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時事通信「文喜相案巡り日本政府内に期待」、本当に?

韓国の文喜相国会議長が提案しているとされる「強制徴用工基金法案」を巡っては、昨日の『文喜相氏の「解決策」を絶賛する中央日報社説』でも報告したとおり、韓国内の一部のメディアからは絶賛する意見が出ているようです。ただ、それを「ばからしい」と笑い飛ばしてばかりもいられません。日本政府内(というよりも、おそらくは外務省内)で、こうした基金構想に理解を示している人間がいるという可能性が、非常に高いと懸念されるような状況が、本日の時事通信の記事からうかがえるからです。

話にならない基金案だが…

韓国の文喜相(ぶん・きそう)国会議長が提案しているとされる「強制徴用工基金法案」については、昨日の『硬派メディア、「安倍総理が文喜相氏の基金案に共感」』でも触れたとおり、正直、「お話にならない」代物です。

というのも、この構想のもとになっている、韓国で昨年10月30日と11月29日に相次いで下された「自称元徴用工判決」自体、確たる証拠もないのに自称元徴用工の言い分を認め、かつ、国際法に反して日本企業に対し損害賠償を命じた、非常にお粗末なものだからです。

ところが、先週金曜日に韓国政府が『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』(いわゆる「日韓GSOMIA」)を突如として、事実上延期すると決定したことを受け、韓国メディアを中心に「日韓の雪解けムード」を演出するような報道が相次ぎ始めました。

こうしたなか、この基金構想も、一部の韓国メディアからは好意的に受け止められているらしく、中央日報などは「これをもとにして韓日葛藤を解決しよう」と主張しているほどです(『文喜相氏の「解決策」を絶賛する中央日報社説』参照)。

ただし、これを単なる韓国内の「与太話」と決めつけるのも適切ではありません。

なぜなら、日本国内でも、おそらく「韓国に譲歩せよ」と主張する勢力が暗躍しているフシがあるからです。

時事通信「日本政府に解決糸口の期待も」

こうしたなか、時事通信に今朝、こんな記事を発見しました。

元徴用工、基金案の行方注視 「解決の糸口」期待も―日本政府(2019年11月29日07時26分付 時事通信より)

これは、この文喜相氏の提案を巡り、「韓国内で法制化に漕ぎ着けられれば、徴用工問題をめぐる膠着状態打開の糸口になり得ると期待する声」というのが「日本政府内から」出始めている、とするものです。(※時事通信さん!いったい誰ですか、その「期待する声」を発した者というのは?)

もちろん、現在の基金案自体、韓国国内で調整を経ていないなどの事情もあり、国会を通過するかどうか(いや、そもそも法案審議がなされるのかどうか)は微妙な情勢ですし、韓国大統領府の出方もわからりません。

こうした状況を受け、時事通信は

日本外務省幹部は『時期尚早。国会を通らないと何も言えない』と語った

と報じているのですが、裏を返せばこの「日本外務省幹部」とやらは、「国会を通れば何とも言える」とでも思っているのでしょうか?

時事通信の記事には、ほかにも問題があります。たとえば、

文議長の案に対し、日本政府内ではこれまで『考えられない』(政府筋)と否定的な意見が大勢だった。ただ、韓国政府が事態打開に動こうとしない中、日本企業の資産が売却される『現金化』のタイミングが刻一刻と近づいているため、空気には変化も生じつつある。

とする下りについては、まったく意味不明です。というのも、日本企業の資産現金化で困るのは日本企業ではなく、韓国の側だからです。

それをするなら「国として終わる」

ちなみに時事通信の記事には、「外務省幹部」あるいは「政府関係者」の話として、

  • 立法府が動きだしたのはいいことだ
  • 代位弁済しかない

などのコメントが紹介されているのですが、国際法上、日本企業は韓国の自称元徴用工らに1円たりとも金銭債務を負っていないにも関わらず、「代位弁済」という言葉を軽々しく使うあたり、この「政府関係者」とやらが日本政府の側に立っていないことは明らかでしょう。

