X

野党問題とはマスコミ問題のこと、日本の問題は繋がっている

「立憲民主党の枝野幸男代表には革マル派との癒着を説明する義務があるのでは?」「マスコミが吉田統彦(よしだ・つねひこ)、羽田雄一郎の両議員と文部科学省の汚職事件の関連性を報じないのは何故なのか」?…。このように考えていくと、「日本の闇」とは野党の問題とマス・メディアの問題に尽きるのではないかと思うようになりました。

立憲民主党はどこへ行く?

「革マル枝野」の説明不足

週末、産経新聞系のオピニオン・サイト『zakzak』に、こんな記事が掲載されました。

【政界マル秘紳士録】枝野幸男・立憲民主党代表 来夏参院選「野党連携」へ求められる手腕 くすぶる“献金問題”説明責任は不可避(2018.8.18付 zakzakより)

この記事は、政治評論家の伊藤達美氏が寄稿したものです。産経新聞やその関連サイトは、主要メディアの中では比較的まともな記事を掲載することもあり、当ウェブサイトとしても引用させていただくことが多いのですが、リンク先の記事に関しては、「半ば賛同、半ば反対」です。

ごく簡単に要約すれば、次のような主張です。

  • 立憲民主党は野党の中では順調に見える
  • しかし枝野幸男代表自身を含め、政権交代を目指す観点から、「旧社会党左派や市民運動家など左に偏り過ぎている」という懸念は根強い
  • さらに、枝野氏は過去に、JR総連とJR東労組から多額の献金やパーティー券購入を受けた問題を引きずっている

この点については、既存のマス・メディアがこぞってスルーする重要な論点です。JR総連やJR東労組といえば、安倍総理自身が2014年10月30日の衆議院予算委員会で、次のように指摘したことが知られています。

殺人や強盗や窃盗や盗聴を行った革マル派活動家が、影響力を行使し得る主導的な立場に浸透しているとみられるJR総連、JR東(労組)から枝野議員は、約800万円、献金を受けていた。これはゆゆしき問題ではないですか

zakzakはこの指摘について、

革マル派という過激派集団に関わる指摘だけに、献金を受けた経緯などを詳細に説明する責任がありそうだ。

と主張していますが、この点についてはまったくそのとおりでしょう。ただ、まことに残念なことに、産経新聞系以外のわが国の大手メディアは、野党側にとって耳の痛い指摘がほとんど見当たりません。野党の不祥事を徹底的に覆い隠すマス・メディアなど、ハッキリ言って、存在意義がありません。

え?立民が3分の1?ご冗談を(笑)

ただ、私がzakzakの記事を絶賛しているのかといえば、そうとも限りません。先ほどのzakzakの記事の末尾には、次のような主張があります。

昨年10月の衆院選以降、野党陣営を引っ張ってきた枝野氏にとって、来年夏の参院選は、その手腕や政治的力量が試される。野党協力による統一候補擁立に失敗すれば、立憲民主党は「3分の1野党」の域を脱することができないだろう。

はて、そうですかね?

立憲民主党は果たして政権を取りに行こうとしているのでしょうか?

私はそうは思いません。いちおう、立憲民主党は「まっとうな政治。」と称するページで、「国のかたち」、「教育・子ども・子育て」など7項目の政策を公表しているのですが、私に言わせれば、立憲民主党とは、昔の社会党のような「何でも反対党」を目指しているようにしか見えないからです。

本気で政権与党を目指しているのなら、所属議員らが複数の政策研究会を立ち上げていて然るべきですし、官僚らを招いた勉強会を実施しているべきです。それなのに、立憲民主党が何らかの前向きな政策提言をしているという話題を、私は寡聞にして知りません。

一方、同じ野党でも「日本維新の会」は、「政策提案型政党」を自称していますが、確かに次の7項目の政策提言を行っています。

これらの政策が正しいかどうかはともかく、日本維新の会は、本気で日本を変えようとして、積極的に政策提言を行っていることは間違いありません。

しかし、こうした日本維新の会と比較して、立憲民主党の政策提言力は未知数であり、果たして立憲民主党が本気で政権を取りに行こうとしているのか、私にはよくわかりません。

いや、むしろ「ゴールデンウィーク前後の20連休」に代表される、「国民の生活よりも政局が一番」とばかりの極端な審議拒否戦略などを見ていると、彼ら自身、責任を生じる政権与党の地位ではなく、野党第一党として政府を妨害するだけの立ち位置を目指しているようにしか見えないのです。

民進党吹き飛ばした前原氏

党を吹き飛ばした「戦犯」を復権させる不思議な政党

一方で、民進党が吹き飛んだあとで発生したもう1つの政党が、国民民主党です。その国民民主党は、前原誠司・元民進党代表を党京都府連会長に就任させる決定をしたようです。

国民、前原氏「復権」へ再始動/党京都府連会長に就任(2018/8/19 21:33付 共同通信より)

