韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、NPO団体が主催し、読売新聞社が後援したシンポジウムの内容が掲載されていました。これによると河野克俊・前統合幕僚長が「韓国が大陸国家群に所属すれば、日米同盟はさらに重要になる」、「日本はより踏み込んで米軍と軍事オペレーションを分担すべきだ」、といった趣旨のことを述べたのだそうですが、これについてはほぼ同意したいと思います。いや、むしろ現在、韓国が海洋国家群から外れようとしていること自体、日本国民が国防意識を変革する貴重なチャンスなのかもしれません。
今月5日のシンポジウム
以前、読売新聞オンラインに、こんな記事が掲載されていました。
北の意向に沿った決断、非常にまずい…韓国のGSOMIA破棄決定(2019/11/06 10:52付 読売新聞オンラインより)
これは、今月5日に東京都内で開かれた「NPO法人ネットジャーナリスト協会」が主催し、読売新聞社が後援する「第16回安全保障シンポジウム」の模様を報じた記事です。
読売新聞によると、基調講演では佐々江賢一郎・前駐米大使が朝鮮半島の将来について
「最も望ましくないのは、統一された朝鮮が核を保有し、反日的で、中国の拡張政策のパートナーとして存在することだ。そうならないように打てる手を打っていくことが必要だ」
と指摘したとしつつ、河野克俊・前防衛省統合幕僚長も韓国が日韓包括軍事情報保護協定(いわゆる日韓GSOMIA)の破棄を決めたことについて
「結果的に北朝鮮の意向に沿った決断をした。日米韓でタッグを組んでやろうという中で非常にまずいことだ」
とと批判した、などとする記事です。
読売新聞には発言の一部しか掲載されていないため、これだけですべてを判断するのは適切ではないかもしれませんが、少なくともここに紹介されている佐々江氏と河野氏の発言に対しては、当ウェブサイトとしてはほぼ同意したいと思います。
手前味噌で恐縮ですが、とくに佐々江氏の発言については、当ウェブサイトで昨日の『米韓同盟消滅が実現した場合に懸念される日本への実害』で触れた内容とも重なっていると思います。
やはり、外交や安全保障の専門家の立場からすれば、現在の韓国の動きは日本の仮想敵国(あるいは純然たる敵対国)たる中国やロシア、北朝鮮を利するものではないか、との不安に抱かざるを得ないのでしょう。
佐々江氏「韓国を投げ出さず、韓国の気持ちにあわせよ」
ただし、もう少し調べていくと、両名のうち佐々江氏の方の認識には、若干の不安を感じずにはいられません。韓国メディア『中央日報』(日本語版)の次の記事によると、この5日のシンポジウムの内容が14日付の読売新聞に再び掲載されていたのだとか。
「核保有の統一韓国」を懸念する日本…「韓国は信頼できる友邦なのか疑問」(2019.11.14 14:26付 中央日報日本語版より)
ただし、『読売新聞オンライン』のなかに、中央日報が参照していると思しき記事が見当たらなかったので、ここでは孫引きとなってしまい恐縮ですが、中央日報の報道をベースに、シンポジウムの内容をもう少し詳しく紹介しましょう(※ただし、「ムン・ジェイン」を「ぶん・ざいいん」に修正するなど、用語については当ウェブサイトのものに修正したうえで引用しています)。
まずは佐々江氏の発言です。
- 文在寅(ぶん・ざいいん)大統領は2045年の南北統一を目標にしているが、日本として最も望まないのは統一した韓国が核を保有し、反日的に中国の拡張政策のパートナーとして存在することだ
- そうならないように手を打つべきことは手を打つ必要がある。日韓関係でも日本は韓国を投げ出さず、韓国の気持ちにある程度合わせる努力は無駄ではない
…。
佐々江氏の発言の前半については、先ほど引用した5日付の読売新聞の記事と同じですが、後半については聞き捨てならない記載ですね。
「日韓関係でも日本は韓国を投げ出さず、韓国の気持ちにある程度合わせる」というのは、当ウェブサイトがいつも主張している「日韓関係の3つの帰結」でいうところの2番目の主張とまったく同じだからです。
参考:日韓関係の3つの帰結
- ①韓国が国際法や約束をきちんと守る方向に舵を切ることで、日韓関係の破綻を避ける
- ②日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することで、日韓関係の破綻を避ける
- ③韓国が国際法を破り続け、日本が原理原則を貫き続けることで、日韓関係が破綻する
やはり、14日の読売新聞の原文を読んでみる価値はありそうです。
河野氏は「大陸国家vs海洋国家」
これに対し、5日付の読売オンラインの記事に掲載されていなかった河野氏の発言は、これです。
「仮に朝鮮半島に統一国家ができて、中国・ロシア・統一韓国という大陸国家群が形成されれば、これに対応して日本・米国・豪州の海洋ネットワークとの間の対立構図が表れる可能性もある」とし「こうした構図ではよりいっそう日米同盟が重要になる。」
こちらについては、当ウェブサイトとしての普段の主張とほぼ同じです。
いや、当ウェブサイトならば、もう少し踏み込んで
「もう韓国が近い将来、大陸国家群に帰属替えするのはほぼ確実だから、日本はそろそろそれへの備えを始めるべきだ」
と述べると思いますが、さすがに自衛隊の前統合幕僚長という立場だと、そこまで踏み込むことはできないのでしょう。
一方、中央日報の記事で興味深いのは、次の下りです。
「韓日間の対立の原因を『信頼』問題と見る視点も出てきた。パネリストとして出席した村井友秀東京国際大教授は『戦略家のナポレオンは『戦争をする時に最も厄介な存在は強力な敵ではなく信頼できない友邦』と言った』とし『韓国という国は日本にとって信頼できる友邦なのか』と主張した。」
信頼できる「友邦」かって?
表向き、韓国はいちおう日本のことを「友邦」だと見ているようですが、次のような韓国側から相次いでいる、非合理で非友好的な行動を見ると、少なくとも韓国が日本を「対等な友邦」とはみなしていないことは明白です。
- ①旭日旗騒動(昨年9月頃~)
- ②自称元徴用工判決問題(昨年10月30日)
- ③レーダー照射事件(昨年12月20日)
- ④天皇陛下侮辱事件(2月頃)
- ⑤慰安婦財団解散問題(7月頃)
- ⑥日韓請求権協定無視(7月19日)
- ⑦日韓GSOMIA破棄(8月22日)
- ⑧対日WTO提訴(9月11日)
- ⑨釜山「抗日通り」標識設置(10月30日)
ちなみに村井教授の発言にある「ナポレオンの発言」は、普段から当ウェブサイトで申し上げている、「無能な味方は有能な敵を上回る脅威である」という主張とも重なりますが、こうした安全保障論が公の場で堂々と語られるようになったことは、日本社会が良い方向に変化している証拠でしょう。
本当に必要なもの
さて、「日本にとって韓国は信頼に値する友邦か」に対する答えは、あえて本稿では明示しません。
それよりも、もう少し重要なのは、日本が中国の脅威とどう向き合っていくか、という点でしょう。
中央日報からの孫引きですが、河野氏や村井氏は、次のような趣旨の発言もしたそうです。
- (河野)日米安保条約は、米軍だけが命を懸けているというのがトランプ大統領の主張する「不平等」の正体であり、日本が軍事的な運用で米軍に対する不公平さをなくさなければ日米安保条約もどうなるかわからない
- (村井)日本が単独で中国の侵略に抵抗できると中国が考えれば、それが抑止力になる。日本が台湾危機に介入できる軍事力を持ったのは中国を説得する時に最も強力なカードとなる
この点に関しても、ほぼ同感です。
とくに、河野氏の発言は、自衛隊が軍事的なオペレーションにおいて、現在よりもさらに積極的に米軍と活動を分担しなければならないという指摘であり、また、日本が安全保障へのコミットを深めれば、そのことが村井氏のいう「抑止力」にもつながるのでしょう。
「憲法第9条が日本の平和を守ってくれている」という、反日政党である日本共産党などのプロパガンダから、日本国民は一刻も早く脱却しなければなりません。
その思いを改めて強くした次第です。
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独断と偏見です。 キッパリ。
敵国です。
全く同感です。
それにしてもヘタレ総本家の外務省のヘタレぶりは目を覆うばかりですね。
お願いしますよ、茂木さん。
>敵国です。
タナカ珈琲さんのコメントで、終了しておりますね。付け加えることがない。
戦後李承晩以来、韓国政府は反日政策を取って来ましたが、各指導者の反日素質もさることながら、その「原動力」はむしろ韓国国民・団体のラジカルな反日本性にあるように感じられます.
公で平然と「永遠の歴史的債権者」として振る舞いたいなどと、恥ずかしくもなく言ってのけられる厚顔さに呆れ果てるばかりです.
こうした「親」から無批判に反日教育を70年80年受け継いできた彼らに、仮に将来「保守」政権が成立したとしても、親日はおろか、過去の軍人出身政権時代並みの「それなりの」日韓関係すら期待できないでしょう.
統一するにすれ、南北反目を続けるにせよ、今後の韓国、北朝鮮(または統一韓国)は今以上の「永遠の歴史的対日債権者」を振る舞って相対してくる覚悟を日本人は持つべきです.
そして、佐々江前駐米大使の言うように「統一された朝鮮が核を保有し、反日的で、中国の拡張政策のパートナーとして存在する」という最も望ましくない朝鮮半島の未来にならないように、積極的に打てる手を打つ必要がありますが、もう一つ付け加えるならば、そういう統一朝鮮の反海洋勢力化の経済的裏付けを持たせないように、韓国経済の「焦土化」を今から進めていくべき時が既に来ている、と言ったところでしょうか.
ほぼ一年で九つ
凄いなあ
まるで敵国だ
伊藤博文を暗殺したテロリストを称賛し日本統治を全否定した時点で敵国認定してます。文氏が北朝鮮にすり寄り核を入手したら豹変し将軍様を排除する悪党だったらいいなと思うこの頃です。
朝鮮労働党の秘密党員と言われる文在寅が主体思想でキムチ色に真っ赤に染まっている
ことを考えますと、神のごとく崇拝する対象である金正恩を排除することは考えにくい
ところがありますw
金正恩も虎の子で命綱の核兵器をいつ裏切るかわからない南朝鮮に簡単に渡すような真似
はしないと思います。
半島の歴史はいつもまとまりがなく、分裂し、日々権力争いでした。南北統一がなったと
しても今以上に苛烈な権力闘争で周辺国をえげつなく巻き込もうとすると思います。
正直、こんな連中に国家経営など無理なのです。害悪でしかありません。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
自分でも妄想と信じたいのですが、韓国の頭のなかでは、安倍総理の日
本政府と、韓国に亡命している鳩山由紀夫(元)首相の亡命日本政府があ
ることに、なっているのではないでしょうか。そして、後者の亡命政府は、
韓国の言い分を丸吞みするぐらい道徳的に正しい政府で、日本国民も本心
では、こちらを支持しているのだから、こちらとなら、信頼関係を結べる
と思っているのかも、しれません。(鳩山由紀夫(元)総理が、自分でも
亡命政府を樹立しているつもりかは、分かりません)
蛇足ですが、韓国と日本では、前提となる世界観が違いすぎて、気持
ちを合わせる以前の問題だと、思います。
駄文にて失礼しました。
読売新聞
「日韓関係でも、日本が韓国を突き放さず、韓国の気持ちにある程度手当てをして努力することは無駄ではない」
↓
中央日報
(機械翻訳)
「日韓関係でも、日本が韓国を投げ出さずに韓国の心にどの程度合わせる努力は無駄ではない」
https://news.joins.com/article/23632502?cloc=joongang-home-newslistleft
↓
>日韓関係でも日本は韓国を投げ出さず、韓国の気持ちにある程度合わせる努力は無駄ではない
切り貼りですね(笑)
この書き込みで、韓国を擁護する人は、いないでしょうね。ここ最近では、北朝鮮の方がまだマシでしょう。
持論ですが、もう朝鮮は南北を区別する事は、やめましょうというのが有ります。韓国政府が言うことも、北朝鮮が言う事も大差無いと思いますよね。
この記事は、日本が韓国を信頼できる友邦だと言う事を疑っているという内容です。散々信頼を無くす振る舞いをしているのに「なんでウリを信頼しないニカ」と言ってる訳です。
日本人で、こんな話を受け入れられるのは、花見に反対している人達くらいでしょう。
日韓の信頼関係は、慰安婦合意に対する、韓国側の対応で破綻しました。文大統領は、その後も着実に嫌韓を増やしています。日本人の性格からして、一旦無くした信頼を韓国が回復する事は無いでしょう。
最後の一言は、ハゲ親父さんに、お譲りします。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
だんな様へ
>日本人で、こんな話を受け入れられるのは、花見に反対している人達くらいでしょう。
韓国は、その反対している人だけを見て、日本人すべてが「こんな話を
受け入れる」と、考えているのです。
駄文にて失礼しました。
遠藤誉先生の中国情報は,信憑性が高いと個人的には信じているのですが,
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20191114-00150823/
というサイトで,以下のように書かれています。
「8月22日に韓国はGSOMIA破棄を宣言したのだが、その2日前の20日には中韓外相会談を行っており、もし(GSOMIAを)継続すれば国交断絶もあり得るというほどの威嚇を中国側から受けていた。」
