今朝方の『文在寅の「とんぼ返り」 米韓首脳は意味ある会談できるのか』の「続報」です。韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に、何やら気になる記事が掲載されていました。聴くところによると、どうやら文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領は、ご夫人を同伴してドナルド・J・トランプ大統領と会うのだとか。儀礼的な首脳会談ならともかく、実務的な会談の場にご夫人を同伴するというのもおかしな話です。しかも、朝鮮日報によれば、この「夫婦同伴形式の首脳会談」を提案したのは、実は米国側だったのだとか。これ、明らかに米国側としては「協議」するつもりなどなさそうですね。
何となく見えてきた米韓首脳会談の目的
今朝方の『文在寅の「とんぼ返り」 米韓首脳は意味ある会談できるのか』で申し上げたとおり、米国時間の11日正午ごろ(日本時間の12日午前1時ごろ)から米韓首脳会談が行われます。
これについて、読者コメント欄を拝読していますと、おもわず「なるほど!」と膝を打つ指摘がいくつかありました。私の言葉で要約すると、
- 「韓国大統領が米国大統領に面会したいとお願いしたが、米国側は『4月11日だったら1日だけ空いているよ』と返事し、やむなく日帰りでとんぼ返りとなったのではないか」
- 「米国がなぜ4月11日を選んだのかといえば、それが大韓民国臨時政府創設の記念日だからじゃないか」
- 「米国は韓国に対し、『今後は(日本の)シンゾー(※安倍晋三総理大臣)の支持を仰げ』とだけ宣告するつもりじゃないか」
といったものです。
もし米国が韓国を呼びつけたのであれば、これはこれで非常に興味深い仮説です。ウェブ評論サイトを運営していると、読者コメント欄にこの手の有益で鋭い分析を寄せて頂けることも多く、本当に有難い限りであり、コメントを寄せてくださる読者の皆さまには感謝のことばしかありません。
それはさておき、今朝の記事で私は、「米国側が韓国を呼びつけたにしろ、韓国側が米国に押し掛けたにしろ、会談時間が短すぎるため、実のある会談ができるのかどうか不明だ」とも申し上げました。
念のため、報道されている情報をベースに、文在寅(ぶん・ざいいん)氏の行動を米国時間にあわせたうえで、時系列で示したものを、再掲しておきましょう。
- 米国時間4月10日深夜…韓国発(※韓国時間は10日昼)
- 米国時間4月10日夕方…米国着、そのまま迎賓館へ
- 米国時間4月11日午前…迎賓館でポンペオ・ボルトン両氏らと会談
- 米国時間4月11日午後…ホワイトハウスでトランプ大統領と会談
- 米国時間4月11日3時頃…米韓共同記者会見?
- 米国時間4月11日夕方…米国発
- 米国時間4月12日早朝…韓国着(※韓国時間は12日夜)
現時点(日本時間4月11日午後2~3時ごろ)を米国時間に直すと4月11日午前1~2時ごろですが、不思議なことに、主要ニューズ・サイトを見ても、「文在寅氏が米国時間4月10日の何時に米国に到着し、米国側のだれかと夕食をともにしたのかどうか」という情報は見当たりません。
もしかすると、またしても文在寅氏は「ひとりメシ」を余儀なくされたのでしょうか?
それはともかく、注目のドナルド・J・トランプ大統領との首脳会談が行われるのは、日本時間に換算して本日の深夜、明日の早朝です。当ウェブサイトとしては、これに関してのリアルタイムでの分析は他サイト様に任せ、金曜日になってからあらためて情報を調べてみたいと考えています。
朝鮮日報「夫人同伴で何を話すのか」
さて、韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に、こんな記事が出ていました。
【社説】「夫婦同伴の韓米首脳会談」だなんて(2019/04/11 09:27付 朝鮮日報日本語版より)
朝鮮日報によると、この米韓首脳会談を巡り、「(米韓首脳の)1対1の会談には両大統領の夫人が同席する」と韓国大統領府が発表した、と明らかにしています。
これはいったい、どういうことでしょうか?
