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【昼刊】民間団体調査で日韓好感度逆転の衝撃

民間団体の「言論NPO」が公表した日韓両国の共同世論調査結果によれば、「相手国に対して良い印象を持っている」と答えた比率が日韓で逆転。しつこすぎる韓国の「歴史問題」に日本国民が辟易している様子が浮き彫りとなっています。

日韓、お互いの好感度が逆転

言論NPOの日韓共同世論調査

民間団体の「言論NPO」は昨日、「第6回日韓共同世論調査」なるものを公表しています。

第6回日韓共同世論調査 日韓世論比較結果(2018/06/18付 言論NPOウェブサイトより)

これは、言論NPOが「韓国のシンクタンクである東アジア研究所(EAI)」と共同で行ったもので、日韓両国民を対象に、相手国に対する印象などを尋ねたものです(調査方法の詳細については、同サイトに公表されているPDFファイルなどをご参照ください)。

その結果、「相手国に対して良い印象を持っている」と答えた比率が、韓国では28.3%だったのに対し、日本では22.9%にとどまりました。言論NPOによると、世論調査の結果、日韓で好感度が逆転したのは、6年間で初めてだそうです。

ためしに、2013年と2018年の、日韓双方の相手国に対する印象を比較してみましょう(図表1)。

図表1 言論NPOの共同調査による相手国に対する印象
区分 2018年 2013年
日本:韓国に対して良い印象 22.9% 31.1%
韓国:日本に対して良い印象 28.3% 12.2%
日本:韓国に対して良くない印象 46.3% 37.3%
韓国:日本に対して良くない印象 50.6% 76.6%

(【出所】言論NPOの調査結果のPDFファイルP3『図表2』より著者作成)

これを見ると、2018年における日本の韓国に対する好感度は、2013年と比べて実に10%ポイント近く低下していますが、これと逆に、韓国の日本に対する好感度は、2013年と比べて16%ポイントも上昇していることがわかります。

また、韓国に対して良くない印象を持つ日本人の比率についても、2013年と比べて10%ポイント近く上昇していますが、これと逆に、日本に対して良くない印象を持つ韓国人の比率は、2013年と比べて実に26%ポイントも低下しています。

つまり、彼らの調査結果だけを見る限りは、韓国で日本に対する印象が大きく好転しているのに対し、日本で韓国に対する印象が大きく悪化している、ということです。

内閣府調査との強い整合性

私が非常に強く感じたのは、内閣府がほぼ毎年実施している『外交に関する世論調査』との類似性です(その最新版については、当ウェブサイトでも昨年12月に『2017年版「外交に関する世論調査」を読む』のなかで解説を加えていますので、どうぞご参照ください)。

この『外交に関する世論調査』とは、日本国民が、①米国に対して、②中国に対して、③ロシアに対して、④韓国に対して、それぞれ親しみを感じるか、感じないか、という点について、調査を実施しているものですが、この調査でも、2012年ごろから日本人の対韓認識が急激に悪化しました(図表2)。

図表2 内閣府『外交に関する世論調査』の韓国に対する親しみの度合い

(【出所】内閣府ウェブサイトより著者作成※クリックすると拡大します)

2012年8月といえば、当時の李明博(り・めいはく)韓国大統領が日本領である島根県竹島に不法上陸し、天皇陛下を侮辱する発言を行い、日本国内で大いに顰蹙を買ったことを思い起こします。ただ、何か突発的な政治イベントがあったとしても、相手国に対する感情は徐々に癒えることが自然です。

それなのに、いったん悪化した対韓感情は、なかなか元に戻っていないことが、この内閣府の調査からも明らかです。「言論NPO」の世論調査が始まったのは2013年以降ですが、日本人の韓国に対する印象の悪さという意味では、この内閣府調査とも整合していることは明らかでしょう。

これをどう読み解くか?

さて、日韓の「好感度逆転」を、どう読み解くべきでしょうか?

言論NPOはこの調査結果を受けて、『第6回日韓共同世論調査の結果をどう読み解くか』という記事を公表していますが、正直、この解説記事については読む価値はありません(もちろん、読みたければどうぞお読みください)。

それよりも重要な点は、「良い印象を持っている理由」「良くない印象を持っている理由」にあります。

言論NPOのPDFファイルの5ページ目によれば、日本で「韓国に良い印象を持っている理由」を調査したところ、「韓国のドラマや音楽など、韓国の文化に関心があるから」、という項目の回答比率が50.7%で、他の要因を圧倒しています(※ただし、おそらく複数回答項目だと思います)。

これに対して同4ページ目によれば、日本が韓国に「良くない印象を持っている理由」のトップは「歴史問題などで(韓国が)日本を批判し続けるから」が69.3%、「竹島をめぐる領土対立」が27.6%、「慰安婦問題」が30.5%に達しています。