今,韓国は,アメリアを選ぶか中国を選ぶか,最終的な決断をせまられているところです。
個人的憶測ですが,中国依存の経済の事情もあり,韓国は中国側につく選択をすると思います。でも,その後に予想される米中葛藤の結果,再びアメリカ側に戻ってくるのではないでしょうか。そこ過程で痛い思いをすると,反日も引っ込めるかもしれません。ころっと空気が変わるところは,戦後の日本と似たところがあります。
韓国のインテリ層は(少なくとも,理系については)普通に信頼してつきあえる人達です。ただ,韓国の現在の政治は,保守にせよ革新にせよ,大衆の意見に左右されるポピュリズムなので,内政や外交は出鱈目です。大統領の権限を弱めて,官僚の影響力を強めないとダメですね。
愛読者様
>韓国は中国側につく・・・思います。でも・・・再びアメリカ側に戻ってくるのではないでしょうか。
これは有大いに有り得ますね。歴史的にも、当代の最も強い勢力・国に事大先を代えることに躊躇は無かったようですから。
>そこ過程で痛い思いをすると,反日も引っ込めるかもしれません。
これは、私の見る処、ないでしょうね。理由は、戦前日本人の信仰は天皇に対するもので、反米英そのものは信仰対象ではありませんでした。鬼畜米英感情の源は、信仰対象である天皇を否定する者(米英)に対する反感です。ですから、天皇が今日からは親米英と言えば、天皇信仰の日本人は、ころっと、変わる事ができたのです。
一方、現在の韓国には、日本における天皇のような存在は無く、反日自体がアイデンティティの源・信仰対象のようになっています。ですから、これから韓国が手痛い経験をするにせよ、その恨みが反日信仰の強化に向かう事はあれ、その呪縛から解ける方向には向かない様に思えるからです。
愛読者様が日ごろ接しておられるような、理性的インテリが主導権を握るような国になれば、「友邦」と呼び合う関係になれる可能性はありますが、そんな日が、果たして私の生きているうちに来るのか?悲観的です。
国家間の関係はドライなほうが長続きする。夫婦も同じ。あら、やだ。
言いたいことはですね。平和ボケの皆様。他国は皆、敵という前提で都度都度、是々非々でお付き合いする独立心が国家には必要です。友邦?寝言は寝ておっしゃい。
おばさま
夫婦の話は深いですね~
うちは牛耳られている気が
します。トホホ。
さて、彼らにとって友邦など
そんな概念がそもそもあるのか
全く信じられません
韓国だけでなく世界中の国が
おばさまが言われるように
是々非々なのでしょう
だから、国と国で条約を交わし
信用しましょうということです
それを破る国は友邦どころか
敵以外にありません
H様 口が滑りました。お忘れくださいませ。(笑)
ただ、申し上げたかったことは、ビジネスライクに付き合わないとケガをするということですの。
友邦なぞといった甘い言葉でごまかしていると、当てがはずされたり、うかうかと裏切られたりするということですの。相手国を最初からドライに見ていたら、そういうことを見逃しません。
まあ、日本の場合、軍事力を持っていない?ので、見逃さなかったからといって、相手国にできることは限られます。そういったなかで、安倍内閣はそこそこ善戦していると思っています。トランプ大統領との蜜月?安倍さんもトランプさんもそんなベタベタした関係じゃありません。互いに共犯関係で警戒関係です。私はだからうまくいっていると考えておりますの。
付け加えると韓国という国は、どんな国とでもこのような関係は築けない。共犯関係となりえる信頼がおけないですから(笑)。
更新ありがとうございます。
元駐米大使の佐々江賢一郎氏は日本が折れて、「韓国を投げ出さず、韓国の気持ちにある程度合わせる努力は無駄ではない」→無駄です。何百回も煮え湯を呑まされて来ました。
数々の日本への敵対行動、反日行為、嘘を第三国に告げ口する。そんな仲間はあり得ない。『撃ち方ヨーイ』『ヨーイヨシ!』迄やる友邦は無いです。
哨戒機ロックオンなど、まさにココまでやられました。銃口を頭に付けて狙われているのと同じです。
やはり元制服組トップの河野氏の方が発言はかなり抑えざるを得ないのだろうが、まともです。「大陸国家群が形成されれば、日本・米国・豪州の海洋ネットワークとの間の対立構図が表れる。よりいっそう日米同盟が重要になる」。
韓国が北、中、露の大陸側に付くのは日本にとって本当に痛い。可能な限りやめさせたい。でも、過去がそうであったように、彼らは必ず寝返ります。国と国との信頼、信義などありません。
日本は韓国の体力を削ぐ事が、今は第一です。