だいいち、そもそも論として文喜相氏のアイデアが「韓国自身が作り出した国際法違反の状態を解消する」ことになっていないという点について、時事通信の記事では何ら言及がなされていない点に、強い不安を覚えます。

まず、自称元徴用工問題は、次の2つの点において、おおきな問題があります。

  • ①日韓間の過去のすべての問題は、1965年の日韓請求権協定において法的に完全に決着が付いており、それを後になってから蒸し返すのは国際法違反である
  • ②そもそも自称元徴用工問題を含めた「歴史問題」自体、その多くが韓国(や悪意を持った日本人)によるウソ、捏造のたぐいである

日本政府は現在、公式には②についてほとんど言及していないにせよ、少なくとも①の部分において「解決済みだ」と突っぱねています。そして、自称元徴用工問題に関しては、上記①②に照らし、

  • ①法律的には、日本企業は1円たりとも自称元徴用工にカネを払ってはならない
  • ②道義的には、日本企業は1円たりとも自称元徴用工にカネを払う必要はない

と断言して良いでしょう。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ちなみに「基金案」では、2015年12月の日韓慰安婦合意という「轍」を踏むことがあってはなりません。もし日本側(というよりも、外務省あたりの安易な対韓妥協論者ら)が変な妥協を韓国側としようとするならば、日本は自分で日韓請求権協定を否認したことになり、それをやると日本は国として終わります。

外務省内の「媚韓派」の動きについては、私たち日本国民としてはしっかりとその動向を監視しなければならないことは間違いない点でしょう。

新宿会計士:

View Comments (29)

  • 外務省の役人は、糞みたいな案でも妥協して交渉がまとまることを成果と思ってたりするので、国益を考えずに目先の交渉締結を優先する輩です。
    その場がまとまれば、後々のことも考えない妥協もしますよ。

    • ホント、悪い意味での戦後の役人根性。国益無視、事なかれ主義、平穏無事に役人人生を終えて天下り。
      現実世界を相手にしない外務省が特別でしょう。他の省庁は一方的事なかれ主義だけでは泳げない。現実社会が相手。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     残念ながら、自分たちの仲間うちでの利益のために、(国がなくなれば
    自分たちの存在自体が否定されるのの)国を害する行為も辞さないという
    例は多々あります。

     蛇足ですが、交通手段や通信手段が発展した現代、日本の害務省でなけ
    れば出来ない業務は、どれだけあるのでしょうか。全てとは言いませんが
    他の省庁から害務省への出向者で、代行できないのでしょうか。(つまり
    外務省自体は、ともかく、外務省専属の役人は必要かと、いうことです)

     駄文にて失礼しました。

  • 更新ありがとうございます。

    文喜相議長の基金案?が韓国で動き出せば、日本側も興味を持つ。ハア?時事通信社は親韓派か!(ハイ、そうです)。話になりません。

    自民党内の親韓派や媚中派の幹部らが生息する限り、この手の観測気球や見切りスタートが韓国から出て来ます。日本の馬鹿者も乗ります。

    『立法府が動きだしたのはいいことだ。代位弁済しかない』なんて日本人として、聞き覚えの無い言葉ですが、韓国側の発言でしょうネ。

    とにかく打つ手の無い韓国は、どんな無茶振りもして来る。関知しない、関わらない、国としての最低限のルールを守れ!です。

    おや、中曽根氏が亡くなったそうですね。「不沈空母」発言、ロン・ヤスという時代が完全に終了しました。

  • 日本政府は、韓国の立法に口出しすべき立場ではありません。
    まずは、韓国の国会を通ることが、無いと思います。
    韓国の国会を通ったからとしても、日本が解決案だと認めないといけないものでもありません。
    通ってから、それでは国際法違反の解消にならないから駄目だというのが、韓国政府に一番ダメージあるでしょうね。