朝鮮日報はこれについて、「通訳の時間を除けば、あいさつや儀礼的等を一言ずつ交わせば終わってしまうほど短い時間しか割り当てられていないことになる」ため、「実質的な1対1会談はないのも同然なのだ」と指摘します。
朝鮮日報によれば、今回の会談は「米朝の仲裁」をするために、「力を入れていた今月11日の大韓民国臨時政府樹立100周年記念行事を欠席してまで」推進したなのだそうであり、ということは、今回の会談は韓国が申し込んだものだと言えるかもしれません。
この点、外交儀礼上、たしかに国賓訪問・公式訪問などの場合、首脳は夫婦で外国に出掛けることが多いのは事実です。しかし、今回のような「とんぼ返りの外国出張」の場合だと、一般には実務協議が主目的であり、配偶者を伴った実務協議というのは、確かに異例です。
朝鮮日報の社説では、「このような形式は米国側が提案した」ものだと指摘していますが、これが事実だとすれば、米国側が最初から韓国と「交渉」をするつもりがないことは、あきらかでしょう。
あえて今回の会談の「裏側」を考えてみた
さて、私自身、ホワイトハウスにも韓国大統領府にも、あるいは日本政府にも、個人的な知り合いなどいません。
米韓首脳会談などの話題は、あくまでも報道をベースに拾うことしかできないのですが、それでも断片的な情報をつなぎ合わせていけば、次のような「仮説」は成り立つでしょう。
- ①2月28日の米朝首脳会談の決裂を受けて、韓国政府は「自分たちは仲裁者としてのメンツを失った」と考えた
- ②失地回復(?)をはかるために、米国側に急遽、米韓首脳会談の実施を申し入れた
- ③米国側は「何を話したいのかは知らないが、こちらが指定する日にワシントンに来るのならば、会ってやっても良い」と申し出た
- ④韓国側は「それではその日にワシントンに行きますから会って下さい」と申し出た
その結果、米国政府側が指定した日付が、文在寅氏自身が力を入れていた「上海臨時政府政府樹立100周年記念式典」の当日である4月11日で、文在寅氏としては苦渋の思いでこの日付を受け入れた、ということではないかと思うのです。
もちろん、これはあくまでも単なる仮説に過ぎません。
こうした仮説の正しさを裏付ける記事が、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に先月掲載された、次の記事です。
米国務省、韓国外交部に「金剛山のことを言うなら来るな」(2019年03月26日08時29分付 中央日報日本語版より)
タイトルにある「金剛山のこと」とは、金剛山(こんごうさん)観光事業と開城(かいじょう)工業団地事業のことでしょう。
実際、中央日報の記事本文によれば、これは
「韓米協議を推進する韓国外交部に対して米国務省の官僚がワシントンの韓国側消息筋に用心深く伝えたという言葉」(※下線部は引用者による加工)
なのだそうです。
この中央日報の記事で述べられている内容が正しいと仮定すれば、ここから2つの情報を読み解くことができます。
1つ目の情報は、「今回の米韓首脳会談は、韓国政府側が強力に推進した結果、実現したものである」、という点です。つまり、裏を返せば、米国政府側は「韓国の大統領が米国にやって来ても話すことはない」と考えている、という証拠でもあります。
2つ目の情報は、少なくともこの米国務省の担当者は、現在の韓国政府を米朝両国の「仲裁者」と見ていない、という証拠です。これについて中央日報は「日本のある外交消息筋」の話として、米国政府内では
「北朝鮮に傾倒した韓国政府とは話が通じない。代わりに中立的な専門家を呼ぼう」
という雰囲気が広まっていると伝えたうえで、
「(米朝)会談以降、米国は国務省だけでなく全方向から北朝鮮に対する本格的なスタディを始め、北朝鮮戦略の全面的検討と再確立に動いている」「(米国政府は)韓国政府関係者とは距離を置くような雰囲気だった」
と述べた、という話を紹介しています。
おそらく共同声明に意味はない
もちろん、以上の報道はいずれも韓国メディアのものであり、客観性その他の観点から、全幅の信頼を置いて議論するのは危険でしょう。しかし、中央日報、朝鮮日報ともに、程度の差こそあれ、文在寅政権からは距離を置いているメディアでもありますので、「すべてが虚報だ」と決めつけるべきでもありません。
そして、上記で示した仮説が正しければ、おそらく今回の米韓首脳会談では、日程その他の事情から判断して、少なくとも共同記者会見などは行われない可能性が高いと思われますし、また、共同声明が出されたとしても、
「米韓両国は朝鮮半島の非核化こそが地域の平和と安定に不可欠であるとの認識で合意した」
といった、当たり障りのない(そしてまったく意味のない)ものになるであろうことは、容易に想像がつく点です(逆に、「米韓両国は認識の差異を埋めることができなかった」、といった共同声明が出て来るはずなどありません)。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ただし、いつものように、韓国大統領府が一方的に「韓米間で米朝首脳会談の早期実施で合意した」だの、「金剛山観光事業、開城工業団地事業の再開に米国の前向きな姿勢が見られた」だの、虚偽の内容を発表する、という可能性はあります。
このため、米国政府側は、こうした虚偽にまみれた一方的な内容を韓国政府側が発表できないよう、無理やりにでも共同声明を準備しているのではないでしょうか?
