昨日、朝日新聞に凄い社説が掲載されました「戦後最悪の日韓関係」という汚名から脱却するために、交流の裾野を広げよ、という主張です。1人の日本人としては、日韓関係を「最悪」にする原因を作った張本人の1人にそんなことを言われたくはないと思ってしまいますが、ただ、同社説のなかで、貿易統計のなかで、決して金額的に大きくない品目を針小棒大に引用しているのではないかと疑われる部分がありました。おりしも、本日、財務省が『普通貿易統計』(2019年12月分・速報値)を公表していますので、本稿では簡単なファクトチェックを行っておきたいと思います。
戦後最悪から脱却したいのなら…
最近、「日韓関係が戦後最悪だ」、などと言われています。
その大きな要因は、もちろん、昨年、韓国の大法院(※最高裁に相当)が自称元徴用工訴訟で、国際法に違反した判決を下したことと、これに対して韓国政府が是正措置も講じず、日本との協議にも仲裁にも応じないことです。
ただ、あくまでも個人的な印象ですが、この「現在が戦後最悪」という表現には違和感もあります。
なぜならば、「もっと関係が悪化する」という可能性もあるからです。
当ウェブサイトの私見ですが、昨年の自称元徴用工判決は、日韓関係が「最悪の状態」にまで悪化するきっかけに過ぎず、それ以前に日韓関係を悪化させてきたのは、おもに歴史問題における韓国側による度重なるウソ、捏造と、それらを積極的に是正させずに放置してきた歴代日本政府の不作為です。
そして、歴史問題で韓国側に捏造する材料を与えて来たのは、意外なことに、日本の反日的な勢力であり、とりわけ罪が重いのは、長年にわたって「従軍慰安婦問題」という捏造報道を放置し、日本人を傷つけて来た朝日新聞でしょう。
そんな朝日新聞に昨日、こんな社説が掲載されていました。
(社説)日本と韓国の対立 「最悪」を抜け出すために(2019年12月25日05時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より)
お言葉ですが、日韓関係が「戦後最悪」ともいわれる状態を抜け出すために、いちばん手っ取り早いのは朝日新聞の廃刊だと思います。
それが無理であっても、朝日新聞に書かれている内容を真に受けないよう、私たち日本国民が見識を深めることを通じて、朝日新聞の社会的影響力を極小化していくことは必要でしょう。
ファクトチェック
それはさておき、朝日新聞の記載について、簡単な「ファクトチェック」をしておきたい部分があります。それは、
「これまでのところ深刻な経済ダメージが取りざたされるのは日本側だ」
という記載です。
朝日新聞の社説が挙げる具体例は、観光とビールです。
- 「これまで中国に次ぐ2番目の規模だった韓国人観光客の足が遠のいた。/日韓の間に位置する長崎・対馬の観光業者は「経営的に限界という声が少なくない」(長崎県対馬振興局)という。」
- 「韓国の輸入ビールで最も人気のあった日本産は統計上、日本からの輸出がゼロに。日本車の販売も大きく落ち込んだ。」
この2つの文章に含まれている、「韓国人入国者数の急減」、「日本産ビールの2019年10月の統計上の輸出高がゼロ」は、統計的事実です。ただし、これをもって「日本に深刻な経済ダメージ」と称するのは、やや行き過ぎです。
もちろん、韓国人観光客の急減によって、一部の地域にはそれなりに大きな影響が生じているケースもあるでしょうし、日本政府が掲げる「2020年4000万人」目標の達成が厳しくなっているのも確かです。また、ビールに代表される日本産の商品が売れなくなっている、という話はよく耳にします。
しかし、このうち韓国人入国者数の減少が日本経済に与える影響は僅少ですし(『訪日外国人・韓国人だけが激減も、現状の影響は限定的』参照)、むしろ韓国の航空会社の経営を苦しめている(『韓国のLCCの大幅減便と「発着枠のU/Lルール」』参照)という事情もあります。
財務省『普通貿易統計』を発表
さらに、朝日新聞さんにとっては非常に深刻な話を、もうひとつしておきましょう。
そもそもビールを含めた「飲料品」の韓国に対する輸出高を、この社説の主はご存じなのでしょうか?