  • 韓国の国内法で日本政府等を拘束することはできないわけで、なにゆえ解決策となるのか理解できません。

  • 私の持論は今般の問題は日本側にあるというものです。相も変わらず日本海の向かい側から問題は生じるのですが、この数年日本側の変化こそが摩擦を加熱させたために問題を顕在化させたのでしょう。
    日本側の変化の最たるものは従来見過ごされてきた安直な譲歩を良しとしない態度として分離すれば、問題の本質は従前からそれを良しとすべく努力してきた勢力となります。
    その勢力が何かといえば官僚の一部、議員の一部、マスコミの一部、学界の一部、つまり広範な分野に食い込む一定の思想を持つ人々でしょう。私が不可思議な点は彼らが何の影響を受けてその視野に立ったのか、それも情報化の進んだ現代においてその視座に固執する原因は何か、です。
    かつての学生運動のように一過性の熱情では到底説明もできず、かといって金銭等現世的利益から見てもそこまで広範に利権を振りまくほどの強固な資金力があるとも思えません。極めて効率的な組織化と能率的な資金の収集及び投資機構を備えている可能性も否定できませんが、その場合はかくも優れた機構が損な役回りを甘受しないでしょう。
    いずれにせよ長い目で見れば淘汰されゆく思想とは思いますが、彼らの発生原因にこそ問題を明らかにする本質があるのだと考えています。

    • > 彼らが何の影響を受けてその視野に立ったのか、

      答えは、「コミンテルンの工作」から「ユダヤ/国際金融資本を牛耳る闇の勢力」まで色々とご用意できますが、今回は一番素朴に、左翼思想の残留思念としましょうか。

      資本主義がまだ荒々しかった頃は、共産主義にも一定の社会的役割があったと思います。それが色々とボロが出て資本主義諸国で「アカはあかん」という認識に変わったのですが、それでも共産主義を夢見る人は皆無ではないわけです。

      日本の場合は、GHQの占領政策という特殊事情がありまして「日本を戦争に導いた奴らは徹底的に排除してやる」ということで、戦争に加担したと目された人々は「公職追放」の憂き目に遭いました。私の祖父は村役場の下っ端役人でしたが、公職追放されました。恐らく大政翼賛会がらみだと思います。かなり徹底した処置だったのです。このお陰で、マスコミ、大学、言論界など情報と思想を発信する組織は左翼に牛耳られることとなり、その影響は未だに強烈です。当然官僚機構の中にも左翼思想は一定割合で残っているでしょう。また、地方公務員は共産党員が好む就職先です。

      加えて、マスコミには在日が多数入り込んでいます。左翼と中韓は反日という共通の目標があり親和性が高いのです。

      ソビエト連邦の崩壊で、共産主義という社会実験は失敗に終わったと判断するのが普通のはずですが、人間は一旦信じた思想を変えることが難しいのでしょう。私はとある大学教授が「共産主義は正しい。ソ連のやり方が間違っていただけだ」と発言するのを目撃しました。

      > 情報化の進んだ現代においてその視座に固執する原因は何か

      人間は自分が見たい物だけを見る生き物だからでしょう。物事を自分の脳味噌で考える人は案外少数なのです。多くの人はTVで言っていたこと、新聞で読んだことを、自分が考えたかのように思い込むものです。

      私は九条信者を見つけると、できる限り話しかけるようにしていますが、一度たりとも話が噛み合ったことがありません。人が一旦思い込んだ信念は滅多なことでは変わらないようです。

      > かつての学生運動のように一過性の熱情

      うちの近所では、毎週ジジババが集まって「アベ政治を許さない」だの「九条を守れ」といったプラカードを掲げて気勢を上げていますよ。青春の情熱は死ぬまで続くのです。

      > 彼らの発生原因にこそ問題を明らかにする本質があるのだと考えています。

      これ、非常に根深い問題でして、簡単に答えは出ないと思います。今回は左翼思想ということにしましたが、もっと人類史を遡っても色々と問題は出てくると思うのです。大雑把に言えば、人体に癌細胞ができるように、人間社会には一定数の癌思想が存在し、体制を崩壊させようとする、と私は考えています。