要するに、韓国側の振る舞いに対して、日本国民がいい加減、うんざりしている、ということでしょう。

考えてみればわかりますが、日本国民のすべてが政治や歴史に深い関心を持っているわけではありません。いや、日本国民の多くは仕事や勉強、家事・育児といった日常生活を営んでいるわけですから、むしろ、政治や歴史に深い関心を持っている人は少数派ではないかと思います。

それなのに、世論調査を実施してみたら、「韓国が歴史問題で日本を批判し続けているから、韓国に良くない印象を抱いている」と答えた日本人が、7割近くもいる、ということです。このことは、現代の日韓関係を規定するうえでの、1つの重要なポイントでしょう。

重要なのは「日本が」どうするか

日韓関係巡る6類型

さて、当ウェブサイトではこれまで何度も示してきましたが、私が見たところ、マス・メディア、ウェブ論壇、政治家の発言などを整理すれば、現代の日本には日韓関係をどうすべきかをめぐって、だいたい6つの意見が存在していると思います(図表3)。

図表3 日韓関係の6類型
カテゴリ 分類 概要
日韓友好 Ⅰ 日韓対等論 日韓は対等な主権国家同士、友誼を深め、手を取り合ってともに発展していく
Ⅱ 対韓配慮論 日本は過去の歴史問題に多少配慮し、謝るところはきちっと韓国に謝る
Ⅲ 対韓追随論 韓国が求める「正しい歴史認識」を全面的に受け入れ、半永久的に韓国に謝罪し続ける
日韓非友好 Ⅳ 韓国放置論 韓国が日本に対して突きつけてくる不当な要求を無視し、敢えて日韓関係の改善を先送りにする
Ⅴ 日韓断交論 韓国との関係を断ち切る、あるいは韓国と距離を置く
Ⅵ 誅韓論 韓国と関わらないだけでなく、むしろ積極的に韓国という国が滅亡するのを助ける

(【出所】著者作成)

この6つの類型は、別に私が賛同して書いているわけではありません。あくまでも「現在の日本国内の世論」を眺めていて、このような考え方がある、と紹介しているだけの話です。

そして、これらのうち最も理想的な関係とは、「Ⅰ 日韓対等論」でしょう。日本も韓国も、お互いに対等な主権国家として、自由、民主主義、法の支配などの共通の価値観を持ち、未来に向けて手を取り合い、発展していけるならば、これ以上素晴らしいことはありません。

しかし、現実には、韓国側がこの「Ⅰ」の考え方を受け入れていません。この点については、「保守系論壇」や「ネトウヨ」と呼ばれる人たち、「左派系論壇」や「パヨク」と呼ばれる人たちを問わず、認識が一致している点です。

韓国がこの「Ⅰ」の考え方を受け入れてくれない理由は、「日本が過去に韓国に対して酷いことをやったから」なのかもしれませんし、単に「韓国が近代法治主義の考え方を理解せず、捏造された過去に拘泥しているだけだから」なのかもしれません。

いずれにせよ、ここで重要な点は、韓国が日本を嫌っている理由、ではありません。「韓国はⅠの考え方を受け入れていない」、という事実です。そうであるならば、日本としてはⅡ~Ⅵの考え方(あるいはここに示した以外の考え方)で韓国に対処するしか方法はないのです。

コンセンサスの形成期

ところで、「将来的な日韓関係」について、私自身には持論があります。その持論は過去に当ウェブサイトでも何度か触れたとおり、「日韓関係を単独の2国間関係として見るべきではない」というものですが、詳しくはすでに『韓国と北朝鮮を「対等な交渉相手」と見るな』で触れているので、ここでは繰り返しません。

ただ、私が今回の言論NPOの調査結果を見て思ったことは、日本国内の左派論壇、「日韓友好派」などが何を言おうが、日本国内で韓国に対する「良くない印象」、いや、もっといえば「嫌悪感」が広がっているというのは事実でしょう(もちろん、言論NPOの調査が正しいという前提がつきますが…)。

日本は表現の自由が貫徹している国です。そして、現代社会ではインターネットにつながる環境さえあれば、だれでも自由にウェブ言論を始めることができ、それを世に問いかけることができる時代なのです。今回の言論NPOの調査結果についても、その解釈を巡る議論が活発に行われるべきです。

日本国内における、韓国や朝鮮半島、さらには中国などと、どのような関係を構築すべきかというコンセンサスは、まさにこうした議論を通じて形成されるべきものであり、どこかの左巻きの偏向論説で知られる新聞社の編集委員が垂れるご高説に振り回されるべきではありません。

その意味で、まさに現在は日本国内におけるコンセンサスの形成期にあると言えるのかもしれません。

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なお、文末に自説の「宣伝」をお許しください。

私自身は外交官でも学者でも新聞記者でもありませんが、現役のビジネスマンでもあります。『ビジネスマンが読み解く「リテラシー」の重要性』や『韓国と北朝鮮を「対等な交渉相手」と見るな』などの記事は、ビジネスマンならではの視点で外交などについて議論しています。

是非、お目通しを頂けると幸いです。

新宿会計士: