昨年12月20日に発生したとされる、韓国海軍駆逐艦による「レーダー照射事件」を巡り、わが国の防衛省は今週月曜日に『最終見解』のなかで、事実上、韓国側との協議を打ち切る方針を示し、これをもって日本政府としてはレーダー照射事件を巡る最終見解を固めた形となりました。当初私は「韓国側が謎の勝利宣言をして逃げるのではないか?」と懸念していたのですが、そうした懸念はどうやら杞憂に終わりつつあるようです。というのも、韓国側ではその後、続々と日本を批判する声が出てきているからです。「キジも鳴かずば撃たれまい」と感じるのは私だけではないでしょう。
韓国側では終息していない?
わが国の防衛省は月曜日、昨年12月20日に発生したとされる韓国海軍による火器管制レーダー照射事件を巡り、『最終見解』を公表しました。これによって日本政府としてはレーダー照射事件についていちおうの目処を付けた格好となっています。
『【速報】レーダー照射事件巡り、防衛省が「最終見解」を公表』でも申し上げたとおり、これについて私自身が当初懸念したのは、「韓国が勝手に『勝利宣言』を出して逃げ切る」ということでした。
韓国側は最近、「むしろ日本の自衛隊機の方が韓国駆逐艦に対して低空威嚇飛行をしてきたのが問題だ」などと強弁していますが、「日本の低空威嚇飛行問題を隠すためにレーダー照射をでっち上げ、勝手に協議を打ち切って逃げた」などと韓国側が主張できないわけでもないからです。
ところが、私が見たところ、この自衛隊の「協議打ち切り」措置を受けて、韓国側では逆に大騒ぎになっているようです。
まず、防衛省が「協議打ち切り」を発表した21日の当日、韓国政府・国防部はこれについて「深い遺憾」を表明。「正確な証拠を提示し両国の専門家を加え、科学的で客観的な検証を行うことに積極的に応じるべきだ」と求めて来ました(次の『聯合ニュース』記事参照)。
レーダー問題で防衛省が協議打ち切り 韓国国防部「深い遺憾」(2019.01.21 19:50付 聯合ニュース日本語版より)
自分で逃げ回っておきながら、日本が協議を打ち切った瞬間「逃げるな」とは、少年マンガなどに出て来る卑劣な悪役の態度とそっくりですね。
ただ、韓国側がこうやって慌てている理由は、やはり、自分たちに非があるということを十分に認識している証拠ですし、なんとかして日本に「道徳的価値観に基づく密室外交」で手打ちにしてもらおうとしていて、日本がまったく取り合ってくれなかったことに対する焦りと狼狽が見て取れるのです。
韓国正義党に「期待」?
一方で、韓国メディア『中央日報』(日本語版)によると、韓国の野党「正義党」の金鐘大(きん・しょうだい)議員は「日本はレーダー問題を紛争化し、韓国を圧迫している」と主張したのだとか。
韓国野党議員「日本のレーダー交渉中断は韓国を圧迫しようとするカード」(2019年01月23日10時45分付 中央日報日本語版より)
中央日報によると金議員は23日、ラジオ番組に出演し、日本が「韓国は嘘つき国家に仕立て上げ、これ以上協議する理由がないと交渉中断を宣言してしまった」としたうえで、「紛争の種を継続して準備するというねらい」と述べたのだそうです。
表現の過激さはさておき、この議員の発言は、あながち見当外れではありません。
実際、日本の防衛省は「韓国とは協議を通じた真相究明が困難だ」と述べているのですが、ひらたく言い換えれば、これは「ウソツキ国家である韓国とはいくら話し合っても埒が明かない」と主張しているようなものだからです。
ただ、金議員の発言には、続きがあります。
金議員は、日本の狙いは「韓国で強制徴用判決結果が出たことで、他方で紛争のカードを継続して用意して圧迫」することにあると主張。そのうえで、驚くべき発言をします。
「日本が本格的に自国の利益を追求しながら、自身がアジアの指導国として韓国を屈服させるという意図でこの紛争のカードを用意した」。
う~ん…、さすがにこれはないんじゃないかな?(笑)
日本がレーダー照射事件を契機に韓国を屈服させられるほどの外交力をもっているなら、外交上、ここまで苦労していませんって。
中央日報は金議員が韓国政府に対して、
「先制的かつ積極的な対応を講じる時がきた。いざという時には韓日軍事情報保護協定も破棄できるという度胸を持つべき」
と述べたのだそうですが、この点については私もまったく賛同します。いっそのこと韓国の側から「日韓断交」を通告してもらった方が楽で良いからです。
右往左往する韓国メディア
同じく、中央日報にはこんな記事も出ています。