      • 阿野煮鱒様へ

        ≫答えは、「コミンテルンの工作」から「ユダヤ/国際金融資本を牛耳る闇の勢力」まで色々とご用意できますが、今回は一番素朴に、左翼思想の残留思念としましょうか。

        アッハッハッハッ!
        自分も一時は『アカ(国際金融資本)』を連呼していましたよ…
        陰謀論を語る者の基本中の基本。ただし、これを語る者は、北朝鮮と間違われることを覚悟すべし、というところです。(笑)
        このアカの資本家は、階層式分割統治(ヒエラルキー)を各国に持ち込み、そのトップに位置します。
        トップは必ず、少数派となり孤立しやすいグループを『中間管理層』に任命し、資金面、法律面、広報面、様々な面で支援します。これで中間管理層は孤立感を深めて、多数派と融和しにくい構造が意図的に作れます。どれだけアホな主張と言えど、トップの庇護を求めるために、トップの主張に盲目的に従わざるを得ません。
        これが、人類が文明社会を築いてより古来(ペルシア帝国、ローマ帝国、秦帝国等々)から続いて来た分割統治の真骨頂でしょう。
        これが現代社会においても(もちろん、アメリカや日本においても)厳しく実施されていることを知る者は、すべてのメディアが始終唱える『人権』や『平等』などは、すべて白々しいスローガンにしか見えて来ないのですから不思議です。(笑)

  •  話がそれるのですが、韓国の株安とウォン安が止まりません。KOSPIは2100を割り込み、$/₩相場は1180を超えました。韓国鉱業生産も前月比-1.7%(予想+0.1)、前年比-2.5%(予想-1.8%)となり、予想を大きく下回る結果となっています。

     もうすぐ11月の貿易結果が発表されると思いますが、さほど明るい内容とはならないでしょう。

     韓国政府は今月初めに「最悪は過ぎた」と発表していますが、はてさてどうなる事やら・・・。

     駄文にて失礼します。

     

    • 韓国在住日本人さま
      まだまだ、少し動いただけで、9月頃と比べれば余裕だと思います。
      韓国政府が「最悪は過ぎた」というのであれば、これからもっと悪くなると思います。

      • 次に大きな動きがありそうなのは11月23日から40日?が過ぎて韓国政府がGSOMIAについてなんらかの結論を出さなければいけなくなる時でしょうね。
        破棄なら急落、だらだらと決断を引き延ばし再度延長したとしても「韓国政府は決断力がない、内政、外交ともハンドリングできていない」と見られて凋落は止まらないでしょう。

        その次が2月の徴用工()判決の現金化ですね。これもどう落としどころを見つけるつもりでしょうか。なにをやっても悪材料になりそうです。

  • 少なくとも経団連は否定しています
    >>経団連の中西宏明会長は25日の記者会見で「徴用工」判決問題をめぐって、日韓の企業と個人から寄付金を募り、元徴用工らに賠償の代わりとして支給する案を示したことについて、「(日本の)経済界が直接、お金を使うことは一切ない」と改めて否定し、あくまでも政府間で解決すべき問題との認識を示した。
    基金案ばかりが話題に成りますが大法院判決が温存されるような話に成らないか心配です。

  • 単に在日の記者やディレクターがいるのではなく、韓国の情報機関と連絡取り合ってるとかなのかもなぁとか思ったり。
    ここまで韓国政権の期待通りに日本の記事書かれてるのみると。

  • 学生時代にハングルを勉強して外務省に入省した職員も少なからず居る事でしょう。
    外務省はそんな職員の為に韓国との関係良化・維持・継続を望むのでしょうね。
    外務省は国益よりも省益優先体質丸出しですね。

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