大臣を国会に拘束している人たちといえば、なんといっても野党(なかでも立憲民主党)ですが、その立憲民主党の参議院国対委員長が「大臣は連日国会に出席するな」と言い出したようです。その時点の思い付きでコロコロと主張を変える彼らの姿勢については、意味が分かりません。
野党の「国民の敵」たるゆえん
立民、大臣が国会に出ているのに文句をつける
立憲民主党は、いったい何がやりたいのでしょうか?国会に大臣が連日出席していることに、文句をつけて来たのです。
立憲幹部「国会の名折れ」=国交相の連日出席に異議-IR実施法案参院審議(2018/07/12-12:04付 時事通信より)
時事通信によれば、立憲民主党の那谷屋正義(なやたに・まさよし)参院国対委員長が12日、
「(西日本豪雨の被災者の)命よりもカジノを大事にすると言われてしまうのは国会の名折れだ」
と述べ、石井啓一国土交通大臣が連日、統合型リゾート(IR)法案の参議院審議に連日出席していることに異議を唱えたのだそうです。
ついでに苦言を呈しておけば、時事通信自体、記事文中でIR法案を「カジノを中核とする統合型リゾート(IR)実施法案」(下線部は引用者による加工)と記載していますが、報道レベルでこんなバイアスを掛けるのはいかがなものかと思います。
それはさておき、石井国交相がそもそもなぜ、国会に連日、出席しなければならないのでしょうか?
その理由はとても簡単で、辻元清美・立憲民主党国対委員長が主導する形で、野党6党(当時)が「審議拒否」と称して勝手に20連休を取ったからでしょう。自分たちで審議拒否・審議妨害をしておきながら、国会の会期を延長することに反対していたことを、私たち国民は忘れてはなりません。
しかも、大臣を国会に何時間も拘束しているのは、野党の側です。同じ時事通信が先週金曜日に報じた次の記事によれば、河野外相が「野党の要求で国会に出席したため、海外出張に数千万円のチャーター機を利用せざるを得なかった」と述べたそうです。
首相外遊に野党反対=河野氏発言を注意-衆院議運委(2018/07/06-18:04付 時事通信より)
河野大臣は国会に何時間も拘束され、結果的に海外出張にチャーター機を使わざるを得なくなったのですが、これなども野党が大臣の足を引っ張ることだけを目的に騒いでいる証拠でしょう。
野党1人あたり質問時間は参議院で7倍!
では、いったいどうしてこんなことが発生するのでしょうか?
おそらく最大の理由は、与党、政府、官僚らが野党を徹底的に甘やかしているからでしょう。
そもそも、与野党の質問時間の配分がおかしいと思います。与野党の質問時間の割合は、衆議院で1対2、参議院で2対8の比率だそうです。衆議院はこれでも与党の質問時間が増えた方ですが、圧倒的に野党に配慮されています。
しかし、与党(自民、公明)の議席数は合計して衆議院で312議席(議長含まず)で、野党・無所属議員らの151議席(副議長含まず)の2倍以上に達しています。同様に、参議院の場合も150議席(議長含まず)で、野党・無所属議員らの90議席(副議長含まず)の約1.7倍です。
野党議員1人あたりの質問時間は、与党議員1人に対し、衆議院では約4倍、参議院では実に7倍弱にも達している計算です。これだと、国会における野党の力が、与党と比べて不当に強くなってしまうのではないでしょうか?
どうして野党が野党なのかといえば、選挙で国民の多数の信任が得られなかったからなのです。それなのに、野党議員であるという理由だけで、衆議院で4倍、参議院で7倍もの質問時間を得るというのは、明らかに民意に反しています。
官僚の徹夜仕事
問題は、それだけではありません。
野党議員の国会質問を事前通告する時間が非常に遅いというのも特徴です。酷い場合には、国会質問の内容を通告するのが前日の深夜23時などであり、この場合、官僚はそこから徹夜で残業して、回答を作成しなければなりません。
私自身、官僚として働いた経験はありませんが、国家公務員採用Ⅰ種試験を受験した経験者であり、官庁訪問をした際にも、「官僚の世界は深夜残業が多いが、体力的には大丈夫か?」と尋ねられたことは今でも記憶に残っています。
どうして野党の質問通告時間がここまで遅くなるのかは、よくわかりませんが、自然に考えて、議員1人あたりの質問の持ち時間が与党の4~7倍もあるのですから、それだけ多く質問の機会が回ってくる、ということでもあります。
もしくは、単に野党議員の皆さんの中に、「仕事の納期」という考え方がなく、また、かなり頭が悪い人がたくさん混じっているというだけの理由なのかもしれませんが、頭が悪い人たちが大量の仕事を抱え、納期を無視していたら、仕事が回らないのも当たり前の話でしょう。
その結果、事前通告は前日の深夜ギリギリになって出てくるということが常態化し、官僚の世界では、深夜残業、徹夜などは当たり前となっています。野党の要求はそれだけ理不尽なのですが、マス・メディアはこうした「野党にとって都合の悪い事実」は絶対に報じません。
働き方改革が必要なのは国会の方だ
現在、世の中では「働き方改革」が議論されています。
私自身も現在は子育てをしている最中の身分でもあるため、できるだけ効率よく働き、常に仕事に優先順位を付け、不要不急な仕事を捨て、その日のうちにやらねばならない仕事に優先順位を付けるということを常に意識するようになりました。
ただ、私の場合は「雇われ人」ではなく、どちらかというと自営業に近い立場でもあるため、保育園から「子供が熱を出した」と電話がかかってくれば、フレキシブルに子供を迎えに行くということができます。この点については非常に恵まれていると思うのですが、会社や役所で働くお父さん、お母さんは本当に大変です。
ましてや、残業が常態化していて、残業代もろくに出ないような職場で働いている人が、共働きを維持しながら子育てをするのは、至難の業です。もし自分自身が官僚の立場にあったとすれば、おそらく現在の生活は間違いなく破綻しているでしょう。
このように考えていくと、真に「働き方改革」が必要な職場とは、国会です。
まず、質問の事前通告の締切は、前日ではなく、遅くとも2日前まで、理想的には3日前までとすべきです。それ以降は事前通告を受け付けない、かつ、事前通告にない質問は受け付けない、という形が理想です。
次に、野党議員の皆さんの仕事量を減らしてあげる必要があります。具体的には、与野党の質問の持ち時間比率を、現在の衆議院の1対2、参議院の2対8ではなく、議席数に応じて衆議院では2対1、参議院では5対3にすべきです。
これは、働き方改革に加え、民意をより正確に国会が汲み取るためには、絶対に必要な改革だと思います。議員先生の諸氏におかれては、是非、このことを前向きにご検討いただきたいと思います。