拒否などの政令前倒しの一方で台湾問題も浮上』では、台湾が世界保健機関(WHO)や国際民間航空機関(ICAO)から排除されている問題について紹介したのですが、これに「続報」が出て来たからです。

といっても、その「続報」は、すでに日曜日の時点で報じられている、次の共同通信の記事です。

肺炎、台湾がWHO会合参加へ(2020/2/9 11:29付 共同通信より)

リンク先の記事によると、WHOは8日、今月11日~12日に行われる会合に台湾が参加することを認めると明らかにしたそうです。正直、「やっとですか」、という思いがします。

しかも、共同通信によれば、台湾はWHO非加盟国であるとともに、中国の反対によりWHO総会へのオブザーバー参加も認められない状態がここ数年続いていたそうですが、共同通信は今回の台湾の参加が認められたことを「異例の対応となった」と述べています。

しかし、「異例の対応」というのならば、それはむしろ、WHOが中国の圧力に負けて、台湾のオブザーバー参加を認めてこなかったことの方ではないでしょうか。

中国共産党が中国全土を支配していることで、チベットやウイグルの人々は人権弾圧に晒され、香港ではデモが弾圧され、さらには事実上の独立国である台湾に対しても、不当な嫌がらせが加えられ続けている現状を踏まえると、まさに中国共産党こそが人類の癌ではないかと思えてなりません。

言うべきことをキッチリといった安倍総理

ただ、個人的に強く感じていることは、「台湾がWHOに参加できることになってよかった」、ということだけではありません。次の共同通信の記事によれば、わが国の安倍晋三総理大臣が先月30日の参議院予算委員会で、台湾のWHO参加の必要性を強調していたのです。

感染拡大受け台湾のWHO参加必要と首相(2020/1/30 12:05付 共同通信より)

もちろん、実際に台湾のWHO参加が実現した理由は、安倍総理がそのように述べたからというよりは、むしろ米国などの後押しもあったからだと考えた方が自然でしょう。

実際、ロイターに掲載された、WHOの報道発表よりも数日前の記事によれば、米国がWHOに対し、「台湾との直接の関与」を促し、中国がこれに対して反発するという局面も生じています。

米「WHOは台湾と直接関与を」、新型肺炎巡り 中国は反発(2020年2月6日 19:33付 ロイターより)

おそらく、台湾のWHO参加実現の理由は、米国によるものと見る方が妥当だと思います。しかし、安倍総理がこのやりとりに先立って、国会の場で堂々と「台湾のWHO参加が必要だ」と述べていたという事実は、きわめて重要です。

おそらく、従来の日本政府であれば、中国に無用な配慮をして、国会で台湾の「た」の字を出すことすらしなかったのではないでしょうか。その意味で、安倍政権下で中国に対するスタンスも(良い方向に)大きく変化しつつあることは、素直に歓迎したいと思います。

そういえば、中国は日本に抗議しましたっけ?

ただ、ここでふと気になって、安倍総理の先月末の発言や、日本政府が今月1日以降、中国・湖北省パスポート保持者の上陸を拒否すると述べたことなどについて、中国の外交部の報道官などが日本に対して抗議した、という話題は、耳にしません。

いちおう、ひととおりウェブサイトを調べてみたのですが、少なくとも日本語で入手できる情報源で、これらについて中国当局が日本に抗議したという情報は見当たりませんでした。

もちろん、「探し方が悪い」だけなのかもしれませんし、実際には耿爽(こう・そう)報道官、あるいは華春瑩(か・しゅんえい)報道局長あたりが日本政府に対し、中国語で何らかの嫌味を述べているのを見落としているだけなのかもしれません。

しかし、実際に手に入る情報を確認する限り、たとえば産経ニュースにちょうど1週間前に掲載された次の記事の場合も、中国政府が「米国に対して」不満を示したというものであり、「日本に対して」不満を示した、というものではありません。

中国の死者361人 中国報道官が不満「米政府はパニックを拡散」(2020.2.3 19:31付 産経ニュースより)

いずれにせよ、主要メディアに報じられている形跡がないことは確かですので、やはり中国がコロナウィルス騒動以降、日本に対する批判のトーンをやや下げていると見るのが正しいのでしょう。

やはり、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の国賓訪日を控え(?)、中国としても日本とのあいだで事を荒立てたくないという気持ちを持っているからなのでしょうか。あるいは、米中対立が激化するなかで、日本に対して米国との「窓口」としての役割を期待しているからなのでしょうか。

中国に対して強気に出られる局面?

言い換えれば、現在の日本は、日中国交正常化以降、中国に対して比較的強気に出られる局面を迎えている、ということでもあります。

考えてみれば、これは非常に珍しいことです。

なぜか知りませんが、歴代の日本政府は中国に対し卑屈になっていて、主張すべきことを主張すべきタイミングで主張できなかったという首相も多かったのですが、安倍晋三総理大臣になってから、状況はかなり変わりました。

実際、第二次安倍政権発足(2012年12月)と習近平政権発足(2013年3月)は時期的にあまり大きく変わらないのですが、お互いの政権が発足した直後、習近平氏は「尖閣諸島に領有権問題があることを認めなければ日中首脳会談に応じない」、などと言い張っていました。

しかし、日本側は「尖閣諸島に領有権問題は存在しない」という立場で頑として譲らず、それにも関わらず、ついには2018年秋に安倍総理が国賓として中国を訪問するまでになってしまいました。

第二次安倍政権発足以降のチャイナウォッチャーという立場としては、「こちらが頑として立場を譲らなければ、あちらもメンツが立たなくなり、それ以上理不尽な主張をしてこなくなる」という、中国独特の行動パターンが垣間見えた気がします。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

なお、個人的には、習近平氏の国賓訪日には反対です。

理由は、彼が個人思想を憲法に書き込んだり、チベットやウイグル、香港などにおける人権弾圧をやめなかったり、と、いちじるしく人道に反する行動を取っているからです。

このため、日中双方にとって、外交プロトコル上、いちばん角が立たないのは、「コロナウィルス対策が大変だから習近平氏の訪日を延期する」、と中国の側が発表してくれることではないかと思います。

もっとも、あくまでも個人的印象ですが、国賓訪日については習近平氏自身が熱烈に希望しているフシがありますが、副主席だった2009年、政権を奪取した小沢一郎氏(※皮肉です)を通じて、天皇陛下(現在の上皇陛下)への拝謁をゴリ押ししたという経緯があるのと無関係ではないでしょう。

思うに、習近平氏が国家副主席だった時代に天皇陛下に拝謁したことが、彼自身が国家主席に就任するのに何らかの寄与をしているのだとすれば、これは「中国の国家主席に就任したければ日本国の天皇陛下に会わなければならない」という奇妙な慣習を勝手に作ってくれたことになりそうです。

しかも、今上陛下が御即位されて最初の国賓がドナルド・J・トランプ米大統領だったこと、今年春に予定されている御即位後最初の外遊先が英国であることを踏まえるならば、日本の皇室にとって中国の扱いは3番目以下である(と彼らの目には映る)のかもしれません。

ブレグジットで大陸から距離を置いたばかりのユーラシア大陸の西側にある島国である英国にとっても、同じユーラシア大陸の東側にある島国の日本から、御即位後初の天皇陛下が訪問されることは光栄なことであるに違いありません。

さすがに国家元首として見れば、天皇陛下や英国のエリザベス二世女王陛下が、中国の独裁者ふぜいと釣り合うとも思えません(※余談ですが、エリザベス二世女王は2015年に訪英した習近平氏と握手する際、手袋を着用したままだったというのは有名な話です)。

だからこそ、習近平氏は何としても、今年の春に日本を訪れようとしているのではないでしょうか。

もっとも、それでも習近平氏が訪日を希望するならば、日本は英国の習近平氏に対する「おもてなし(※)」を参考にしても良いかもしれませんね。

(※天安門事件のあった1989年産のワインを晩餐会で提供したり、トイレの前で記者会見を開いたり、晩餐会参加者がこれ見よがしにアクビしたり、議会演説ではただの1回も拍手がなかったり、など、調べれば調べるほど、「さすが英国!」と思えるほほえましいエピソードがたくさん出て来ます。)

あるいは、あえて習近平氏を日本に来させるものの、天皇陛下への拝謁をドタキャンし、天皇陛下に拝謁するために、「安倍晋三総理大臣と一緒に靖国神社を共同参拝する」ことを条件にするくらいのことをやるのであれば、それはそれで面白いと思いますが…(※もちろん、冗談ですが…)。

新宿会計士:

View Comments (30)

  • この新型コロナウイルス肺炎が流行し、日本を含めた世界各国に
    迷惑を掛けている状況下でも
    中国からの尖閣諸島周辺の領海侵犯行為は継続されている様子
    習主席を国賓として招くのは感心しませんね
    経団連ほかの意向もあり国賓招待を中止しないのでしょうが
    サイト主さまの言われるように現状を利用して靖国参拝とまでは
    いかなくとも何らかの対応をして欲しいところですね

    あと、この場を借りてりょうちん様、ケロお様の貴重なご意見に
    お礼を申し上げます

  • 天皇陛下には、少なくとも先にイギリスに訪問されて欲しいです。
    そして皆さんお揃いのお写真やロイヤルファミリー公式Twitterを読みたい!

    中国においては、3月予定だった全人代のスケジュールも延期かも?みたいですかね。

  • 習近平は、コロナウィルスが大きな問題になってから急にほとんど表舞台に出てこなくなりましたね。
    この行動パターン、自分が責任追わされそうな大問題が発生すると別荘に引きこもって読書にいそしむムンジェインと似てますね。
    さすが韓国の父の国と言ったところでしょうか。

    もし習近平が来日したら、椅子はパイプ椅子でいいと思います。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     妄想かもしれませんが、新型コロナウィルスで困っている習近平国家主
    席に対して、靖国神社に共同参拝するための大義名分を与えて、(つまり
    中国国内に対して言い訳が立つようにして)、靖国神社の共同参拝を中国
    側から言い出すように誘導できれば、それはそれで面白いのではないでし
    ょうか。

     妄想にて失礼しました。

  • 新宿会計資産の妄想でしょうが、習主席の靖国訪問が実現すれば、日中両国にとって、大きな関係改善の進展にはなりますよね。それでも、尖閣には領海侵犯すると思います。
    歓迎パレードをするなら、皇居にも近いし、ルートに入れる位は、出来るかなと思います。
    今の中国人だと、以前と比べて、それほど抵抗が無いような気もしますね。
    困るのは、綺麗にはしごを外される、南北朝鮮じゃないんですかね。
    私も、この妄想、願望を共有することにします。

  • 習近平の国賓来日に反対です

    会計士様の提案である
    靖国神社共同参拝の提案にも
    賛成です

    他にも
    ・WHOの改革を共同でやろう
    ・尖閣を日本の領土と認めろ
    ・台湾独立を認めろ
    ・東京ディズニーランドに行って
     プーさんと一緒に写真をとろう

    他にもたくさんありそうです
    日本の本気を見せる時では
    ないでしょうか

    • Hさま
      晩餐会にプーさんをゲストに招待して、抱きつかせ、写真を撮る。後で中身は、慰安婦婆さんだったとネタ明かしして、二度美味しい。
      歓迎用の中華メニューは、尖閣エビを使って台湾人のシェフに作らせて、デザートは豆花で、お茶はタピオカミルクティー。
      暖かくなって来たせいからか、変な妄想でした。
      買い物でも行くかな。

  •  私には、習近平という人物が有能な指導者であるとは思えません。
     「中華民族の偉大なる復興」という目標を公然と掲げ、一帯一路構想、中国製造2025など大風呂敷を広げた結果、米国による本気の警戒と反撃を招き、トランプ大統領との貿易戦争では完敗しました。また、香港問題、台湾問題でも望みどおりの結果を得られず、新型コロナ肺炎でも無能ぶりをさらけ出しました。(鄧小平が中国の指導者であったならば、違った結果になっていたと思います。)
     仮に、こうした見方が正しいのであれば、習近平政権が継続することが日本の国益になると思います。であれば、習近平政権が今後とも末永く続くように習近平主席をおもてなしすることが日本がとるべき道であると思います。
     これは、韓国の指導者が文在寅であることが日本の国益になるのと同じです。

  • いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。

    当方も中国の習近平主席と安倍総理大臣が共同で参拝する場所を調べて見ました。靖国神社以外に以下をセットで参拝がオススメです(笑)。

    ①鎌倉五山二位の円覚寺
    北条時宗が元寇の犠牲者敵味方関係無く供養する為に建立した寺です。

    ②志賀島の蒙古塚
    此処には蒙古軍の慰霊碑があります。この揮毫は東郷元帥や田中義一首相(張作霖爆殺事件当時の首相という方が分かりますね)及び白水中将(日本人居留民が全員殺害された尼港事件での責任指揮官)が行った様です。

    これらを訪れて習近平主席に戦いが終われば敵味方関係無い日本の考え方に対して発言させるべきですね。

    過去を固定化してタカる事しか考えてない愚か者の国への宗主国様からの痛烈なお小言になるでしょう。

    以上です。駄文失礼しました。

    • 以下を訂正します。すみません。

      誤∶靖国神社以外に以下をセットで参拝がオススメです

      正∶靖国神社と共に以下をセットで参拝がオススメです

    • パーヨクのエ作員 さま

      ③博多の筥崎宮の、蒙古襲来で炎上した社殿の再興で掲げられた亀山上皇による「敵国降伏」御宸筆の見学

      もお勧めですかね。

      • 老害様

        当方の駄文にコメントを賜りありがとうございました。

        用途によっては亀山上皇による「敵国降伏」御宸筆を見て頂くのも十分ありです。

        今回は蒋介石や周恩来の戦争後に金銭での戦争賠償放棄発言(多額の現地にある在外資産は得ています)を受けて戦争賠償は終えたことの確認と敵味方関係無い日本の考え方に対して評価発言させる目的の工程ですので、少し効きすぎるイベントかと思います。

        理想は広島と真珠湾を訪れた日米首脳の行動で世界中に日米間の戦争の終了と同盟の誇示した様に対中国の戦争終了の確認と(建前での)友好の誇示です。

        武漢肺炎の後だからこそ可能な行為と思いますよ。

        以上です。駄文失礼しました。

        • パーヨクのエ作員 さま

          コメントありがとうございます。パーヨクのエ作員さんの意図を分かったうえで書いてしまいました。
          ごめんなさい。

          中共には、それぐらいしないといけないと思っているので、お許しください。

  • 国賓来日を強く望んでいるのは習近平本人であるというところには、相変わらず確証はありません。
    ですが、昨今の情勢から見て、その線で間違いないのだろうという気はします。

    パチ倒様は、国賓来日をゴリ押ししているのは、公明党と二階である、と断じておりますが…
    公明党は年来、共産主義青年団と関係が深く、共青団とは何かと対立する太子党からの要望は通りにくいはずなのですが…
    共青団も米中貿易戦争や新型肺炎の苦境打開に、太子党からの要望に賛同しているのでしょうねぇ…
    まあ、日本政府としては、習近平を国賓として迎えることにほぼ固まっているようで、なんとも、なんとも…

    国賓来日に反対している青山繁晴参議院議員が指摘していましたが、国賓待遇が中共側から、新型肺炎の収束宣言に勝手に利用されてしまうという指摘は、かなり当たっていると思います。
    4月の段階では、『危険が去った』と果たして言い切れるのでしょうか?

    それに日本政府としても早い段階で『収束宣言』を出させて、オリンピックを『安全に(国際世論的に安全という意味であって、実質的に安全という意味ではありません)』運営したい、という思惑も絡んでいるのでしょう。

  • いいアイデアですね。
    共同参拝でなくても、武漢肺炎の流行が心配される中、国家安寧を祈って安倍総理だけでも靖国神に参拝し、Facebook AIが名訳を示した名の方がそれを理由に訪日取消を言い出すならそれもよし、という姿勢もいいかも知れません。
    ついでに、彼の国がヒステリーを起こして暴走するなら、なおよしですね。

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