明日の結果が楽しみでもあります。
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WSJには、ポンペオは会談のあと南米行くことになりますね。
なので、会談を受けて韓国向けに何かする予定はないですね。
https://jp.wsj.com/articles/SB12317017857431743373904585233340114382152
瀬取りすんな、米軍立ち退くぞ。
と叱責するくらいでしょうか。
先週のBSフジのプライムニュースで、韓国人の教授(これ以上は詳しく言いませんが)が、堂々と「アメリカに来てくれと言われた」と、言ってました。同席の日本人(だれだかわかりません)の「えっ!」と言う声が聞こえました。この韓国人教授がこの様に信じているのか、こう言わざるを得ないのかわかりませんが、どっちにしても、哀れだと思います。
今朝、早くから、この時間になるまで、TVの前をウロウロして、ニュースをチェックしてたのですが、何もありません。あら、私としたことが、時差ということを忘れていました。いやだぁ、恥ずかしい。
まあ、Web主さんが、結果を待ち切れない私たちに、当日の詳細スケジュールや、首脳会談が夫人同伴で行われるらしい。とかの情報を伝えてくださるので助かっています。
本当に、このような会談のために、国内の大切なイベントを投げ捨てたのでしょうか?文在寅さん、何がしたいの?判らなくなりました。
こうなると本命はトランプ来韓の要請にシフトでは。来日のついでに寄って欲しいと。g20と即位式にトランプ大統領は二回も来日する。となると、行かない言い訳を考えなくてはならない。
たしかに11日は一年も前から準備してきた100周年式典なんですが、北朝鮮がその臨時政府とやらを認めない立場なので
文在寅としては、北朝鮮の気に入らないイベントを欠席する格好の口実ができた、という見方もあるようですよ
楽韓さんは夜更かし体制を敷くらしいですが、私は明日の朝のお楽しみにします。
ホワイトハウスは、真顔で茶番に付き合ってくれると思います。
あんまり文在寅に恥をかかせると、政権支持率が暴落し、弾劾デモが起きかねません。
トランプとしては、2020年の二期目大統領選挙までに対中国、対北朝鮮で一定の成果を上げたいでしょう。
優先度は中国の方が上で、北朝鮮関連は本音ではICMB放棄がボトムラインでしょう。
米国にとって文在寅政権は困った存在でも、それよりも困った政権が誕生しかねないなら、韓国は今のまま生かさぬように殺さぬようにあしらうと思います。
日本もそのとばっちりで、韓国にきつい制裁をしてくれるなと言われている可能性はあります。
それは安倍政権にとって支持率低下のリスクになるので、米国との調整を抜かりなく行い、時間を稼ぐにしても国民が納得できる説明(事実ではなくともよい)をお願いしたい者です。
「日本もそのとばっちりで、韓国にきつい制裁をしてくれるなと言われている可能性はあります。」
この考えは面白いと思う。なぜ、対韓制裁が何かにつけて実損が出たら云々となっているのか疑問に思っている。
安倍総理は何故慌ててアメリカに行くのでしょう、何か変化が近づいて居るのでは無いでしょうか、それとも要請ですかね?
えっ!ホントですか?