ちょうどタイミングよく、本日、財務省税関は『普通貿易統計』の2019年11月分(速報)を公表しました。これをもとに、手っ取り早く、グラフで示しておきましょう(図表1)。
図表1 対韓輸出高・月次推移(4年分、「飲料及びたばこ」)
(【出所】財務省税関『普通貿易統計』をもとに著者作成)
これで見ていただくと、たしかにジャンルで見て「飲料及びたばこ」の輸出高が、「ノージャパン運動」が活発化した今年8月以降、急落していることが確認できます。これだけで見ると、「ジャンルによっては日本経済に大きな影響を与えている」というのは事実でしょう。
ただし、グラフの縦軸を、よ~~く見てください。
金額単位は、いくらですか?「兆円」ですか?「千億円」ですか?違いますね。「億円」です。
そもそも論として、日本の年間輸出高は昨年実績で81兆4788億円です。韓国向けビール輸出高は全体でもせいぜい毎月10億円前後です。
ちなみに日本の韓国に対する輸出高合計のグラフ縦軸についても確認しておきましょう(図表2)。
図表2 対韓輸出高・月次推移(4年分、合計額)
(【出所】財務省税関『普通貿易統計』をもとに著者作成)
朝日新聞や一部の韓国メディアの主張を眺めていると、「日本が7月に輸出『規制』(※)を発表したことで日本製品不買運動が韓国で発生した」、といったストーリーをよくみかけます(※輸出「規制」とは輸出管理適正化措置のこと)。
しかし、日本の対韓輸出高全体でみると、正直、7月の輸出管理適正化措置を「契機として」輸出が落ち込んでいるという事実は確認できません。
現実には、韓国の対中輸出高に年初から急ブレーキが掛かり、韓国の半導体産業などの落ち込みにより、日本の資本財・素材などの対韓輸出に年初から急ブレーキが掛かった、という方が、説明としては遥かに自然です(『中国向け輸出低迷 韓国の輸出が12ヵ月連続で不振に』参照)。
実際、半導体製造装置の輸出の落ち込み(図表3)だけで、日本の対韓輸出高の低迷はほぼ説明が付いてしまいます。
図表3 対韓輸出高・月次推移(4年分、「半導体製造装置」)
(【出所】財務省税関『普通貿易統計』をもとに著者作成)
ビールの輸出は中央日報も記事に!
さて、朝日新聞の社説が掲載されたのは昨日ですので、本日発表された貿易統計の内容については、朝日新聞の社説には触れられていません。
その一方、韓国メディア『中央日報』(日本語版)は、貿易統計上、韓国向けのビールの輸出高が激減しているという話題に触れているようです。
日本ビール、11月の韓国向け輸出額696万円…前年比99%減(2019.12.26 12:01付 中央日報日本語版より)
ただし、くどいようですが、飲料自体の対韓輸出高が極めて少ないという事実を踏まえるならば、「飲料の輸出がゼロになった!」などとセンセーショナルに報じることが、果たして「事実に基づき、冷静な目で日韓関係について読むこと」に、どれだけ役立つのかはわかりません。
なお、日本から韓国に対する輸出高が大きい項目のなかでも、7月の輸出管理適正化措置以降、日本から韓国への輸出に急ブレーキが掛かっている品目があります。それが「無機化合物」です。
図表4 対韓輸出高・月次推移(4年分、「無機化合物」)
(【出所】財務省税関『普通貿易統計』をもとに著者作成)
なぜ「無機化合物」(フッ化水素など)の輸出が7月以降、急減しているのでしょうか?
まさかとは思いますが、韓国国民が無機化合物を「不買運動」の対象にしているとでも言うのでしょうか?
日本産ビールよりも、日本産無機化合物のほうが、金額的には遥かに重要ですし、動きとしては遥かに不自然です。
新聞社を名乗るならば、このあたりの事情について、もう少しお調べになったらよいのに、と思う次第です(ほんの老婆心ですが…)。
View Comments (19)
笑い‼️
ですね。
Mバードでは相変わらず「ビールが売れない」「自動車が売れない」「訪日韓国人が激減」なので「日本経済に大打撃」だから「お互いに歩み寄れ」なんて言ってますけど、朝鮮脳の妄想でしょうかww
新宿会計士さまの明快簡潔な議論が朝日新聞はじめとした異様な動きを浮き彫りにして居ます。
大雑把な床屋談義として「チョーセンのカネ握らされた手下かよ?」みたいな単純化、排外主義的な言説は自分としては不本意なのですが【それでは何故なのか?】が真剣に知りたい。説明がつく合理的な朝日新聞の屁理屈の動機が知りたい。【兎に角日本の政治家が決めた事なので原則的に反論してみる】と言うのはザックリ言って「反自民」か「反日」です。日本の国家権力に歯向かってカッコいいと言うにせよ、【擁護して居るのは韓国の国家独占資本】であり【日本以上に権威的な、それでいて日本以上に弱者いじめの悪政政権】です。つまり合理的かつ決めつけレッテル貼りを排除した「別の答え」が出てこない。「嫁が朝鮮人で嫁方の親が慰安婦団体の長」とか本当にわかりやすい。ここで「いや待てもっと真相が?!」と思っても幾ら深掘りして見ても上記床屋談義の決めつけの方が大新聞のご高説よりもずっと説得力がある。そこに新宿会計士さまの手堅い経済の解説。まんがの台詞で「敗北を知りたい」と言うのがありますが「チョーセンのカネ握らされた手下かよ?」を明確に否定できる何かが有れば知りたい。
反応するつもりは、無かったんですが、先程NHKニュースでも、日韓関係の悪化により、ビールの輸出が600万円に減ったと報道してました。