海上自衛隊護衛艦、釜山入港を保留か…韓日レーダー問題(2019年01月23日11時02分付 中央日報日本語版より)
中央日報は「23日の読売新聞の記事」を引用する形で、「日本が海上自衛隊護衛艦の釜山入港の保留を検討中だ日本政府関係者が述べた」と報じました。
すなわち、日韓軍事交流の一環として春に両国間の相互軍艦訪問が予定されているのだそうですが、レーダー照射問題を契機に日本側からの釜山訪問が見送られる可能性がある、ということでしょうか。
ただ、日韓間では昨年秋に、「旭日旗騒動」が発生しています。
これは、昨年10月に済州島(さいしゅうとう)の韓国海軍軍事基地で開かれた国際観艦式で、韓国側が日本に招待状を送付しておきながら「観艦式では旭日旗を掲げるな」と要求したことを受けて、日本側が参加を取りやめた事件です。
こうした韓国側の要求の不当性については、詳細については防衛研究所のホームページに掲載されている『自衛艦旗をめぐる議論に関する一考察』あたりを読んでいただければよくわかると思うので、あえてここでは繰り返しません。
仮に私が防衛大臣の立場だったとしたら、いかに「防衛協力だ」と言われても、韓国を訪問することはそれだけでリスクが高い行為ですし、韓国の方から日韓の相互信頼を失墜させるような無礼が続いていることを踏まえるならば、心情的にはこれ以上の防衛協力を進めたくないと思うのは当然のことでしょう。
というよりも、レーダー照射のような事件を起こしておきながら、そして、その後の真相究明に徹底して非協力を貫いておきながら、いざ、「日本との防衛協力が滞る」との観測報道を見た瞬間に、こうやって過剰に反応するあたり、韓国が「自分たちは悪いことをした」という認識がある証拠ではないでしょうか?
キジも鳴かずば撃たれまい
私などはズルい人間ですから、仮に私が韓国政府高官の立場で、「とにかくレーダー照射をやっていないとごまかせ!」という命令を受けていたとしたら、「わが国はレーダー照射をやっていません」とだけ述べ、余分な日本批判などはせずに、「これ幸い」とばかりにダンマリを決め込むはずです。
しかし、韓国側は実際、政府高官、与野党関係者、メディアなどが、「日本は逃げた!」「卑劣だ!」など、日本を批判する声明を相次いで出しています。どうも韓国とは、「黙っている」ということができない人たちなのかもしれませんね。
ところで、防衛省の『最終見解』をひととおり読んでみるとわかるのですが、防衛省が「打ち切った」のは「韓国との真相究明の努力」であって、本件を理由に韓国政府を批判することを控える、という方針は、いっさい示されていません。
むしろ、「日韓、日米韓の防衛協力については真摯に進めたいと思っているのだが、韓国の不誠実な態度のせいでそれが進まない」と抗弁するための「言い訳」のためではないかとすら思えます。
よって、もし韓国政府の閣僚・高官やそれに準じた立場の人物が本件を巡り日本を批判してきたとしたら、日本政府が再度、反撃に出る可能性はゼロとは言えないのではないでしょうか?しかも、今度は問題が現場レベルから政治レベルに移るのです。
昨日、当ウェブサイトでは『韓国側の主張に呆れるが、「月内に制裁発動」の可能性は低い』のなかで、産経系のメディア『zakzak』にジャーナリストの加賀孝英氏が寄稿した、次の記事を紹介したばかりです。
米、新アジア戦略から“無法国家”韓国を排除へ 日米情報当局「韓国は完全に北朝鮮側だ。もはや同盟国ではない」(2019.1.22付 zakzakより)
加賀氏は「官邸関係者」が
「今回の重要証拠の公開は、『無法国家』韓国への最後通告だ。今月中に韓国が事実を認めなければ、制裁措置の発動を決断する。これは安倍晋三首相や、政府・与党の断固たる決意だ」
と述べたと伝えているのですが、これについては私自身も申しあげたとおり、現在、徴用工判決問題での日韓協議プロセスが(いちおうは)進行中であることから、「今月中にレーダー照射事件を名目とした制裁措置が発動される」という可能性は低いと考えています。
しかし、あまり韓国が日本を刺激する発言を繰り返すようであれば、自民党内などでは対韓強硬策を取るように求める意見が出て来るでしょうし、こうした「強硬意見」が強まれば、それに背中を押される形で、日本政府も「レーダー照射事件に対する何らかの対抗措置」を検討せざるを得なくなります。
こういうのを、「キジも鳴かずば撃たれまい」とでもいうのでしょうね。
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キジはキジで打って欲しい国内理由があるのですが、その理由を察して日本は、キジを打たないほうが良いと思います。