自己レスです。
> ホワイトハウスは、真顔で茶番に付き合ってくれると思います。
各紙報道を読むと、実質的には現状維持ながら、米国側が文在寅を叱りつけたり一人飯を食わせたりすることなく、外交儀礼的に面子が立つようにもてなしたと思います。つまり、米国はまだ米韓同盟を必要としており、文在寅政権が崩壊することを望んでいないのです。
日経新聞: トランプ氏、南北経済協力「今は不適切」 米韓首脳会談
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43653770S9A410C1000000/
トランプ氏は米朝交渉について「小さな合意も色々ありうるかもしれないが、現時点で米国が話しているのは(北朝鮮に対する制裁の全面解除の見返りに全面的な非核化をめざす)『ビッグ・ディール』だ」と主張
産経新聞: 米韓首脳、金氏との対話継続に意欲
https://www.sankei.com/world/news/190412/wor1904120005-n1.html
文氏はトランプ氏の近い時期の訪韓を招請、トランプ氏は謝意を示した。トランプ氏は南北と米国による会談の可能性も否定しなかった。
ロイター: 米韓首脳会談、トランプ氏が第3回米朝に意欲 南北での開催も
https://jp.reuters.com/article/usa-southkorea-idJPKCN1RN326
こういったことを、韓国民はどのように捉えるかが次の興味の対象ですが、おそらく朝鮮日報は「何の成果もなく無駄足だった」と強く非難、中央日報は「力強い韓米同盟を再確認できた」と幸せ回路発動、ハンギョレ新聞は「文在寅大統領は韓国の存在感と役割の重要性を美国に強く意識づけることができた」と賞賛するかな、と予想します。
ハノイの再現になるのでは?
R1.ポンペオ
ムンにケソン再開要望等を一応話させる。
米国は認めないと通達する。
R2.ボルトン
瀬取りやレーダー照射の件でムンを責め立てる。
どの面下げてワシントンに来たのかと。
R3.ペンス
CVIDと制裁維持が明記された共同宣言案を示し、
サインを迫る。サインすれば慈悲深いトランプ様は、
お茶くらいは付き合ってくださる。いやなら、
このまま帰れ。
R4、トランプ
果たしてムンは最終ステージにたどり着けるのか?
今夜が楽しみですね。
4月11日の臨時政府創立記念日は去年まで4月13日でした。
>1919年4月13日に臨時政府の樹立を宣言したとの史料に基づき、同日を臨時政府樹立記念日に制定したが、学界から同史料の信ぴょう性を疑問視する声が浮上。臨時憲章の公布や国務員選出などが行われた4月1日に変更するよう求める意見が出ていた。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20180413001600882
臨時の休日になると言われて日本帰国も考えたのですが、単なる噂の可能性が大きかったので航空券は予約せずにいました。実際休日にはなっていません。
しかし、今まで何十年と記念日としていたのが急に日付が変更されるとは驚きです。もう少ししたら日本同様、記念日は移動式になるかも知れません(成人の日や体育の日等)。
韓国で振替休日が実施されるようになったのは朴槿恵政権の時です。それまでは振替休日が無かったので、日本に比べて三連休が極端に少ないです。今年は韓国の旧正月と秋夕(日本のお盆にあたります)を除けば3/1の金曜日から始まる3連休と5月5日の子供の日の振替での3連休となります。因みに2018年は1月1日が月曜日の3連休しかありませんでした。
韓国の年間平均労働時間は2016年で2069時間、日本は1,713時間ですので、日本よりも350時間も多い計算になります。日本の平均年間休日が120~130日であることから、韓国の方が1カ月以上も日本より多く働いている計算になります。よくよく計算すると、韓国で働くことは非常に損だということが分かります。ただし、これも文在寅政権による韓国流働き方改革で今年の数値がどうなるかは分かりません。
駄文にて失礼します
米朝対話の早期再開のため最善を尽くしてますよ!と全世界にアピールしたいのでは?
トランプ大統領との握手写真をマスコミが載せてくれるだけでその宣伝になります。
さらに、仲裁者としての立場をさらに強固にした文大統領、と言う評価を得たいのかな?
それだけのためにわざわざ自国の建国記念式典を欠席してまでアメリカに行く必要がないと思うのが我々凡人の考えで、ぶっ飛んでいる文大統領ですから何かありそうです。
臨時政府をUSAは認めていません。
1951年のサンフランシスコ平和条約に韓国は招待されていません。
臨時政府は韓国人だけのファンタジーです…
だれか座布団を1枚……
山田君から座布団をもらいたかったら、「当時の連合軍は、実質的に
臨時政府が指揮、指導していた」くらいのことは、言わないと。
もっとも、10年したら韓国は本当に、そう言い張っているかもしれ
ませんが。
引きこもり中年さんへ
座布団一枚
イヤ、
スーパーヒトシ君進呈にしときますね
韓国は、日本と命をかけて戦ったと韓国の「中央日報」が書いてます。
https://japanese.joins.com/article/086/252086.html?servcode=100§code=120&cloc=jp|main|top_news
そのうち、「連合国の一員として日本と戦って勝利した。韓国は戦勝国。」と、言うだろう。