朝日新聞は、工作員として日韓離反に成果を挙げましたが、無くなっても日韓関係が良くなる事は、無いと思います。
反日モンスターを韓国がコントロールできなくなったので、何かが変わっても、日韓関係が良くなる事は、無いと思います。
これから、徐々に最悪が深まる事と思います。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
朝日新聞としては、(韓国に限りませんが)一般人(?)が統計から自
分たちの記事を検証して、その結果を広く公開することが出来る時代にな
ることを想定してなく、また想定したくもないのでは、ないでしょうか。
駄文にて失礼しました。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
すみません。追加です。
もしかしたら、そのうち日本マスゴミ村は、その代理人に自身の記事と
矛盾するものは、元のなるデータの数字自体が疑わしいと、言わせる可能
性もあるのではないでしょうか。そうすれば、韓国輸出減少で、いくらで
も日本経済にダメージを与えることが出来ますから。
駄文にて失礼しました。
韓国さん、運転中(経済運営)に急ブレーキをかけると、タイさん・台湾さんかベトナムさん辺りに追突されて木っ端微塵になっちゃうかもよ。🐧
あっ、忘れていた、当たり屋も平気でやるんだよね「ウリがサイドブレーキを引いて優しく急減速しているのに、かる~く左車線から追い抜いて行くとわ許せない、謝罪と賠償を請求するニダ」て言っても誰も相手にしないよATM以外は。🐧
朝日新聞も、今更遅すぎるけど、そのうち本業の売上高・利益が「新宿会計士様の広告収入」にオカマ掘られるよ。🐧
そうなった方が、世の中「公正」だよね、そうでしょ赤非新聞さん。🐧
アホらしいですね。
仮に日本人が眞露焼酎やマッコリの不買運動をしたら韓国経済は崩壊するのでしょうか?
そんなわけないですよね。
これぞまさしく
「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を用いる」ですね。
ボク嘘は書いてませーん、て感じですか?
さて日本側でNOJAPANによって倒産、整理解雇、株価下落とは聞いたことがありませんが、韓国企業はLCCをはじめえらいことになってるようですね?朝日さん?
知らないなら素人以下だし、知ってて書いてるなら怪文書かプロパガンダ専門紙ですね。
というか酒類輸出は韓国で不買があったものの割合が小さすぎて全輸出量にはむしろ驚くほど影響がなかったぞっていう話題の代表じゃないですか…ネット民ナメすぎでしょう。
まぁ韓国人客のみをあてこんでいた旅館業はご愁傷様ですが…そもそもリスクヘッジがなっていないですから自由資本主義国家にあっては無辜無謬ではありません。麻生さんの言うとおり儲かるときは儲けてただろ?です。
全くです。
朝日曰く、「これまでのところ深刻な経済ダメージが取りざたされるのは日本側だ。」
朝日曰く、「韓国の輸入ビールで最も人気のあった日本産は統計上、日本からの輸出がゼロに。日本車の販売も大きく落ち込んだ。」
これにより経営が傾いたビール会社・自動車会社が、日本に1社でもあったのでしょうか?
> まぁ韓国人客のみをあてこんでいた旅館業はご愁傷様ですが…
朝日曰く、「これまで中国に次ぐ2番目の規模だった韓国人観光客の足が遠のいた。」
これで被害を受けているのは、韓国資本が日本で経営する、ホテル・ゴルフ場・土産物店等が殆どです。
韓国資本を救済する為に、日本人の血税が使われるのには大反対です。
朝日曰く、「さほど損害が伝えられない韓国側でも、」
伝えられていないのは、朝日社内の話であって、日本国民には伝えられています。
韓国紙の日本語版ですら、LCC等が苦境に陥ったり、日本製品販売関係の韓国人従業員が解雇されたりした事を報じています。朝日がそういう報道を存在しないものとして扱っているだけはありませんか?
朝日曰く、「当時の日本が朝鮮の植民地支配で差別を批判されていたことへの言及はなかった。」
植民地に学校を5千校以上建てた国があるのでしょうか?
実際には「併合」であって「植民地」ではありません。
朝日に言わせると、ドイツはオーストリアを植民地にしたのでしょうか?
流石にフェイクニュース老舗紙だけの事はある。
仮定の話として、この朝日新聞の報道を鵜呑みにするとします。
韓国への輸出が滞ることで日本へ大打撃を与えるということになります。
企業としては困りますので、短期的には朝日の誘導したいように妥協への動きがあるでしょう。
しかし企業統治をする側として、他国の一方的な恣意によって経営が左右されることは、非常に不都合です。
結果、取引先としての韓国の存在感を無視できるまでに低減する方向で、経営健全化を図ることになります。
つまり朝日新聞は、日系企業を韓国から撤退させたいのですね?
少し前にもコメント致しましたが、日本にはビールのみ(メイン)でグローバル展開している会社はありません。サッポルビールもしかりです。ビールの割合は少しです。
日本国内ではちょっとした誤解(笑)があって 国内のビール市場はこの数十年でものすごく拡大しました。まあ それはそれで良いのですが、、、。
が、例えばドイツでも大切な人との食事はワインです。
この辺の企業はコカコーラを見習い 将来的には現地尊重主義で薄利多売で市場を圧倒するビジネスモデルを展開したいと考えているのではないでしょうか。