「キジも鳴かずば撃たれまい」
ところが韓国ではよくあることです。竹島問題にしても韓国が騒がなければ、日本国民は殆ど気付くことがなく、現在の韓国への反発は多少和らいでいたかも知れません。どうも韓国人は事を荒立てるのが好きなようで、いざこざ等に人を巻き込むのが大好きです。
ある時不良が発生し、その原因究明で別の事業所から小生と韓国人が呼ばれました。小生の関連する工程とその後工程との責任のなすり合いです。小生は事業所が別なので関係ないのですが、どうやら後工程側は「100%そっちが悪い」との口撃が強いらしく、対抗措置として小生及び韓国人を呼び出したようです。最初は同行した韓国人が対応し、小生は黙って聞いていました。同行した韓国人も押されていき、最後に小生に助けを求めてきました。今までのやり取りで、後工程側の考え方や性格もある程度把握したことに加えこっちは海千山千ですから、後工程側の口撃を軽くあしらい、相手の弱点を突くという手法で手打ちにしました。お互い原因となる部分があるから、そこをしっかりと検証してから、再度協議しようとなりましたが、後工程側では検証がかなり困難であり、恐らく放棄すると踏んでいました。当然この話はうやむやになり、後は誰がどのように処理したかは分かりませんが、別事業所からはかなり感謝されました。
こっちは巻き込まれると仕事が増えるだけなので、出来るだけ向こうにやらせるような手法を取ります。うっかり「これは小生がやります」なんてことを言ってしまうと、後からどんどんやる仕事が増えてきます。韓国人は特に日本人技術者を巻き込みたがります。日本人技術者の意見に反対できる韓国人はそうそういないからです。
韓国でも口は災いの元(입은 재앙의 근원)という諺があるのに、それを本当に知っている人がいるのかどうか疑わしいです。
今回の投稿はまとまりがないですね。
駄文にて失礼します
>竹島問題にしても韓国が騒がなければ、日本国民は殆ど気付くことがなく
申し訳ないけど確かにそうなんですよね。私も知ったのはサッカーだったか野球だったか、世界大会で韓国人が一騒動やらかしたのが最初です。調べてみると、「我が領土」の歌詞の歌があって小さい頃から歌わせられるとか、何かと言うと横断幕掲げたり、大統領が上陸してみたりとかずっと狂騒状態。奪われた側の日本は抗議の声も大きくないのに、奪った側が事あるごとに騒ぎ立てる。どうも不思議な人たちです。そう言っちゃなんですが、黙ってりゃ知らないままだったり、忘れられたりするかもしれないのに。あまり騒ぐものですから、どうやら最近では海外にも紛争地域だと認知されつつあるようです。
騒がずにいられないという心理は「奪ったことの後ろめたさ」と、いつまた「奪い返されるかもしれない不安」から来るものなのでしょう。国民性もあるのかもしれませんが、日本の弱みに付け込んでどさくさに盗んだことの疚しさが深層心理にあると思います。
今回のレーダー照射の件も、実際にしていないなら毅然と否定するだけいいのに、会計士様が指摘するように
「嘘をついている自覚がある」故に、必要以上に否定しようと悪あがきしている姿なのだと思います。哀れといえば哀れ、滑稽といえば滑稽ですよね。
キジってうちのまわりにたくさんいます。よく「ケーン」と勇ましく鳴くと俗に言いますが、あれはウソです。ただ何羽か集まってギャーギャーやかましく鳴きます。声ばかり大きいのは確かに海の向こうに巣くっている隣人に似ているかも知れません。ただキジは嘘をついたり悪さはしませんけど。
お気軽なコメントで済みません。
本日日本が威嚇飛行をしたとの話が出ているようです。永遠の被害者を目指しているようで哀れでなりません。委細不明ですが。
https://s.japanese.joins.com/article/472/249472.html
幼児性が高いのかな。思い通りにならないと、泣き喚く。
こういうことが、許されていたのは、アメリカがその当時、対共前線として、この国を遇していたからですが、いつまでも続くわけないでしょ。いい加減にしたら。
オバマ大統領の時、在韓アメリカ大使が、テロリストに襲われてケガをしましたが、その時も、朴槿恵前大統領は「不幸なことは忘れて、前を向きましょう。」って謝った?だけだそうです。
仮にも(仮ではありませんが)、一国の大使を自国民が襲ったことに対する、これがあの国の謝罪らしいです。ごめんなさいも、まともにできないらしい。