共同通信によると、前原氏は19日に行われた党府連結成大会で、22日告示の国民民主党の代表選には出馬しないとしたものの、

現実的な政策を掲げた政党が競い合う二大政党制の礎をつくるため、原点に戻って身を粉にして頑張る

などと述べたそうです。2017年9月28日に「敵前逃亡」したご本人が、「原点に戻って身を粉にして頑張る」と言ったところで、説得力をただの1点も感じません。

「もりかけ問題」が民進党を「吹き飛ばした」

冷静に振り返ってみましょう。

昨年、9月28日に衆議院が解散される瞬間まで、民進党は衆参両院において「最大野党」でした。また、民進党の前身の民主党は、2009年8月30日の総選挙で圧勝して以来、2012年12月の衆院選で惨敗するまで政権与党の地位にもあったほどの政党です。

それが、どうして「吹き飛んだ」のでしょうか?

私に言わせれば、その原因は、「もりかけ問題」です。この「もりかけ問題」とは、いうまでもなく、

安倍晋三(氏)が内閣総理大臣としての地位を悪用し、個人的な友人が経営する学校法人に対し、違法な便宜を図った問題

のことですが、実態は朝日新聞が仕掛けた倒閣運動の一種でしょう。

ただ、朝日新聞がそのように主張する割に、「①安倍総理が実際に何という法律の第何条に違反したのか」、「②その証拠は?」、といった、ごく基本的なことがらを徹底的にぼやかしてきました。いわば、新聞やテレビの報道を鵜呑みにする「情報弱者層」だけを騙す戦略だと考えればわかりやすいでしょう。

実際、この「もりかけ問題」が盛り上がった2017年7月と2018年4月に実施された世論調査では、調査手段がインターネットのニコニコ動画を除くと、いずれも軒並み、政権支持率が不支持率を下回っていたことがわかります(図表1図表2)。

図表1 2017年7月の主要メディアの世論調査

(【出所】著者調べ)

図表2 2018年4月の主要メディアの世論調査

(【出所】著者調べ)

そして、朝日新聞が仕掛けた「もりかけ問題」戦略に乗っかったのが、まさに民進党だったことを忘れてはなりません。しかも、政権支持率が低下していても、民進党への支持率が全然上がっていなかったことについては、特筆する価値があるでしょう。

実際、「解散風」が吹き始めた瞬間、マス・メディアと野党は一斉に焦ったのです。なぜなら、マス・メディアが主導した世論調査で政権支持率が急落していたはずなのに、与党の圧勝、野党の惨敗が見えて来たからです。

その結果が、解散詔書が読み上げられた2017年9月28日の「民進党敵前逃亡宣言」(『自爆スイッチを押した前原の「敵前逃亡」』参照)だったのかもしれません。

野党問題はマスコミ問題

私は、立憲民主党、国民民主党という2つの政党に関わる話題を眺めていくと、必然的に、彼らが民進党という「どうしようもない政党」の問題をそのまま引きずっているように思えてなりません。

民主党政権とは、2009年に政権を奪取し、2012年に下野するまでの3年3ヵ月で、日本を徹底的に破壊した政権だったと総括できると思いますが、彼ら(現・国民民主党と立憲民主党)は、果たして「民主党政権の何が問題だったのか」について、自らきちんと総括をしたのでしょうか?

少なくとも私の目には、彼らが徹底的に反省しているようには見えませんし、だからこそ、朝日新聞などが仕掛けた「もりかけ捏造問題」などの「好機」(?)をまともに活かすことができないのだと思います。

いや、もう少し厳密に言えば、野党がやっていることと言えば、マス・メディアが仕掛ける虚報やスキャンダル報道に乗っかって、政権の揚げ足を取っているだけです。

それだけではありません。

マス・メディアは、与党議員の不祥事についてはそれこそ針小棒大に(ときとして捏造も含めて)あげつらうように報道するくせに、野党議員の不祥事についてはダンマリを決め込みます。

たとえば、文部科学省の汚職問題を巡って、東京医大の幹部と文部科学省の幹部を引き合わせたと噂される立憲民主党の吉田統彦(よしだ・つねひこ)衆議院議員の疑惑については、「吉田」の「よ」の字すら報じない徹底ぶりです。

谷口浩司容疑者の妻を自称する人物が執筆するホームページには、吉田統彦議員に加え、国民民主党の羽田雄一郎・参議院議員の名前も出て来ますが、谷口容疑者が羽田雄一郎議員の政策顧問という名刺を持っていたことも示されています。

立憲民主党にはセクハラの初鹿明博・青山雅幸の両衆議院議員や息子が性犯罪者の小川勝也参議院議員など、問題のある議員がたくさん所属していますが、国民民主党も事情は似たようなものでしょう。

このことから、「野党問題」とは、ずばり、「マス・メディアの問題」のことだと考えるべきでしょう。

新宿会計士:

View Comments (1)