国際社会で、このような国家(韓国&北朝鮮)が今まで存続できたことは、ある意味「東アジアの奇跡」でしょうね。(笑)
日本政府としては、この機会(米韓同盟解消?縮小)を逃さずに立ち回っていただきたいものです。
リッパート氏がripperされたとき、愛犬家の彼にポシンタンを贈った韓国人がいたそうですな。
ちなみにその犯人は日本大使にも投石事件を起こしていたのですが、執行猶予で釈放され、韓国政府から日本には見舞いのコメント一つも無かったそうです。
更新ありがとうございます。
雉(キジ)ほどのものではないが、韓国っちゅうのは、けたゝましく喚いてばかりいるので、いつも日米豪中北露ASEANの何処かから、必ず撃たれております(笑)。アホな奴、シツコイねん。特に日本には。
前にも申し上げましたが、月内の我が国から韓国への制裁は、今のところ無いと思います。が、韓国が無視された?と青筋立てて政府、与党が挑発して来れば、これまでの鬱憤を晴らすが如く、経済制裁、特に渡航制限とビザ免除無しで締める。また金融関係で閉める。これらが有力と思います。
しかしまだ此の期に及んで、日韓軍事親睦でお互いの艦船が交流してるんですか。知らなかった。釜山などに海自護衛艦が行く必要ナシ!また旭日旗どーたらこーたら言うよ。もし挙行したら韓国はまた絡んで来ます。もう交戦以外で自衛艦船が立ち寄る事はありません。
毎々の執筆、ありがとうございます。
今さっき、テレビのニュースで再び韓国海軍の艦艇に、自衛隊機が低空飛行で威嚇してきた。と、の事です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190123-00000047-cnippou-kr
今度は東シナ海らしいのですが、韓国側発表によれば、韓国艦艇である事を認識した上で高度60m程度、水平距離で500m程度の距離を飛んだとの内容で、糾弾していくのだそうです。
(これに対しての自衛隊側コメントはまだ無いのですが、高度60mって低すぎて、飛ばない様な気がします。
一般の航空機なら、着陸を決断する高度のハズです。)
考えるに、今回サッサと発表したのは前回の件があるからでしょう。
そして、自衛隊機が(恐らく)確認行動を行ったのは、既に韓国艦艇については信頼を失っていて、監視の対象になっているという事を示しているのだと思います。
(今回、東シナ海で何をしていたかは分かりませんが。)
面白くなってきましたね。
失礼いたしました。
今回のレーダー照射問題の日本側の対応は、韓国で言う「無視」に当たるのしょうね?
韓国が宣う事に事如く異を唱え、証拠を提示するやり方は韓国人として相当頭に来てると思います。
日本はこれから先、ナチュラルに此の様な対応が出来るのかがポイントに成るんでしょう。
選挙も近いですし、目に見える形の制裁を胸張って語れるモノが有れば、結構票に結びつく流れには成ってきていると思います。
めたぼーんさんも仰有っています
又、韓国は恥をかくのでしょうか?見守りです
なるほど。
みずきさんがいってたのかな?韓国人にとって「無視」とは、日本人が思うような
当人に「反論せず、口もきかないでスルーする」ことではなく
当人の主張を「全く聞き入れず、ガンガン反論すること」だと。
前者だと、当人の主張を認めたから負けて黙ったのだと解釈する。
で、後者の仕方の「無視」がとにかく大嫌いなのだと(笑)
キジを鳴かすというか、泣かすのにはこれにかぎりますね。
可成りのⅡですね。
折角、日本が"是非に及ばず"って、鉾を収めたのに
何だろ?
次は"問答無用"って、言ってるのと同じなのに
刀を鞘に収めて、後ろを向いたら襲ってくるとか
本当に斬り殺されたいんだろうな、
バカなのか!?バカなんだろうな
竹島問題も慰安婦案件も同じように無視したがゆえに韓国の無差別情報戦に敗退しています。
それに日本は「是非に及ばず」とも「鉾を収めた」訳ではありません。
暫くは勧告のすぐ分かるウソとその対応を見物しましょう。
まだ隠し玉が出てくるでしょう。
迅速な記事更新お疲れ様です。
韓国の目論見について、昔より敵国認定した上で観察しております。
おそらくあの民族はウリジナルという自己暗示により自縛自縄の状態なんでしょう。
①北朝鮮からの統一を妨害させない。
②南北朝鮮首脳の斬首を狙うに違いない在韓米軍を追い出す。
③日本を挑発して、侵略国認定として国連の敵国条項を適用する。
④南北朝鮮は侵略国日本を制裁する立場で勝利なる。
散々米国に嫌がらせをしたのは在韓米軍を朝鮮半島から撤収させる為である。その後で悪者退治したいと
構想していると思う。